工学部 化学・生命工学科 安藤研究室  

   

1,2-cis-グリコシルスルホンの立体選択的合成と応用

グリコシルスルホンは、種々の糖誘導体の合成中間体や生物活性分子として有用ですが、これまでの研究は合成が容易な1,2-trans体を用いて行われることが多く、1,2-cis体の活用に関する研究はあまり進んでいません。当研究室では、ヨウ化糖をグリコシルドナーとするチオールの1,2-cis選択的グリコシル化と酸化によって、1,2-cis-グリコシルスルホンが高立体選択的に合成できることを見出しました。また、得られた1,2-cis-グリコシルスルホンがJuliaオレフィン化試薬として有用であり、アルデヒドとの反応によってexo-グリカールを収率良く与えることも見出しました。リボース、グルコースから1,2-cis-、1,2-trans-グリコシルスルホンを合成し、Juliaスルホンとしての性能比較を行ったところ、1,2-cis体の方が高いE選択性でexo-グリカールを与え、リボース誘導体では特に大きな差があることが分かりました。以上の様に、グリコシルスルホンの1,2-cis選択的合成法の開発により、その有用性や1,2-trans体との違いを明らかにできました1-3

1) Oka, N.; Mori, A.; Ando, K. Eur. J. Org. Chem. 2018, 6355-6362.

2) Oka, N.; Mori, A.; Suzuki, K.; Ando, K. J. Org. Chem. 2021, 86, 657-673.

3) Oka, N.; Suzuki, K.; Mori, A.; Ando, K. Eur. J. Org. Chem. 2021, 5922-5933.

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