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応用気象シンポジウム2017【終了しました】


●目的:
国立大学法人岐阜大学工学部は,平成29年4月に応用気象研究センターを発足しました.このセンターは,台風,豪雨,落雷等に対する防災・減災,将来の地球温暖化に対する適応・緩和,太陽光・風力・波力発電など再生可能エネルギーの普及,その他の潜在する工学的ニーズに対して,高度な気象情報を提供するとともに,AIやIoTといった先端的なICTを駆使して未開拓分野に気象情報を効果的に活用する技術開発を推進することを目的として設置されました.
本シンポジウムは,当センターの設置を地域住民や企業の皆様に広く知っていただく機会として開催し,ビッグデータとも言うべき気象情報を様々なビジネスの現場に今後どのように活用していくべきかを議論します.さまざまな業種の皆さんのご参加をお待ちしております.


●プログラム:
・開会挨拶
・センターの概要
・基調講演(2件)
・特別講演(3件)
・閉会挨拶


●講演概要:
★基調講演1
(一財)日本気象協会における気象情報ビジネスと今後の展望
平松信昭氏(日本気象協会)
日本気象協会は、1950年から気象情報ビジネスを行ってきた老舗の組織である。今回は気象情報の利活用事例を紹介したい。先日の台風21号は大型で強い勢力で上陸したため、海岸部の道路では高波で施設に被害を受けた。しかし、気象情報等を活用し、人的被害は発生していない。また、最近は太陽光や風力といった再生可能なエネルギーの活用が進んでいるが、ここでも日射量や風の予測が使われている。最後に、気象情報を使って食品ロスを減らす取り組みについて紹介する。



★基調講演2
ICTベンダから見た気象情報の可能性 ~気象庁システム構築経験から~
菅波潤氏(富士通)
気象庁の中枢システムである「アデス」や地上観測システムである「アメダス」の構築経験を基に、気象情報を24時間365日安定提供するためのシステム構築・運用の舞台裏をご紹介し、そこから配信される気象データの種類やその活用事例、そして今後の気象情報の可能性についてご紹介します。



★特別講演1
機械学習を応用した気象予測と太陽光発電所の劣化診断
教授・吉田弘樹氏(岐阜大学)
気象の分野では様々な研究がなされているが,機械学習が膨大な過去のデーターから将来予測ができる点を活かした応用研究がされる様になってきた.一方,太陽光発電所において経年劣化で発電効率が低下することは知られているが,日々あるいは年単位の気象変動があるため,妥当な劣化をしているかどうか判断するが難しい.そこで機械学習を導入し,設備導入当時から数年間の気象データーと発電量を学習させ,期待される発電量と実際の発電量を比較することで,発電所内で劣化が進行している箇所(ストリング)を特定している.



★特別講演2
雷放電3DマッピングシステムFALMAの開発とそれによる観測事例
教授・王道洪(岐阜大学)
個々の雷放電は人間の目では一瞬に光る現象しか見えないが、高速ビデオカメラで見たら進展がとても速い、様々な放電過程を含んでいることがよく分かる。大気電気研究部門では個々の雷放電の3次元進展様相を低い周波数帯域(LF)の電波で捉えるシステム、Fast Antenna Lightning Mapping Array (通称、FALMA)を開発した。このシステムを今年の夏に岐阜を中心とした中部地方に設置し、数多くの雷の3Dマッピングに成功した。本発表では、FALMAの概要といくつかの雷の3D動画を含む観測事例を紹介するとともに、その工学的または気象的な応用についても言及する。



★特別講演3
気候変動予測情報を活用した影響評価と適応策の社会実装に向けた取り組み
准教授・原田守啓(岐阜大学)
気候変動(地球温暖化)の影響が、私たちの実感としても感じられるようになってきており、近年、観測記録を上回るような豪雨災害が日本各地で頻発しています。本講演では、現在進みつつある気候変動の将来予測のための情報を活用した岐阜地域における自然災害リスクの将来予測と、これをふまえた適応策の社会実装に向けた岐阜大学と岐阜県の協働による取り組みついて紹介します。


●主催・共催
主催: 国立大学法人 岐阜大学工学部附属応用気象研究センター
共催: 一般社団法人電気学会東海支部
後援: 気象ビジネス推進コンソーシアム,岐阜市,岐阜商工会議所
●お問い合わせ
岐阜大学工学部附属応用気象研究センター事務室 (〒501-1193 岐阜市柳戸1-1)
TEL&FAX: 058-293-2431  
E-mail: amet@gifu-u.ac.jp
 

開催報告


「応用気象シンポジウム2017」にご出席いただきまして誠にありがとうございました.86名という多くの皆様にご参加いただき大変嬉しく思っております.
 
本シンポジウムは平成29年4月に発足しました岐阜大学工学部附属応用気象研究センターを地域の住民や企業の皆様に広く知って頂きたいという目的で,また,昨今の多様化する気象情報と高度化するIT技術を如何に組み合わせて応用していくかを議論する目的で開催されました.
 
気象が産業に及ぼす影響は極めて大きく,まだ潜在する気象情報のニーズを掘り起こすことによって,気象ビジネスはまだまだ発展する伸び代を持っていると考えております.そして,急成長するAIやIoTといった先端的なICTは気象情報と極めて親和性が高く,それらを利活用することで,今後,気象情報の利用の裾野はもっと広がっていくのではないかと期待しております.そのような未来を見据えて,今回のシンポジウムでは,最先端をゆく事業者様より2件の基調講演を頂きました.また,岐阜大学工学部附属応用気象研究センターに所属する教員より3件の特別講演をいただきました.
 
まず,日本気象協会の平松様には,民間気象事業者の視点から「気象情報ビジネスと今後の展望」についてご講演いただきました.また,富士通の菅波様には,ICT事業者の視点から「気象情報の可能性」について気象庁システムの構築経験に基づいてご講話いただきました.いずれのご講演も業界をリードする先端的な事業ばかりであり,気象情報の持つ無限の可能性を感じられたのではないかと思います.
 
また,岐阜大学工学部附属応用気象研究センターの吉田教授より,「機械学習を応用した気象予測と太陽光発電所の劣化診断」についてご講演いただきました.また,同センターの王教授より,「雷放電3DマッピングシステムFALMAの開発とそれによる観測事例」についてご講演いただきました.また,同センターの原田准教授より,「気候変動予測情報を活用した影響評価と適応策の社会実装に向けた取り組み」についてご講演いただきました.まだ2017年4月に始まったばかりの応用気象研究センターではありますが,新しい先進的な研究成果が生まれつつあることを実感いただけたのではないかと思います.これからも引き続き,密接な産官学連携の下で研究活動を推進していきたいと考えております.是非,皆様のご支援・ご協力を賜りたいと存じております.
 
さて今回,基調講演をいただきました平松様や菅波様とは,「気象ビジネス推進コンソーシアム」の中で知り合うこととなりご講演をお願いすることになりましたので,このコンソーシアムについてご紹介させていただきます.このコンソーシアムは,気象庁を事務局として,まさに文字通り,気象データの利用の裾野を広げ気象情報ビジネスをもっと活性化させたいという理念の下,センター発足とほぼ同時期にスタートしたばかりの組織です.気象ビジネスの推進のためには,「気象情報の理解力」,「IT技術の活用力」,「新規ビジネスの発想力」の3つの力が必要になると考えます.一つの企業や個人だけで全てを兼ね備えるのは不可能なことであり,有機的な相互連携が不可欠となります.気象情報に期待する多くの企業・官公庁・大学が参加するこのコンソーシアムでは新たな気象ビジネスが創出される可能性を秘めていると期待されます.私たち岐阜大学としてもこのコンソーシアムの理念に賛同して,産官学連携の「学」の立場から一緒に取り組んでいるところです.私たち応用気象研究センターは,学界・専門家としての立場,そして,気象事業者としての立場の両面から貢献できるという他にない強みをもっていると考えておりますが,ただ,産業界や官公庁との連携・ネットワークも不可欠であり,私たちの苦手とするところでもあります.私たちの強みである「高度な気象情報」を核として皆様と共同研究をさせていただくことで,皆さんのビジネスに潜むさまざまな気象リスクを最小化し,より生産性が高いビジネスの実現にお役に立てればと思っております.是非,地域の住民や企業の皆様の是非,皆様の気象情報に対するニーズを私たち応用気象研究センターにお聞かせ頂きたいと思っております.
 
最後に,今回の「応用気象シンポジウム2017」を後援いただきました気象ビジネス推進コンソーシアム,岐阜市,岐阜商工会議所,電気学会中部支部の皆様に厚く御礼申し上げます.また,会の運営にご支援・ご協力頂きましたセンター関係者や学生の皆様に心より感謝申し上げます.そして,ご講演いただきました講演者の皆様と熱心にご討議いただきました参加者の皆様に,事務局を代表いたしまして心より御礼申し上げます.次回のシンポジウムに是非ご期待下さい.
 
 
 


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