国語科教材研究(読書過程論の立場から)
ここでは、教育学部での国語教育の講義の一環としていくつかの教材を取り上げ、国語科教育学および小学校教育現場にむけた、文学研究の立場からの教材研究に関する論をあげてあります。ここで取り上げた素材のほとんどが小学校での研究会、あるいは講座の学生の教育実習での実践例を参考としたものです。
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論文リストの1・2では文学教材の「白いぼうし」(あまんきみこ)をとりあげました。
まず1では、生徒のストーリー解釈における錯誤をとりかかりとして、この作品が単純なようで実はいくつかの異なった話型を組み合わせることで成り立っており、読者は自分の理解可能な話型に引きつけて全体像を組み替えて読んでしまう、という読書過程論的な立場を導入しながらの、構造分析を行っています。
また2では小学校現場の教材の問題としての、作品テキストの教科書所載時の改変について具体的に指摘しつつ、教室での文学教材の学習の際の、過度の情緒的読解についての疑問点を挙げています。
*この論文は、岐阜県土岐市立鶴里小学校での国語教材に関する研究会でのはなしをもとにしています。校庭のラベンダーのたくさんの鉢植えがとても美しかった鶴里小学校のみなさん、そのせつはお世話になりました。
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3では詩教材をとりあげました。現場における谷川俊太郎「どきん」の実践例をもとに、多義的な解釈が並立すること自体がその詩の本質であるという認識および音読やマイムによってそのような多義性が引き出される瞬間を検証してみました。
*この論文は、国語講座の学生の教育実習のさいの、岐阜市加納小学校での研究授業(1997年度)の参観をもとにしています。担任の田口広志先生ならびに三年二組のみなさん、ありがとうございました。
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