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【疲労研究の重要性】
当研究室は材料力学の研究室であり,各種構造材料の疲労特性と破壊機構
について研究しています(本ホームページ「トップページ」,「一般の方へ」
「研究テーマ」のページ参照).
すでに学習した「材料力学」は,機械・構造物の設計に不可欠な学問であり,
機械工学において最も重要であると言っても過言ではありません.「材料力学」
では静的荷重に対して機械や構造物が安全であるように設計するための力学
的手法を学びました.しかし,実際の機械や構造物では,静的破壊荷重よりも十
分低い外力の繰返しのもとで破壊が生じます(疲労破壊).したがって,機械・
構造物を構成する材料の各種疲労特性を実験的に評価,把握することが耐疲
労設計には欠かせません.また,疲労メカニズムを解明することによって,耐疲
労性に優れた新材料の開発や既存材料の改善にも貢献します.
疲労の研究は機械工学,すなわち“ものづくり”の最も根幹をなすものですが,
諸般の事情により昨今やや研究が衰退気味になりつつあります.これに伴って,
疲労に起因する事故が増えているように思います.これは極めて深刻な問題で
あり,研究の衰退が加速すればさらに事故が続発する危険性があります.これ
まで世界のトップクラスの日本の疲労の研究が活発に行われてきたからこそ,疲
労に起因する重大な事故が抑制されてきたのです.
【研究室概要】
植松研究室は,博士後期課程3年2名,博士後期課程1年3名,博士前期課程
2年7名,博士前期課程1年6名,学部4年6名,計24名(H27年度)の大所帯です.
研究室全員が日本の疲労の研究の一端を担っていると意識を持って,熱心かつ
真面目に勉学,研究に取り組むとともに,それを通じて自分自身のレベルアップ
を図るために努力しています.
以下に研究室の行事,スケジュール等を簡単に紹介します.
(1) 研究テーマ
4月に研究室配属後,個々の学生に研究テーマを設定し,直ちに研究に着手し
ます.自分自身で責任を持って取り組むために,基本は一人一人個別のテーマ
です.
(2) ゼミ
研究と並行して,4年生と大学院生のそれぞれに対して疲労に関するゼミを週1
回行います.4年生に対しては,疲労について英語で書かれた本の輪講です.担
当者が担当部分の和訳だけでなく,その内容を十分理解して全員に説明する方
式です.大学院生に対しては,自分の研究に関係する英文の専門論文1編を探し
て,それを読みこなし,PowerPointにまとめて発表,議論し,理解を深めるという
方式です.1回当たり3名の学生が担当します.スタッフ,共同研究者,大学院前
期課程学生,後期課程学生が参加します.
(3) 打ち合わせ
研究進捗状況と方向性を確認すること,およびスタッフとの意志疎通を図るた
めに,週1回または2週間に1回,研究打ち合わせを個別に行います.
(4) 中間発表会
研究室の最も重要な行事で,年3回の中間発表会(7月末,10月末,12月末)が
あります.スタッフ,共同研究者,大学院生,学部生および共同研究企業関係者
の全員参加のもとで,学部生および大学院生の各自がPowerPointを用いて10
分程度研究発表を行ったのち,20分間の質疑応答を行います.
事前に2ページの発表資料を各自が作成し,それをまとめた資料集を全員に配
布しておきます.
(5) その他(研究室規則等)
研究室には9:30までに来ることを励行しています.どのような研究も同じですが,
とりわけ疲労の研究は時間を要します.遅く来ていたのでは研究が進まないこと
と,規律正しく研究室を維持するためです.また,毎週金曜日の夕方には研究室
および実験室の掃除をします.研究環境を快適かつ安全に維持するためです.な
お,研究室夏期休暇は8月初旬に3週間,冬期休暇は12月末から1月初旬にか
けて約10日間です.研究室のすべての行事の終了は3月初旬の予定です.
【研究の取組み】
各種疲労特性に関する実験的研究を行います.下図に示すように,研究対象
とする材料から試験片を機械加工し,それを用いて各種の疲労試験を実施しま
す.得られる疲労強度データは耐疲労設計に利用されます.疲労試験中の試
験片の損傷状況や破壊した試験片の破面をマクロかつミクロに解析することに
よって,疲労破壊メカニズムを解明します.このことは耐疲労性に優れた材料開
発や既存材料の改善に貢献します.こうしたことを通じて,先端技術の開発・発
展やさらに安全で快適な社会の実現に貢献します.
研究の手法と意義
【卒業研究】
3年次までは機械工学の基幹科目や専門科目の講義を通じて知識を修得す
る,いわば受動的な立場でした.機械工学科の学生らしい,自分から機械に触
れたり,“もの”を作製したりする機会はほとんどありませんでした.しかし卒業
研究では,所属する研究室によって取り組む内容(分野)は異なりますが,3年
間の講義で学んだことを基礎として,1年間の期間で自分自身で研究課題に取
り組み,その目的を達成して卒業論文として提出します.問題解決のための方
法論,思考能力やプレゼンテーション能力を養うとともに,研究室の縦,横のコ
ミュニケーションを通じてさらなる人間形成を図ります.
何よりも重要なことは,卒業研究に積極的,真面目,かつ主体的に取り組むこ
とです.卒業研究の単位取得と言った消極的な姿勢では,貴重な1年間を無駄
にすることにもなりかねません.
【大学院前期課程】
大学院前期課程(修士課程)への進学の目的は,学部で学んだ機械工学専
門分野のさらに高度な内容を修得することです.修士学位取得のため修士論文
を提出する必要がありますが,そのために研究室に所属して2年間研究を行いま
す.当然,学部以上に高いレベルの研究を行うことが要求されます.
実際,研究室に配属された前期課程学生は全員が2年間の間に学会発表を行
っています.国際会議の発表もあり,平成27年度,博士前期課程の複数名が国
際会議で発表することが予定されています.また,論文としても発表します.
学部生以上に積極的かつ主体的に勉学,研究に取り組む姿勢が必要です.
研究室では学部生を指導するとともに,リーダーシップとしての役割も担います.
【大学院後期課程】
大学院後期課程(博士課程)では,より専門的な教育・研究を行い,当該研究
分野の研究者となりうる人材を養成します.前期課程から引き続き進学する者は
5年間の期間,また後期課程から進学する者は3年間の期間に疲労の分野の高
度な専門的研究を行い,所定の論文を発表したのち博士(工学)の学位を申請,
取得することになります.当然,学会発表はもとより国際会議でも発表します.>
最終更新日:2015/10/9
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岐阜大学 工学部 機械工学科(機械システム工学科) 植松研究室
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