上宮・宮本研究室の研究


研究テーマは化学工学を基礎とした、反応・分離に関わる材料、プロセス開発が中心です。

主なテーマは下記の通りです。
■水素製造関連
■多孔質分離膜
■CO2分離回収関連
■ゼオライト触媒関連
■LCA関連

水素製造関連テーマ一覧

■フォトリソグラフィーを用いたPd薄膜の作製
■各種燃料に適した水蒸気改質用触媒の開発
■膜反応器を用いた低温アンモニア分解とCO2メタン化複合システムの開発
■バイオマスからの水素製造

燃料電池は次世代発電技術として注目を浴びています。燃料電池は水素をエネルギー源としていますが、水素は燃焼後、水のみを生成するとてもクリーンなエネルギーです。この水素を製造、分離、精製する技術が水素社会の構築には必要不可欠となります。当研究室では、様々な燃料から高効率で高純度水素を製造する技術開発に取り組んでいます。また、近年ではフォトリソグラフィーに着目し、Pd薄膜の新たな作製法について研究を進めています。

●高効率高純度水素製造システム(膜反応器)
水素のみを通す環状の膜を用いた水素製造装置です。天然ガス、石油系燃料などから直接高純度水素(99.99%以上)の水素が製造できます。水素を製造する際の消費エネルギーが小さいのも特徴です。
■フォロリソグラフィーを用いたPd膜
平滑樹脂基板上にPd薄膜を製膜し、その後フォトリソグラフィーにより多孔質支持層を形成することでPd複合膜を得る手法です。従来の無機多孔質支持体と比較し、均一なPd膜が得やすく、薄膜化しやすい利点があります。

●NH3水素キャリアを用いたCO2メタン化システム
水素キャリアとして有望視されているNH3を用いてCO2からメタンを得るシステムです。膜反応器を使用し、CO2メタン化を複合化させることでNH3の分解速度を大幅に向上することが可能です。


膜反応器による高効率高純度水素製造

NH3水素キャリアを用いたCO2メタン化システム

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多孔質分離膜関連テーマ一覧

■液液分離用ゼオライト膜の開発
■MOF分離膜の合成とその応用

蒸留に代わる分離方法として分離膜を用いた浸透気化法(Pervporation)や蒸気透過法(Vapor permeation)に注目が集まっています。ゼオライト膜は高い脱水性能を有していますが、酸性条件下では膜の耐久性に問題があり、応用範囲が限定されています。当研究室では、耐酸性を有する脱水用ゼオライト膜の開発について研究を進めています。
また、近年ではゼオライトや活性炭に代わる新しい多孔質材料として、多孔性配位高分子(Metal Organic Framework (MOF))という物質が注目を集めています。金属と有機配位子で構成される多孔質物質であり、従来にない機能性材料として期待されています。当研究室では、MOFの物性評価およびその分離膜への応用について研究を進めています。
●Metal Organic Framework (MOF)
金属と有機配位子で構成される多孔質物質です。従来にない非常に大きな比表面積、細孔容積を有しているため、吸着剤としての研究が盛んになされています。近年では分離膜への応用も注目を集めていますが、その研究は緒に就いたばかりです。

ZIF-8膜の断面SEM像

UiO-66配向膜断面

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CO2分離回収関連テーマ一覧

■アミン修飾メソポーラスシリカのCO2吸着特性

主要な温暖化ガスとされるCO2は、化石燃料の使用がその排出源の大部分を占めます。将来的には、再生エネルギーの利用によるCO2排出削減が期待されています。しかしながら、喫緊の課題としては、化石燃料を利用しながらCO2を大気中へ排出しない技術、いわゆるCCS(CO2 Capture and Storage)技術が重要です。当研究室では、高効率CO2分離回収プロセスの確立を目指し、分離膜および吸着剤の開発を進めています。

ゼオライト触媒関連テーマ一覧

■複雑な反応系におけるCore-Shell型ゼオライトの形状選択性
■Core-Shell型ゼオライト触媒を用いたパラキシレンの選択的合成

ゼオライトは主に結晶性アルミノケイ酸塩の総称であり、結晶構造由来の均一な分子レベルの細孔を持った物質です。石油化学系の触媒や乾燥剤、洗剤の添加剤など、幅広い分野で用いられています。当研究室では、このゼオライトを用いた環境調和型触媒反応プロセスの開発に取り組んでいます。
●Core-Shell型ゼオライト触媒
触媒として作用するゼオライト結晶の外表面を同一結晶構造を持つ不活性なゼオライト層で被覆したもの。結晶構造を変化させず、外表面を不活性化することにより、ゼオライト結晶が本来有する形状選択性を最大化することができます。

LCA関連テーマ一覧

■薄膜Si系太陽電池製造プロセスにおけるスケール効果のLCA評価

LCAとはLife Cycle Assessmentの略であり、ある製品の生産から使用、回収再利用、廃棄までの全過程における環境への影響を評価する手法のことをいいます。当研究室では、再生可能エネルギー利用における重要な技術である太陽光発電技術に着目し、太陽電池のLCA評価および、従来のLCA評価法へ製造プロセスのスケール効果を考慮した新たなLCA評価手法について研究を進めています。

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