メカトロニクス教科書シリーズ9

画像処理工学

末松良一,山田宏尚著

2000年10月 コロナ社より発刊

 

本書は,画像処理を初歩から学習しようとする様々な分野の人たちを対象として,計測・制御,理解・認識等の分野で画像処理技術を独自に利用できるよう,基本事項を平易に解説している.

 

正誤表

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     詳細目次・キーワード

 

 

目 次

 

1.序 論

2.画像の表現

2.画像処理システム

4.画像情報処理

5.濃淡画像処理

6.2値画像処理

7.コンピュータ・グラフィックス

8.画像認識

9.3次元画像処理

10.動画像処理

11.画像処理の応用

 

 

まえがき

 

 機械システムにエレクトロニクスを融合させた,いわゆるメカトロニクス製品において,機械の知能化を行うためには,外界の情報をうまく取り込んで利用することが重要となります.人間は,五感のうち,とりわけ視覚を通して多くの情報を得ていますが,機械システムの制御においても,画像情報をうまく利用することができれば,機械の知能化に大いに役立ちます.近年のコンピュータやディジタル機器の性能向上・低価格化などにより,画像をセンシング情報として用いることが可能となってきました.たとえば,ロボットを制御する場合,位置や力などの情報だけでなく,画像情報もうまく利用できれば,今まで以上にロボットの知能化が可能となります.一方,生産現場においては,視覚センサを用いた組立・品質検査装置や高速道路の無人改札におけるナンバー自動読み取り装置などが,すでに実用化されています.さらに,医療で用いられるX線CTや,一般家庭に普及しているビデオ録画装置,ビデオカメラ,DVDなどの画像を扱う機器も,画像処理技術を利用したメカトロニクス機器であるといえます.最近では,メカトロニクスに光学(オプティクス)技術を導入したオプトメカトロニクスという工学の分野も登場しています.

 このように,画像処理の実用化は,そのハード・ソフトの進歩とともに近年急速に進み,生産システムの高機能化・知能化,人間と機械とのコミュニケーション,環境認識など,より広範な分野に及んでいます.画像処理はこれからの情報化社会,マルチメディア社会において必須の技術であり,情報・通信の分野に携わる人だけでなく,メカトロニクス工学を学ぶ人たちにも,ぜひ学んでいただきたいものと考えます.

 本書は,画像処理を初歩から学習しようとする様々な分野の人たちを対象として,計測・制御,理解・認識等の分野で画像処理技術を独自に利用できるよう,基本事項を平易に解説しています.画像処理工学が扱う領域は広く,信号処理技術,画像処理手法,画像計測や認識,グラフィックスなど様々な分野に及びます.このため,既存の教科書では,おかれている重点分野も様々に異なっています.本書では,これらの分野をバランス良く配分させ,基礎事項をわかりやすく体系的に学べることに留意しました.本書によって基礎的知識を習得後,読者の皆さんがさらに高度な知識を得たい場合には,巻末の参考文献等を参照いただければ幸いです.

 

画像処理工学 コロナ社 (メカトロニクス教科書シリーズ9)

末松良一,山田宏尚著 ISBN:4-339-04398-2

 

<目次>

まえがき

1          序 論 <キーワード>

1.1         人間の視覚機能

1.2         画像と画像処理

1.3         ビジョンシステム

2          画像の表現 <キーワード>

2.1         アナログ画像とディジタル画像

2.2         画像のA-D変換

2.2.1   標本化

2.2.2   量子化

2.3         A-D変換と画質との関係

2.4         カラー画像の表現

2.4.1   人間の視覚とカラー画像

2.4.2   色の表現法

2.4.3   カラー画像のディジタル化

2.5         画像データの表現

2.5.1   画像データの表現形式

2.5.2   インデックス方式による画像表現

2.5.3   画像のファイル形式

3          画像処理システム <キーワード>

3.1         画像処理システムの構成例

3.1.1   コンピュータを用いた画像処理システム

3.1.2   画像処理プログラムにおける画像データの扱い

3.1.3   専用ハードウェアによる画像処理装置

3.2         画像の入出力装置

3.2.1   画像の入力装置

3.2.2   画像の出力装置

4          画像情報処理 <キーワード>

4.1         画像のフーリエ変換

4.1.1   空間周波数

4.1.2   複素正弦波信号

4.1.3   フーリエ変換

4.1.4   離散フーリエ変換

4.1.5   高速フーリエ変換

4.1.6   直交変換

4.1.7   その他の直交変換

4.2         標本化定理

4.3         フィルタ処理

4.3.1   周波数領域でのフィルタ処理

4.3.2   空間領域でのフィルタ処理

4.3.3   オペレータによるフィルタ処理

4.4         画像データの圧縮

4.4.1   可逆符号化

4.4.2   不可逆符号化

4.4.3   動画像の符号化

4.4.4   標準化された符号化技術

5          濃淡画像処理 <キーワード>

5.1         濃度変換

5.1.1   コントラスト変換関数を用いた濃度変換

5.1.2   ヒストグラム変換

5.1.3   隣接する画素との濃度差の強調

5.2         平滑化

5.2.1   線形フィルタによる平滑化

5.2.2   非線形フィルタによる平滑化

5.3         鮮鋭化

5.4         エッジ・線の検出

5.4.1   差分型によるエッジ検出

5.4.2   零交差法によるエッジ検出

5.4.3   テンプレート型エッジ検出オペレータ

5.4.4   レンジフィルタ

5.4.5   線の検出

5.5         画像表示のための処理

5.5.1   限定色表示

5.5.2   疑似濃淡表示

5.6         幾何学的変換

5.6.1   アフィン変換

5.6.2   疑似アフィン変換

5.6.3   画像の再配列と内挿

5.6.4   圧縮された画像データからの拡大・縮小

6          2値画像処理 <キーワード>

6.1         2値化処理

6.2         連結性と幾何学的性質

6.2.1   連結と近傍

6.2.2   幾何学的性質

6.3         2値画像に対する処理

6.3.1   ラベリング

6.3.2   膨張・収縮処理

6.3.3   線・点図形化処理

6.4         図形の形状特徴

7          コンピュータグラフィックス <キーワード>

7.1         2次元グラフィックス

7.1.1   線図形の描画

7.1.2   面の生成と処理

7.1.3   アンチエリアシング

7.2         3次元グラフィックス

7.2.1   3次元図形の幾何学的変換

7.2.2   モデリング

7.2.3   レンダリング

8          画像認識  <キーワード>

8.1         領域分割

8.1.1   原画像中のエッジを用いる方法

8.1.2   領域拡張法

8.1.3   統計的仮説検定法

8.1.4   ヒューリスティック法

8.1.5   分割法

8.1.6   分割統合法

8.1.7   特徴空間におけるクラスタリングを用いた方法

8.1.8   テクスチャ解析

8.2         統計的パターン認識

8.2.1   特徴空間

8.2.2   パターンの識別

8.2.3   クラスタリング

8.3         構造的パターン認識

8.4         テンプレートマッチング

8.5         エキスパートシステム

8.6         ニューラルネットワーク

8.7         遺伝的アルゴリズム

9          3次元画像処理 <キーワード>

9.1         3次元空間の計測と認識

9.2         1枚の画像を用いた3次元認識

9.2.1   テクスチャによる方法

9.2.2   陰影による方法

9.2.3   その他の方法

9.3         複数の画像を用いた3次元認識

9.3.1   カメラモデルとキャリブレーション

9.3.2   ステレオ画像処理

9.4         レンジファインダ

9.5         3次元物体の認識・理解

10      動画像処理 <キーワード>

10.1     オプティカルフローの抽出

10.1.1        照合法

10.1.2        時空間勾配法

10.2     差分画像を利用する方法

10.3     時空間画像を利用する方法

10.4     3次元運動の推定

11      画像処理の応用 <キーワード>

11.1     産業応用

11.1.1        組立工程

11.1.2        検査工程

11.2     医療用画像処理

11.2.1        CT

11.2.2        細胞診の自動化

11.3     文字認識

11.3.1        印刷文字認識

11.3.2        手書き文字認識

 

キーワード:(出現順に記載)

1章 序論  (Top)

画像処理,画像,コンピュータグラフィックス,CG,CAD,ビジョンシステム,ロボットビジョン,マシンビジョン,コンピュータビジョン,物体認識,画像理解,人工知能

 

2章 画像の表現 (Top)

アナログ量,ディジタル量,A-D変換,標本化,量子化,画素,濃度値,階調値,輝度値,量子化,量子化レベル,階調,濃淡レベル,符号数,符号化,復号化,2値画像,多値画像,濃淡画像,ダイナミックレンジ,量子化間隔,線形量子化,非線形量子化,エリアシング,解像度,ppidpi,量子化誤差,量子化雑音,疑似輪郭,疑似エッジ,コントラスト,非線形量子化,対数量子化法,メディアンカット量子化法,白色光,単色光,RGB,加法混色,補色,無彩色,有彩色,減法混色,表色系,マンセル表色系,XYZ表色系,色相,明度,彩度,色度座標,色度図,スペクトル軌跡,フルカラー画像,輝度信号,色差信号,NTSCYIQ,ビットマップデータ,ラスタ型データ,ベクトルデータ,コードデータ,コード表現,カラーテーブル,パレット,インデックス方式,ルックアップテーブル,LUT,カラーマップ方式,JPEGTIFFBMPPICTPDFpnmpbmpgmppm

 

3章 画像処理システム(Top)

画像処理プロセッサ,フレームメモリ,フレームバッファ,画像入力ボード,メインメモリ,CPUI/O,チップセット,データバス,フレーム,グラフィックス・コントローラ,グラフィックス・アクセラレータ,グラフィックス・メモリ,フレームメモリ,RAMDAC,アレイプレセッサ,ベクトルプロセッサ,CCD,マトリックスCCD,ラインCCD,ビデオカメラ,ディジタルカメラ,イメージスキャナ,タブレット,ディジタイザ,CRT,インタレース方式,ノンインタレース方式,液晶ディスプレイ,LCDSTNTFT,プロジェクタ,プリンタ

 

4章 画像情報処理(Top)

フーリエ変換,フーリエ逆変換,周波数,空間周波数,直流成分,交流成分,空間周波数領域,空間領域,振幅スペクトル,位相スペクトル,パワースペクトル,離散フーリエ変換,DFT,離散フーリエ逆変換,高速フーリエ変換,FFT,高速フーリエ逆変換,IFFT,直交基,正規直行基,直交変換,ユニタリ行列,2次元ユニタリ行列,直交行列,2次元直交変換,基底,アダマール変換,スラント変換,K-L変換,離散コサイン変換,DCT,標本化定理,遮断周波数,ナイキスト周波数,エリアシング,折り返し誤差,エリアシング誤差,フィルタ処理,ローパスフィルタ,ハイパスフィルタ,バンドパスフィルタ,通過域,阻止域,遮断域,遷移域,FIRフィルタ,IIRフィルタ,非直線位相,直線位相,インパルス応答,畳み込み,コンボルーションカーネル,非線形時不変,時不変,シフト不変,線形時不変,窓関数,窓関数法,分離型フィルタ,オペレータ,局所オペレータ,マスク,局所処理,近傍処理,大局処理,可逆符号化,非可逆符号化,予測符号化,ヒストグラム,可変長符号,ハフマン符号,ラン,ランレングス,ランレングス符号化,算術符号化,直交変換符号化,DCT符号化,ブロックノイズ,モスキート雑音,サブバンド符号化,ウェーブレット変換,ベクトル量子化,フラクタル符号化,フラクタル,フレーム間予測符号化,動き補償フレーム間予測符号化,移動ベクトル,JPEGDPCMMPEG

 

5章 濃淡画像処理(Top)

コントラスト,濃度変換,ガンマ特性,ガンマ値,ガンマ補正,ヒストグラム変換,ヒストグラムの均一化,疑似カラー,シュードカラー,フォールスカラー,平滑化,移動平均フィルタ,加重平均フィルタ,ガウシアンフィルタ,メディアンフィルタ,中央値フィルタ,エッジ保存フィルタ,鮮鋭化,鮮明化,ラプラシアンフィルタ,アンダーシュート,オーバーシュート,差分,エッジ,Robertsのエッジ検出オペレータ,Prewittのエッジ検出オペレータ,Sobelのエッジ検出オペレータ,エンボス効果,零交差法,テンプレート型エッジ検出オペレータ,Kirschオペレータ,レンジフィルタ,線の検出,限定色表示,均等量子化法,頻度法,メディアンカット量子化法,濃度パターン法,ディザ法,ランダムディザ法,組織的ディザ法,幾何学的変換,アフィン変換,同次座標,疑似アフィン変換,共一次変換,再配列,内挿,最近隣内挿法,共一次内挿法

 

6章 2値画像処理(Top)

しきい値,しきい値処理,モード法,P-タイル法,微分ヒストグラム法,判別分析法,可変しきい値法,動的しきい値法,連結,近傍,隣接,4近傍,4連結,8近傍,8連結,連結成分,図形成分,孔,単連結成分,多重連結成分,輪郭線,境界線,オイラー数,消去可能,連結数,距離,ユーグリッド距離,4近傍距離,8近傍距離,市街地距離,チェス盤距離,ラベリング,膨張,拡張,伝播,収縮,浸食,細線化,距離変換,骨格化,縮退,輪郭線追跡,区分的直線近似,直線の検出,ハフ変換,パラメータ空間,一般化ハフ変換,曲線のあてはめ,線図形の修正,枝の除去,凹凸の平滑化,ギャップの結合,特徴抽出,面積,周囲長,円形度,複雑度,凹凸性,凸閉包,モーメント特徴,フーリエ記述子,チェイン符号化,チェインコード,方向コード

 

7章 コンピュータグラフィックス(Top)

コンピュータグラフィックス,CG,可視化,CAD,マルチメディア,バーチャルリアリティ,スプライン曲線,ベジエ曲線,塗りつぶし,ブラシ処理,クロマキー,エリアシング,アンチエリアシング,モデリング,レンダリング,モデラ,レンダラ,投影,投影変換,透視投影,平行投影,ワイヤフレームモデル,サーフェスモデル,ポリゴン,ソリッドモデル,CSG表現,プリミティブ,メタボール,プロブ,ボクセル,パッチ,フラクタル,レンダリング,隠線消去,隠面消去,スキャンライン法,Zバッファ法,デプスバッファ,Zソート法,陰,シェーディング,影付け,シェーディングモデル,拡散反射,鏡面反射,ハイライト,フォンのモデル,スムースシェーディング,グーローのスムースシェーディング,フォンのスムースシェーディング,マッピング,テクスチャマッピング,バンプマッピング,環境マッピング,リフレクションマッピング,リフラクションマッピング,ソリッドテクスチャ,レイトレーシング,ボリュームレンダリング,ラジオシティ

 

8章 画像認識(Top)

画像認識,パターン認識,領域分割,領域拡張法,Kolmogorov-Smirnov検定,Smoothed-Difference検定,ヒューリスティック法,分割法,分割統合法,クラスタリング,特徴空間,テクスチャ,テクスチャ解析,濃度共起行列,差分統計量,カテゴリ,統計的パターン認識,クラスタ,特徴空間,特徴選択,特徴ベクトル,パターンの識別,識別関数,教師付き学習,トレーニングデータ,クラスタリング,教師なし学習,K-means法,構造的パターン認識,パターンマッチング,テンプレートマッチング,テンプレート,相互相関係数,相関マッチング,エキスパートシステム,人工知能,知識ベース,推論機構,ユーザインタフェース,ニューロン,ニューラルネットワーク,階層型ネットワーク,相互結合型ネットワーク,バックプロパゲーション,ホップフィールドネットワーク,結合係数,シグモイド関数,遺伝的アルゴリズム,GA,探索問題,遺伝子型,表現型,淘汰,増殖,適応度,交差,突然変異

 

9章 3次元画像処理(Top)

三角測量,能動的計測法,完全拡散反射面,照度差ステレオ法,収差,焦点,焦点距離,透視投影,視点,焦点距離,視線,カメラ座標系,内部パラメータ,物体座標系,外部パラメータ,カメラキャリブレーション,焦点距離,基線長,エピポーラ線,受動的計測法,能動的計測法,レンジファインダ,アクティブステレオ法,光切断法,光レーダ法,等高線計測法

 

10章 動画像処理(Top)

画像理解,積み木の世界,Shape from texture法,Shape from shading法,移動ベクトル,速度ベクトル,オプティカルフロー,照合法,時空間勾配法,空間的大域最適化法,差分画像,時空間画像,時空間断面画像,時空間軌跡,多関節リンクモデル,ネットモデル

 

11章 画像処理の応用(Top)

ビンピッキング,XCT,細胞診,OCR,印刷文字認識,手書き文字認識,オフライン文字認識,オンライン文字認識

 

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