成人の適正摂取量(Adequate Intake, エネルギー%)について、
1.リノール酸の過剰摂取の害を認め、適正摂取量を極めて低いレベル(2エネルギー%)とし、上限を3エネルギー%とした。
2.αリノレン酸、EPA、DHAなどn-3系脂肪酸の必須性を認め、EPA、DHAの摂取下限をそれぞれ
0.1エネルギー%とした。
3.トランス型脂肪酸の有害性を認め、摂取上限を1エネルギー%とした。
乳幼児食の適正摂取量(総脂肪酸中の%)について
1.リノール酸の適正量を、わが国の平均的な母乳のリノール酸(15%前後)や乳幼児用粉ミルクのリノール酸(17%前後)に比べ、著しく低いレベル(10%)を適切とした。
2.アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸の必要性を認め、それぞれ0.5および0.35%とした。
わが国の現状を、第六次改定日本人の栄養所要量(第六次改定)、日本脂質栄養学会会長要約1997(日本脂質栄養学会)、上記の成人推奨摂取量(ISSFAL)と比較すると下表のようになる。
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リノール酸系
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αリノレン酸系
(n-3) |
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n-6/n-3 比 |
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これまで日本脂質栄養学会を中心にリノール酸摂取過剰の害が指摘され、摂取量を半減するよう勧められてきた。今回、国際的な専門家会議で、より厳しくリノール酸摂取量を減らす方向が示された。このような情勢の時、前回(第五改定)とほとんど同じ内容の第六次改定が答申されたことに対して驚きを禁じ得ない。新しい方向への栄養指針の改革が5年遅れると、その被害は計り知れない。この脂質栄養の新しい方向を、一人でも多くの国民に広報する必要があると考える。