研究室の紹介

 通常の原子核は、陽子と中性子(これらを総称して 核子 と言います。)からできています。さらに核子は、クォークからできています。クォークには、6つの種類[u-quark(アップ) d-quark(ダウン) c-quark(チャ−ム) s-quark(ストレンジ) t-quark(トップ) b-quark(ボトム)]があり、陽子はuud、中性子はuddの組み合わせからなっています。陽子と中性子のみで構成される原子核の他に、ストレンジネス(S=-1:正のストレンジクォーク1個)をもつ粒子Λ(ラムダ)、Σ(シグマ)、Ξ(グザイ)などハイペロンを含む原子核もあります。それらは、ハイパー核と呼ばれています。ハイパー核を研究対象とする分野では、加速器を用いた交換反応実験の進歩によって、次々と興味ある結果が見出されており、ハイペロンを2個含んだダブルハイパー核も確認されていますが、シングルハイパー核(Λ核)が約30種類発見されているのに対して、確かなダブルハイパー核(ΛΛ核)は、世界で2例しか検出されていません[1]。一方、S=-2のΞ-を吸収した核から2つのΛ核が放出されるような現象も確認されていますが、これも世界でたった3例の報告です。このような事例は、最新情報のページにあります。ストレンジネスが-2(S=-2)の核(s-quarkを2個含んだ原子核)については、様々な興味深い理論が発表されています。その中で、6つのクォーク(uuddss)で形成されるHダイバリオンという新粒子の存在が予言され、注目されています。
 私たちの研究室では、国際共同実験(日本、韓国、イギリス、アメリカ)であるE373実験を遂行しています。ΛΛ核を発見することによって、ハイペロンと核子、ハイペロン同士の相互関係を研究し、またもし本当に存在するならHダイバリオンの検出が可能です。約10年前から準備を始め、2000年から成果が上がり始め、特に2001年は、 世界で4例目にしてかつてない明確なΛΛ核 の検出に成功しました。

参考文献
[1]M.Danysz et al., Nuclear Physics Vol.49 (1963) p.121- ; S.Aoki et al., Progress Theoretical Physics Vol.85 (1991) p.1287-
[2]S.Aoki et al., Progress Theoretical Physics Vol.89 (1993) p.493- ; S.Aoki et al., Physics Letters Vol.B355 (1995) p.45- ; A.Ichikawa et al., Physics Letters Vol.B (2001) in print.


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