仕事と介護の両立支援セミナーを開催しました

当室では、昨年度の「仕事と介護の両立に向けて―介護離職を防ぐために」リーフレットの作成・配布に引き続き、介護関係の取り組みを進めております。

介護による離職者は45歳から49歳の女性に非常に多くなっており、65歳以上の独居と夫婦のみ世帯も年々増加し、「老々介護」の問題も深刻化しています。現在は、「社会全体で介護を支えよう」という時代になっており、そのためには「働きながらの介護」が必須条件となっています。講師の角田氏は、介護とはそもそも「プロジェクト」であり、ケアマネージャーを中心にケアチーム(配偶者・子ども・親戚・ヘルパーなど)で介護する、という考え方と、「5W2H」を考えてみることが必要であるというお話がありました。

5W2Hとは

Who:誰がするのかです。「本人ができることは自分でする」という原則で、それが被介護者にとっても最良のリハビリであると考えることが大事です。

When:いつ手伝うかは、本人と介護者にとって都合のいい時間割を作ることが大切です。その都度必要な食事などの世話はヘルパーに頼み、ためておける洗濯などは休みを利用して負担するなど、柔軟な対応をしていくことが原則となります。

Where:どこで介護するかは、自宅だけでなく施設・病院などの可能性も含め、親の希望と家族の希望の折り合いをつけることが大事です。

What:上の原則を踏まえて何をするべきかを現実的に見極め、プランニングをすることが必要です。

Why:介護の動機付け(両親のため、家族のため、致し方なくetc.)

How:どのように介護するか。まず本人の希望を聞き、メリット・デメリットなどを判断して決めるべきです。その場合、介護はプロに任せ、家族は精神的な支えになる、という選択肢もあります。

How Much:介護にいくらかかるかというのも現実的で重要な問題です。被介護者である親の年金や資産を使うことや、施設などの場合は領収書に明細が記載されているかなどもチェックポイントです。

介護と仕事の両立のためには、まず、介護していることをできるだけ職場の人に相談し、周りの理解を得ることが大事です。勤務先の介護支援制度を利用するのももちろんですが、それはあくまでも仕事と介護の両立体制を作る「準備期間」であることを念頭に置く必要があります。介護休暇中に介護に専念(自分ですべて介護する)する状態を作ってしまうと、職場復帰は不可能になるリスクがあります。「介護は家族で」から「サービス利用」へ、という時代であり、要介護認定の方法、ケアマネージャーとのかかわり方、親の住む地域の地域包括支援センターについてあらかじめ知識を身に着け、親が元気なうちから話し合い、親の変化を見逃さないようなコミュニケーションが大切です。

セミナーの後半は、グループに分かれて参加者の介護についての経験を語り合い、それぞれの介護経験を共有しました。介護経験者も未経験者も、「他の人のさまざまな経験を知ることができ、とても参考になった」との意見が多く寄せられました。

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