2次元地盤流動解析ソフトG-FRIC/2D開発のごあいさつ
岐阜大学地盤工学研究室では、斜面災害から人命と財産を守るために、斜面災害に関する研究に様々な側面から取り組んでまいりました。
斜面崩壊の予測解析では、まず斜面形状を把握し、安定性の照査を行います。すべり面を仮定して、安全率を判定する極限つりあいの計算や、変形形状から破壊形態を予測する有限要素解析など、崩壊を予測する数値解析手法が多数提案されています。崩壊箇所や崩壊時期を予測することは、地盤工学において難しい問題ではありますが、非常に重要です。同様に、崩壊土砂がどこまで到達して、その周囲にどれほど影響を与えるかも大変重要な問題です。これは、土砂流動に対するハード対策などの設計に非常に有効な武器となります。また、急傾斜地崩壊や土石流の流動域などを予測できれば、ハザードマップの作成に有効です。
このような問題を解決する一つの方法として、流体力学に基づき、地盤をせん断抵抗をもつ流体と仮定し、超大変形を予測できる解析手法を開発しました。定められた条件下であれば、「土砂流動の到達範囲」、「経時的形状変化」、「流動による衝突の力」などを精度よく解析できることを確認しました。今回、この解析プログラムに2次元解析を容易に行えるプリ・ポスト機能を追加した「G-FRIC/2D」を公開し、無償で利用していただける環境を整備しました。マウス操作による境界条件の設定が可能であり、地盤の2次元大変形解析を簡単に行えます。このソフトウェアは、当研究室で開発した解析プログラムに、(株)地層科学研究所の有する技術を融合させたものです。地層科学研究所と当研究室は、産学連携ベンチャー事業を展開しており、本ソフトウエアは、その一環として開発されたものです。
斜面崩壊等に関連する問題のみならず、地盤の液状化による側方流動や構造物との相互作用など、地盤に関するさまざまな問題を解決するお手助けができれば幸いです。また、「G-FRIC/2D」の新しい利用方法が見つかることを願っております。是非、ダウンロードしご利用いただければと思います。
下記のサイトよりダウンロードできます。ご利用の条件は、サイト内に記された通りです。

平成18年8月
岐阜大学地盤工学研究室八嶋研究室一同
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