【カキ(堂上蜂屋)】
 堂上蜂屋の歴史は古く平安時代にさかのぼります。平安中期に美濃国の国司が朝廷に干し柿として献上し、「所給枝柿甘於密房・・(蜜より甘い干し柿であった)」と高い評価を得たことが記されています。1188年には源頼朝に時の郷土「蜂屋太夫」が干し柿を献上したところ、「柿に蜂蜜の甘さあり」と高く評価されて、柿の名前と村名を「蜂屋」と名付けられ、それ以降、村名を「蜂屋村(現在の美濃加茂市蜂屋)」と称したとあります。この後江戸時代になると堂上蜂屋柿は毎年幕府に献上され、全国に名声が広がることとなります。
 現在、本来の性質を持つ原木から接ぎ木によって維持されたものが美濃加茂市の保存木として指定され、現在は蜂屋柿振興会の基で生産が行われています。
 収穫は、11月上旬から着色したものから始まり、手作業で皮むきが行われ、20〜30日間天日干しをした後、1個ずつ手もみなどの仕上げ作業をして、12月中旬から出荷される。堂上蜂屋柿はほとんどが予約販売で、12月1日からJAみのかも蜂屋支店で予約受け付けが始まる。
 抹茶との相性がよく、茶席の菓子として高級果物店で販売される。


【伊自良大実】
 山県郡伊自良村で特産の干し柿づくりがピ−クを迎えている。今年は柿の大豊作で、天日干しのために農家の軒先につるされた連柿の“玉すだれ”も大きく圧巻。柔らかな初冬の日差しを浴びてキラキラと輝いている。同村は干し柿に適した細長い渋柿の伊自良大実(おおみ)の産地で、大正末期から昭和初期に農家の自家用として普及。その後、戦後の食糧難で甘い物が不足したこともあり、岐阜市場に広まった。現在は伊自良連柿生産出荷振興協議会(作村勇会長、会員50人)を中心に約二万連(一連30個)を作り、迎春用の贈答品として、12月中旬に岐阜市場に出荷する。各農家では柿の皮むき作業がピ−ク。皮をむいた柿は一本のくしに三個ずつ刺し、十本のくしをわらで編み上げて“連”にした後、日当たりのいい南向きの母屋や倉庫の軒先に架けていく。2週間ほど天日干し、白い粉が噴き出した後、出荷される。価格は一連で1000円から4000円ほど。 同村では「昨年は春先の凍害で不作だったが、今年は例年の1・5倍の収穫。玉伸びもよく、干し柿も良品が期待できる」と話していた。