「長良ぶどう発達史」三十五年記念誌
本学部の林琢也助教が、現地の生産農家の方等に聞き取りをしてまとめられたものが、
4月3日の毎日新聞の地方版に取り上げられました。
岐阜に住んでいる方ならば、夏の岐阜の右岸に風物詩のようにぶどうを売る店が並ぶことは、ご存知のことと思いますが、それがどう言った経緯でここに来て発展し、又現在抱える問題は何かということ等を 岐阜市園芸振興会果樹部会(長良ぶどう部会)の方たちとまとめあげたものです。
内容を少し紹介しますと、そもそもこの地に ぶどう栽培が持ち込まれたのは、山梨県出身の窪坂宗佑氏が、岐阜に赴任していた兄の勧めで当地を見て、故郷の甲府盆地の笛吹川の畔とよく似ていると感じ 1922(大正11)年に移住したのが最初だそうです。
それにしても、岐阜は降水量が山梨県と比べて多いため、その栽培品種や栽培法等に苦労があり、それが語られています。
戦後は一時、イチゴ狩りやぶどう狩りで盛況となった時期もありましたが、住宅化の波が押し寄せ、又レジャーの形態も変わり、現在では朝獲りのものをロードサイドでの販売、コープやJAの産直市場に出荷する等が中心となり、ぶどう狩りはわずか2軒が引き受けているとのことです。又この栽培の中心となっている志段見地区とは、離れた長良地区にも点々とぶどう畑があり、これはもっぱら店頭販売(ぶどう畑、自宅)にて売られています。
この冊子と同時進行で、地域科学部の3年生のフィールドワークで長良ぶどうを取りあげ、「地域学実習報告書」にまとめられています。実際に農作業をともにし、細々と続く「長良ぶどう」を残したいと思う反面、その作業の大変さ、実際に携わる方々の高齢化の問題や周りの環境の変化などが報告されています。
長良川のロードサイドでぶどうを売る店が立つ風景は、やはり今後も残して行きたい風物詩の一つだと思います。
「長良ふどう発達史」A4判 約100ページ 1冊 1,000円
問い合わせ先 JAぎふ長良支店 058-231-4084