●岐阜県の長良川河口堰検討会で管理事務所が報告(H24.2.17 岐阜新聞)
管理事務所によれば、昨年一時的にゲートを開けて水を流す操作を増やした結果、堰上流の酸素濃度が高まり、水質が改善したとのこと。管理事務所は2000年から堰上流1.0kmの地点の酸素濃度が一定の基準を下回ると開門していたが、昨年はその基準をより高いの濃度に設定しゲート操作を行ったところ、過去5年間で酸素濃度の低下が最低となった。これを受けて、検討員会では、継続調査・開門操作の増加などを提言した。
●長良川河口堰で今年初の稚鮎遡上確認(H24.2.12中日新聞)
長良川河口堰で11日午前6:50ごろ左岸の呼び水式魚道で、河口堰管理事務所の調査員が体長7cmほどの稚鮎1匹の遡上を確認した。同官営事務所によると、訴状のピークは水温の温かくなる4~5月がピークで昨年魚道で観測された遡上は84万匹で平年に比べやや多かったという。
●開門調査「国と議論を」-開門の可否には踏み込まず(H24.1.18中日新聞朝刊)
先の専門委員会の上部組織の愛知県の有識者会議は17日 「長良川を管理する国土交通省と県の合同会議を設置し、開門調査も含めて議論をするよう提言する報告書をまとめた。 専門員会では「開門調査の実施」を求める報告書を出したが、有識者会議では、開門調査の可否には踏み込まず、国にも検討を迫る形となった。これは、開門には河川管理者である国や建設費を負担した岐阜・三重両県が反対しており、愛知県だけが望んでも、実現できないため、有識者会議は国を同じ議論の場に引き入れることを優先した。
- 愛知県と国土交通省の専門家による合同会議を設置し開門調査も含めて議論する。
- 国や地方自治体・漁業・利水関係者らの合意が得られたら、開門調査の協議機関を設け、公開で議論する。
- 愛知県が率先して、知多半島の水道水源の切り替えや塩害が懸念される福原輪中(愛西市)の影響調査・工業・上水道会計の適正化・節水を呼びかけ、農業用水の取水実態の調査を行う。
大村知事は「最後は政治が決める。現状ではない運営方法を模索する」と強調。知事の姿勢はもう固まっているともとれる。
岐阜県・三重県は栄冠の姿勢:古田岐阜県知事は「岐阜県は塩害を絶対に生じさせないことに細心の注意をしており、どんな提案がなされるか関心がある。」と話した。三重県の土地・資源室担当者は「これまで通り開門調査には応じられないとの立場は変わらない。今後報告書を受けて愛知県がどう対応するのかを見守っていく」と語った。
●岐阜新聞(H24.1.18朝刊)での関係者のコメント
- 松永清彦海津市長「開門調査の結論が示されなかったことは、ありがたい。治水・利水の知恵は濃尾平野の先人の英知が集まって今の形になっている。その気持ちを順守すべき」と報告書の内容を評価。
- 佐藤武彦県議(昨年10月に河口堰の適切な運用を求める決議を採択した岐阜県議会土木委員長)「塩害は起きてしまってからでは遅い。(河口堰は)環境保全のための弾力的な運用が行われており、治水と安全を確保する本来の建設目的に沿った運用を今後を求める。」
- 大橋亮一さん(羽島市在住:サツキマス漁師)「長年開門を訴えてきた。調査を早期に実現させて下流での塩害の発生の有無を調べてほしい。近年は長良川下流でアユが全く獲れなくなった。長良川を助けてほしい。」
- 近藤ゆり子さん(徳山ダム建設中止を求める会事務局長で河口堰建設反対運動にも取り組む)「今まで推進派と反対派の意見を交わす場がなかったので、合同会議で議論を整理してほしい。整理されれば開門調査が実現すると確信している。」
- 塩水遡上を検証する1~2年の予備調査と
- 環境変化や生物の観察を行う5年以上の本調査
●「5年以上の開門要求へ」愛知県専門委員会報告書を決定,
岐阜新聞「報告書は 開門の意義について、ヤマトシジミの分布範囲が拡大し、天然鮎の遡上環境も改善されると指摘した。岐阜・三重両県が開門に伴い堰上流で予想される塩害について懸念していることについては、 津・松阪両市に水道水を供給する「中勢水道」のい代替水源として、木曽川の「岩屋ダム」を挙げた。一方海津市の「長良川用水」は、その取水に対する塩害が不明なため、開門開始時期を同用水が取水しない10月半ば~3月末と明記している。愛知県については、知多半島の9市町村の水道供給源の「長良導水」の代替水源を早急に確保することを求めた。」(H23.11.8朝刊)
中日新聞「専門委員会が報告書を正式に採択した。年内に有識者会議に報告し、最終意見をまとめ大村知事に報告する。専門委員会は最終報告書の取りまとめの段階で、開門に否定的な木本凱夫元三重大学助教授が、報告書に代替水源についての具体案が示されないことは本意でないとして、辞任を表明。さらに 藤田裕一郎岐阜大学教授も辞任しており、最終的には委員8名の内2名が欠ける異例の採択となった。報告書の具体的内容は、岐阜県南部(海津市)の農業用水が取水しない10/11~翌3/31までの早い時期に開門調査を始めるのが望ましいとし、実施には各関係者の合意が必要であることと協議機関の設置も求めた。知多半島への飲料水は愛知用水に切り替えるべき。愛西市の農業用水の塩害影響調査や県庁内の意見統一なども求めた。」(H23.11.8朝刊)
愛知県の専門委員会の議事等の詳細はこちらから
●岐阜の長良川で「鮎を見る会」開催
「鮎の産卵を見る会」が5日長良橋下流の鮎の産卵場所で行われた。河口堰の影響を定点観測している写真家の新村安雄さんが開いており、今年で22回目。新村氏によれば、鮎の産卵については、河口堰建設前は9月中旬から始まり10月下旬には終わっていた。 しかし年々大きい鮎が減り、産卵時期も遅くなっているという。今年に関しては、この時期に始まったばかりではないかと言う。その理由として、孵化した子アユが河口堰により潮の満ち引きを利用できず、早い時期に産卵する大きな子アユは自力で海に下る前に、水温が高すぎて力尽きてしまう。遅い時期に産卵する小型の鮎の子のみが生き残っていると指摘している。それでも「県庁所在地の中心で鮎の産卵が観察できるのは素晴らしいこと。事前のサイクルに戻すためにも開門は必要」と話している。(中日新聞H23.11.6朝刊)
●「長期の開門調査必要」愛知県検証委員会岐阜市で市民説明会(H23.10.19岐阜新聞朝刊)
河口堰の開門調査の是非を検討している愛知県の検証専門委員会は17日岐阜市にて、市民団体「長良川市民学習会」主催の説明会に参加した。現在の進行状況を説明した上で、専門委員の小島俊郎・今本博健専門委員は、「水利権の応じて関係自治体が建設費の償還を負担しているにもかかわらず、実際の水需要は低く、いらない水にお金を払わないルール作りが必要」(小島氏)「過去の水資源機構の行った検証が不十分であり、塩害の懸念もあるが、メリットの大きさと勘案し、よりよい知恵を出していきたい」(今本氏)とそれぞれ語った。会場からは、環境面から開門調査を望む声・塩害が農業用水に与える影響を懸念する声等が上がった。
● 岐阜県議会「河口堰の適正運用決議」(H23.10.6夕刊 10.7朝刊)
岐阜県議会は6日議員発議された「長良川河口堰の建設目的に即した適正運用を求める決議」を共産を除く賛成多数で可決した。
これは愛知県が長期開門調査を検討していることをけん制するもので、「近隣地域で先人の努力や過去の経緯をないがしろにする意見が見受けられるのは非常に残念」とし、「塩害を防ぐ潮止め堰」という建設目的に沿った適正運用を求める内容となっている。現在のところ、三重県ではこうした決議はなされていないようである。
● 岐阜県議会の「県政自民クラブ」が開門調査で議員提案(H23.9.30中日・岐阜新聞)
昨日 開門した場合の被害額の試算が示されたことを受けて、議会最大会派の「県政自民クラブ」は“塩害が発生した場合の責任の所在が明らかにならない限り、開門は認められない”との趣旨の意見書案か決議案をまとめ、早ければ、会期中の定例会に議員提案し採択を目指すとしている。● 開門なら塩害の被害は50億円と試算(中日・岐阜新聞 H23.9.29)
9/28日の県議会で知事が答弁したところによれば、「全面開放となれば、高須輪中で農業用水を取水している2箇所の取水場が、塩水の遡上範囲の中となり、取水ができなくなるほか、1600haの農地も塩分に汚染される恐れがある。米・野菜等の生産額を2009年の統計より 50億円と試算している。」知事は「開門調査については、調整中のことでコメントは差し控えるが、塩害を許容し補償するということでは受け入れられない。塩害は決して起こしてはならないという態度で臨む」と強調した。
● 「長良川の鮎漁師さんの話」(中日新聞H23.9.25)
9月21日に「河口堰開聞調査」専門委員会が5年以上の開門調査を求めたことで、長年羽島市で川魚漁を行い、補償金の受け取りも拒んできた大橋亮一さんの談話が掲載されました。 「河口堰が出来る前の長良川では鮎が餌にする苔のつく岩や浅瀬があちこちにあったが、今は少しの渇水で川が澱み、川底は青いヘドロが覆い、水温が上がるとそれが流れていく。砂が溜まって石や浅瀬がなくなって、鮎の成育できる環境は失われ、昨年・今年の鮎の漁猟はゼロ。サツキマスの昨年は1/10以下に落ち込んだ。」 開門調査に対して、「岐阜・三重県知事の危惧する塩害については、堰のない木曽川や揖斐川はどうなのか?実際に開門調査をして確かめてもらえば、その結果で納得がいく」とも。かつては川に入ると踏みつけてしまうくらい鮎がいたとのこと。早期の開門調査が待ち望まれる。
「河口堰開門調査」専門委員会 5年以上の開門を必要とする報告書をまとめる {(岐阜新聞H23.9.21 夕刊)
標記委員会の報告書は、開門に伴い水道用水などを取水している上流部での塩害が想定されるため代替水源を確保したうえで、2012年度から1~2年の予備調査に着手することを求めた。10月中にも有識者会議を経て大村知事に最終報告し、県として国に調査を求めるか否かの判断材料とする。開門により汽水域が復活すれば、ヤマトシジミなどの生態系が復活する可能性が高いとした。調査実施や評価に当たっては、国・愛知県・岐阜県・漁業者らの協議機関の設置も提言している。
● 愛知県の「長良川河口堰開門調査」にかかる専門委員会が、報告書の案をまとめる。H23.9.13
愛知県の大村知事が、選挙の際マニュフェストに盛り込んだ「長良川河口堰の開門調査」については、6月初旬より、公開ヒアリング・プロジェクトチーム会議・専門員会会議等が集中的に行われ、9月12日には「長良川河口堰専門委員会」の報告書の案が出され、愛知県のホームページでも公開された。
それによれば、開門調査は2012年に実施されることが望ましいとされている。
調査は、
最大の懸念である塩害や、河口堰よりの取水の代替についての問題については、問題を回避する方法もいくつか提示されており、問題は少ないものと考えられている。
今回の報告を受けた後、三重県・岐阜県の同意が必要となってくるが、三重県知事は、すでに懸念を表明している。又塩害の危険が高いと思われる海津市長も同様に開門に対して強い反対の意を表明している。開門調査にかかる委員会についての詳細は、全て愛知県のホームページでみることができます。
1995年にゲートが閉鎖されて、約15年 その間どんな環境の変化があったのかが、事業者側(水資源公団)と環境懸念を表明する学者等の見解が示されています。
又 以前とは利水環境【特に工業用水)が変わっている中で、財政的負担も考慮されています。