過日 長良川の源流の一つである円原川を遡ってみました。場所的には、岐阜市内から山県市の旧美山町の奥の方にあたりますが、距離としては市内から30kmはないと思われます。山県市より更に北上椎倉坂を越えると旧美山町区域に入ってきます。最初は武儀川にそって遡り、谷合辺りから今度は神崎川を遡ります。途中グリーンプラザ美山という夏場に結構人気のキャンプ場がありますが、今はもう時期ではないようです。さらに遡ってくるとそこには、本当に美しい川が蕩々と流れているのを目にすることができます。
数日前に雨が降ったこともあるかもしれませんが、この水量と水の色には、言葉を失います。もうここまでくると民家はほとんどありません。中には廃屋になってしまっているところも多く見受けられます。昭和50年に発刊された「美山町史」には、このあたりの川では“カワノリ”が自生していたという記録があります。カワノリの自生には水質・川の形状等の諸条件が揃った所が必要で、日本でもその場所はわずかしかない。その為 環境庁のレッドリストの『絶滅危惧Ⅱ類(絶滅の危険が増大している種)』とされています。地元の方に話を聞いても、かつてはちらほらと捕れたらしいけれど、現在はそんな話はきかない言われます。ここでは見つけるは相当難しいのでしょう。
これだけの清流なので、魚か何かいるのかなと思いじっと水面を見るも、渓流に棲む魚は警戒心が強いとうこともあり、素人の私には全く見えるはずもありませんでした。
川の中や岸にある岩には大文字草が咲いています。花の形が大の字に見えることから、その名が付いているのだと思いますが、“雪の下”の仲間なのでしょう。
群生している風景は見事な物があります。所々川に降りる箇所があり車を止めては川を堪能しつつ 五位神社の辺りまで行きました。そろそろ道は舗装はされているものの、所々草がはえているようで、ここより先はちょっと断念と思い 最後に川の風景を堪能し帰ってきました。
今これを書くに当たり、地図など確認していましたら、書庫に「ふるさと今島 萬所」という横関武雄さんという方が自費出版された本がありました。
まさに、私がこれ以上行くのを断念した 五位神社当たりの集落の記録です。その中の地図(大正末年)をみてびっくり!! 今は神社とその先に廃屋が一軒あっただけの地に集落が形成されていた様子が描かれていました。 今を去る約1世紀前にはここは神社を中心に確実に村が作られていたのです。今その地に立っても その気配は正直全くわかりません。ただその 五位神社 が立派であろうことが想像できるのみでした。
「限界集落」という言葉を聞きますが、ここままさに「限界集落」そして「廃村」となってしまったところなのでしょう。これだけの 自然に囲まれ、清らかな水があっても、それだけでは生活できない時代なのかもしれません。しかし、それを又再生する方法はないものなのでしょうか となんだか考えさせられます。(H23.11.11)