石徹白公民館の活動として2010年から始まった「石徹白聞き書きの会」の3年間の活動の集大成として“聞き書き集「石徹白の人々」”が刊行され、当センターにも一冊ご寄贈いただきました。
石徹白は、国道156号線の白山長滝神社を少し北上したところで西に進路を取って、桧峠を越えた先にある集落です。今では大きなスキー場も在るので、そちらの方が有名かもしれませんが、昔から白山信仰と一緒に生きてきた村です。
今回ご寄贈いただいた本を一読させていただきました。これは事務員の読書感想文ですので、独断で書いたものであることを最初にお断りしておきます。
一つのオーラルヒストリーの部類に入るのかと思いますが、そこには石徹白に生きた方々が自由に昔を語る姿がありました。そしてそれは、石徹白という土地の特色を十分に語り継ぐものだと思います。今でこそ、道が整備され、ちょっとした旅行気分で行ける場所になっていますが、往時は雪も多く、色々とご苦労されたことが伺われますが、印象的であったのは、語られるどの方もみな昔の苦労をいわれながらも楽しかったことを言われます。
年が経てば、苦しい思い出よりも楽しい思い出の方がより色濃く残るのかもしれませんが、聞き手の方々が、そこを上手く引き出されたのだと思います。
オーラルヒストリーは聞き手の側の聞き方、話の導き方によっては、聞き手の思惑が入り込んでしまって、時として重く、つらかった昔への恨み節のようなものに出会うこともあります。
しかしこの「石徹白の人々」は、読んでいると、本当の幸せとは何なのだろうと考えさせられる部分があり、信仰が深く生活に根付いていること、それが時として他の土地では考えられないような事態を生むこと、それでもそれを克服していく人の優しさや力強さというものを感じます。
事務員個人としては、特に心打たれたのは、「冬の郵便屋さん」「白山」「不思議じゃねおもしろいねぇ」でした。
センターの郡上市(旧白鳥町)に配架しました。
今後もこの活動が続けられ、第二巻・三巻と刊行されることを楽しみに待ちたいと思います。