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 では正月料理はどうでしょうか?正月の料理と聞けば誰でもお節料理を思い浮かべると思うのですが、書籍を調べていくうちに、正月の料理はお節料理と言うよりは、大晦日の歳取りの料理を指している記述が多々見受けられました。
 お節料理はお正月になってから食べるものとずっと思っていました。ところが数年前娘が北海道出身の婿と初めてのお正月を迎えた時、大晦日からお節料理を食べようとしてびっくりしたと聞きました。本当はそちらの方が正しいのかもしれません。
 例えば国府町のお正月では、大晦日に“正月用のごっつぉうを七寸くらいの大皿にめいめい盛りつけた膳につく。盛りつけられた料理は、そのまま三が日分のお菜になるので、自分の才覚ではしをつけ”(「聞き書き岐阜の食事」社)農山漁村文化協会1990年p21)と書かれており、歳取りの料理と正月の料理の区別もあいまいであったのかもしれません。
 歳取りの料理に欠かせないものは、やはり岐阜県内でも地方によって変わってきます。
 例えば魚を例にとると以下のようになります(記述のある市町村のみ)
 おおまかに言えば、美濃地方は鰯、飛騨地方は鰤ということになります。鰤については、今でも富山県の氷見で取れた鰤に塩をして、深い雪山の道を歩荷さんが歩いて飛騨まで運んだもので、相当に高価なものであり、庶民は買えないものであったようです。1/4身でも買うことができれば誇らしいという記述が前掲の本にも出ていました。
山間部西濃~中濃あたりでは、魚の馴れずしを正月料理として作っていたようです。
豆腐を作る、餅を搗くと言う事は、年末の一大行事で、共同作業で、沢山作ったと言った記述が見受けられます。
 やはり、美濃地方、飛騨地方との違い、美濃地方でも川筋による違いなど、県内だけをとってみても、正月料理は大きく違っていたことがわかります。
 現在は、流通網が発達し太平洋側から日本海側まで行く事も苦ではなくなりました。その分、チェーン展開のスーパーマーケットが岐阜県の隅々にまで存在するようになっていった事、又28日まで仕事をする人が多くなったことで、準備に時間をかけることも難しくなってきていることも相俟って、段々と均一化されていったのではないでしょうか?自治体史は、その編纂者の考え等によって「民俗-年中行事」の項に重きがおかれず、全く記述のない書籍も見受けられます。ただそれ以外の本等をあたっていけば、わからない地域のものも分かってくるかと思います。
とりあえず、現段階でわかっているお雑煮と正月料理について、PDFで全県下の旧自治体ごとにアップしました。

お雑煮はこちらから
正月料理はこちらから

 もしそこに御自身の出身地のものがあれば、このお正月はそのお雑煮を作ってみてはいかがでしょうか?
又 自分の所では、こういうお雑煮、正月料理を作っていると言うことがございましたら、ご連絡(e-mail:cccd_inf@gofu-u.ac.jp)いただけますと大変ありがたく存じます


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