Contents:
1.過去の講演記録:
応用数学物理コロキウム
応用物理学セミナー(ページ内ジャンプ)
2.開催場所・連絡先・その他のリンク

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研究会は、岐阜大学工学部電気電子・情報工学科応用物理コースの主催で行われます。
応用数学物理コロキウムでは、学生の方が気軽に参加できるような講演を企画します。
応用物理学セミナーでは、少し専門的な講演も企画します。
どなたでも参加できます。お気軽にご参加ください。

応用数学物理コロキウム

研究会の目的:
数学・応用数学、物理学・応用物理学を含む自然科学技術に関する研究成果について議論を行う。
分野を超えた活発な研究交流を通して、自然科学技術研究の活発化を図ることを目的とする。
 

第10回応用数学物理コロキウム 2023年12月4日(月)16:30-18:00
講演者 須藤広志氏(仙台高専)
「11m電波望遠鏡から学んだことと今後の協力」

私は、宇宙科学研究室の一員として、20年間、11m電波望遠鏡による開発、観測に携わってきた。 その歩みを振り返りつつ、教育・研究に対して私が11m電波望遠鏡から学んだことをお話ししたい。 また、私が進めている電波望遠鏡と最新の人工衛星データを絡めた星の終末期の研究について紹介する。 最後に、今後の11m電波望遠鏡との研究面での関わりについて、その意義と期待を述べたい。
場所:
岐阜大学工学部13番教室

第9回応用数学物理コロキウム 2019年12月6日(金)15:00-16:30
講演者 吉川研一 客員教授(同志社大学)
「生命現象の未解明の謎:ナノのゆらぎからマクロの秩序へのカスケード」

概要:21世紀の現代、未だ解けていない生命現象の謎を取り上げて、その本質を考えたい。
1)固定メモリーのDNAをつかって、生命体がどのように自己制御しているのか?  2)個々の細胞が適材適所で働くメカニズムは?  3)時間的な興奮現象がなぜニューラルネットの自律的情報処理を可能としているのか? 4)激しく揺らぐタンパク分子からマクロな秩序運動がなぜ生み出されているのか?
  特に、実空間モデリングと数理物理的な理論モデルを併用したアプローチに基づき議論を行う。
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場所:
岐阜大学工学部41番教室

第8回応用数学物理コロキウム 2019年11月8日(金)16:30-18:00
講演者 Prof. Henry Hess(Department of Biomedical Engineering, Columbia University, USA)
「Engineering with biomolecular motors and enzyme cascades」

概要:なし 
場所:
岐阜大学工学部106番教室

第7回応用数学物理コロキウム 2019年5月31日(金)16:30-18:00
講演者 佐﨑元 氏(北海道大学低温科学研究所)
「高分解光学顕微鏡で見る氷表面での擬似液体層の生成」

概要: 
氷は地球上で最も大量に存在する物質のひとつであるため,その相転移は気象や環境問題など,幅広い現象を左右します. 表面融解は氷の相転移現象のひとつで,スケートの滑りやすさや復氷,霜柱による凍上,雷の発生など, 雪や氷に関連する様々な現象において鍵を握ります. 融点(0°C)以下の温度でも氷の表面が薄い水膜(擬似液体層と呼ばれます)で覆われていることは古くから知られていますが, その表面を原子高さの段差を可視化できる光学顕微鏡で観察したところ, 形状が異なる2種類の擬似液体層(液滴状と薄層状)が存在することがわかりました. 講演では,なぜ2種類の擬似液体層が生成するのか,それらの性質はどの様に異なるのか,などの話題について, たくさんの実写ムービーをご覧いただきながら紹介させていただきます. 
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場所:
岐阜大学工学部14番教室

第6回応用数学物理コロキウム 2018年12月19日(水)15:30-17:00
講演者 中川亜紀治 氏(鹿児島大学)
「電波望遠鏡による老齢星の観測的研究」

概要: 
太陽のような星は数十億年に及ぶその一生の末期(老齢星)に、数100日ほどの周期的な変光を示すことが知られています。 その周期と星の絶対的な明るさ(絶対等級)の間には比例関係が存在しており、「周期光度関係」と呼ばれています。 この関係は星までの距離の計測に役立つため、天文学では重要な位置付けにあります。 中には数1000日といった非常に長い周期を示す老齢星も存在していますが、こうした星に対しては周期光度関係はまだはっきりと確認されていません。 そこで我々のグループではこのような長周期の老齢星を対象として、その周期と絶対等級の間の比例関係を調べようとしています。 絶対等級の導出に必須である星までの距離は三角測量の原理と同じ年周視差計測から導出します。 この年周視差は1ミリ秒角(1°の1/60の1/60の1/1000)程度の微小な量であり、 天文学の観測装置の中で最も高い分解能を達成できる超長基線電波干渉計(VLBI)の手法が必要となります。 談話会では老齢星の性質、VLBIによる距離計測の手法、そこから得られる結果などを紹介します。 また岐阜大学11m電波望遠鏡を利用した観測協力についても紹介します。 
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場所:
岐阜大学工学部11番教室

第5回応用数学物理コロキウム 2018年9月27日(木)15:30-16:30
講演者 高橋真聡 氏(愛知教育大学)
「宇宙ジェットの加速と構造」

概要: 
通常の銀河に比べ膨大なエネルギーを放出している活動的銀河の中心核領域からは、 しばしば「宇宙ジェット」と呼ばれるほぼ光速のプラズマビーム流が噴出しており、 天文学分野における最大の謎の一つになっている。 近年、電波VLBI 観測により、そのジェットの付け根領域の様子が詳細に観測されるようになってきた。 宇宙ジェットを構成するプラズマがビーム形状になる機構や、いかにして相対論的速度にまで加速されるのかについて、 相対論的磁気流体モデルをベースに紹介する。 活動的銀河の中心核領域からは、電波からX線に至る幅広い波長域での膨大な高エネルギー放射も観測されるが、 これら宇宙ジェットや高エネルギー放射の活動性の黒幕は、超巨大な回転ブラックホールであると考えられている。 様々な波長帯域での異なる?観測手法により、どのような「ブラックホール時空の探査」が行われているかについても紹介する。
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場所:
岐阜大学工学部13番教室

第4回応用数学物理コロキウム 2018年5月21日(月)16:30 - 18:00
講演者 Prof. Victor Shrira (キール大学、英国)
「Predicting oceanic "freak waves" from first principles: what do we understand?」

概要: 
   Wind waves in seas and oceans are inherently random. For many engineering applications it is vital to predict probability density function (PDF) of surface elevations along with the basis meteorological forecasting. Despite huge advances in engineering, anomalous or "freak" waves remain a major challenge for ships and offshore structures. Often for design it is legally required to know a priori the "100 year wave" or even the "1000 year wave". A brief overview of the main approaches towards quantifying the probability of freak waves and their shortcomings will be followed by a more focussed discussion of a mathematical model aimed at finding the wave height distribution for freak waves in transient sea states, i.e. sea states generated by special atmospheric conditions, e.g., rapid changes of wind, squalls, etc.
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場所:
岐阜大学工学部11番教室

第3回応用数学物理コロキウム 2018年4月4日(水)15:00 - 16:30
講演者 草野完也 氏 (名古屋大学宇宙地球環境研究所)
「太陽フレア爆発の発生機構と太陽地球圏環境予測の試みについて」

概要: 
   太陽フレアやコロナ質量放出(CME)は太陽コロナで発生する爆発現象であり、時として磁気嵐などの宇宙天気擾乱の原因となり、 現代の情報通信交通システムに対する潜在的な脅威にもなる。それ故、その発生を事前に予測する取り組みが求められている。 また、太陽フレアは磁気エネルギーを駆動源とするプラズマ中での自発的なエネルギー解放現象であるため、そのメカニズムの理解はプラズマ物理学、 天体物理学、宇宙空間物理学における重要課題でもある。 しかし、太陽フレア爆発がいつ、どこで、どのように発生するのかは未だ明確に説明されていない。それゆえ、その発生予測の信頼性も充分ではない。 我々は、計算機シミュレーションと衛星データの詳細解析から太陽フレアの発生機構を探る研究を続け、 太陽面磁場の構造が特定の条件を満たすときに太陽フレアが発生することを最近見出した。 その結果によれば、太陽フレアの爆発的な振舞いは理想電磁流体力学(MHD)不安定性と磁気リコネクション(磁力線の繋ぎ替え)が 正のフィードバック作用を通して相乗的に成長する結果として現われると考えることができる。 我々はこの成果をもとに新学術領域研究「太陽地球圏環境予測(PSTEP)」をもとに、 新しい宇宙環境変動の予測を目指した全国的プロジェクトを進めている。 このセミナーでは、太陽フレアの最新観測データを基に、理論的な観点から太陽面爆発の理解を試みると共に、 新しい宇宙天気予測の試みについて紹介する。
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場所:
岐阜大学工学部106番教室

第2回 2017年7月5日(水)15:00 - 16:30
講演者 中垣俊之 氏 (北海道大学電子科学研究所)
「粘菌の用不用則にならった機能的形状の設計」

概要: 
   生物システムのつくる構造物は優れた機能性を有しているとしばしば指摘される. そのような機能的な構造がどのようなアルゴリズムによって設計されているかは,興味深い問題である. 本研究では,真正粘菌モジホコリという真核単細胞生物がつくる輸送ネットワークの設計方法にヒントを得た構造物の設計方法を検討した. 最たる特徴は,「よく使われる部分は強化され,そうでない部分は弱化される」という,いわゆる「用不用則」である. この運動規則がシステムの局部で自律的かつ分散的に作用することによって,全体としてある種の最適性が実現された. まずはじめに,流量強化則の事例として交通網と町の共発展現象を検討し,次に構造物に題材を変えてヒト大腿骨におけるリモデリング現象を検討した. そののち,単純な例題として片持梁のデザインに用不用則を適用した. 「どれほど使われるとどれほど強化されるか」を定める関数形(さじ加減)によって,多様なトポロジーをもつ形状が生み出された. また,初期状態をあえて一様でなくして,偏りをつけておくことによっても,多様さが生じた. これら二つの要因で形状を調整できることは設計の立場からすると都合がよいと思われる.この最適化法の可能性について議論する.
場所:
岐阜大学工学部 106番教室

第1回 2017年5月31日(水)16:30 - 18:00
講演者  津田一郎 氏 (中部大学創発学術院)
「脳と心のダイナミクス:数学、物理学、情報科学、生物学、認知科学が交差する複雑系科学の視点」

概要: 
   脳と心の関係については古くから議論があり、さまざまな立場が提案されてきました。 ここでは脳の動態を長年研究してきた経験を踏まえて私なりの考えを提案したいと思います。 この問題は、数学、物理学、生物学、情報科学、認知科学が交差するところにあると考えています。 特に、脳のダイナミクスには数学的な構造が埋め込まれていることが多く、 それを取り出して脳の計算論的側面を定式化するという研究を行ってきましたので、 情報科学的な発想が重要になります。 私は物理出身の応用数学者ですので、発想がどうしても物理的になります。 脳と心は共に物理法則が支配しているとは考えにくいと私は思っていますが、物理学の中で定式化されてきた概念の中には、 脳の計算論的・情報論的働きを解釈する上で重要なものもあると思われます。
  本コロキウムでは、この心と脳のダイナミックな過程において脳の中に埋め込まれた数学的構造を抜き出す一つの試みを紹介する予定です。 私たちは脳を複雑系の典型的な系と捉えてきたので、まずは複雑系科学の歴史を振り返るところからはじめます。 次に、脳ダイナミクスのカオス力学系による理解について議論します。 脳の病態を解明するための数理科学からの挑戦にも触れたいと思います。
場所:
岐阜大学工学部 106番教室


応用物理学セミナー


第10回応用物理学セミナー 2023年3月9日(木)16:30-18:00
講演者  園田 翔 氏(理化学研究所 革新知能統合研究センター)
「積分表現でニューラルネットを理解する」

概要: 今日のAI技術において汎用的に用いられているニューラルネットは, 無数のニューロンを並列・縦列に接続した構造をもつ非線形関数である. ニューラルネットが表す関数の性質を調べるには,ニューロン毎のパラメータを調べるよりも, ニューロン集団の分布を調べる方が扱いやすい. 積分表現理論は,一つの隠れ層を構成するニューロン集団を符号付き分布としてパラメトライズする解析理論である. この方法の強みは,ニューラルネットが表す関数fを分布関数γに対応付ける分解作用素(リッジレット変換) が積分作用素として陽に書き下せることである. リッジレット変換は1990年代にEuclid空間上の全結合層に対してMurata, Candes, Rubin によって独立に発見されていたが, 今日の多様なネットワーク構造に対するリッジレット変換は未発見であった. 講演者らの最近の研究により,多様体(非コンパクト対称空間)上の全結合層や, 抽象ベクトル空間上の群畳み込み層に対してリッジレット変換を系統的に導出できるようになった. 本講演では,ニューラルネットと積分表現理論の概要を説明し,リッジレット変換の自然な導出法について解説する.
場所: 岐阜大学工学部41番教室

第9回応用物理学セミナー 9月19日(木)13:00 - 14:30
講演者  大野かおる 氏(横浜国立大学大学院工学研究院)
「拡張準粒子理論とその応用について」

概要: 
第一原理計算で広く用いられている密度汎関数理論は、基底状態理論であり、 電子励起状態を扱うことができない。一方、物質から電子を1個抜き去るのに必 要なエネルギーは光電子スペクトルをなすが、この物質は中性の基底状態でな くても、任意のM電子系の励起固有状態であってもよい。電子を1個付け加える 場合も同様である。これらのスペクトルは理論的には準粒子スペクトルと呼ば れ、多体摂動論のグリーン関数法で扱うことができる。我々は、この準粒子理論 を任意のM電子系の電子励起固有状態の場合に拡張することに成功した[1]。こ の理論を分かりやすく紹介するとともに、それを用いて、電子励起ダイナミクス 計算やX線放出スペクトル(XES)計算などを行った例を紹介する。
[1] Kaoru Ohno, Shota Ono, and Tomoharu Isobe, J. Chem. Phys. 146, 084108 (2017).
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場所:
岐阜大学工学部 41番教室

第8回応用物理学セミナー 2019年4月10日(水)13:30 - 14:30
講演者  Dr. Kennedy O. Okeyo (Institute for Frontier Life and Medical Sciences, Kyoto University)
「Tissue engineering by modulating the cell adhesion microenvironment」

概要: 
Cells have the property to adhere to each other as well as to the substrate, enabling them to self-organize in vitro into structurally ordered 2D and 3D tissues. This property can be utilized to fabricate biomaterials such as cell sheets with potential applications in regenerative medicine, disease modeling and drug screening. In this talk, a unique micromesh culture approach will be introduced in which cell-substrate adhesion is minimized using suspended microstructured mesh substrates to induce cells to self-organize into cell sheets and even 3D tissues. The mechanics of cell sheet formation under this culture approach, including cell orientation control by mesh shape design, and extended application to realize organ/tissue models for drug screening and disease modeling will be highlighted. Overall, the talk will demonstrate the potential of our micromesh culture technique to uniquely achieve tissue engineering by modulating the cell adhesion microenvironment.
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場所:
岐阜大学工学部 11番教室

第7回応用物理学セミナー 2019年1月31日(木)16:00 - 17:30
講演者  横山 直人 氏(大阪大学大学院基礎工学研究科)
「海洋内部の波動乱流」

概要: 
密度成層した海洋内部の深層から表層に至るまで,浮力を復元力とする内部重力波が存在する. また,その水平波長は数mから数百km,鉛直波長は数mから数kmまでと非常に広帯域に渡っている. 潮汐流や海底地形などによって励起された内部波は,内部波間の非線形相互作用によって, 大スケールから小スケールへとエネルギーが輸送される. 小スケールの内部波は砕波によって渦となり,粘性によってそのエネルギーが散逸される. 弱非線形性の仮定に基づき,共鳴関係を満足する相互作用のみがエネルギー輸送に有効とする弱乱流理論を用いると, 海洋で観測される多様な内部波のエネルギースペクトルを定性的に説明することができる. 本セミナーでは,海洋内部重力波における弱乱流理論を解説する. また,必ずしも弱非線形でない波動乱流の例として,内部波から渦へのエネルギー輸送に関する最近の話題を紹介する.
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場所:
岐阜大学工学部 14番教室

第6回応用物理学セミナー 2018年6月29日(金)16:30 - 18:00
講演者  深川 宏樹 氏(九州大学大学院工学研究院機械工学部門)
「変分原理を用いた連続体の運動方程式の導出と, 大規模数値計算の実装について」

概要: 
物理法則の中には「ある汎関数に停留値を与える現象が起こる」と言い表せるも のがあり, これらの総称を変分原理と呼ぶ. 良く知られた例は解析力学でのハミ ルトンの原理であり, 散逸のない系の運動方程式は作用汎関数に対する停留値問 題を解くことで求まる. 我々は, この定式化が「評価汎関数に停留値を与える最 適制御を求める」という最適制御理論の枠組みの中にあることを見出した. 物理 系を制御入力のある力学系(制御系)とみなし, 作用汎関数を評価汎関数とみなせ ば, 最適制御理論はハミルトンの原理の自然な拡張となる. この枠組は容易に拡 張でき, 散逸系にも使える. 散逸系でのエントロピーと他の物理量との関係は微 分一形式で与えられ, 積分不可能である. 制御理論では, このような依存関係を 非ホロノミック拘束条件と呼び, 非ホロノミック拘束のある系を非ホロノミック 系と呼ぶ. 我々は, 非ホロノミック系の最適制御問題を定式化し, これを散逸系 に適用することで, 散逸系の変分原理を提案した.
我々は, この変分原理から導出される運動方程式を用いて, 大規模流体構造連成 解析ソルバーを作った. 変分原理の利点は任意の座標系での運動方程式の導出が しやすいことにある. リーマン多様体上での連続体の運動方程式を変分原理から 導出し, これを離散化することで完全陽解法によるソルバーを開発した. 更に, このソルバーをスパコン上で動かすことで1600億自由度の流体軸受の大規模解析 を行った.
本講演では, 変分原理の基礎的なところからソルバーへの開発までを説明する.

参考文献: 深川宏樹 散逸系の変分原理 日本物理学会誌 Vol. 72, No. 1, 2017, p34.
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場所:
岐阜大学工学部 14番教室

第5回応用物理学セミナー 2018年5月18日(金)16:30 - 18:00
講演者  三浦 峻 氏(九州大学大学院システム情報科学研究院)
「希土類系高温超伝導線材の高性能化とその応用」

概要: 
超伝導体の最大の特長は,電気抵抗ゼロと高い電流密度性にあります。その特長に より、大電流の無損失送電や電力・電気機器の大幅の高効率化および軽量・コンパク ト化が実現されます。特に、希土類系高温超伝導体(REBa2Cu3Oy, RE = rare earth)は -196℃の液体窒素温度域においても超伝導特性を示し、低コストで信頼性の高い超伝 導応用の新しい領域を切り開く可能性を秘めています。しかし、セラミックスである REBCO超伝導体を実用線材とするには、これまで多くの困難がありました。無配向 金属上に配向中間層を作製できるイオンビームアシスト蒸着法や、電流密度を飛躍的 に向上させるBaZrO3人工ピンニングセンターの発見といったブレークスルーがあり、 ようやく応用段階に移りつつあります。私は修士の時から一貫して、REBCO超伝導 線材の高性能化とその応用に関する研究を行ってきました。特に結晶成長を利用した 人工ピンニングセンターの形状制御による超伝導特性の向上とその機構解明に取り 組んできたので、その内容を中心に講演します。また超伝導回転機をはじめとする REBCO線材の応用についても紹介します。
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場所:
岐阜大学工学部 12番教室

第4回応用物理学セミナー 2018年4月20日(金)14:45 - 16:15
講演者  乙部 智仁 氏(QST関西光科学研究所 超高速光物性研究グループ)
「第一原理計算から探るレーザー場中にある物質の超高速非摂動現象」

概要: 
近年のレーザー技術の発展により 1 V/Åを超える電場を 5fs 以下(1 fs=10-15 s)の時間だけ物質に与える事が可能になっている。 1 V/Åというのは物質中で電子が感じるクーロン場と同程度の電場であり、 5fs 以下はエネルギー緩和や衝突過程が起きるより早い時間スケールである。 21世紀に入ると高強度極短パルスレーザーを原子・分子に照射することでアト秒(1 as= 10-18 s) 領域のコヒーレントパルス光を発生させることも可能となっている。 アト秒は電子運動の時間スケールであり、アト秒パルス光とは電子ダイナミクスの観測・制御に繋がる技術である。 アト秒パルスで電子ダイナミクスを見るには分光及び光電子分光を用いた実験になるが、 そのための理論・シミュレーション技術は未だ未完成な部分が多い。 特に高強度レーザーによって駆動された物質は非摂動な振る舞いをするため非常に高精度な計算も必要となってくる。 講演者はこれまでに時間依存密度汎関数理論(TD-DFT)の実時間計算手法の開発及び利用研究を進めてきた。 TD-DFTとはバンド計算や量子化学計算に用いられる密度汎関数理論(DFT)を時間変化する系に拡張した理論である。 TD-DFTの基礎方程式である時間依存Kohn-Sham(TD-KS)方程式を実時間で解く事で電子の非線形ダイナミクスを原子位置とレーザ ーパラメータのみから予測する事が可能となる。 更に最近ではTD-KS方程式と電磁場を記述するMaxwell方程式を融合した多階層シミュレーション手法を開発し、 電子ダイナミクスが電磁場に与える影響やマクロな電子励起状態分布の記述も可能とした。 本講演では上記計算手法により得られたアト秒分光理論やレーザー加工の初期過程に対する新たな知見について紹介し、 超高速非摂動現象という新たな研究領域の可能性について議論する。
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場所:
岐阜大学工学部 A420番教室

第3回応用物理学セミナー 2018年1月31日(水)15:00 - 16:30
講演者  馬場 基彰 氏(大阪大学 未来戦略機構第三部門)
「超伝導回路を設計して"超放射"相転移を起こす」

概要: 
光は様々な物理現象に顔を出し,地球上や宇宙にある物体の観測に用いられるだけでなく,通信やディスプレイ, 太陽光発電など,われわれの日常に密着した存在である. その光を相転移させる試みが1970年前後から行われている. 相転移とは,例えば,水を冷やすことで氷になるなど,温度によって物質の状態が変化することである. しかしながら,光つまり電磁場の相転移は未だ観測された試しがない. 一方,近年,量子コンピュータ開発の発展に伴い,超伝導回路を流れる電流を光に見立てた,回路量子電磁力学が盛んに研究されている. 本セミナーでは,超伝導回路を適切に設計することで,光に見立てた超伝導電流を相転移させられること, またそれによって期待される応用について解説する. また,より一般に,光と物質とが非常に強く相互作用する際の物理現象とその応用について解説する.
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場所:
岐阜大学工学部 14番教室

第2回 2017年9月26日(火)16:30 - 18:00
講演者  三浦 浩治 氏(愛知教育大学 自然科学系)
「エネルギー散逸と摩擦の制御」

概要: 
摩擦の制御に関する研究は、環境・エネルギー問題から医療技術まで幅広い分野と密接にかかわっているため、 重要で緊急性の高い社会的課題である。 身近な摩擦現象を理解することや、新しい摩擦現象を見つけるためには、 マクロな視点での研究だけではなく原子や分子スケールからのアプローチが有効であることがこれまでの表面科学の研究からわかってきた。 一方、摩擦現象は摺動部からエネルギーが散逸していく過程であるので、 摩擦をいかに制御するかはエネルギー散逸の観点からのアプローチがより有効と考えられる。 本セミナーでは、我々が行ってきた摩擦の制御とエネルギー散逸に関する研究を紹介する。
ポスターはこちらからダウンロードできます(三浦_2017_9.pdf)
場所:
岐阜大学工学部 41番教室

第1回 2017年7月19日(水)12:30 - 13:30
講演者  Professor Winfried Teizer (WPI Advanced Institute for Materials Research, Tohoku University, Japan Department of Physics and Astronomy and Department of Materials Science and Engineering, Texas A&M University, USA)
「Molecular Motors - A Different Kind of Transport」

概要: 
   Nature has generated sophisticated and complex molecular motors, employed for nanoscale transport at the intracellular level. As a complementary tool to nanofluidics, these motors have been envisioned for nanotechnological devices. In order to pave the way for such applications, a thorough understanding of the mechanisms governing these motors is needed. Because of the complexity of their in-vivo functions, this understanding is best acquired in-vitro, where functional parameters can independently be controlled. I will report on work that studies and harnesses the transport properties of molecular motors on functionalized structures of reduced dimensionality, such as carbon nanotubes, lithographically designed electrodes, microwires and loops. In addition, I will show recent results that demonstrate the use of molecular motors in investigating neurodegenerative diseases and the dynamics of cluster formation in active elements.
ポスターはこちらからダウンロードできます(Teizer Abstract_2017_6.pdf)
場所:
岐阜大学工学部 14番教室
 
開催場所:
岐阜大学工学部 (リンク先) またはサテライトキャンパス(リンク先)

連絡先:
岐阜大学工学部電気電子・情報工学科 応用物理コース
近藤信太郎 (skondo(**)gifu-u.ac.jp )、小野 頌太 (shota_o(**)gifu-u.ac.jp)
(ただし、(**)は@に置き換えてください)

その他のリンク:

岐阜数理科学セミナー

(リンク先)