Miyasaka・Asahara Laboratory
Aerospace Propulsion Laboratory

機械学習による液滴微粒化の特徴量抽出


 液体を燃料とするスクラムジェットエンジン、航空機用エンジン、ディーゼルエンジンでは、液体燃料を噴霧して燃焼させます。 このとき、噴霧により微粒化した液滴が小さいと瞬時に蒸発し、液滴が均一に分布するとムラなく燃焼させることができます。 しかし、微粒化は複雑な現象で理解が困難なため、機械学習などのデータサイエンスの技術を用いた革新的な現象解明を目指しています。

本研究は以下の補助を受けて実施しました。

  • 日本液体微粒化学会 微粒化研究推進助成
  • 「気流による単一液滴微粒化の体系化」(2020~2021年度)
  • 公益財団法人豊田理化学研究所 豊田スカラー
  • 「データサイエンスによる液滴微粒化ダイナミクス解明への挑戦」(2022年度)


    ■ 特異値分解 ■

    機械学習による画像解析では、画像の特徴量を抽出し、これらを基準として判別や生成をしています。

    特異値分解は、特徴量を抽出するための手法の1つで、動画から物理的な特徴を見つけ出すことに長けています。 まず、動画データを行列にして整理し、ビッグデータを構築します。このビッグデータ(行列)を、図1のように直交行列と対角行列の積に分解すると特異値が得られます。

    私たちは特異値分解を用いて、微粒化を空間と時間の両特徴から理解することを目指しています。



    図1 特異値分解の概要



    ■ 衝撃波発生装置 ■

     単一液滴と高速流の干渉による液滴の変形・微粒化挙動を明確に捉えるためには、カメラの画角を狭くして高解像度で捉える必要があります。 そこで図2のような衝撃波発生装置を用いました。 この実験装置により発生させた高速流れに液滴をさらすことで単一液滴微粒化を撮影します。 図3に実際に撮影した単一液滴微粒化の様子を示します。


    図2 衝撃波発生装置


    図3 単一液滴微粒化の様子


    ■ 単一液滴微粒化の空間特徴 ■

     時空間データに、モード分解技術特異値分解を適用することで、特徴的に見られる複数の挙動成分「モード」を抽出することができます。 単一液滴微粒化に適用する場合、第1次モード、第2次モードで流体力学的不安定性の特徴を示した空間構造を示すことが分かりました。 さらに、別の分析データと比較、対応づけたりすることで、データの奥に隠れた現象の本質的な挙動特性がより明確になります。 図4にその概要を示します。



    図4 空間モード

     
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