Miyasaka・Asahara Laboratory
Aerospace Propulsion Laboratory

配管を通じて放出される高圧水素の燃焼


■ 配管を通じた高圧水素放出における火炎形成 ■

 水素ステーション等における高圧水素貯蔵設備の内圧が想定以上に高くなった場合、配管を通して水素を放出し、内圧を下げる安全措置が施されています。しかし、水素を放出する際に、着火源が無いにも関わらず、管外でジェット火炎が形成される場合があります。安全に水素ステーションを運用するためには火炎の形成条件や、火炎の熱影響領域を把握し、火炎熱被害を防ぐ必要があります。
 そこで、ジェット火炎が形成される要因を解明し、防止策を提案することを目的に研究を行っています。



 岐南水素ステーションの水素放出配管(見学時に撮影)


■ 管内における自着火と火炎の成長 ■

 可視化窓を設置した衝撃波管を使用して水素が放出されている管内の様子を観測しました。
 圧力センサ、光センサ、高速度カメラなどを使用して管内の現象を撮影し、壁面近傍で着火することがわかりました。

実験装置概略図



上:管内を伝播する火炎(直接撮影、FASTCAM SA-Z、50,000 fps)
下:管内の衝撃波、火炎(シャドウグラフ、FASTCAM SA-X2、50,000fps)



アクリル管を使用した実験により、管内で着火した火炎が管外に噴出する様子を撮影することができました。動画は、アクリル管を横方向(左)と軸方向(右)から同時に撮影したものです。


管内から管外へ噴出する火炎
(横方向:FASTCAM SA-X2、50,000fps 軸方向:FASTCAM SA-5、25,000fps)



■ 管外におけるジェット火炎の形成 ■

 管内から管外へと放出された衝撃波と火炎は動画のような挙動を示します。シャドウグラフからは、球状に伝播する衝撃波と、遅れて噴出する火炎が捉えられています。直接撮影からは燃焼による高温水蒸気の発光が捉えられています。
 本研究により、管内で自着火した火炎が管外で火炎が吹き消えずに保炎されるメカニズムが明らかとなりました。




     常速度ビデオカメラで撮影



管外を伝播する衝撃波(上)と水素噴流および火炎(下)
(シャドウグラフ:HPV-X、200,000fps 直接撮影:FASTCAM SA-Z、25,000fps)


高速度カメラを3台並べ、管内自着火による火炎が管外へと放出された後におけるジェット火炎の発達過程を撮影しました。以下の動画は、ジェット火炎が発達する様子をスローモーションで再生した様子です。


ジェット火炎の発達挙動




■ 高圧水素放出における火炎挙動のシミュレーション ■

 数値シミュレーションによって、実験からは測定することが困難な温度や水素濃度などの分布を予測し、現象の理解を深めています。
 3次元のシミュレーション(左)においては、緑色の領域が水素と空気の混合面、ピンク色の領域が火炎をそれぞれ示しています。2次元のシミュレーション(右)においては、上が温度分布(赤い領域が火炎)、下が水素質量分率分布(緑色領域が水素と空気の混合面)を示しています。


円管3次元シミュレーション
(上:水素の質量分率 0.1、下:温度 2400K)




衝撃波管による実験を想定した2次元シミュレーション
(上:温度、下:水素の質量分率)







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