臨床問題を通して復習すべき項目
消化管機能を調節するための内在性機構について
(消化管は考えていると言われる理由)
【ポイント】
- 機械受容器と化学受容器による量と質のモニター
- 内在性内分泌系の特徴
- 内在性機構による調節
・胃液分泌調節(ガストリン vs HCl)
・胃の運動調節(十二指腸=pH↓、高浸透圧、脂肪→CCK、内外の神経)
・胃の適応性弛緩
胃の機能について
└→ 胃の切除に伴う下痢や二次的に発生する低血糖を材料として復習する。
(消化よりも貯蔵槽、破砕機、ふるいとしての働きに注目)
【ポイント】
- 胃は小腸に適切な量の消化基質を供給するためにある
- フィードバック調節を受ける(内在性機構の所を参照)
- 内分泌系の事項については追加説明
嘔吐に関する事柄
└→ 腐敗物の摂取に伴うの嘔吐を例に挙げ、乗り物酔い、重篤な腎・肝臓疾患や
妊娠、悪臭・視覚・連想、頭部の損傷、に伴うの嘔吐と機序を比較する。
(嘔吐は必ずしも胃腸管障害に原発するものではない)
【ポイント】
- 嘔吐中枢の位置と入力信号
・咽頭、胃腸、内臓刺激を介する入力
・CTZを介する入力
・高位脳幹、大脳皮質を介する入力
・内耳前庭器を介する入力
- 激しい嘔吐に伴うアルカローシス(発生機序について)
・胃酸(HCl)の分泌機構
・膵液の分泌との関連
糖とアミノ酸の消化吸収
└→ コレラに伴う下痢を例に、その治療法からグルコースの吸収機構を復習する。 (コレラによる下痢の発生機序をウイルス性の下痢と比較しながら考察)
【ポイント】
- グルコースとナトリウムの共輸送(二次性能動輸送)
- 受容体とセカンドメッセンジャーの生成過程
- コレラ毒素の作用と水分泌の亢進(分泌性の下痢)
- ウイルス感染と吸収上皮の短縮(吸収不良性の下痢)
脂肪の消化吸収
└→ 慢性膵炎・膵臓萎縮に伴い脂肪便が排泄されることから復習する。
(同時に肝機能不全で発生する脂肪便を比較事例とし、
外分泌器官としての肝臓の働きを考察する。)
【ポイント】
- 膵液の役割
・三大栄養素の消化に対する役割
・重炭酸イオンの分泌(嘔吐と関連)
- 分泌の調節
・モニターから分泌まで
・CCK、セクレチン、神経系
- 吸収された脂肪の運命
【ポイント】
- 胆汁酸の役割
・脂肪の消化に対する役割
・その他の役割(脂溶性の老廃物の排泄)
- 分泌の調節
・脂肪の存在をモニターする過程から消化の終了まで
・CCK、オッジの括約筋
発酵消化について
└→ ルーメンアシドーシスの発生機序を考えながら、発酵消化を復習する。
【ポイント】
- 発酵消化の大筋
- 牛の唾液の特徴
- 反芻の意義
- 牛のエネルギー代謝
具体的な問題
症例1
離乳期にある動物に通常食を強制的に与えたら、下痢をした。
┗→当たり前と思うかもしれないが、その当たり前に説明をつけてみよう。
┗→牛、馬、豚、羊の新生仔で起こるGut closureというのはどんなこと?
症例2
胃潰瘍の治療のため胃の部分切除をした。←胃の機能を復習
術後食事摂取を再開した際、不快な症状が起こるようになった。
・腹部症状:腹痛、下痢、腹部不快感(おなかがゴロゴロ鳴る、圧迫感)←なぜか?
・全身症状:冷や汗、動悸、めまい、全身倦怠感、失神、全身が熱く感じる
┗→なぜか?(↓対処と食事指導に矛盾のない考察をすること)
飴をなめたり、ジュースを飲んだりするように指示された。
発症を防ぐために、食事回数を増やし1回分を減らすこと、
低糖質-高蛋白食とすることを指導された。
食べたあと30分くらい横になって休むように注意された。
症例3
ネコが嘔吐した。
┗→以下のような状況である場合、どんな機序で嘔吐が発生したか?
(1)嘔吐物に毛玉が含まれていた。
(2)自動車に乗せた後に吐いた。
(3)重篤な腎臓疾患がある。
(4)頭をぶつけた後に吐いた。
(5)ベトベトした唾液に包まれ、未消化であった。
(6)ネコの嘔吐物を見て、飼い主が吐いた。
また、激しい嘔吐を繰り返したので、血液のpHが上昇した。
┗→どのような機序でアルカローシスになるのか?
症例4
コレラに感染しひどい水様性の下痢。
┗→コレラ感染で水溶性の下痢が発生するメカニズムを復習。
(水の分泌と再吸収、受容体の概念、コレラ毒素の作用)
┗→ウイルス感染による下痢との違いも考えよう。
このような場合、食塩とグルコースを経口的に与える。
┗→これが有効な理由は?(特にグルコースの意義)
症例5
やせている。食欲は旺盛。
糞:多量。オレンジ色〜灰色。粘土様脂肪便。未消化物含む。
┗→このような便を排泄するのはなぜか?
┗→胆汁酸分泌不全のときの脂肪便とどこが違う?
食糞症がある。
┗→どうしてこのような行動が出る?
対処:消化の良い物を与える。消化酵素を餌に混ぜる。
┗→糞の変化を考える上で、この対処法は良い材料になるでしょう。
ビタミンの補給
┗→どのような理由で、どのビタミンを補給するか?
症例6
牛に穀物飼料を大量に与えた。
沈うつで、動きがぎこちなく、下痢を呈した。
眼窩はくぼみ、口腔粘膜は乾いてねばねばしていた。
第一胃は拡張していて、動いている様子はない。
┗→それぞれについて発生機序を考えること。
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