生 理 学 自 主 学 習


第31回

心臓・循環器

まとめ

 模擬症例







今回は、心臓循環器の総まとめとして、以下のポイントを押さえて下さい。
復習ポイントと、臨床問題が対応していないかも知れませんが、気にしないで下さい。







   臨床問題を通して復習すべき項目


 ポンプとしての心臓の働き

       
【ポイント】


  • 一回の心周期で起こる現象(弁の開閉、圧の変化)

  • 心雑音の発生メカニズム(弁の狭窄、閉鎖不全、先天異常と心雑音)

  • 心雑音が発生する状況で起こる心臓の適応変化

  • スターリングの心臓の法則(どんなもので、どんなときに有効か)

  • 心臓は単一細胞のように同調して働く→それを可能にする特徴(骨格筋と比較)

  • 刺激伝導系の成り立ち、各部位での伝達速度の特徴と意義

  • 自動性の機序とペースメーカー部位

  • 自律神経の分布と作用様式

  • 心電図の成立と異常波形

  • 心電図でわかること、わからないこと


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 血管の機能(血管は単なる管ではない)


【ポイント】


  • 大動脈・動脈部と細動脈部の役割
     + 血液の循環に、それぞれの部位はどのように寄与するのか
     + そのためにどの様な構造上の特徴があるか

  • 毛細血管部の役割
     + どの様な力で物質(特に水)の交換(出し入れ)がなされるか
     + 肝臓と脳おける毛細血管の構造上の違いとその意義
     + 浮腫の発生要因と浮腫に抵抗する3つの安全因子について

  • 静脈部の役割
     + どの様な役割があるか
     + 体液量のモニターと調節機構について(出血の所と重複)
     + 運動時に血液を心臓に戻す原動力はなにか

  • 肺の血管の特徴

  • 脈圧が上がるのはどんなときか

  • 血液の凝固はどんな刺激で始まるのか:凝固に関する血管の機能
     + 併せて血液凝固阻止剤について復習



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 血流・血圧の調節について

【ポイント】


  • 代謝速度に見合う血流を確保するための局所調節メカニズム

  • 細動脈に対する交感神経の作用
     + α及びβ受容体の分布と機能
     + 心臓に対する作用との整合性

  • 血圧の調節
     + 血圧は、どこでどの様にして監視されているか
     + 圧変化を受容したら、どの様な反射が誘導されるか(圧受容器反射)

  • 出血に対する対応
     + 体液量の減少は、どこでどの様にしてモニターされるのか
     + 出血に対する即時性の応答(秒単位)
     + 体液の移動による血液量の確保(分〜時間単位)
     + 完全な回復(日〜週単位)
     + 出血時に圧受容器反射が持続するのはなぜか


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 心不全について

【ポイント】


  • 心不全に対する代償機構

  • 心不全の併発症(どういう機序で起こるのか)
     + 肺水腫
     + チアノーゼ
     + 全身的な浮腫
      + 乏尿・尿毒症
    + 敗血症性ショック
      + アニオンギャップの増大を伴うアシドーシス



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   具体的な問題


 症例1:病名は考えて下さい


(症状)
  子犬。
  収縮期心雑音がある。←心雑音の発生機序、発生するタイミングと異常部位の関連を復習
  運動時に疲れやすい。
  チアノーゼが認められる。

(検査結果)
  血液検査:多血症と診断。
       ┗→ どうして赤血球数が増加するのか、チアノーゼと併せて考える。

  心電図
   ・正常な洞調律、P-R 間隔正常
       ┗→ どういう疑いがなくなるか?

   ・QRS群の主な振れが、第泓U導とaVfで陰性となった
       ┗→ 右心室の肥大を意味するけど、わかるか?
       ┗→ この状況でどうして右心室肥大となるのか?
       ┗→ スターリングの心臓の法則が、このケースでは右心室の
          一回心拍出量を維持するために貢献している。説明できるか?

       ┗→ 房室弁の閉鎖不全(逆流)でも心室の肥大が起こるが、
          このケースとどちらが顕著な肥大となるか、理由も一緒に考える。

       ┗→ 心室の肥大は、心室筋に課せられた仕事量の増大に対する適応であり、
          有効な変化である。
          しかし、過度の肥大は、有害となるがどのような理由か?


   ・P波が増高している。
       ┗→ このようなP波が出現する理由を、説明してみる。

  浮腫が起こっている。
       ┗→ どうして浮腫が起こる?
       ┗→ 浮腫に対して抵抗する機構にはどんなものがあるか?

☆追加質問
人工的なペースメーカーを使って心拍数を上げても、運動時に心拍数が上がったときと同じ効果を得ることができない。
   ┗→どのように違うのか考えてみよう。
   ┗→また、そのような違いが出る理由を、自律神経の作用と説明して下さい


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 症例2:病名は考えて下さい


(症状)
  度々気絶(卒倒)する(数秒間意識不明となる)。
  走ろうとする時に多い。



(検査結果)
  聴診では規則正しいが、非常に遅い心拍確認(45回/分)。
  大腿部の動脈触診で、聴診と同じリズム(45回/分)の強い拍動あり。
       ┗→これは、どんなことを意味しているのだろう?



  心電図:P波の出現140回/分、
      QRSの出現45回/分。
       ┗→どうしてこんなことになっているのだろうか?
         刺激伝導系の成り立ちと特徴、心電図波形の成立過程と対比しながら説明。

       ┗→どうして運動しようとするときに、卒倒するのだろうか?

☆追加質問
血液を循環させる原動力は心臓のポンプ機能であることは確かだが、それ以外にも循環を手助けするものがある、どんなものか?


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 症例3:大量の出血


   30〜40%の血液をロスするような大量の出血を考える。
     ↓
   生体が何の抵抗もしなければ、脳や冠循環へ送られる血液も30〜40%減 = 死ぬ。
     ↓
   そうならないのは、心臓血管系の代償機構が働くからである。


(症状)
  心拍数が上昇している。
      ┗→ 出血〜心拍数増加までの道筋を詳しく説明できるか?
      ┗→ 心臓は単にペースをあげているだけではない。他にどんな変化があるか?

  血圧は出血量から予想されるほど低下していない。
      ┗→ どのような機構で維持されるのか?
      ┗→ 脈圧はどうなっているか?
         予想される変化はどのように代償機構に反映されているか?
      ┗→ 脈圧が変化する状況について、まとめてみる。


  激しい運動をしたときと同じような、腹部の痛みを感じているはずである。
      ┗→ どんな変化が起こっているのだろうか?
      ┗→ このメカニズムと相補的に働いて、血液量を確保するような
         水の移動が毛細血管部では起こっているはずである。どんなことか?


  のどの渇きがある。尿量が減少する。
      ┗→ どのような変化が、どこでモニターされて、
         どのような因子を介して発生した反応か説明してみる。


☆追加質問
血液は、血管内では固まらないが、どうして出血したら固まるのか?


☆追加質問
伏せって居眠りをした後、おでこが赤くなるのはなぜか? 循環の調節機構が分かるように説明をつける。


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 症例4:うっ血性心不全


(症状)
  呼吸数が早い。
      ┗→ なぜか?


  運動に不耐性
  (少し歩かせると、四肢の震え。脈は異常に速くなり、粘膜はチアノーゼ呈する。)
      ┗→ 一通り他の項目を説明した後に、なぜ運動に不耐性か説明する。
      ┗→ 運動を始めるとすぐに呼吸数が上げるのはどうしてか?


  腹部が膨満。
      ┗→ ここに至るまでの道筋を説明。


  粘膜蒼白。
      ┗→ なぜか?


(検査結果)
  大腿部の脈は微弱、心拍数多いが規則的。
      ┗→ どんなことが読みとれるのか?


  尿の量は少なくなり、比重は増加。
      ┗→ なぜか?


  血清クレアチニンは上昇。
      ┗→ なぜか? クレアチニンは何の指標として検査するか?
     

  肺血症や腹膜炎が起こる。
      ┗→ ここに至るまでの道筋を説明。


  血漿アニオン・ギャップ増大を伴うアシドーシス。
      ┗→この時のアシドーシスは、どのような原因で起こっているのか?


(治療)
  ┗→どんなことを期待する治療法なのか? 
    (それぞれについて問題点を含めて考えてみる)


  ・利尿剤(フロセミド等)
  ・血管拡張剤(カプトプリル)
  ・強心配糖体(ジギタリス)、βアドレナリン作動薬
  ・細動脈拡張剤(プラゾシン)
  ・気管支拡張剤
  ・酸素吸入
  ・減塩食
  ・運動制限、鎮静剤


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