今回は、これまで勉強してきた酸塩基平衡の調節機構を総合的に考察してみたい。
それぞれの項目について、自分たちなりの答えを出してみよう。
- 短距離走をしている時の骨格筋では、乳酸の産生により細胞内pHが低下する。
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しかし、細胞内では代謝過程の結果としてある緩衝系が増強され、細胞内のpH低下に対処できる。(運動していないときより緩衝能力が、結果として高まるメカニズムを考えてみよう)。
- 以下のような血液検査の結果が届いた。どのようなことが結論されるか?
・[H+] = 60 nmol/l
・pH = 7.22
・pCO2 = 50 mmHg
・[HCO3-] = 32 mmol/l
- 短距離走の前に、強制的に過呼吸しておくと良い結果が得られると言う。
過呼吸によって、動脈血の酸素飽和度がそれ程大きく変化しないとしたら、レース前の過呼吸はどのような機序で良い結果を導くのだろう?
- お酒を飲み過ぎて急性アルコール中毒になったとき、もし視力障害が出るようなことがあると微量ながら混入しているメタノールの影響が考えられる。
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この時発生するアニオンギャップの拡大を伴うアシドーシスはどのようなものか?
追加:アルコール中毒なのにこのような場合に、エタノールの投与がひとつの治療の選択肢になる。どうして?
- 細胞間質液よりも血液の方が、ずっと緩衝能力が高いのはなぜだろう?
- 腎不全による代謝性アシドーシスの治療として、NaHCO3の投与は適切か?
(このような質問をすると、大抵は「不適切」ってことなんだけど、何で不適切?)
- 肥満患者が、完全絶食療法に取り組んだ(水、ビタミン、ミネラルのみの摂取)
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脂肪のみならず、筋肉の減少が著しい。
最初の1週目は、血糖値が60mg/dl位まで低下したが、4週目には90mg/dlまで上がってきている。
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筋肉をすり減らす意味が、第1週と第4週では異なると思われる。
その違いを考察してみて下さい。
(特に、酸塩基平衡に対する負荷とそれへの対応を考えて下さい)
- アザラシは、肺呼吸していて、我々とほぼ同様の臓器を有しているのに、どうして水面下でずっと長く速く泳げるのだろうか?
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今ある酸塩基平衡、ガス交換の知識を使って、我々にどのような代謝面の変化があれば、アザラシに対抗できるか考えてみよう。
- 低酸素症によって乳酸アシドーシスが起こる(機序はわかりますね)。
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乳酸アシドーシスが起こっていて、低酸素症でないと判断された場合、どのような原因を考える?
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