19世紀の節用集
節用集の成熟期です。18世紀の変化であった付録の増大と新案の検索法が引き継がれつつ、展開・整理されていきました。
◆付録の増大に加え、語数も多くなり、3万語ほども収載するものが現れました。 |
○江戸からは『江戸大節用海内蔵』が出されました。このタイプの極致とでもいうべきものでした。 |
→東京学芸大の『字宝早引節用集』★ |
○さらに横長になる「三切本」の早引節用集も作られました。 |
←『手形証文用文早引節用集』慶応2(1866)年刊。ここまで小さいと、語数も少ないし、扱いにくい気もします。 |
←『蘭例節用集』文化12(1815)年刊。19世紀の節用集のなかでは変わり種です。 |
◆明治になると、「節用」の語は、便利な日用教養書の書名に現れるようになり、節用集の方は「字典・字引」等を称することが多くなりました。 |
|
◆明治に入ると欧米の辞書に触発された国語辞典が現れます。語釈をそなえ、五十音多重検索になります。が、これらは高度なものとして、節用集は手軽なものとして併存したそうです。 |
◆また、検索はイロハ順ながら、語釈を備えた辞書もありました。新旧融合ということでしょう。イロハ順の勢力はなかなか衰えません。 |