イノシシやニホンジカの捕獲には「経験や勘」が重要視されているため、捕獲技術向上のための体系化された育成プログラムがほとんどない。そのため、担い手となる新米猟師への捕獲技術の継承に時間がかかるといった問題が指摘されている。
「経験や勘」を細かく解析すれば、その根拠となるものは、行動学、解剖学、環境学、生態学、気象学などの様々な科学的なデータとして置換することが可能である。そこで本研究では、「経験や勘」といった言葉で片づけられてきた捕獲技術を科学的に分析することにより、高捕獲効率狩猟者の行動特性を解明し、捕獲技術の最適化を目的とする。
近年,野生獣類の増加に伴い,農林業や自然生態系への被害が増えている.一方で猟師等の捕獲従事者は年々減少しており,一定の捕獲圧を確保することが難しくなっている.そのため,捕獲従事者一人当たりの捕獲効率を上げる手法が求められている.
くくり罠は,安価で小型であるために扱いが容易である.しかし,くくり罠による捕獲には獣道を的確に発見し,適切な場所へ罠を設置するための高度な技術を必要とする.そのため,捕獲を成功させるまでに時間と労力がかかり,捕獲意欲の減退や被害の増大につながっていた.
それらを解消するために捕獲の初心者でも単独で低コストかつ高効率に獣類をくくり罠で捕獲する「誘引誘導型捕獲法」を開発したので報告する.
本手法は,誘引された獣類を罠へ誘導し,効率よく捕獲する方法である.
【使用機材】
くくり罠:OM-40型(オリモ製作販売株式会社製)を調査地点ごとに1基ずつ設置。
トレイルカメラ: Trophy Cam HD Max 119476C(Bushnell社製)
誘引餌:米ぬか
誘導体:捕獲場所に既存の直径15 cm以上かつ全長2 m以上の倒木
【手順】
@トレイルカメラにてシカの生息を確認
A確認場所の付近で誘導体(倒木)を見つける
B誘導体の上部中央に米ぬか(約500 ml)を撒き,シカを誘引する.
C十分に誘引された後,常に前肢を置く場所をトレイルカメラにて確認する.
D罠を前肢を置く場所に設置する.
【結果】
【謝辞】
本研究にご理解とご協力いただいた本巣市猟友会および本巣市神海住民の方々に深く御礼申し上げます。
※本研究は、野生動物総合対策推進事業(寄附研究部門)の一環として行われています。