子どもの健康調査 「小児期からの生活習慣病予防に関する調査研究」



研究の目的
小児期における生活習慣は児童および生徒の健康状態だけでなく、引いては成人期における生活習慣病の発症に関与すると考えられています。しかし小児においてどのような生活習慣が望ましいのかわかっていません。そこで小学生2年、5年、中学2年生を対象に生活習慣と健康に関する調査を行い、どのような生活習慣が、成人での生活習慣病を引き起こすと考えられている危険因子(肥満、高脂血症、高血糖など)と関連があるか明らかにすることを目的としています。また、小児に多いアレルギーや肥満、炎症について腸内細菌の関与が考えられており、便サンプルから腸内細菌叢を調べ、その役割を明らかにすることも目的としています。本調査研究が、小児の健康、ひいては成人における疾病予防に役立つ基礎的なデータを提供するものと考えています。

研究の方法
岐阜大学教育学部附属小学校、中学校の協力のもと、小学2年、5年、中学2年生とその保護者の方々を対象に2013-2016年、以下の内容で調査を実施し、約1,300名の方の参加を得ました。


1.アンケート調査
保護者の方に、児の健康状態、発育状態、既往歴、食習慣、運動習慣、日用品類の使用、家庭における喫煙環境等について回答いただきました。アンケートによる一部の質問内容は、小学5年生、中学2年生の方にも、記入してもらっています。

2.早朝尿採取
普段の食品や大豆イソフラボン摂取、環境化学物質への暴露、ホルモン状態、抗酸化状態、免疫状態などを反映する生体指標の測定に用いるため、起床後初めての尿を自宅で採取してもらいました。また、尿中イソフラボン代謝物の一種であるエクオールは産生能力に個人差があるため、豆乳を給食時に2日間摂った後の早朝尿もいただき、尿中にエクオールが排泄されているか否か調べるために用います。
尿中生体指標の測定は、名古屋大学医学部保健学科、大塚製薬株佐賀栄養製品研究所で行います。

3.便採取
腸内細菌分析に用いるため、自宅で採取してもらいました。分析は同研究科の病原体制御学分野で、また、腸内細菌ゲノム解析は理化学研究所で行ないます。分析前測定は、MyMetagenome株式会社に委託します。

4.身体測定、血圧測定、血液検査
小学5年生、中学2年生のみ対象で学校にて実施しました。空腹時採血によりコレステロール、脂質、血糖、貧血検査などの測定に用います。

5.発育測定・体力測定の結果の利用
学校で実施された測定結果を本調査内容と合わせ解析に利用します。



解析
生活習慣の各項目および各尿中生体指標値と血液検査によるコレステロール、脂質、血糖値との関連を計算します。また、どのような腸内細菌叢がこれらの関連に関与するか計算します。

情報の取り扱いおよび倫理について
この研究は2013年10月に岐阜大学大学院医学計研究科倫理審査委員会からの承認を得ています。全ての情報は、岐阜大学大学院医学系研究科疫学・予防医学分野が管理をしておりますが、解析時は、個人識別情報を外した形で行い、個人情報の保護に努めております。研究結果も全体として集計、発表されるので、個人は特定することはできません。
この調査に参加された方は、今後も解析、尿・便を用いた生体指標の測定は行なわれるので、中途で研究への利用を取りやめることは出来ます。その場合は、以下の事務局までご連絡下さい。

研究代表者
2013年〜 永田知里  疫学・予防医学分野教授

事務局
〒501-1194 岐阜市柳戸1−1
岐阜大学大学院医学系研究科 疫学・予防医学分野
TEL: 058-230-6412 フリーダイヤル: 0120-67-2247
FAX: 058-230-6413      
担当: 准教授 和田恵子


以上、詳しくは研究計画書(pdfファイル)をご覧ください。