講義

llast update 1999.1.25




    講義概要

以下に上げるのは、これまでの講義の簡単な概要です。参考文献はすべてあげていくときりがないので特に講義内容に密着したものに限定しています。また講義でも述べたように、これらの参考文献での主張が講義中で100パーセント無批判に取り上げられているわけではありません。レポートを書く場合は、そのあたりに留意してください。


    レポート課題等についてのコメント

質問メールとその回答を上げておきますので参考にしてください(面倒なので回答メールをそのまま張りつけておきます)。

1 フェミニズム文学論の講義での問題意識をもとに、作品を「論ずる」という意味がわかりにくい。
    「論じる」ということがいまいちわかりにくい、ということですが、そうですね、最後に私のところに聞きに来てくれたのなら、もうこれはいいよね。要するに、私の講義での立場と、自分自身の立場との両方の位置関係をつかんだうえで、講義で聴いていておもしろかったようなテーマによく合致した作品を選ぶと「論じ」やすいと思います。
    あるいは自分がとても好きな作品なのだけど、講義では非常に評価が低かったりした場合は、それがなぜなのかを作品の具体的な箇所をあげながら考えて、そして最終的に自分はどちらの判断をとるのか、などを書いていけば単なる「感想文」にはならないでしょう。

2 グリム童話、ならびに平安文学の簡単な現代語訳はどのようなものがあるか (工事中)。
    下記のほかにもいろいろあります。こういったものを探すには、この検索サイトに行ってください。

    『初版グリム童話集 1〜4』(白水社 各1,600×1.05円)
    『完訳グリム童話集』(岩波書店)

    平安文学の現代語訳は、残念ながら私は専門外なのでわたしの研究室にはないのです(いちおう原文で読みましたので)。ただ『源氏物語』でしたら、瀬戸内寂聴訳、古いところでは与謝野晶子や谷崎潤一郎の名訳があります。与謝野晶子のは「である」調で、なかなか簡潔で読みやすいかもしれません。分量的にも少ないと思います。なお他分野の院生の人に聞いたところ、瀬戸内寂聴の『女人源氏物語』(集英社文庫)は第一巻の壁を乗り越えた以降からが大変読みやすくおもしろかったそうです。

    『枕草子』でしたら、橋本治の名訳『桃尻語訳 枕草子』(河出書房新社)がありますね。これはなかなかレポート課題としてもおもしろいかもしれません。橋本治自身、けっこうフェミニズム的な問題意識を持っている人ですので、エッセーなどもいいかもしれません。ちなみに源氏の訳もあります。『窯変源氏物語』(中央公論社)。

    以上、橋本治の著作も上記の  http://www.books.or.jp/ で見られます。
     ★もっとつっこんで情報を得たい人は橋本治インデックス(大和弘明さん) へどうぞ。 1999.1.25追加

    その他のものの現代語訳については、岐阜県図書館に行かれるのがいいと思います。その手のものは、探せばきっとあるはずです。事前に知りたい場合は下記にどうぞ。

        岐阜県図書館検索サイト 

    ついでに、岐大の附属図書館のサイトはここです。ここのOPAC(オンライン蔵書検索)にいってください。)



○ 論じてみるとおもしろいかもしれないテーマ (いくつかヒントをあげておきます)
・ウォルト・ディズニー「ファンタジア」中の、「田園」と「時の踊り」の比較
・創作童話あるいは少年少女文学の分析。 例.「アンデルセン童話」や、パーネット「秘密の花園」など。

○ 近代家族について、よりよく知りたい人に。
・ステファニー・クーンツ『家族という神話−アメリカンファミリーの夢と現実−』(1998.3 筑摩書房)
    さまざまな型の価値基準の裏側には常に抑圧された部分が存在しているという図式がビビッドに理解でき、相対的な見方というものを実感するうえでたいへん役に立つと思います。



    講義への意見・感想(7/6)についてのコメント

現時点で気がついたことをふたつだけ書いておきます。
感想の中で目立ったのが、「昔は女性がひどい目にあっていたことに驚いたが、今は世の中が進んでそんなことがなくなったので良かったと思う」というものでした。 しかし講義で再三言ったように、さまざまな抑圧(これは女性がこうむるものにかぎらないが)は、それぞれの時代の社会システムに即応したものであるという点をしっかりふまえていただきたい。これは上に上げたクーンツの『家族という神話』を読むと、よく理解できると思います。
それから、古代・中世・近代・現代の時代区分がしっかり頭に入っていない感想がいくつかありました。レポートを書くまでに、しっかりチェックしておいてください。


    1998年度提出レポートテーマ一覧  1998.10.9

 ★ 配列はジャンル別です。標題の表記はできるだけオリジナルにしたがいましたが、適宜作者名などを補ったものもあります。おもしろかったもの一編についてはコ   メントも加えました。


    ・グリムについて
    ・「白雪姫」と「シンデレラ」
    ・アンデルセン「赤い靴」
    ・アンデルセン「マッチ売りの少女」
    ・アンデルセン「おやゆび姫」
    ・アンデルセン「おやゆび姫」について
    ・童話の悪役たち
    ・白雪姫と「ときめきメモリアル」
    (コメント)ゲームソフトのキャラクター設定と男性プレーヤーにおけるジェンダーとの関係性を、グリム童話の女主人公像にみるジェンダー的問題と結びつけて論じている。女性プレーヤーのジェンダー特性についても若干の言及があったが、これは紋切り型を出ない。この問題はかつてあった(らしい)「アンジェリーク」という名の女王育成ゲームなど具体的なソフトにのっとって分析すればもっと説得的だったのではないか。

    ・オースティン『高慢と偏見』からみる女性
    ・「ジェイン・エア」
    ・「ジェイン・エア」と「嵐が丘」
    ・ディケンズ『大いなる遺産』を読む
    ・『狭き門』におけるフェミニズム
    ・イプセン「人形の家」を読んで
    ・「風と共に去りぬ」の女たち
    ・モンゴメリー「赤毛のアン」

    ・サロメの絵画と文学−聖書とワイルドとサロメ−

    ・源氏物語における女性像
    ・三四郎の気持ち
    ・新しい女たち−青鞜論−
    ・小説家井上靖のマドンナ

    ・内館牧子「ずっとあなたが好きだった」(エッセー)

    ・『関白宣言』と『関白失脚』にみる結婚に関する価値観について
    ・さだまさし「関白宣言」
    ・「関白宣言」
    ・LAT43.N~forty three degrees north latitude~ by DREAMS COME TRUE
    ・歌謡曲−尾崎豊「卒業」−

    ・性の商品化について

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