講義 |
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以下に上げるのは、これまでの講義の簡単な概要です。参考文献はすべてあげていくときりがないので特に講義内容に密着したものに限定しています。また講義でも述べたように、これらの参考文献での主張が講義中で100パーセント無批判に取り上げられているわけではありません。レポートを書く場合は、そのあたりに留意してください。 |
1 導入および<家族>概念の相対化の試み(4/14〜21) ・なぜフェミニズムという視角を選ぶのか。
・さまざまな<家族>形態(母系制社会、カナダのヘアーインディアンの社会) ・対偶婚、招請婚、嫁取婚への変遷
・源氏物語・今昔物語・更級日記・とりかえばや物語にみる、<恋愛>の美意識とジェンダー的特性 ・芥川龍之介「藪の中」における問題性 *服藤早苗『NHK文化セミナー 平安朝の女性たち−『源氏物語』の女性たち−』(1998.4-9) *服藤早苗『平安朝の母と子−貴族と庶民の家族生活史−』(1991.1 中公新書) *関口裕子『日本古代婚姻史の研究 上下』(1993.2 塙書房) 3 グリム童話に見るジェンダー(6/2〜6/9) ・グリム童話の語られた場−女たちの糸つむぎ労働−
・語り手と聞き手(記録者)とに介在するジェンダー・ギャップ ・おとぎ話のキャラクターにみるジェンダー・ギャップ *マリア・タタール『グリム童話−その隠されたメッセージ−』(1990.6 新曜社) 4 近代家族の問題(6/16〜7/7)
・その定義と形成過程についての諸説
・ヴィクトリア朝的な価値規範の形成とその文学・美術への反映
参照用Web
*荻野美穂ほか編『制度としての〈女〉−性・産・家族の比較社会学』(1990.7 平凡社) *牟田和恵『戦略としての家族−近代日本の国民国家形成と女性−』(1996.7 新曜社) *小池滋『英国流立身出世と教育』(1992.6 岩波新書) *ブラム・ダイクストラ『倒錯の偶像−世紀末幻想としての女性悪−』(1994.4 パピルス) *ジャン・マーシュ『ウィリアム・モリスの妻と娘』(1993.3 晶文社) *その他については、リンク参照。 5 夏目漱石「三四郎」「行人」にみる女性像(9/8予定) ・美禰子の結婚の意味。
・「行人」の家族メンバーにおけるジェンダー認識について。 参照用Web
「三四郎」論−美禰子の誘惑−(埼玉大 八木惠子さん「大学教材としての日本近代文学−第十回研究会の報告」)
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質問メールとその回答を上げておきますので参考にしてください(面倒なので回答メールをそのまま張りつけておきます)。 1 フェミニズム文学論の講義での問題意識をもとに、作品を「論ずる」という意味がわかりにくい。
あるいは自分がとても好きな作品なのだけど、講義では非常に評価が低かったりした場合は、それがなぜなのかを作品の具体的な箇所をあげながら考えて、そして最終的に自分はどちらの判断をとるのか、などを書いていけば単なる「感想文」にはならないでしょう。 2 グリム童話、ならびに平安文学の簡単な現代語訳はどのようなものがあるか (工事中)。
『初版グリム童話集 1〜4』(白水社 各1,600×1.05円) 『完訳グリム童話集』(岩波書店) 平安文学の現代語訳は、残念ながら私は専門外なのでわたしの研究室にはないのです(いちおう原文で読みましたので)。ただ『源氏物語』でしたら、瀬戸内寂聴訳、古いところでは与謝野晶子や谷崎潤一郎の名訳があります。与謝野晶子のは「である」調で、なかなか簡潔で読みやすいかもしれません。分量的にも少ないと思います。なお他分野の院生の人に聞いたところ、瀬戸内寂聴の『女人源氏物語』(集英社文庫)は第一巻の壁を乗り越えた以降からが大変読みやすくおもしろかったそうです。 『枕草子』でしたら、橋本治の名訳『桃尻語訳 枕草子』(河出書房新社)がありますね。これはなかなかレポート課題としてもおもしろいかもしれません。橋本治自身、けっこうフェミニズム的な問題意識を持っている人ですので、エッセーなどもいいかもしれません。ちなみに源氏の訳もあります。『窯変源氏物語』(中央公論社)。 以上、橋本治の著作も上記の http://www.books.or.jp/ で見られます。 ★もっとつっこんで情報を得たい人は橋本治インデックス(大和弘明さん) へどうぞ。 1999.1.25追加 その他のものの現代語訳については、岐阜県図書館に行かれるのがいいと思います。その手のものは、探せばきっとあるはずです。事前に知りたい場合は下記にどうぞ。 岐阜県図書館の検索サイト ついでに、岐大の附属図書館のサイトはここです。ここのOPAC(オンライン蔵書検索)にいってください。) ○ 論じてみるとおもしろいかもしれないテーマ (いくつかヒントをあげておきます)
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現時点で気がついたことをふたつだけ書いておきます。 感想の中で目立ったのが、「昔は女性がひどい目にあっていたことに驚いたが、今は世の中が進んでそんなことがなくなったので良かったと思う」というものでした。 しかし講義で再三言ったように、さまざまな抑圧(これは女性がこうむるものにかぎらないが)は、それぞれの時代の社会システムに即応したものであるという点をしっかりふまえていただきたい。これは上に上げたクーンツの『家族という神話』を読むと、よく理解できると思います。 それから、古代・中世・近代・現代の時代区分がしっかり頭に入っていない感想がいくつかありました。レポートを書くまでに、しっかりチェックしておいてください。 |
★ 配列はジャンル別です。標題の表記はできるだけオリジナルにしたがいましたが、適宜作者名などを補ったものもあります。おもしろかったもの一編についてはコ メントも加えました。
・「白雪姫」と「シンデレラ」 ・アンデルセン「赤い靴」 ・アンデルセン「マッチ売りの少女」 ・アンデルセン「おやゆび姫」 ・アンデルセン「おやゆび姫」について ・童話の悪役たち ・白雪姫と「ときめきメモリアル」 ・「ジェイン・エア」 ・「ジェイン・エア」と「嵐が丘」 ・ディケンズ『大いなる遺産』を読む ・『狭き門』におけるフェミニズム ・イプセン「人形の家」を読んで ・「風と共に去りぬ」の女たち ・モンゴメリー「赤毛のアン」 ・サロメの絵画と文学−聖書とワイルドとサロメ− ・源氏物語における女性像 ・三四郎の気持ち ・新しい女たち−青鞜論− ・小説家井上靖のマドンナ ・内館牧子「ずっとあなたが好きだった」(エッセー) ・『関白宣言』と『関白失脚』にみる結婚に関する価値観について ・さだまさし「関白宣言」 ・「関白宣言」 ・LAT43.N~forty three degrees north latitude~ by DREAMS COME TRUE ・歌謡曲−尾崎豊「卒業」− ・性の商品化について |