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教授ご挨拶

 岐阜大学小児科学(旧小児病態学)教室は、1964年に当学が岐阜大学医学部となった時点から数え初代谷口喬教授、2代加藤壽一教授、3代折居忠夫名誉教授が教室を主宰されてきました。私はアレルギー・免疫を専門とされた4代近藤直実名誉教授の主宰されていた時期の教室に入局し、その後先天代謝異常症を専門とされた5代深尾敏幸教授からもご指導を受け、これまで臨床、教育、研究を行ってきました。岐阜大学小児科学教室はこれら先任の先生方によるご指導により優れた臨床、研究が行われてきた伝統があります。その業績は地方の大学でありながら、日本国内のみならず、世界に誇れるものが多数あります。

 岐阜大学医学部附属病院小児科は、先天性免疫異常症(原発性免疫不全症及び遺伝性自己炎症疾患)、先天性代謝異常症などの遺伝性疾患や自己免疫疾患といった比較的希少な疾患だけではなく、感染症、アレルギー疾患、神経疾患、血液・悪性腫瘍、内分泌疾患をはじめ小児疾患の様々な疾患領域について専門診療を行っています。当院では新生児集中治療部を備えており、地域周産期母子医療センターの認定を受け岐阜地区の新生児医療において重要な役割を果たしています。また関連寄附講座として岐阜県から障がい児者医療学講座を6年間設置していただきましたが、令和2年度からは新たに小児在宅医療教育支援センターとして、重症心身障がい児者、発達障害児、移行期の医療をどう行っていくかの研究と診療を行っています。

 地方大学ではありますが、日本で初めて行う臨床研究にも力を入れております。食物アレルギーの治癒を目指した食品開発、血管腫や難治なリンパ管奇形に対するプロプラノロールやmTOR阻害剤の臨床研究・治験は日本での中核施設として先駆けて行っており、全国から患者さんが受診されています。一方当院は岐阜圏域の北の砦として感染症を含む一般的な疾患の入院も多く受け入れており、高度・先進医療と一般診療の両方を1施設内で行っている地域のニーズに合わせた大学病院です。

 研究面では、先天性免疫異常症、特に自然免疫系の異常症(自己炎症疾患を含む)、先天代謝異常症、アレルギー、血液腫瘍関係などの領域で世界に向けた研究を展開しており、前任の深尾教授の言葉ですが、「教科書を1行でも書き換えることを目指す」活動に取り組んでいます。新しい疾患の発見、診断方法の開発、創薬が我々の教室の目標です。基礎研究だけでなく、臨床研究を重視し、経験したことを後世に伝えるべく症例報告にも力を注いでいます。

 医学教育の面では、リサーチマインドを重視した教育を医学部生の段階から行っています。現在の当学のカリキュラムでは医学部2年生の時点で一定期間研究室に配属されますが、小児科においては小児難病の診断・治療に関する研究を体験していただいています。また臨床実習や専門医研修においても、県内の他施設では経験できないような多くの希少疾患・難病の患者さんをいかにして診断をつけるか、治療していくのか、若手医師の考える力を養成することに注力しています。小児科医は小児の総合診療医でありながら、小児の専門診療医であり、医学部生からはよく大変そうだと言われますし、確かに研修は大変ですがやりがいがある診療科だと考えています。

 関連病院は、岐阜県内のほぼ全域をカバーしており、各病院が協力しながら岐阜県の小児医療を維持するため日夜努力をしています。平成29年度から小児科では新しい専門医研修制度に変わり多くの小児科専攻医が誕生していますが、岐阜県では基本的には統一プログラムとして専門医取得に向けた教育を行っており、県内のどの施設から研修をスタートしてもきちんとした専門医研修が受けれるように設計しました。岐阜で小児医療を我々とともに担っていく仲間、教科書の1行を一緒に変えていく大学院生が当医局の門戸を叩くのを心待ちにしています。

岐阜大学大学院医学系研究科小児科学分野 教授
岐阜大学医学部附属病院 小児科 科長
岐阜大学医学部附属病院 新生児集中治療部 部長
小児在宅医療教育支援センター センター長
大西 秀典

岐阜大学大学院医学系研究科小児科学
岐阜大学医学部附属病院小児科