岐阜大学大学院 教育臨床心理学専攻のホームページへようこそ

  •  本コースは,学校心理学コースと臨床心理学コースを統合し,2022年度からスタートしたコースです。教育分野をはじめ,保健医療,福祉その他の現場における臨床活動の基礎となる資質・能力を備えた心理臨床家(公認心理師及び臨床心理士学校心理士)養成を目的としています。

特色

(1)徹底した少人数教育

 専任教員6名と多くの学内協力教員によって充実したカリキュラムを提供しています。本コースの院生数は,例年,1学年あたり3~8名程度であり,臨床心理士になるためのさまざまな訓練がきめ細かく行われています。平成30年度からは公認心理師養成がスタートし,本コースにおける少人数教育のメリットが反映されます。


(2)充実した心理臨床トレーニング

 本コースは教育学研究科に属するので,スクールカウンセラーにとって必要な知識を修得することはもちろん,心理臨床のためのトレーニングとなる演習・実習科目は本コースの院生のみが受講でき,充実した少人数教育を実現しています。

 心理アセスメントに関する演習では,学校臨床において大切である知能検査の修得を重視しており,2年次終了時には自信を持って実施および報告書が書けるレベルを目指します。

 カウンセリングに関する実習では,1年次後期から,附属心理教育相談室に来談したクライエントへの援助活動を通して,臨床的アプローチの研鑽を積んでいきます。また,医学部附属病院や子どもセンター等の学外機関での実習もあり,標準年限である2年間で体験するセッション数はかなりの時間数になります。公認心理師養成も加わり,学外機関での実習はこれまで以上に充実したものになります。

 また,臨床活動の訓練のため,週に1回のスーパービジョンとケース・カンファレンスをしっかりと行っています。


(3)実践家に必要な科学的思考の重視

 修士論文では科学性のある心理学研究を課しています。これは,データに基づいた科学的研究態度と批判的思考を身につけることを課すということであり,個々のクライエントに即した創造的,科学的な態度での対応が行える「臨床心理実践者」としての公認心理師・臨床心理士の養成を目指しています。

 ※臨床心理士取得を目指す場合は,修士論文は「臨床心理学的研究」である必要があります。


(4)資格試験突破およびスキル向上のための履修計画のサポート

 公認心理師養成対応に際し,特例措置によって公認心理師に関わる学部科目の要件をクリアした院生,あるいは単位は取得したが苦手な学部科目がある院生など,将来受験する資格試験対策および心理臨床家としてのスキル向上のために個々人に応じた履修計画をサポートします。

大学院生の生活

(1)授業

 大学院の授業は講義だけでなく,学生自身が関心のあるテーマを発表し,議論する形式の授業もあり,講義内で課題が出されることが多々あります。心理検査や心理面接についてロールプレイを通して実践力を養う授業もあります。その他,夏季・冬季休暇中には,学外講師による集中講義が多数開講されることも本学の特色の1つといえます。


(2)実習

 本コースの院生は,学内にある附属心理教育相談室に所属し,相談員としてM1後期からケースを担当することになります。担当したケースについては本学の教員からスーパービジョンを受けることになり,ケース・カンファレンスでの事例発表も始まります。また,本学は,学外実習先が充実していることも大きな特色です。M1後期から岐阜大学附属病院(保健医療分野)での実習が始まります。M2以降,岐阜病院(保健医療分野)での実習に加えて,教育分野,福祉分野,産業・労働分野の実習にも参加することになります。学外実習先には本学の卒業生・修了生が勤務していることもあり,サポート体制も万全です。


(3)外部実習先一覧

岐阜大学附属病院(保健医療分野),岐阜病院(保健医療分野),岐阜県総合教育センター(教育分野),中央こども相談センター(福祉分野),清流障がい者就業・生活支援センターふながせ(産業・労働分野)

  ※現在,司法・犯罪分野での実習についても検討しています。


(4)研究

 本学では,ゼミだけでなく,同級生や先輩とのディスカッションの中で研究テーマをしぼり,発展させていく場合も少なくありません。最近では,M1後期に第1研究をスタートさせ,M2で第2研究まで着手して修士論文をまとめる学生が目立つようになりました。修士論文を学会で発表したり,大学紀要や学術雑誌に投稿したりする学生もいます。各指導教員は,学生の関心があるテーマや問題意識を大切にし,研究としてまとめることができるように指導しています。


教員一覧

 基本的には研究指導とスーパービジョンは異なる教員が担当します。


別府 哲 教授

専門領域:発達心理学,自閉症,学習障害,自他理解の発達,愛着


坂本 裕 教授

専門領域:特別支援教育,知的障害,応用行動分析学,学校教育臨床


伊藤 宗親 教授

専門領域:臨床心理学,心理査定,統合失調症の認知障害,思春期・青年期における愛着,教育相談,地域連携


月元 敬 准教授

専門領域:認知心理学,認知科学,理論心理学,相貌心理学

※研究指導は担当し,スーパービジョンは担当しない。


松本 拓真 准教授

専門領域:臨床心理学,子どもの心理療法,乳幼児のメンタルヘルス,乳幼児観察,精神分析的心理療法


板倉 憲政 准教授

専門領域:家族心理学,家族療法,ブリーフセラピー,被災地支援

※研究指導・スーパービジョンの同一教員担当可。


進学を希望される方へ

 本コースの受験・進学をご検討される方への,院生からのメッセージやアドバイスです。ご参考にしていただければ幸いです。


 大学院の募集要項はこちら

院生からのメッセージ:受験対策篇

特に英語の出来が合否の分かれ目になりやすいので,英語できちんと得点が取れるようにするとよいでしょう。テキストや論文を通して,日頃から心理英語に慣れ親しんでおくことがおすすめ。紙の辞書を引くことにも慣れておくとよいでしょう。

過去問をしっかりする!

私の場合は,大学に合わせて対策を練るのではなく,概論書を基にまんべんなく基礎固めをすることを意識しました。結果的に入学後の知識としても役立っており,おすすめの勉強法です。

専門用語の英単語をひたすら覚える。受験する大学でよく出題される領域・分野に絞って集中的に勉強する。

英語は,ヒルガードの和訳をひたすらやっていました。

論述については,何をどうやって書くか事前に構成を考えてから書き出すことがコツだと思います。英語に苦手意識がある人は,とにかく多くの英文に触れて英文慣れすることが大事だと思います。

専門科目は基礎的なことを幅広く勉強して,人名,様々な心理療法について,専門用語など覚えるようにしていました。英語は「ヒルガードの心理学(英語版)」や「心理院単」などで勉強しました。

英語論文をたくさん読んで,心理学の英文を読む練習をしていました。問題慣れ・記述慣れするために,試験直前は5年分くらいの過去問を問いてました。

過去問を数年分(5年くらい?)解いて,完璧にし,後は心理学と臨床心理学の概論書みたいなものをやっておけば受かります。

院生からのメッセージ:授業・ゼミ篇

ゼミでは皆それぞれユニークな研究に取り組んでいます。また,ゼミ同士の壁はなく,ゼミを超えて先生方にアドバイスをいただくこともできます。

授業では様々な臨床の分野について学ぶことができます。特に,大学の教員だけでなく,他大学の先生による集中講義はとても貴重な機会。

ゼミは第2研究まで行うことを推奨する先生が多く,大変さもあるけど結果的に身になることが多いです。

ハイレベル! やる気がある人には最高の環境!

自分のやりたいことが明確でない人は,各授業での様々な方向性を積極的にすくい取って,自分の中で醸成することが大事です。

カウンセリングに必要な技法を学べるだけでなく,より即戦力となれる検査技法に関する授業も充実しています。ヴァイザーと指導教員が別にすることができるのも魅力の一つだと思います。

学生の要望をある程度反映してもらえるので,やりたいことを提示するといいです。ゼミはそれぞれ特色があるので,自分に合いそうなところ(テーマだけでなく,進むペースやゼミ形態など)を吟味するといいと思います。

聞きたいことやもっと知りたいことを言い合える,とても良い雰囲気があります。先生も丁寧に応えてくださり,勉強になります。

私のゼミは自由なペースで進められるのであまりプレッシャーがありませんが,どういうペースで研究を進めたいかで研究室を選ぶといいと思います。

アットホームな雰囲気で,先生方や先輩・後輩との距離も近いので,授業や研究・ケースのことを質問したり,相談したりしやすいです。少人数なので,全員が1人ずつ授業内で発表する機会が多く,手厚い指導を受けられます。

ゼミとスーパービジョンの先生は,人数調整は必要ですが学生の希望が通ることが多いと思います。先生によってスタイルがかなり異なるので,専門分野だけでなく先生のやり方や先生との相性を考えるとよいと思います。

発表形式の授業が多いです。ゼミはわりとやりたいことを自由にやらせてもらえるので,意欲的に取り組めるかもしれません。

院生からのメッセージ:実習篇

基本的には医療,教育関係の実習がメインです。特に,大学附属の総合病院や単科の精神科で実習が経験できるのは貴重。

充実! 様々な「活きた」経験ができます。

病院から児童相談所まで,自分の希望にあった実習先があるように感じます。院生のうちに様々な職場に触れられることはとても有意義だと思います。

病院実習では新鮮な体験ができます。ケースを担当することで勉強になり,成長できると思います。

学内実習では複数のケースを持っている人が多く,仲間を励まし,励まされながらケースに臨んでいます! 病院実習では,実際に患者さんとお会いしたり,現場の様子を感じ,知ることができます。

私は今,学内の相談室とメンタルクリニックでの実習で合計6つケースを持たせていただいているので,非常に勉強になります。他にも病院や福祉施設など,実習は充実しています。

実習は大学院における勉強の醍醐味だと思います。貴重な経験ができますよ。

実際にやって来るクライアントさんと向き合うのはしんどいことも多いですが,ためになりますし,自分の問題と向き合う良い機会になります。

実際に患者さんと接する機会をもらえますが,正解が提示されるわけではないので考える力と即応力が身につきます。

院生からのメッセージ:日常生活篇

学会に参加したり,先生方などからご紹介いただいた勉強会やセミナーに参加したりと,自分の興味ある分野について学ぶ機会も多いです。

自分できちんと日程を管理していれば,バイトや学外の勉強会等の参加も可能。そういった自己管理も社会勉強の一環と捉えれば,学べることは多いです。

バイトとの両立は割と大変かも(たくさん課題が出ます)。

学業は将来担う責任の重さの分だけ真剣に取り組むべきですが,OBの方たちとの勉強会など,フォローしてくれるだけの機会は十分に設けられています。それを存分に活用するか否かは本人がプライベートとのバランスをうまくコントロールできれば問題ないです。

1年次は課題等で忙しいが,慣れてくればバイトも可能。家での勉強や集中講義も含めるとまとまった休みはあまりないかも。平日に空き時間がある。

平日は基本的に院生室やゼミ室で過ごしていますが,土日はバイトをしていて,良い息抜きになっています!! 友達と遊ぶ休日は,色んな所に出かけたり,美味しいものをたくさん食べたりして,充実した日々を過ごしています。

土日は自由に使える日が多いので,私はバイトもしています。ランニングしたり,ペットのハムスターを愛でたりして気晴らししています。

課題などで忙しい学生生活にはなりますが,それなりに息抜きしながらみんな頑張ってますよ。

土日はあいていることが多いのでバイトもできます。臨床系のバイトの話がくることもあります。

院生からのメッセージ:応援篇

臨床心理士養成のためのトレーニングの中で大変なこともありますが,先生との距離も近く,少人数だからこそたくさん指導をいただけるし,先輩方にもサポートしていただけます。皆さんと切磋琢磨できるのを楽しみにしています。

辛いときもあるとは思いますが,粘り強く,目的意識をもって取り組めばきっと乗り越えられると思います。健闘を祈ります。

努力が報われる場所です。ファイト!

何より大切なのは自分の熱量だと思います。そしてここにはそれを受け止めてくださる素晴らしい方々がいます。受験というと苦しいこともあるかと思いますが,その先に待っている世界を楽しみに頑張って下さい。

やりたいことが決まっている人も決まっていない人も,入学して何かを探せるようがんばって下さい。

受験勉強は大変なこともあるかと思いますが,アットホームで院生同士,学びを高めていける岐阜大学で一緒に学べることを心待ちにしています!

私は個性豊かな院生(と先生方,笑)に囲まれ,飽きない毎日を過ごしています。ぜひ,皆さんがその一員になってくれることを願っています。勉強,大変だとは思いますが,あと少し頑張ってください!!

入るのも,入ってからも大変ですが,2年間で多くのことを学ぶことができます。入るのも,入ってからも頑張ってください。

大学院生活では苦しくなる時があるかもしれないですが,心理士としても人間としても成長できる場だと思います。あと少し頑張ってください☆

「とりあえず2年」という考えで入ると色々と後悔すると思うので,「2年の間で何をしたい(学びたい)か」を明確にした上で院をえらぶと良いと思います。