来客こぼれ話

 

1.集中講義でお呼びした講師の先生(篠村知子さん、フィトクロム研究界の有名人、現在の専門は藻類のバイオマス生産、帝京大学)を講義の打ち上げにお誘いした。こちらが御馳走することになるのだが、岐阜大の先生二名にも声をかけるという姑息な手を使いつつ、川魚料理で有名な老舗料亭(高級)を予約した。初めて行った店だったが老舗だけあって手間暇かかった料理が出てきた。鮎の塩焼きは内臓を除いてうるかを詰め直してあり、さすがの高級ぶりである。店の名前は「かわらや」という。

さて、支払いの段になり、この時のためにお呼びしておいた先生(専門は応用微生物学、私より年上、御本人の名誉のために仮名で、、、高M沢先生としておく)が釣りはいらないぞ、という雰囲気で万札を一枚出された。いわゆるドヤ顔である。

のではあるが、老舗かわらやでは1万円では一人分にも足りない。気弱な私はうかつにも相手の自信に押され、お礼を言いつつそのまま受け取ってしまった。

このやりとりを見たもう一人お呼びしておいた先生(植物系の先生で私と同世代。 こちらも仮名で嶋Z先生としておく。)も、高M沢先生に続けとばかりに「私もこれで」と万札一枚を出された。こうなるとここもありがたく受け取るしかないのであったが、、、結局私の支払いは私と講師の先生の分、プラス2名の先生方の足りない分、ということになってしまった。とてもイタイ。呼んでおいた援軍に寝返られたような形である。

(2012年)

追記 名店かわらやは2023.8.31で閉店


2.カナダのアルバータ大学のGregory Taylor 先生(専門は植物栄養学、今はリタイアされてカナディアンロッキー湖畔のログハウスにおられるとか)がサバティカルで岐阜大へ来た。私がホストということではなかったがグレッグさんにはアルバータ大へ訪問した際に一度飲みに連れて行ってもらったことがある。今回は気晴らしに長浜へのデイトリップにお誘いしてみた。5月上旬の藤の花が咲く頃であった。

長浜城を見学し、 その後地ビールのレストラン(長濱浪漫ビール)へ連れて行ってビールを飲む、というプランである。グレッグさんはビール好きなのである。飲むので電車で行った。

二人で行ったので道中ずっと二人で話をするのだが、グレッグさんはフランス訛りがあり、私にとってはかなり聞き取りづらい英語を話す。1日一緒にいると疲れてしまった。グレッグさんは先日名古屋のビールフェスタへ行ったが、高くて量が少なくてそれほどおいしいビールにもありつけず不満が溜まった、とのこと。長浜のビールは喜んでもらえた。長浜のビールは苦味が強く、春夏に飲むととてもおいしい。街から見える伊吹山がビールに使う水の源である。

このとき聞いた話だが、アルバータ大学理学部で考古学の先生を招待して講演してもらい、その後のパーティーの際にエチオピアで見つかったアウストラロピテクスの化石人骨個体(女性)に「ルーシー」という名前が付いた、とのことである。グレッグさんの奥さんが強く勧めたらしい。 ルーシーというのは専門外の私でも知っている超有名人(厳密には超有名アウストラロピテクス)であり、その命名にグレッグさん(の奥さん)が関わっていたとは驚きの話である。 Wikipediaによるとルーシーの名称は発見されたその日の晩に付けられた、とあるので、ちょっと話が合わない。でも、これは作業用のニックネームで、正式名称としても採用することをグレッグさんの奥さんが勧めた、という話なら一応のつじつまは合う(詳細不明)。ちなみにルーシーという名前はビートルズの曲名が由来(Lucy in the sky with diamonds)。



グレッグさん@長浜







(2015年)

追記 長浜浪漫ビールはその後ウイスキーを出すなど好調。料理のおすすめはフライドポテト。


3.理研時代の繋がりで微生物の合成ゲノム系の研究者が山本研へ遊びに来た。 名前はRobert Sidney Cox IIIで、「ロバートシドニーコックス・ザ・サード」と読む(帰国後ベンチャー会社を設立)。鵜飼に興味があるとのことだったので、鵜飼を見られる長良川岸の老舗料亭「石金」を予約してもてなすことにした。二人で食事してその後鵜飼を岸から見学するという流れ。 石金も高いが、鵜飼船に乗ってイマイチの弁当を食べるよりはリーズナブル、という計算である。 電話での予約時に「お部屋が広いですがよろしいでしょうか?」と聞かれた。狭いならまだしも広くて困ることはないように思われたので「いいですよ」と深く考えずに返事をしておいた。

午後のセミナーとディスカッションの後、車で料亭まで行き、案内されたのが写真の部屋である。 確かに部屋は広かった



ロバートさんと広い部屋。写真に写ってるだけで33畳。

この部屋でサシ飲みした。






ロバートさんは「ここでカラテが出来る」と無邪気に喜ばれていた。私も貴重な経験ができてよかったのではないかと思う。

(2017年)




2023.3.28




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