植物分子生理学研究室
Lab for Plant Molecular Physiology, Fac Appl Biol Sci, Gifu University
まずい食べ物
豚肉
小学校の頃(昭和4〜50年代である)給食のメニューに「シチュー」というのがあった。ケチャップ風味の汁つきの煮ものでアルマイトの食器に入って出てくる。じゃがいもやニンジンと一緒に豚肉が入っていた。この豚肉が非常にまずいのではあるが、問題は同じく煮物に入っていた豚の脂身の塊である。イチゴくらいの大きさで、飲み込むとなるとかなり大きい。が、噛んでもぐにゃりとするばかりでかみきれない。仕方がないので噛まずに飲み込むのだが、このときに何故か涙がでる。どうにも飲み込めなくて口に含んだままトイレに行って吐き出す、ということもある。飲み込めなくてもトライするだけで涙がでる。
当時の、おそらく全国の小学校には「食べ残しは許さない」という方針があり、給食はすべて食べきらないと許してもらえなかった。給食の次は掃除の時間で、学友たちが掃除をする中、給食を食べきれずにいる学生はシチューの豚肉の脂身と向かい合う。最後には上記のように涙の結末を迎えるのであった。
ついでにいうと、給食のシチューは先割れスプーンというもので食べる。メロン用のスプーンのような形をしており、フォークとスプーンを両方出すのを面倒に思った給食関係者の貧乏くさい発明品である。主食は食パンで焼きたてのときは過発酵のすっぱい匂いがする。四角く銀紙に包まれたマーガリンか、ときどき出されるパック入りいちごジャムがお供である。
給食の経験から、小学生の私は豚肉の煮物には常に警戒していた。中学に上がってからは給食は出なくなったので、しばらくまずい豚肉と出会うことはなかったが、大学に入ってクラブのコンパの鍋会で再会したときには懐かしい気持ちになったものである(ウソです)。
ハムサンド
京都百万遍にあった漫画喫茶(店名忘れた)で出会ったハムサンドは記憶に残るほどまずかった。まずいサンドイッチの定番として「パンがぱさぱさ」というのががあるが、この点は難なくクリアしていた。食べると口中の水分がぱさぱさのパンに吸収されてしまって飲み込むのに苦労する(関西では「喉がつまる」という表現をする)。この店のハムサンドにはハムにも工夫があり、極薄かつ表面がつるつるになっていてハムの味が全くしない(普通にカットしただけだと思うが)。
しかし、この店のハムサンドの最大の特徴は「気分が悪くなるマーガリン」にある。食べるとべったりと舌やら喉にまとわりつき悪い油の味が口いっぱいに広がる。 マヨは使っていないので酸味のヘルプはない。 理論上は存在するはずのハムの塩気もなぜか届かない。ので純粋にマーガリンの風味と向き合うことになる。
このハムサンドを一口食べると、まずはぱさぱさパンで軽い攻撃を受けた後すぐに主力部隊たるマーガリンにより大きなダメージを受ける。主力部隊の活躍中もぱさぱさパンによる側方支援は継続しており、ダメージ2割増となる。
同等のインパクトが期待できるマーガリンサンドというメニューは存在せず、ハムサンドだからこそ提供されていた訳でもあるので、今考えると「存在を消しているハム」もなかなかな貢献をしていたのかも知れない。
これを「人生でいちばんまずかったハムサンド」として友人に紹介すると、なぜか「行ってみたい」という人が数人現れたのは不思議なことであった。
中華レストラン
アメリカ、コネチカットの州都ニューヘブンから車で数十分のところに評判の中華レストランがあった。誰かに薦められて行ったのであるが、食後、同行者が「この店インチキ」という評価を下してしまった。レストランを評して「インチキ」という表現は初めて聞いたが、その後数十年同行者と同行しているが、同じ評価を聞くことはなかった。つまりは私にとっては唯一無二の「インチキレストラン」である。同行者によれば、「残飯の味がした。小学校の給食を思い出す。」とのこと。この店をニューヘブンの日本人の知り合いに紹介すると、ここでも「どれほどまずいのか是非行って確かめてみたい」という声を聞くことになった。皆さん冒険好きなようで。。。
ついでに言えば、アメリカの中華レストランは当たり外れが激しい。外れ店のレベルの低さは相当なものであり、中華料理を食べに行くにはこのリスクをどうにかする必要がある。中国人の客が多い店は大丈夫、ととあるアメリカ人が言っていたが、そうかも知れない。当たりの店でも客に合わせて店側の対応が変わるのはよくあることなので、中国系の人と一緒に行くと安心。
おまけ
こんにゃくを一旦凍らせてから調理して食べるとおそろしくまずい。普通の人は食べられないのではないかと思う(私もムリ)。家庭で簡単にできるまずい食べ物として紹介したい。
まずいコーヒーを作るには、出来立てのコーヒーを雪平鍋に入れて10分間煮立てるとよい。番茶のような、もしくはわら半紙のような風味を味わうことができる。
2020. 1. 25
Highly Cited Researchers of Gifu University