植物分子生理学研究室
Lab for Plant Molecular Physiology, Fac Appl Biol Sci, Gifu University
筆記具
細かいことが気になる性格である。指の甘皮にさかむけが出来ていたり靴底に小石がはさまって歩く度に変な音がしたりすると、それだけでその日の私の活動度は20%は減少する。画像をjpeg化するとノイズがのる(30倍くらいに拡大するとよくわかる)のでごく最近までかたくなに避けていた注1。気にならないコトは全く気にならないのではあるが・・・
筆記具について。私の師匠は長年プラマン(ぺんてる)を愛用していた。ペン先が堅い繊維質のプラスチックでフェルトペンと万年筆の中間の様なペンである。使い捨て。インクが無くなるまで字がかすれないのがウリであった。文字のハネもうまく書ける。ちなみに師匠の文字はハネに特徴がある。
1)私は中学生の時からボールペン派である。使い終わってインクが無くなった芯を捨てずにとっておく趣味がある。替芯を買うのも趣味である。当時から気づいていたが、ボールペンにはいくつか深刻な欠陥がある。古くなるとペン先のボールが回転出来なくなってインクが出てこないこと注2と、書いているうちにペン先にノリのようなダマが出来ることである。ボールペンを使う前に試し書きをする習慣がある人は、意識していなくとも前者の問題が身にしみている、ということである。インクが残っているのに書けないというのはナサケない。
2)学生時代に実験ノートをとるようになって耐水性の顔料インクのボールペンを使うようになった。顔料インクはかすれがなく、ペン先のダマがでないのである。すばらしい。ただし、当時(90年代前半)のペンはダマは出ないが、インクが出すぎて紙を汚すことがあった。
3)1994年のアメリカ留学の際にお気に入りのペン先0.3mmの極細ボールペンを持っていったが、あちらのラフな紙質のノートではペン先が引っかかってしまって実用にならない注3。結局鈍臭いくらいに太いペン先の油性ボールペンがマッチするのであった。この時に私の極細志向は冷めてしまったように思う。
4)2002年頃、オフィスの引越しの際に机の引出しの奥からペンが数十本あるのが発見された。全部使いかけである注4。一本づつ試し書きをして書けないペンは捨てていくと、まだ書けるということで残ったのはほぼすべて三菱のペンであった。その日以来私は水性顔料のボールペンに関しては三菱派である。加えて、ノック式ではなくキャップ式に限って購入している注5。
5)三菱からJetStreamという渾身の作品が開発された。城達也もびっくりという滑らかな書き味がウリである。飛ぶ鳥を落とす勢いでファンを得て、師匠もプラマンを見限ってこちらに乗り換えようかという程であった。私はというと、JetStreamはたしかに書き味は素晴らしいがノック式なのがどうしても受け入れがたく、定番として採用とはならなかった(でも買った)。最近指でインク室を加圧してインクの出を良くするという機能を持つものが出てきたが、第一印象が私には合わなかったのでこれも見送った。
6)結局今は三菱のUni-ballのシリーズ(Vision Elite)を使っている注6。職場の生協では扱っていないので街へ出た際に買い込んでおく。キャップ式で、太さは普通の中字。値札や注意書きのシールはすべてはがしてから使う。一見なんでもないペンであるが、これが手元にないと私の活動度は7%は低下する。そういう感じである注7。
注1)それでPICTやPNG、TIFF、GIFをテキトーに使っていたら、ソフトのアップデートやMacからWinへの持込みでファイルの画像が表示出来なくなってしまうことが時々ある。JPGならどんな環境でも表示出来ない、ということはまずないので、最近は渋々JPGを使っている。
注2)若い人にはもう馴染みがないと思うので記念に(?)記しておくと、ペン先を息で暖めて書けるようにする、という儀式があったのである。が、いつもうまくいくとは限らない。というよりは、たいていうまくいかない。それでも一応は行っておくのがしきたりであった。
注3)例えて言えば、荒れたグラウンドでパスサッカーをするようなもの。
注4)死期が近づいた象がひっそりと象の墓場に集まっていくように、一本、二本、と机の引出しの奥の方に集まってくるのに違いない。
あるいはこれは発エルゴン反応なので自然に起こっているのだという説もある。もしそうなら、1)ペンはペンの隣にあるのが最も安定である、2)ペンを机の上に置くと不安定化される、という2つの仮説を用意しておけばそれなりに説明できそうである。何もない机上に一本だけペンを置いてじっと見つめていると、確かに居心地悪そうに見えるし、また、引出しを開けてたくさんあるペンの中から一本取り出す際にかすかな抵抗を感じる(そおっと取り出すとより感じられる)、という私の観察は上記の仮説を支持しているように思う。
注5)買わなくてもボールペンが増えていくのは御存知の通りである。
注6)このペンは筆圧がかからなくても書けてしまうので、転写式の書類には不向きである。転写する際は油性インクのボールペンを用いるのが正しい。
注7)筆記具にこだわる割に書く文字は最低レベルであるが、ま、それはそれ、これはこれ、「立つ鳥筆を選ばず」である(?)。
2010. 11.15
Highly Cited Researchers of Gifu University