はじめに(2)

 

 唐突ですが、上の図は為替レートです。JPYが日本円でUSDが米ドルです。こういったグラフをもとに円高だとか円安だとか、円高というよりはむしろドル安だとか実は両方値下がりしているとか解説者が言う訳ですが、どうもすっきりしない話が多いように感じています。そこでこの際経済学オンチの私が「植物生理学研究の経験を生かして」簡単に解析してみます。何がわかるか知りませんが、各通貨間の連動性でも見てみましょうか。


 まずは二通貨間のレートで比較するのはやめて(死角ができるので)、何かの価格を指標に通貨価値を測ることにします。ここは素人らしく金(Au)の価格で表示してみました。調べたのは日本円(JPY)、米ドル(USD)、ユーロ(EUR)、カナダドル(CAD)、スイスフラン(CHF)、英ポンド(GBP)、そして豪ドル(AUD)です。これで単一通貨の変動を見ることができます(あくまで金に対してですが)。2005年からの4年間の為替レートと金の価格をインターネットから入手し、各通貨間の連動性をクラスタリングというグラフ間の距離を測りグループ化していく手法で動き方の似ている順に並べてみました(右図)。これは遺伝子発現のパターンを解析する際に用いる常法です。

 図の見方は下が2005年1月の金の値段で上が2009年4月のものです。どの通貨で見てもこの4年間に赤から緑へと変化しているので世界的にインフレが進んだか、金の価値が上がったかどちらかだと思われます(たぶん後者)。ちなみに2008年9月には例のリーマンショックがありました。それ以降日本円は他の通貨と連動していないように見えます。

 赤と緑のヒートマップの上にあるトーナメント表のようなものが通貨間の連動性を示しています。図では米ドルとカナダドル、日本円とユーロ、豪ドルと英ポンドが連動しており、米ドル/カナダドルは他のグループとはちょっと違う、という結果が出ています。このクラスタリングという手法では連動性の強いものが隣にくるようになっているのですが、図をみたところ、それほどきれいにクラスタリング出来ているようには見えません。

 一つ考えられるのは二通貨間の連動性は必ずしも一定値をとっているのではなくて時期によって変動しているのではないか、ということです。そこで二通貨間の連動性を6ヶ月間の平均値として算出し、1995年からの4年間でどう変化するかを見てみました。結果は下図の通りで、やはり、日によって連動性は変化しているようです。グラフからわかるように1995年には日本円は米ドルよりもユーロと強く連動していましたが、その後逆転し、2008年9月には円とユーロは逆相関(円が上がるとユーロが下がる)の関係になっています。

 そこで、2005年の3-9月、2007年の3-9月、2008年の6-12月と期間を狭めて、その間での相関関係を解析してみました。結果は下の図のようになります。赤は正の相関で太い程相関が強く、青は負の相関です。こうしてみると意外にもカナダドルは米ドルとの相関はあまりなく、むしろポンドや豪ドルと連動していることが見て取れます。ユーロ、ポンド、スイスフランはいつでも連動性は高いようです。

 解析はこれで終わりにしますが、今まで見たことの無いグラフや図を目にされたことと思います。今回解析したのは一週間ごとの値の4年間の変動ですが、1時間ごとの細かな変動を追えばまた違った特徴を掴めるのではないかと思います。おそらく短期決戦型トレーダーのやり口がどの通貨間でも共通して現れるのではないかと予想しています。

 それにしても金買っとけばよかったですね。たった4年で倍に値上がりするなんて、、、

植物生理学者が為替変動を解析すると、、、

 生理学というのは生物の体内で起こっていることを調べる学問です。ゲーテの昔には博物学、形態学と並ぶ位置にあったので、個体を扱う生物学の中で「目に見える現象は形態学、見えないところは生理学」という区分だったのではないかと思われます(旅をするのが博物学?)。目に見える形態形成も目に見えないメカニズムが裏でコントロールしている訳ですから、形態学と生理学は独立に存在している訳ではありません。


 さて、私はその昔大学で卒業研究を行ったころからずっと植物生理学(分子遺伝学やゲノム科学も含むことにします)の分野で研究活動を行ってきました。自慢ではありませんが高校を卒業して以来経済学の勉強をしたことはただの一度もありません。ケインズよりもケアンズの方が馴染みがあります(ちなみに前者は有名な経済学者だそうで、後者はオーストラリア北西部にある観光地です)。

<script type="text/javascript">


  var _gaq = _gaq || [];

  _gaq.push(['_setAccount', 'UA-40154169-1']);

  _gaq.push(['_trackPageview']);


  (function() {

    var ga = document.createElement('script'); ga.type = 'text/javascript'; ga.async = true;

    ga.src = ('https:' == document.location.protocol ? 'https://ssl' : 'http://www') + '.google-analytics.com/ga.js';

    var s = document.getElementsByTagName('script')[0]; s.parentNode.insertBefore(ga, s);

  })();


</script>

日本語メニュー
日本語トップページ
研究業績
メンバー
行事予定
学会発表
Journal Club
担当講義
外部資金・研究
プロジェクト
Journal Site link
selected articles
guide of reporter genes
書評始めました
tea time
研究設備
植物分子生理学特別セミナー
解析サーバー
受賞
研究紹介
大学院入学
希望者情報
実験五則
shan_ben_yan_jiu_shi.html
research_j.html
application.html
publication.html
member.html
grant.html
labsetup.html
server.html
award.html
schedule_current.html
meeting.html
seminar.html
Journal_Club.html
Journal_link.html
lecture.html
selected_article.html
reporter_guide.html
books_intro.html
tea_time_0.html
Experiment.html

Highly Cited Researchers of Gifu University

top30.html
国際細胞共生
学会
ISE.html
有名人研究者
思い出話
tea_time_67.html