シラバス「岩手大学」

基礎獣医学

谷口和セミナー 授業科目
(単位数)
基礎獣医学特論UあるいはV(2単位分)
授業テーマ 特殊感覚器の構造、投射および系統発生
授業概要 動物は外界から感覚器によって様々な情報を獲得し、それにより個体の生存、種族の維持などを図っている。感覚器で重要なのは神経系に脳が形成されたことにより生じた特殊知覚の受容に関係する感覚器、すなわち嗅覚器、視覚器、味覚器、平衡聴覚器である。そこで本セミナーではこれら特殊感覚器の構造、その投射路、また系統発生について、形態学的側面から講義を行うとともに、本教員がこれまで行ってきた研究の成果も紹介し、特殊感覚器に関する深い知識を与えることを目標として授業を行います。
授業方法 7〜8月に岩手大学内で集中授業を実施します。
成績評価 レポートにより評価します。
橋爪セミナー 授業科目
(単位数)
基礎獣医学特論UあるいはV(2単位分)
授業テーマ 細胞増殖および分化とその調節制御要因について
授業概要 細胞周期がどのようにして調節され、その制御系について理解を含めるとともに、ウシ子宮および胎盤組織における細胞周期の調節系について取り上げ、細胞機能の調節について理解を深めることを目標として授業を行います。妊娠は動物の再生産に欠かせない生理現象であり、この過程について、特に母体と胎子間の情報交換についての検索は不明な点が多い。しかしながら、母子間情報交換と妊娠成立の不可思議さについては、近年の分子生物学的技術開発の利用から明らかになりつつある興味ある領域であり、本セミナーでは、家畜の妊娠にともなう着床および胎盤形成がどのようにして調節されるかを、生体の他の組織における細胞の増殖、分化との対比をすることから、細胞の増殖や分化の機構についての考察を深める。
授業方法 関連する文献資料等を配付し、設定される課題について意見をメールで担当教員へ送付するとともに、受講者全員で共有し、討議材料とする。メールで相互に意見を交換討議します。
成績評価 討議後、設定課題についてのレポートにより評価します。
山本欣セミナー 授業科目
(単位数)
基礎獣医学特論UあるいはV(2単位分)
授業テーマ 感覚器の刺激受容メカニズム解明のための研究デザイン
授業概要 嗅覚、味覚、聴覚、圧覚、温度覚など体内の刺激あるいは環境からの刺激を受容する機構が備わっています。しかしながら、その刺激受容機構は大変複雑で不明な点が多く、諸説入り混じっているのが現状です。各自でひとつの感覚器を選び、その感覚器の刺激受容機構についてわかっていることを整理して研究の背景をまとめるとともに新しい研究のデザインを試みます。
授業方法 配布資料を利用してメールによるディスカッションを行います。
成績評価 受講状況およびレポートから総合的に評価します。
中牟田セミナー 授業科目
(単位数)
基礎獣医学特論UあるいはV(2単位分)
授業テーマ 嗅覚系の比較解剖学
授業概要 動物は個体の生存や種の維持に関わる様々な情報を嗅覚によって得ています。匂いレセプターやフェロモン受容体の発見など、嗅覚に関する研究はこの数年間で急速に進んできました。本セミナーでは、様々な動物の嗅覚器の構造や、嗅球の形態等について最新の論文を交えて解説し、フェロモンを含む嗅覚系の理解と、新しい研究課題の発掘を目標として授業を行います。
授業方法 配布資料を利用してメールによるディスカッションを行います。
成績評価 受講の状況から評価します。
木崎セミナー 授業科目
(単位数)
基礎獣医学特論UあるいはV(2単位分)
授業テーマ 雌性生殖器における血管および栄養膜細胞の分子細胞生物学
授業概要 子宮・胎盤などの雌性生殖器では、特定の時期だけ組織が著 しく増殖するために多くの血流を必要とするが、その時期が過ぎると組織が崩壊していくという特徴があります。このような月経や妊娠に伴う胎盤形成に代表される生理現象では、血管系形成・再構築が多くの増殖 因子・情報伝達分子によって巧みに制御されおり、また、子宮内膜細胞や絨毛膜栄養膜細胞との緻密な相互作用により成り立っているとも考えられています。本セミナーでは、このような雌性生殖器における血管形成・細胞相互作用の機構についての知識を深めることを目標として授業を行います。
授業方法 関連する文献資料等を配付し、設定される課題について意見をメールで担当教員へ送付するとともに、受講者全員で共有し、討議材料とする。メールで相互に意見を交換討議します。
成績評価 設定課題についてのレポートにより評価します。
山田美セミナー 授業科目
(単位数)
基礎獣医学特論UあるいはV(2単位分)
授業テーマ 生体内ホメオスタシス維持機構について
授業概要 生物は外的環境を感知し、その環境変化に合わせて柔軟に対応することで自らの生存を可能にするホメオスタシス機構を備えています。科学者の努力により、血圧調節や浸透圧調節など様々なホメオスタシス機構が明らかになってきていますが、感知・制御機構について不明な点も今なお多く残されています。本セミナーでは、各自でテーマを設定し、研究の歴史的背景・実験方法論をレポートとしてまとめ、今後の研究展開および解明方法について考察を深めます。
授業方法 配布資料を利用してメールによりディスカッションを行います。
成績評価 レポートまたはセミナー発表により評価します。

病態獣医学

古濱セミナー 授業科目
(単位数)
病態獣医学特論UあるいはV(2単位分)
授業テーマ  
授業概要 創薬研究における開発候補化合物選別の考え方(コンセプト)を、安全性研究を中心に講義します。また、毒性(有害作用)が発現した場合の臨床病理学的、薬物動態学的および分子生物学的アプローチ法についても事例を挙げて紹介し、discussionを行います。毒性学は基本的に種差の学問ですので、前臨床研究で必要な対象動物の特性についても講義します。本授業では各種獣医療における薬物の適正使用を目標においています。
授業方法 8月か9月に岩手大学で集中講義を実施します。
成績評価 受講状況およびレポートから総合的に評価します。
板垣セミナー 授業科目
(単位数)
病態獣医学特論UあるいはV(2単位分)
授業テーマ 寄生蠕虫と原虫類の分類・形態、生態、分布および進化
授業概要 寄生虫には多様な種があるが、それらは生命の誕生から繰り広げられてきた寄生虫と宿主の相互関係や相克の結果として進化し形成された。寄生虫種が持つ形態や生態、宿主特異性などの生物学的特徴と進化の関連を考察し、寄生虫生物学を理解することを目的として授業を行います。
授業方法 配布資料を利用してメールによりディスカッションを行います。
成績評価 受講の状況から評価します。
鈴木忠セミナー 授業科目
(単位数)
病態獣医学特論UあるいはV(各2単位)
授業テーマ 各種化学物質、薬物、毒物の神経毒性ならびにそれらの毒性発現機序につい て理解することを目的として授業を実施します。
授業概要 毒物、薬物の生体機能とくに中枢神経系に対する作用ならびにその分子薬理学 的毒性発現機序などを学ぶ。
授業方法 配布資料を利用してメールによりディスカッションを行います。
成績評価 受講の状況から評価します
御領セミナー 授業科目
(単位数)
病態獣医学特論UあるいはV(各2単位)
授業テーマ 鳥類の感染性疾患、特に細菌性・ウイルス性疾患の病理
授業概要 細菌性疾患としては、最近では野外で急速に増加傾向のある大腸菌症の一分症として捉えられるようになってきた蜂窩織炎、ウイルス性疾患としては高日齢でも発生するようになったマレック病にスポットを当て、発生率、誘因、病像、予防法等について解説し、免疫学的観点からの細胞動態について理解を深める。
授業方法 1月に岩手大学にて集中授業を実施、配付資料やパワーポイントによる説明を行い、ディスカッションにより理解を深める。
成績評価 受講の状況により評価する。

応用獣医学

原澤セミナー 授業科目
(単位数)
応用獣医学特論UあるいはV(2単位分)
授業テーマ 感染理論からみた病原体とその感染制御
授業概要 感染症の発生を古代から現代まで歴史的に俯瞰しながら、それに伴って成立してきたさまざまな感染学説を論考し、現代における病原微生物学の到達点を明示する。その過程でとくに「プリオン仮説」に対する「コッホの条件」がもつ今日的意義を取り上げてその病因論を検証し、病原体の本質を厳密に定義するとともに感染症の制御に関する理論と実践を修得する。
授業方法 7〜9月に岩手大学キャンパスで集中講義を行います。
成績評価 レポートにより評価します。
津田セミナー 授業科目
(単位数)
応用獣医学特論UあるいはV(2単位分)
授業テーマ 難分解性環境汚染物質の環境動態と毒性学的研究
授業概要 有害化学物質による健康障害は嘗ては職業病として知られてきた。また、水俣病やイタイイタイ病に見られるような公害の原因物質としても知られている。最近では、DDTやダイオキシンのような難分解性有機汚染物質による地球規模の汚染とその影響が危惧されている。これらの環境汚染物質の影響を正しく評価し、効果的対策を行うために、その環境中への放出、環境中動態及び環境や人への作用を総合的に理解させることを目標として授業を行う。
授業方法 7〜9月に岩手大学内で集中授業、または配布資料を利用してメールによりディスカッションを行う。
成績評価 受講の状況から評価する。
平野セミナー 授業科目
(単位数)
応用獣医学特論UあるいはV(2単位分)
授業テーマ 感染症の病理発生について
授業概要 病原体が各経路から宿主体内へ侵入したのち、どのようにして標的細胞、組織に到達し、感染増殖するのかを免疫病理学的、微細形態学的、宿主の免疫応答等を介して解析する。その結果に基づいた宿主病態の出現、変化、新たな宿主への感染様式を教授する。
授業方法 7〜9月に岩手大学キャンパスで集中講義を行います。
授業方法 レポート等により評価します。
佐藤至セミナー 授業科目
(単位数)
応用獣医学特論UあるいはV(2単位分)
授業テーマ 研究のための放射線利用とその防護
授業概要 研究推進のための有力なツールである放射線・放射性同位元素の様々な利用方法について解説するとともに、その管理の特殊性や防護理論を教授することにより、放射線・放射性同位元素の安全かつ有効な研究利用について習得させる。
授業方法 岩手大学において集中授業を行う。
成績評価 受講状況とレポートによって評価する。
重茂セミナー 授業科目
(単位数)
応用獣医学特論UあるいはV(2単位分)
授業テーマ 細菌毒素の分子生物学
授業概要 細菌毒素について理解を深めることは、種々の細菌感染症の病態を理解するためにも、また、これらの感染症を予防、診断、治療するためにも重要です。さらには、細菌毒素は生体に対して極めて特異的な作用を示すため、様々な生体の機能を解析するための有用なツールとして利用されています。この授業では様々な角度から細菌毒素にアプローチし、その生物活性を分子レベルで理解することを目標として授業を行います。
授業方法 配布資料を利用してメール等によりディスカッションを行います。
成績評価 レポート、受講状況に基づいて成績を評価します。

臨床獣医学

安田セミナー 授業科目
(単位数)
臨床獣医学特論UあるいはV(2単位分)
授業テーマ 病態診断の精度を上げるために獣医臨床で使う検査指標を評価する
授業概要 医学分野で既に臨床診断に使われている様々な血液生化学指標が、獣医臨床でも同様な診断価値を有するとは限らない。動物毎に個別の検証が必要である。近年新たに獣医臨床に応用されてきた血液生化学指標について、動物種別にどのような病態の診断に用いられているかを講義し、臨床研究の一助とすることを目標として授業を行います。
授業方法 配布資料を利用してメールによりディスカッションを行います。
成績評価 受講の状況から評価します。
居在家セミナー 授業科目
(単位数)
臨床獣医学特論UあるいはV(2単位分)
授業テーマ 牛の分娩後の生殖機能制御
授業概要 ウシの分娩後の卵巣機能や子宮修復に及ぼす要因とその制御法についての臨床繁殖学的な立場から理解できることを目標として授業を行います
授業方法 関連資料を配布してメール等によりディスカッションを行います。
成績評価 レポートにより評価します。
佐藤繁セミナー 授業科目
(単位数)
臨床獣医学特論UあるいはV(2単位分)
授業テーマ 乳牛における周産期疾病の発生要因、病態および防除
授業概要 乳牛の周産期疾病、特に分娩前後にみられる乳熱などの低カルシウム(Ca)血症関連疾病およびケトーシスや脂肪肝などの負のエネルギーバランス(NEB)関連疾病の発生要因、病態および防除について解説します。このことから、乳牛の周産期における低Ca血症およびNEBの発生機序と防除対策の重要性を理解することを目標として授業を行います。
授業方法 関連資料を配布してメール等によりディスカッションを行います。
成績評価 レポートにより評価します。
佐藤れセミナー 授業科目
(単位数)
臨床獣医学特論UあるいはV(2単位分)
授業テーマ 動物の炎症性疾患の病態生理とその治療に関する研究
授業概要 本セミナーでは、免疫不全症に伴う慢性炎症のメカニズムについて、生体内における好中球機能ならびにリンパ球機能変動の観点から免疫学的に学ぶとともに、実際の臨床例における分析結果についても考察します。そして免疫不全症と慢性炎症という2重の障害をコントロールするための免疫調整剤について学び、実際の臨床応用についても理解を深めることを目的に授業を実施します。
授業方法 テーマについて、これまで発表してきた論文と実際の臨床例を用いて解説するとともに、これからの研究展望に関して国際学会などの資料をもとに説明します。資料はメールで送付し、メール上でのディスカッションも行えるようにし ます。
成績評価 受講の状況から評価します。
山岸セミナー 授業科目
(単位数)
臨床獣医学特論UあるいはV(2単位分)
授業テーマ 牛の低カルシウム血症などの原因、病態、予防法
授業概要 分娩前後の乳牛では生理的に血中Ca濃度が低下しやすいが、その程度が著しい場合に起立不能を主徴とする産褥麻痺(parturient paresis)を発症する。また、臨床症状を伴わなくとも低Ca血症が潜在すると第四胃変位などの周産期疾病も発生しやすい。本授業では、乳牛の低Ca血症に関する最近の研究成果について学習することを目的とする。
授業方法 各自が乳牛の低Ca血症に関する最近の研究論文を検索し、その研究に関して プレゼンテーション形式などで解説してもらい、ディスカッションを行う。岩手大学以外の大学院生の場合には、電話かメールで行う。
成績評価 解説ならびにディスカッションの状況から評価します。
宇塚セミナー 授業科目
(単位数)
臨床獣医学特論UあるいはV(2単位)
授業テーマ 伴侶動物医療における外科分野に関する特別講義
授業概要 日々進化する伴侶動物医療において、外科的な診断・処置法について、とくに麻酔や断層撮影に関しての造詣を深めることを目標として授業を行います。具体的には、各種麻酔薬の生体に対するさまざまな影響や、外科的疾患、とくに神経学的疾患に対する断層撮影の活用法についての授業を行う予定です。
授業方法 配布資料をもとにして、メールを活用して議論を深めていきます。
成績評価 受講状況を基本として、最終的にはレポートの内容によって評価します。
大澤セミナー 授業科目
(単位数)
臨床獣医学特論UあるいはV(2単位)
授業テーマ 動物の繁殖障害の病態解明と生殖機能の人為的調節
授業概要 ウシの分娩後における長期不受胎の要因のうち、特に無発情および早期胚死滅について、その原因、治療ならびに予防法に関する国内外における最新の研究動向を紹介しながら解説します。また、生産者と消費者双方の利益に寄与する繁殖管理の方法や生殖機能の人為的調節のあり方を受講生と議論します。各受講生が臨床現場における繁殖障害の現状と問題点を正確に把握し、その解決のために必要な方策を体系的に整理できることを到達目標として授業を行います。
授業方法 配付資料を利用してメールによりディスカッションを行います。
成績評価 レポートにより評価します。
岡田啓セミナー 授業科目
(単位数)
臨床獣医学特論UあるいはV(2単位)
授業テーマ 牛の生産獣医療の基礎と応用
授業概要 牛の生産獣医療学は、食の安全、動物福祉、畜産と環境、そして農家の生き残りにかかわる分野です。その基礎となる牛の栄養プロファイルを中心に反芻獣生理学を臨床面から整理し直し、それを基礎に、代謝病を中心とした疾病発生予防と動物福祉を配慮した生産性向上の方策を探ります。
授業方法 前期と後期に2回、開講します。
成績評価 レポートにより評価します。
大石セミナー 授業科目
(単位数)
臨床獣医学特論UあるいはV(2単位)
授業テーマ 犬の腎性貧血の病態解析
授業概要 腎不全において問題となる貧血は、尿毒症症候群の一部をなす直接的QOL悪化原因となっています。このような腎性貧血は単一の病因ルートによるのではなく、腎不全の複雑な病態と関連してその発現程度や進行状況に変動性がみられます。このセミナーでは、エリスロポエチン産生性の問題、赤血球寿命の問題、および出血・失血の問題について行われてきている研究について学び、腎性貧血病態への理解を深めることを目標とします。
授業方法 e-Learning システムにより授業を行います。
成績評価 レポートをもとに評価します。