岐阜大学トポロジーセミナー


令和6年度

日時:9月3日(火)15:00~

市原 一裕 (日本大学)

タイトル:
On two-bridge ribbon knots

アブストラクト:

We show that a two-bridge ribbon knot K(m2,mk±1) with m >k > 0 and (m, k) = 1 admits a symmetric union presentation with partial knot which is a two-bridge knot K(m, k).
Similar descriptions for all the other two-bridge ribbon knots are also given. This is a joint work with Sayo Horigome.


令和5年度


日時:2月13日(火)15:00~17:00

船越 紫 (岐阜聖徳学園大学)

タイトル:Properties of Celtic knot design of p × q square grid and p × q honeycomb grid

アブストラクト: ケルト文化における伝統的なデザインとして,ケルト結び目と呼ばれる幾何
学模様が存在する。これは数学的対象である交代結び目として扱うことが可能な模様であり,
Fisher-Mellor はこの模様をCeltic Knot Design として定義した。本講演ではこの定義を拡張す
ることによって得られた射影図に関するいくつかの性質を紹介する。本研究は橋爪惠氏(秋田
大学)との共同研究である。



令和4年度


日時:10月24日(月)14:00~15:00

門上 晃久(金沢大学)

タイトル:The Ma-Qiu index and the Nakanishi index for a fibered knot are equal, and $\omega$-solvability

アブストラクト: 結び目 K、結び目群G(K)に対し、Ma-Qiu 指数とは、

G(K)の交換子部分群を正規に生成する元の最小数のことで、
中西指数とは、Kの結び目加群の生成元の最小数のことをいう。
それぞれ a(K), m(K)と表すと、m(K)≦ a(K) は明らかだが、
等号成立するときでも、よく知られた他の不変量で上から
評価して示すことしかできなかった。今回、Kがファイバー
結び目のとき m(K)=a(K) であることを直接示すことができた。
実際は、群に "ω-可解性" という概念を導入して、
群対に対して上記不変量を拡張して定義し、群対がω-
可解のとき等号成立であることを示した。系として、9交点以下
の素な結び目の Ma-Qiu 指数を完全決定した。



(セミナーはZoomを使用したオンラインでの開催です。)


令和3年度


日時:8月23日(月)13:00~14:00

櫻井 みぎ和 (芝浦工業大学)

タイトル:Virtual knots whose virtual unknotting numbers equal one and sequences of $n$-writhes

アブストラクト: For a virtual knot K and a non-zero integer $n$, an $n$-writhe $J_{n}(K)$ is an integer-valued
invariant for virtual knots. It was introduced by Satoh and Taniguchi. They showed
that the sequence of $n$-writhes $\{J_{n}(K)\}_{n\neq 0}$ of a virtual knot $K$ satisfies
$\Sigma_{n\neq 0}nJ_{n}(K)=0$. They also showed that for any sequence of integers $\{c_{n}\}_{n\neq 0}$
satisfying $\Sigma_{n\neq 0}nc_{n}=0$, there exists a virtual knot $K$ with $J_{n}(K)=c_{n}$ for any $n\neq 0$.
Furthermore, Kishino's knot is known as a virtual unknotting number one knot many of whose invariants
including $n$-writhes vanish.
In this talk, we show that (1) for any sequence of integers $\{c_{n}\}_{n\neq 0}$ satisfying
$\Sigma_{n\neq 0}nc_{n}=0$, there exists a virtual unknotting number one knot $K$ with $J_{n}(K)=c_{n}$
for any $n\neq 0$, and (2) there exists an infinite family of virtual unknotting number one knots having
the same properties as Kishino's knot. This is a joint work with Yoshiyuki Ohyama
(Tokyo Woman's Christian University).

(セミナーはZoomを使用したオンラインでの開催です。)


令和2年度


日時:2月19日(金)15:00~16:00

岡野 雅起(東北大学大学院情報科学研究科)

タイトル:Jones多項式の幅と絡み目の一般化されたひねり

アブストラクト:一般化ひねりはタングルを連結することで得られる絡み目である. ここでは特に, (3,3)-タングルを考える. 通常のひねりは, 絡み目を非交代化するものである. この講演では,一般化ひねりのJones 多項式の幅と最小交点数の計算例を与える. 一般化ひねりの絡み目の最小交点数は, 一般には決定することが難しいが, 絡み数を用いて決定できる場合がある.

(セミナーはZoomを使用したオンラインでの開催です。)


令和元年度


予定していたセミナーは延期となりました。


平成30年度

日時:2月12日(火)13:30~

場所:岐阜大学教育学部A棟4F・A426教室

13:30~15:00 伊藤 昇 (東京大学大学院数理科学研究科)

タイトル:Crosscap number two alternating knots and Kauffman states

(瀧村祐介氏(学習院中等科)との共同研究)

アブストラクト:alternating knot が crosscap number two であることの必要十分条件を得たので報告する。 crosscap number は1978年にClarkにより導入され、crosscap number one knot が決定された。その後、村上斉-安原 (1995, connected sumによる振る舞いの決定)、寺垣内 (2004, torus knots)、平澤-寺垣内 (2006, 2-bridge knots)、市原-水嶋 (2006, many pretzel knots) により、多くのcrosscap numberが決められた。その後、2013年の Adams-Kindred により、alternating knot の最大オイラー数を与える spanning surface は、Kauffman state による曲面たちの中にもあることがわかった(state surfaceと呼ばれる)。Adams-Kindred では、Kauffman state たち(すなわち n交点だと2のn乗通りのstates) から crosscap number を返す state surfaceの絞り込み方法(候補集合)が与えられた。今回、この候補集合に入るような crosscap two を実現する state surface を直接的に与える。そして、この方法により全ての crosscap number two alternating knots が導かれていることを紹介する。

15:15~ 田中 利史 (岐阜大学教育学部)

タイトル:結び目の対称和とその性質について

アブストラクト:結び目と,ある平面に関して対称な位置にある結び目のその平面上での連結和を考え,さらにその平面上の(いくつかの)ツイストタングルをつないでできる絡み目を結び目の対称和という。

対称和は樹下・寺坂の論文 [On unions of knots, Osaka J. Math. Vol. 9 (1957)] により導入され, Lammの論文 [Symmetric unions and ribbon knots, Osaka J. Math., Vol. 37 (2000)] により一般化された,リボン絡み目の例である。

本講演では,対称和である絡み目のジョーンズ多項式の性質を紹介する。さらに,最小ねじれ数を定義し,その性質とジョーンズ多項式を用いた計算例を与える。

また,対称和がサテライト結び目である場合に,その補空間の本質的トーラスに関して得られた結果について紹介する。

平成29年度

日時:2月13日(水)14:00~

場所:岐阜大学教育学部B棟1F・B102教室

講演者:花木 良 (岐阜大学)

講演1:14:00~15:30

タイトル:空間グラフを用いた教育実践

アブストラクト:空間グラフを背景とした知恵の輪がある。

これをネタとした、高校生による探究活動への指導助言と、科学イベントでの演示について報告する。

講演2:15:45~

タイトル:結び目の影の研究

アブストラクト:結び目は3次元空間にある円周である。それを平面に射影したもの(影)を考えると、交わった点で上下の情報が失われるため、一般にもとの結び目を知ることはできない。影からどのような結び目の性質が読み取れるのか、ほどけているかどうかを知るには最小いくつの上下の情報が判れば判断できるかといった研究成果を紹介する。

平成28年度

日時:2月8日(水)14:15~

場所:岐阜大学教育学部B棟1F・B104教室

講演者:平澤 美可三 (名古屋工業大学)

講演1:14:15~15:45

タイトル:多面体の幾何学

アブストラクト:正多面体を始めとする様々な多面体を通じて,次に挙げるような数学の諸概念を見つめなおす.

線形結合,基底変換,直交行列,(複素)固有値,黄金比,対称群,正規部分群.

またオイラーの多面体定理を通じて,フラーレンの仲間達(ドーナツ状も含む)に馴染む.

講演2:15:55~

タイトル:四次元の多面体

アブストラクト:正多面体が5種類あることの直感的理解を進めて四次元では正多細体が6種類あることを実感し,

模型やCGを眺める.多面体を球面上に描いて二次元球面の多角形分割を行うように,

正多胞体を使って三次元球面の多面体分割し,ホップファイブレーションをつかむ.

4次元から3次元への様々な射影を通じて興味深い現象を観る.

平成27年度

日時:2月3日(水)14:15~

場所:岐阜大学教育学部B棟1F・B102教室

講演者:秋吉 宏尚 (大阪市立大学理学部)


講演1:14:15~15:45

タイトル:双曲幾何入門

アブストラクト:双曲幾何は非ユークリッド幾何の典型例として知られている.この講演では,双曲空間の定義から始めて,

距離や面積の計算,双曲三角法などを,ユークリッド幾何と対比しつつ紹介していく.

講演2:15:55~

タイトル:双曲幾何と3次元多様体

アブストラクト:8の字結び目補空間という具体例を用いて,3次元双曲構造の具体的構成法を紹介する.さらに,

そうして得られる双曲構造と,無限体積(錐)双曲構造の変形理論との関わりについても紹介する.

平成26年度

日時:7月4日(金)13:30~

場所:岐阜大学教育学部A棟4F・A409教室

講演者:伊藤 昇 (早稲田大学高等研究所)

講演1:13:30~15:00

タイトル:Definitions of Khovanov homology and colored Jones homology

アブストラクト:

Kauffman括弧式の拡張としてViroによるホバノフホモロジーの定義を詳しく述べたあと、

色つきジョーンズ多項式のカテゴリー化(categorification)を紹介する。

色つきジョーンズ多項式のカテゴリー化の中でも、特に良い性質をもつと思われるものの定義を試みる。

 この講演1は、そのほとんどが基礎的な定義の説明に終始するが、KhovanovやBar-Natan等の

ホバノフホモロジーにおけるlink cobordism理論(2つのlinksを境界とする4次元に埋め込まれた

曲面の理論)の重要性も踏まえた上でViroの定義を使う理由やどのようなことを考えるべき状況なのか

雰囲気が伝わるようにしたいと考えている。

講演2:15:15~

タイトル:Maps on Khovanov chain groups

アブストラクト:講演1では、ジョーンズ多項式のホバノフホモロジーにおける鎖群上で、

ある写像を考えることが話の中心であった。講演2では、特に議論が必要な次の2点に絞って

詳細を述べる。

[1] この写像の定義は鎖群レベルでは結び目の基点と向きに依存しているのだが、誘導されるホモロジーレベルで、

これらの依存性はどうなるかについて。

[2] 4次元の中で、linkに対し、ある条件を持つアニュラスを2つのlink成分達を境界として貼付ける操作の順序について。

平成25年度

日時:2月5日(火)15:00~

場所:岐阜大学教育学部棟1F・B104教室

講演者:清水理佳 (群馬工業高等専門学校)


タイトル:結び目の射影図のひずみ度行列について

アブストラクト:

向き付けられた結び目図式の辺上に基点をとり、そこから図式を1周たどると、各交点を(上側と下側の)2回ずつ通過する。

このうち先に下を通過するような交差点のことをひずみ交差点といい、ひずみ交差点の個数のことを(基点付き)ひずみ度という。

結び目図式の各辺に基点をとりひずみ度を与えることを、ひずみ度ラベリングといい、それによって得られる列をひずみ度列という。

ひずみ度列から得られるOU列やひずみ多項式、ひずみ交差多項式にも見られるように、これは結び目図式や結び目の交代性に関する性質などをよく表している。

今回、結び目の射影図に対してひずみ度行列という行列を与える。

ひずみ度行列の性質を見た後、ひずみ度行列は結び目射影図を本質的に一意に表すこと、およびその応用について説明する。

平成24年度

日時:2月12日(火)15:30~

場所:岐阜大学教育学部棟1F・B104教室


15:30~17:00 安部哲哉 (京都大学数理解析研究所)

タイトル:ハンドル計算とリボン結び目

アブストラクト:

ハンドル計算(カービー計算)を用いてリボン結び目を得る方法を紹介する。

前半では、ハンドル計算(1ハンドルのdotted circle表示など)の復習をする。

後半では、8_20からアニュラスツイストで得られたスライス結び目の

系列がすべてリボン結び目であることの証明の概略を述べる。

この研究は丹下基生氏(筑波大学)との共同研究である。

17:10~ ディスカッション

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日時:2月18日(月)15:30~

場所:岐阜大学教育学部棟1F・B102教室


15:30~17:00 北山貴裕 (東京大学大学院数理科学研究科)

タイトル: The virtual fibering theorem and sutured manifold hierarchies

アブストラクト:

In 2007 Agol showed that every irreducible 3-manifold whose fundamental
group is nontrivial and virtually residually finite rationally solvable
(RFRS) is virtually fibered. In the proof he used the theory of least-

weight taut normal surfaces introduced and developed by Oertel and
Tollefson-Wang. We give another proof using complexities of sutured

manifolds. This is a joint work with Stefan Friedl (University of
Cologne).

17:10~ ディスカッション

平成23年度

日時:2月9日(木)12:50~16:00

場所:岐阜大学教育学部1F・B102教室

講演者 岸本健吾 (大阪工業大学)


講演1(12:50~14:20)

タイトル:Ribbon knots and simple ribbon fusion

アブストラクト:

リボン結び目に関するいくつかの基礎的な結果を紹介した後に,

simple ribbon fusionという絡み目に対する操作を導入する.

この操作の性質を調べる事を通して得られた, 種数, 素性に関する

結果を紹介する.

本研究は大阪工業大学の渋谷哲夫氏と塚本達也氏との共同研究である.


講演2(14:30~16:00)

タイトル:Region crossing change and local moves on knots

アブストラクト:

結び目に対しては, 交差交換, Δ変形, ♯変形等の様々な局所変形が

定義されている. 本講演では結び目図式の補領域に着目して導入された

region crossing changeという局所変形を紹介し, 既存の局所変形との

関連について述べる.

また大阪市立大学の河内明夫氏と清水理佳氏との共同発明である

「領域選択ゲーム」の数学的背景について解説する.


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