内木智美

私にとって,ゼミ活動は「自分自身と向き合い,自分の一面を知る場」であったように思う。

 

3年生の夏にルナ・ラボのメーリス登録をし,これまでの先輩方のメールのやりとりや活動の様子を見てきて,「来年はこんなヘマはしないように気をつけよう」あるいは「自分も来年はこうしよう」などということを考えながら,卒論執筆を楽しみにしていた。

しかし4年生になりゼミ活動や実際に卒論を書くことは楽しかった半面,そう容易いことはなかった。全然読み進められない英語論文。全く降ってこないアイデア。しょうもないミス。頭で書くべきことを思い浮かべることができても文面にできないもどかしさ。こんなに自分は無能なのかと思った時が多々あった。

今改めて振り返ると,これまでの自分はオブラートに包んで良く言えば「自己肯定感が高い人間」,率直に言って「自分の実力を過大評価している人間」だなあと感じる。正直に言うと,自分の中には「私は割とデキる方の人間だ」という考えがあった。だからこそ,1年間のゼミ活動を通して自分では予測していなかった欠点がボロボロと出てきてショックだった。

例えば,ゼミで読む論文をメーリスで送信するときに間違ってwordファイルを送ってしまったり,ゼミに持ってくるはずのお菓子を忘れたり。このくらいならまだ可愛いものだと思うかもしれないが (思わないかもしれないが),どんどん時が進み卒論の実験や執筆に関わっていくにつれて,実験で使用する冊子に不備があったり,分析結果の読み取りをミスしていたりと,どんどん致命的なものになっていった。このままそのミスに気づかなかったら…,考えただけでも恐ろしい。

これらのミスの根源は,自分の実力の過大評価による慢心や,「大丈夫だろう」という意識の甘さにあったような気がする。そんなの当たり前じゃないかと言われたらそれまでなのだが,それに気づいた後は慢心など捨て,卒論の提出期限までチェックを怠らなかった。(小さな) 進歩だ。

自分の一面や欠点に気づくことができたのは,この1年間のゼミ活動を通した1つの財産であり,取り返しのつかないことになる前に気づくことができて本当に良かったと思っている。しかし,私のこのようなくだらないミスに1年間付き合ってくださったゼミ生の2人,そして「なぜ何度もこんなしょうもないことを…」と本当は怒りを通り越して呆れているであろうにもかかわらず,あたたかく見守りご指導くださった月元先生には本当に感謝しかありません。ありがとうございました。

また歴代の先輩方も皆口を揃えて仰っているが,ルナ・ラボの「早めの精神」,意識することは簡単だが実行することは非常に難しい。最初は嘘だと思った。しかし本当であった。そして難しいことが分かったと同時に,これを実行に移すためには「自分自身を知ること」が重要であることを実感した。ゼミに入りたての頃は非常に苦労したが,模索するにつれて「自分は何が苦手なのか」「何に時間がかかるのか」を知り,それを基に優先順位を立てて実行すればよいことを1年間通してようやく身をもって実感した。本当に自分はこれができていたか定かではないし自信がない (このように書いている時点でできていなかったのであろう) が,このことに気づけたことも自分の財産の1つであることに変わりはない。この気づきを「気づきだけ」で終わらせないようにしよう。

同じゼミ生の河邉君,高橋さん,1年ちょっとの間でしたが,本当にありがとう。

毎週のゼミで河邉君のターンになると始まる教育についての愚痴,あれ実は毎週割と楽しみにしていました (笑)。自分には「ほうほう…なるほど…」と聞くことしかできませんでしたが,聞いていてとても面白かったです。また私が自分の卒論の論の組み立てや考察に苦しんでいた時に一緒に考えてくれるだけでなく,私が河邉さんの言ったことをなかなか理解できなかった時に怒ることなくわかるまで何度も教えてくれて助かりました,本当にありがとう。全てを理解して自分の中に確実に落とし込むには時間のかかる私にとって,河邉君の存在はものすごく心強かったです。東北に戻ってもそのままの河邉さんでかんばってください。

いつも良い意味で楽観的だった高橋さん。互いに「もうやりたくないいいいい」と叫んだり,実験の愚痴を言ったりしたこともありましたが,そんな中でもちゃんと院試と卒論に向き合い取り組むことができたのは高橋さんがいたからです。たまに伊藤ゼミの加藤さんも交えて3人で一緒にゼミ室で勉強したり,息抜きに一緒にコーヒーを飲んだり,ゲーム,アニメや声優の雑談をしたり,「ねるねるねるね」を作って食べたのもいい思い出です。とても楽しかった。本当にありがとう。これからも持ち前の明るさで頑張ってください。

最後になりましたが,卒論やゼミ活動のみならず様々な場面でいつも真摯に指導して下さった月元先生,本当にありがとうございました。私の卒論は先生の専門分野であったこともあり,初歩的な部分から専門的な部分まで深く解説してくださり,また考察部分で結果の解釈がわからず悩んでいた時に私では到底考えつかないような的確な助言をしていただく度に,先生の凄さを感じると同時に,自分の足りないものを痛感しました。また1回の説明では理解できないような自分に対して,怒ることなく何度も分かるまで説明してくださったことも,本当に本当に感謝しております。自分はまだまだ未熟すぎますが,これからももっと精進したいと思います。

そして院試が終わり合格したにも関わらず,自分の進路について悩む私の話を親身になって聞いて助言をくださったこと,感謝という言葉では言い表せないくらい心の底から感謝しております。気分がどん底に沈んだゼミの後に高橋さんと一緒にパフェをごちそうになったこともいい思い出です。

 

4月から私は大学院に進学する。この2年間で学びながら,自分を見つめ直し,自分のしたいことを見つけ,スキルを上げていかなければならない。やるべきことは山のようにある。今はまだ確定した将来は見えないため,手探りで進んでいくしかないのだろう。毎週のゼミを心の拠り所としながら,そして自分の選択をたまに後悔し悩み苦しみながらも,自分の生きるべき道を真剣に考えて,必死に2年間を過ごしたいと思う。

月元先生,そして院生の横井さん,加藤さん,これからもお世話になりますが何卒宜しくお願い致します。