ガスハイドレート


ガスハイドレートの構造

  ガスハイドレートは水包接化合物とも呼ばれ、水素結合による水分子のカゴ状構造の中に他の物質の分子が入り込んだものです。この物質はメタン(CH4)ハイドレートや二酸化炭素(CO2)ハイドレートに代表されるように高圧力下で生成する特徴があります。以下で先ずガスハイドレートの構造について簡単に説明しましょう。

  ガスハイドレートは下の図に示すように大きく分けて 構造T(Structure I)、構造U(Structure II)、構造H(Structure H) の3つの構造に大別されます。構造Tは2つの12面体(S1ケージ)と6つの14面体(Mケージ)からなる立方晶、構造Uは16個の12面体(S1ケージ)と8つの16面体(Lケージ)からなる立方晶、構造H は3つの12面体(S1ケージ)と形状の異なる12面体(S2ケージ)2つと大きい1つの20面体(LLケージ)からなる六方晶です。 各ケージは水分子により構成され(水分子は水素結合により結合)これらホストケージの中に原則1つのゲスト分子(たとえばCO2やCH4の分子)が封じ込められています。 また、構造の違いはゲスト分子の大きさに依存するといわれ、例えばゲスト分子が CO2、CH4 の場合は構造Tのハイドレートを、N2,O2,Ar の場合には構造Uのハイドレートを生成します。

上記ケージのグレーの丸は酸素原子を、グレーの棒は水素結合を表しています。 水素原子は各酸素原子間に1個ずつ存在します。構造T,U,H 中の黄色の丸はゲスト分子を表しています。


ガスハイドレートの単結晶作成

  先に触れたように、ガスハイドレートは高圧力下で生成します。そこで、ダイヤモンド・アンビル・セルに水とゲスト(ガス)分子試料を封入し、慎重に圧力と温度を制御しながら単結晶を作成します。我々の研究室で実際に作製した CH4ハイドレートと CO2ハイドレートの単結晶写真を下に示します。                                 

メタンハイドレート単結晶
(23℃,約200気圧)
二酸化炭素ハイドレート単結晶
(16℃,約5000気圧)

  このようにして作製した単結晶試料に対して、高圧ラマン・ブリュアン散乱分光測定を行い、ガスハイドレートの分子ダイナミクス、圧力誘起構造相転移、弾性的性質、構造安定性を調べ地球環境エネルギー問題に貢献しています。

燃える氷塊「メタンハイドレート」

 メタン(CH4)ハイドレートは水深 500 m 以下の日本近海(南海トラフ、等)の海底に大量に埋蔵されており、その量は日本の天然ガスの年間消費量の100倍以上ともいわれ、石油資源に替わる新エネルギーとして注目されています。下の写真は我々の研究室で合成したCH4ハイドレートを燃焼させている様子です。写真をクリックすると燃焼する様子をビデオ(mpeg1, 1,329 kb, 感嘆の声入り?)で見ることができます。(見れなかったらごめんなさい。)