全学共通教育―スポーツ・健康科学―「太極拳」:火曜日の3時限 ;第2体育館
担当教員:
非常勤講師;清水宏晏 岐阜大学名誉教授(工学部)
(日本武術太極拳連盟 公認指導員 公認審判員)
補助指導員;清水宏子(元太極拳非常勤講師 日本武術太極拳連盟 公認指導員)
右より、樋口幸子、清水宏晏、清水宏子、熊谷佳代(岐阜大学教授・体育)
「太極拳授業の最終」;「諸般の事情により、12年間の授業に幕」
「太極拳」開講以来12年間続いた授業を、諸般の事情により、本年度で終了することになりました。長期にわたり、若い学生諸君らと太極拳を楽しめたこと、たいへん有難く思っています。この間、岐阜大学の先生方、岐阜県太極拳連盟の先生、友人の方々、そして、清水の在籍した工学部の研究室の皆さん、等、多数の方々のご厚意と協力をいただきました。厚くお礼を申し上げます。
「今年度の概況」;「簡化24式太極拳と目標」「練功十八法」「立ち姿」
「太極拳」開講以来12年目を迎えました。これまでの11年間の経験を踏まえて、今年度も太極拳の国際的スタンダードである「簡化24式太極拳」の基本を徹底することを最大の目的にし、太極拳の真髄を学生諸君に体験して貰うことに努力しました。
履修の35名の学生諸君をそれぞれA, B, Cの3グループに分け、講師の清水宏晏と補助指導員清水宏子の二人が「太極拳」授業の指導・習熟に当りました。これは、「24式太極拳」の初期導入には、予想以上の手が掛かるからです。
今年度は、実質13回の(各90分)実技授業を実施し、最終回の学生表演では、各グループが太極拳の格好と雰囲気を漂わせ、相当満足できる演武を見せてくれました。当初目的とした成果は十分得られたものと信じています。
一昨年度から準備運動として「練功十八法」の前段を取り入れました。これは上海のラジオ体操とも呼ばれ、音楽にあわせて行う比較的簡単な動作なので、若人ばかりでなく中高年の方にも手軽におこなえる健康体操として人気があります。受講生諸君は、自然体で毎回楽しそうに、そして大変上手にやってくれました。
昨年度の授業から強調していることが一点あります。日常生活での「立ち姿」を意識すること。太極拳を習熟することにより得られることはいろいろありますが、その一つに姿勢があります、すなわち、肩の力を抜き、さらに目線を水平に保ち、頭の天辺を意識すること。これにより、緊張感のない、ゆったりとした立ち姿が現れます。学生諸君もだいぶこの事を意識するのに慣れ、日常生活での姿勢の重要性を学んでくれました。
「受講者の学年別、学部別の分布数等」
総数35名(男;11名、女;24名)
1年生;35名
教育学部;13名、医学部;3名、工学部;9名、地域科学部;3名、
応用生物科学部;7名
授業最終日の集合写真1
授業最終日の集合写真2
「簡化24式太極拳への取組み;目標と結果」
「簡化24式太極拳」は、59年余前の1956年に太極拳の普及のために中国で制定され、24組の動作からなる標準的な太極拳として世界で広く愛好されている。それに要する時間は、通常6-7分くらいで、一見短時間と思える24式太極拳であるが、これをマスターするのは、なかなか難しい。それは、ただ24組の動作の順番(套路;とうろ)を覚えるだけでなく、太極拳の本質である「肩を落とし胸を張らず、体をゆるめる」「体の中心軸を垂直に持続して、重心移動を行う」「体をねじらない」「顔、手足、胸腰部の動きを協調一致させる」「動作のスピードを均一に」など多くの要求を満たさねば、自然で美しい太極拳はできず、ぎこちない太極拳になってしまう。したがって、授業の最初には、毎回ストレッチ運動と「練功十八法」で体を柔らかくし、太極拳の基本である手法(手の動き;例えば、体の前でボールをつくる(抱掌))や歩法(歩き方;足の出し方や重心移動の方法)の習得に時間をかけた。そして授業の前半部分では総合練習により、平均すれば1回の授業で約1.4組の新しい動作(套路)を覚え、さらに後半部分では学生諸君の個々の動きを熟視し、各人に合った習得の徹底を試みた。
学生諸君は、当初、何をやっているのか判らない様な反応を示し、太極拳は予想以上にたいへんで、筋肉痛を訴える学生もいたようであった。しかし、回を重ねる度に、だんだんと太極拳らしい「ゆったりとした動作」を習得し、彼らの太極拳への順応性とイメージを体で表わす能力に驚いた。
最終回のグループ表演では、A, B, C各グループが、喜多郎のNHKスペシャル「四大文明」サウンドトラックの中の「大地の営み」の音楽に合わせて、「簡化24式太極拳」をゆったりと演武してくれました。見ていた他のグループと指導者は、それぞれの表演に大きな拍手をおくりました。暖冬だったとは言え、時々寒さの厳しい第2体育館での練習であったが、当初の基本に重点を置いた「太極拳」習得の目的を達成してくれた学生諸君を見ながら、大きな喜びと充実感を覚えました。
授業の最終日には、太極拳の長年の友である樋口幸子先生の応援を得ました。そして、最後に樋口、清水、宏子の3人で「8式太極拳」と「32式太極剣」を、学生の皆さんに披露しました。学生諸君の中には、やってみたいと「剣」を触りに来る人もいました。
全体練習「野馬分髪;イエマー・フェンゾン」
全体練習「右 蹬脚;ヨウ ダンジアオ」
「今回で太極拳授業の終了;皆さまへの12年間のお礼」
毎年、毎年、初心者に太極拳を教えることは、予想以上に難しいが、12年間も続けられたのは、やはり毎年、毎年、新入生を含む若者達に会えることが楽しかったのであろう。おそらく、太極拳を教える先生にとって、まれな機会と幸運であった。
そして、多数の皆さん方からのご好意とご協力のお蔭であろう。岐阜大学・体育教室の川岸先生(御退官)、杉森先生、熊谷先生からは、特段のご配慮をいただき、厚くお礼を申し上げる。また、清水の太極拳の先生方や友人の方々の協力なしでは、これほど長期にわたり、太極拳授業は続けられなかったであろう。絶えず協力いただいた樋口幸子さん、馬場理恵さんには、特にお礼を申し上げたい。そして、清水宏子さんには、第二体育館の掃除に始まる準備や学生への細やかな指導など、ありがとう。また、清水の宝物になった、このホームページへの12年間の太極拳授業の収録・記録は、工学部で一緒した佐々木重雄教授の助力なしでは、生まれなかった。清水の工学部を退官後も、ずっとお世話になった。心よりお礼を申し上げる。
「今回の授業を終えて;感想そしてお礼」
太極拳を短期間に初心者に教えることは、何度も経験していても容易ではありません。それは、心(頭で考えること)と体(イメージを動作で表わす)の協調一致と融合には、長い時間を必要とするからです。今年度は、受講者の全てが1年生で、フレッシュな若者達は、熱心に「太極拳」に挑戦してくれました。しかし、初めの頃はなんとなく静かで盛り上がらず、私達はその雰囲気を心配していました。しかし、回を重ねる内に、だんだんと太極拳に慣れその本質を意識し、また自分の動作のチェックをしたり、やる気が十分見えてきました。そして、最終的には、最終日のグループ表演に向けて、みんなの気持がまとまりました。
今年度の授業でも「簡化24式太極拳」を全てマスターさせることをあきらめ、「太極拳」の基本をじっくり習得してもらうことに主眼を置きました。その結果、24組の内の17番目、右下勢独立(ヨオ・シアシドウリ)までで終わりました。それは期間的に十分な余裕がなく、また限られた時間内で行わなければならないためです。そして、学生諸君の習熟度を最も大切に考えた結果です。大切なことは、「太極拳」の真髄を体験してもらうことである、と信じています。
最後に、この「太極拳」の授業を実施することに協力いただいた教育学部保健体育の主任である熊谷佳代教授にお礼を申し上げたい。
授業最終日の応用生物科学部の愉快な仲間たちと指導員との別れ
終了後に寄せられた受講生の感想文の中から,彼らの承諾を得て,6編を載せました。
「太極拳授業」 応用生物科学部 生産環境科学課程 1年 飯島大智
太極拳の授業を受けて最も良かったと思う点は、先生方の生徒への心配りや太極拳に対する情熱が感じられたことです。太極拳が初めての人たちに最初から教えるのはとても難しいことでしょうし、姿勢など細かいところまで学生に意識させるような、高いレベルのことを要求することもなかなか難しいことだと思います。しかし、僕たちが間違った動きをしている時、先生方は生徒一人一人の名前を呼んで下さって、1対1で丁寧に教えて下さいました。そんな光景を見て、僕は先生が一方的に生徒に教えるのではなく、互いの気持ちが相互に行き交っていて、温かい授業であると思いました。また、先生方の太極拳に対する情熱は、指導方法によく表れていたと思いました。特に、太極拳の基本であり、とても重要な動作である「起勢」や「弓歩」については、何度も練習を重ねましたし、それ以外の動作も一生懸命に教わりました。そのため、指導方法もわかりやすかったと思います。
今回太極拳を習い始めて、普段の生活でより気にするようになったことは「姿勢」です。自分の姿勢を意識して授業を受けるようになれたのが良かったです。他にも、普段、家事仕事ばかりで運動ができないでいる母が、太極拳に興味を持ち、どのような動きなのかを教えて欲しい、と頼まれたこともありました。太極拳を始めたことで、人と人とのつながりが、より強くなっていったのを感じました。今度、母親に今回自分が教わったことを伝えてみようと思います。
さらに、授業の中で興味深いことも多くありました。例えば、太極拳の動きにはそれぞれ意味があり、攻撃された時に、どのように対処するかがこめられていると教わりました。そのため、攻撃されても大丈夫なように、実践的な練習をしていることに気がつきました。他にも、最後の授業で先生方が見せて下さった「剣」を使っての太極拳は、非常に綺麗で美しく滑らかな動きだったので、見入ってしまいました。
最後に、今年限りで太極拳の授業が終わってしまうことを知り少々残念でした。機会があれば、もう1度受けてみても良いと思ったからです。もしかしたら、今回が最初で最後の太極拳になってしまうかもしれませんが、この授業は温かい先生方や仲の良い友人に恵まれて、とても楽しい時間を過ごすことができました。お世話になった皆さんに心から感謝しています。短い期間でしたが本当にありがとうございました。
「太極拳を体験して」 教育学部 特別支援学校教員養成課程 1年 平上詞子
1年生後学期の半年という短い間でしたが、今まで名前しか知らなかった太極拳というものを経験させていただきました。もともとヨガや太極拳などには興味があったので、近所で行われている太極拳教室などに行ってみたいと考えたこともありました。御高齢の方が多かったことと、教室の開催時間が予定と合わなかったことなどで断念していました。心残りを感じていたところ、後学期の授業で太極拳があると知り、ぜひ履修したいと考えました。
太極拳には、呼吸法、重心移動の方法、精神集中など、学びたいと思う要素が多々ありました。特に、自分は常々姿勢が悪く、猫背や脚を開いてしまう癖を、どうにかしなくてはならないと考えていました。最初の授業での「立ち方」一つをとっても、重心の置き方や丹田に力を入れるなどの、学ぶことの多さに驚きました。やる気があれば、センスのあるなしに関わらず上達するという話を聞き、授業中に集中して取り組むことは当たり前ですが、日常のふとした時に自分の姿勢を意識することが増えていきました。授業の度に新しい技の型を教えていただくことも、新鮮で楽しさを感じましたが、それまでに教えていただいた技の一連の流れを復習・確認する時間も好きでした。教えていだたいてすぐには、ぎこちなく先生方の技の形を見様見真似することしかできませんでした。しかし、何度か通しで繰り返していくにつれ、頭の先から指先まで気を遣って動くことや無理なく重心移動することができるようになっていきました。特に、いくつかの技が太極拳の流れの中でイメージ通りに決まった時の喜びは格別でした。
パッと見ただけでは、ゆっくり動いているように感じる太極拳でしたが、実際やってみると、技と技の間の体の動かし方が難しく、もっとスピードアップすることなど、考えられませんでした。最後の授業で、初めて他の仲間の動きを見る機会がありましたが、同じ太極拳をやっているはずなのに、こんなにも差が出るものかと驚きました。上手、下手があるのかもしれませんが、自分の目ではその差は分からないので、やはり指先まで意識しているかどうか、集中しているかどうかが明確に表れるのだと思いました。
授業の最初と最後に先生方の模範演武を見せていただきましたが、まるで当たり前かのように動きが揃っていたことに、改めて感激しました。授業内だけに留まらず、生活の中でも意識できることを教えていただけて、本当に為になりました。太極拳を履修してよかったです。ありがとうございました。
「太極拳と重心移動」 医学部 看護学科 1年 嘉本祥子
後学期の履修科目を申し込むにあたって、わたしは体育の科目に何を履修するか、2つの競技で非常に悩みました。バレーボールと太極拳の2つで、バレーボールは中学生のときやっていてなじみ深かったこと、太極拳は単純に珍しそうな名前で気になったこと、というのが主な理由でした。さんざん悩んだ末、やはりせっかく大学で受講するのだから、なにか新しいことをやってみたくなり、太極拳を履修しました。結果、とても楽しむことができ、太極拳にしてよかった、と思っています。
最初の授業で、はじめて太極拳の演武を見ました。正直なところ、第一印象は「やっている最中に眠くなりそうな太極拳」。太極拳というのは中国の武術だということは聞いていたので、わたしはてっきり少林寺拳法のような激しいものとばかり思っていました。そんなばかな!と、最初は驚きを隠せませんでしたが、実際にやってみると、太極拳の難しさにさらに驚かされました。ポーズひとつを決めるにしても、体幹がしっかりしていないと格好が悪いし、先生方がよく言っていた「高い椅子に座るようなイメージ」をキープするのはとても大変で、最初の授業を終えた翌日は、全身が筋肉痛になりました。それは大学に入学してから、あまり運動をしていなかった自分に気づくいい機会でした。回を重ねるごとにまわりのみんなも、そして自分も少しずつ上達していくのが分かり、練習の成果が見えることも、スポーツの醍醐味だということを思い出し、嬉しくなりました。また、太極拳をした後は、体が温まってリラックスしたような気分になり、週1回の太極拳の授業が癒しの時間になりました。
私は看護学科の学生ですが、今回「太極拳」で学んだことを「看護」に生かせるのではないか、と思っています。それは、看護技術の実施にあたって重要になってくる「ボディメカニクス」の活用と関わってきます。ボディメカニクスは、人の骨や筋肉を有効に活用した動きのことで、看護師が上手に利用することで患者・看護師双方の負担を減らし、安全・安楽なケアを可能にします。看護学科の講義で、「ボディメカニクスにおいて最も重要なのは、重心の使い方である」と学びましたが、太極拳の動きにも、重心の移動が多くあることに気づきました。前後左右への重心移動をスムーズに行うことは、簡単そうに見えますが、太極拳のようにゆったりとした動作の中では、相当筋肉を使う難しい動きでした。しかし、この重心移動が難なくできるようになれば、看護のボディメカニクスのコツも掴めるのではないかと、意識して授業を受けるようになりました。
太極拳の科目が今年でなくなるというのはとても寂しいですが、最後の年に参加することができたことは、非常にうれしく思います。太極拳とはどんなスポーツか知ることができただけでも、私の大学生活の大きな財産になりました。ありがとうございました。
「太極拳と空手」 工学部 機械工学科 1年 東井 匠
国際的に知られている「24式太極拳」を学んだので、その感想を書いていく。まず、私がなぜ太極拳を選択したかというと、体育科目を選択するにあたって、折角なので他の人と違うことをしたいと思ったからだ。そこでシラバスから一番珍しそうな太極拳を選んだ。
実際に太極拳をやってみると、慣れない動きで難しいと思った。回数を重ねていくと、太極拳の動きは、空手の動きに似ている部分があると気づくことができた。高校時代に空手をやっていたので、基本の構えや動きは身につけていた。そのため太極拳の動作の意味が、なんとなくわかるようになった。特に、足と腰の構えはよく似ていて、重心の位置を意識すると、体を安定して支えることが出来た。腰を低くして重心を低くすると、体が安定するだけでなく関節に力が入らないので、リラックスでき太極拳のゆったりとした動きを、気持ちよく感じることが出来た。空手は動作にキレがあり力強く動くのに対し、太極拳ではゆったりとした動きで演武する。空手と比較すると太極拳の動きには迫力が欠けていて、最初はやっていても退屈に感じた。しかし、一つ一つの動きを身に着け、流れがわかってきた時、太極拳をおもしろいと思うようになった。それまでは、点でしかなかった一つ一つの動作が線になって、はじめて太極拳らしくなったからだと思う。さらに音楽に合わせて演武すると、より楽しかった。空手に似ていると思っていた太極拳だったが、太極拳独特の要素を体感することが出来るようになった。それからは音楽に合わせて、気持ちよく演武することがうれしかった。動作の一つでも、力を極力抜き、リラックスすることに徹した。動作の全てを最後まで完全に覚えることが出来ず、そのためぎこちなさはあったが、それでもゆったりとリラックスして全体を通してできるようになった。太極拳っぽいものを習得することができたと思う。
授業の最初に先生が言われた「良い姿勢」を身に着けられたかどうかはわからないが、太極拳を通じて私が一番学べたことは「力を抜くこと」であると思う。何をするにしても余計な力がかかっているとうまくいかないことが多い。したがって、時々意識して力を抜いてリラックスすることが大切だと思った。親切な指導ありがとうございました。
「太極拳授業を通して」 教育学部 学校教育講座(教職基礎コース)1年 河合実里
私は大学生になって、初めて太極拳に触れました。太極拳という名前を聞くこと自体はそれまでにも何度かあったのですが、実際に自分で体験することはおろか、太極拳をやっている光景を、この目で見たこともありませんでした。
いざ先生方が太極拳をなさるのを目の当たりにしてみると、私はまず音楽をかけることに驚きました。しかもその動きが音楽にぴったりと合っていることに、衝撃を受けました。小学生の時から空手を習っていた私は、空手も太極拳も似たようなものだろう、せいぜいスピードの違いだろうと勝手に考えていたので、まさかこのようなところで違いが現れるとは思っておらず、受講することに不安を覚えました。
そして、自分が実践してみると、空手で習ったことと全く違うところがあり、授業の序盤ではその度に戸惑っていました。先生がたまに、上手く出来ている学生に「空手か何かやっている?」と質問なさるのを見て、私もそう聞いてもらえるように頑張ろうと思いました。その結果、体の動かし方で褒めていただいたり、アドバイスを受けたりして、授業自体を楽しく過ごすことができました。
授業の中で一番好きだったのは「練功十八法」です。呼吸を大切にしながら独特な音楽に合わせて動くのが楽しかったです。授業中に全ての動きを覚えたかったのですが、結局それには至りませんでした。家に帰って調べてみたところ、練功十八法が映っている動画があったので、それらを参考に今後実践していきたいです。
全体的に、先生方の仲が良いということもあり、とても温かい雰囲気で太極拳の授業を受けることができました。暖冬とはいえ、真冬の体育館が寒く辛かったことや、昼食後の授業だったため眠気が襲ってくることもありました。しかし、太極拳をしているうちに、だんだんと体が温まってきて、寒さや眠気が幾分か軽減されていきました。また、私は激しい運動があまり得意ではなく、大学に入学してから運動不足になりがちだったので、太極拳の授業は体を動かす貴重な機会でした。この授業が終わってからも、太極拳を思い出して家で体を動かしていけたら、と思っています。
今年で太極拳の授業は最後ということを聞いて本当に驚きました。長く続いた授業の最後の生徒の一人に自分がなってしまったことに、光栄であると同時に寂しさを感じました。半年にも満たない短い期間でしたが、楽しい授業と、親切なご指導をありがとうございました。
「太極拳と体の動かし方」 応用生物科学部 生産環境科学課程 1年 安藤春菜
初めて武術というものを体験しました。最初は、球技のようなスポーツとは異なる、ゆったりとした太極拳の動きに慣れることが難しかったです。また、体重移動や常に膝をゆるめた状態で動作することがつらかったです。しかし、次第に、膝をゆるめて行う方が、体重移動は楽だと気づきました。授業の最初に行う「練功十八法」も、初めは慣れない動きばかりで戸惑いましたが、回数を重ねる内に普段は行わないような体の動かし方をするので、体がぽかぽかと温まってくるようになりました。健康法として行われているということが頷けました。
太極拳を体験して、他のスポーツと違い、普段の何気ない所作にも、体の動かし方が表れてくるという点が、面白いと感じました。スッと立った時の印象だったり、何か物を取ろうとした時の手の動きだったり、そのような動作に違いが出てきて、所作がとても綺麗に見えるのだと気づきました。そのような観点からも、太極拳に取り組むことは意味があると思いました。
授業の最終回に見せていただいた、先生方による「剣」を使った演武は非常に興味深かったです。私たちが取り組んだ二十四式太極拳も、当然のことながら武術的ではありましたが、剣を使った演武では足を上げる動きが多く、空間を広々と使っているためか、武術的な側面を強く感じました。また、授業の最後に、A、B、Cの各班それぞれで太極拳表演をしたときにも感じたことですが、同じ動作をしているのに、仲間それぞれの個性が出ていて、非常に興味深かったです。腕の伸ばし方だったり、指先の動きだったり、些細な違いに個性と言えるような、その人の特徴が出ていました。少し人との動きが違うな、かっこよくきまっているなと感じた人は、あとから聞くと武術の経験者で、素人でもわかるくらい、動きに違いが出るのかと驚きました。また人の動きを見ていて、体重移動が非常に重要だと気づきました。体重移動が滑らかに行われている人は、見ていて綺麗でした。逆に、体重移動が曖昧で、さらに膝がまっすぐになっていて、動きがかくかくしていると、すごく不自然に見えてしまいます。滑らかに流れるような、一連の動作としてすべてを行う人もいれば、それぞれの動作をきめてから、次の動作に移る人もいて、どちらもそれぞれいいと思いました。そのような個性が出せるところも、他のスポーツと違う面白さかな、と思いました。
今年度を最後に太極拳がなくなってしまうのは、非常に残念です。よくある球技とは違って、なかなか体験できないスポーツであるので、こうして太極拳が体験できた意義は、非常に大きいと思います。ありがとうございました。