太極拳
全学共通教育-スポーツ・健康科学-「太極拳」:火曜日の3時限、4時限; 第2体育館

担当教員:工学部機能材料工学科
                教授 清水宏晏  (日本武術太極拳連盟2段 公認B級指導員
                                               公認2級審判員)
     非常勤講師: 清水宏子  (日本武術太極拳連盟2段 公認B級指導員)
                        馬場理恵  (日本武術太極拳連盟2段 公認B級指導員)

清水宏晏 教授(中央)、非常勤講師 清水宏子(左)と馬場理恵(右)
「概況」

 「太極拳」開講以来4年目を迎えました。今学期から「太極拳」の授業の数が1コマ増えて、授業を2回実施することになりました。学生諸君の履修希望が多くあるためと思われますが、これにより、より多くの学生諸君に広く太極拳を体験してもらえることになり、開講4年目にしてうれしい出来事となりました。2つ目の授業は、これまでボランティア指導員であった清水宏子、馬場理恵の2人に岐阜大学非常勤講師として担当してもらいました。ここでは3時限目と4時限目の2つの授業をまとめて報告いたします。これまで3年間の経験を踏まえて、今年度からは太極拳の国際的スタンダードである「簡化24式太極拳」を全て教え終わることを主目的とせず、むしろこの「簡化24式太極拳」の基本を徹底することを最大の目標にしました。
  今年度から学生諸君がパソコンを用いてのウエブ履修登録が始まり、「太極拳」は希望者多数の対象となり電子的な抽選により選ばれた3時限目31名、そして4時限目30名の学生諸君をそれぞれABCの3グループに分け、3時限目を清水宏晏が主、4時限目を清水宏子と馬場理恵が主となり、全員で2つの「太極拳」授業の指導・習熟に当りました。これは、「24式太極拳」の初期導入には、予想外に手が掛かるからです。
   幸運にも今年度は実質13回の(各90分)実技授業を実施でき、最終回の学生表演では、各グループが太極拳の格好と雰囲気を漂わせ、十分に満足できる演武を見せてくれました。以下の3時目と4時限目の2つのグループの動画のように、その成果は十分得られたものと信じています。


  3時限目4時限目のそれぞれ2つのグループの24式太極拳(シャントンペイまで)の最終表演を動画(wmv:それぞれ約6分余)として取り込んでいます。
  (ホームページの後半部分) ここでもクリックして見れます。上の3時限目,4時限目 をクリック。


   授業終了後に寄せられた3時限目と4時限目の受講生の感想文から,彼らの承諾を得て7編を最後に載せています。ここからでもクリックして読めます。


「受講者の学年別、学部別の分布数」

3時限目:総数31名(男;10名、女;21名)
     1年生;24名、2年生;1名、3年生;5名、4年生;1名。
     教育学部;14名、地域科学部;4名、医学部;3名、
     応用生物科学部;1名、工学部;9名。


4時限目:総数30名(男;8名、女;22名)
     1年生;28名、2年生;1名、3年生;1名、4年生;0名。
     教育学部;10名、地域科学部;4名、医学部;7名、
     応用生物科学部;3名、工学部;6名。

3時限目のグループの最終表演「24式太極拳」の動画
↑クリックすると別枠で動画(wmvファイル)を見ることができます。
 (約6分)


授業終了後に寄せられた3時限目と4時限目の受講生の感想文の中から,彼らの承諾を得て,7編を以下に載せました。
(2007.10 〜 2008.1)

「簡化24式太極拳への取組み;目標と結果」

 「簡化24式太極拳」は、50余年前の1956年に太極拳の普及のために中国で制定され、24組の動作からなる標準的な太極拳として世界で広く愛用されている。それに要する時間は、通常6−7分くらいで、一見短時間と思える24式太極拳であるが、これをマスターするのは、なかなか難しい。それは、ただ24組の動作の順番(套路;とうろ)を覚えるだけでなく、太極拳の本質である「肩を落とし胸を張らず、体をゆるめる」「体の中心軸を垂直に持続して、重心移動を行う」「体をねじらない」「顔、手足、胸腰部の動きを協調一致させる」「動作のスピードを均一に」など多くの要求を満たさなければ、自然で美しい太極拳はできず、ぎこちない太極拳になってしまう。したがって、授業の最初には、毎回十分なストレッチで体を柔らかくし、そして太極拳の基本である手法(手の動き;例えば、体の前でボールをつくる(抱拳))や歩法(歩き方;足の出し方や重心移動の方法)の習得に時間をかけた。そして授業の前半部分では全員の総合練習により、平均すれば1回の授業で2組の新しい動作(套路)を覚え、さらに後半部分ではA, B, Cの3グループに分かれ少人数でそれらの習得の徹底を図った。
 学生諸君は、当初、何をやっているのか判らない様な反応であり(こんなはずではなかった、との表情を示す者もいた)、太極拳は予想以上にたいへんで、筋肉痛を訴える学生もいたようであった。しかし、回を重ねる度に、だんだんと太極拳らしい「ゆったりとした動作」を習得し、彼らの太極拳への順応性とイメージを体で表わす能力に驚いた。
 最終回のグループ表演では、A, B, Cグループ、そして選抜チームがそれぞれ選んだ音楽、例えば、蕾(コブクロ)、しるし(Mr. Children)、三日月(絢香)、ハナミズキ(一青よう)、Nao ( HY ) などに合わせて、「簡化24式太極拳」をゆったりと演武してくれました。見ていた他のグループと指導者は、それぞれの表演に大きな拍手をおくりました。今年度は雪も少なく比較的暖かい冬でしたが、それでも大きくて冷えた体育館での練習を終えて、当初の基本に重点を置いた「太極拳」習得の目的を達成してくれた学生諸君を見ながら、大きな喜びと充実感を感じました。


「授業の様子を表わす写真」

最終日( 2008. Jan. 29 )の3時限目の集合写真
「2つの授業を終えて;感想そしてお礼」

 太極拳を短期間に初心者に教えることは容易ではありません。それは、心(頭で考えること)と体(イメージを動作で表わす)の協調一致と融合には、長い時間を必要とするからです。今年度は、圧倒的に1年生の数が多くフレッシュな若者達は、熱心に「太極拳」に挑戦してくれました。しかし、1年生のためか、初めの頃はなんとなく静かで盛り上がらず、指導者達はその雰囲気を心配していました。しかし、回を重ねる内に、自主的に太極拳のそれぞれの動作を質問したり、また具体的に自分の動作のチェックを求めたり、やる気が十分見えてきました。そして、最終的には、最終回のグループ表演に向けて、みんなの気持がまとまりました。

 今年度の授業では、これまでの「簡化24式太極拳」を全てマスターさせることをあきらめ、「太極拳」の基本をじっくり習得してもらうことに主眼を置きました。その結果、24組の内の20番目(シャントンペイ)までで終わりました。それは期間的に十分な余裕がなく、また限られた時間内で行わなければならないためです。受講生の授業終了後の感想文の中には、24式の最後までやりたかった、との意見も少しありますが、練習を走らないで基本をじっくりやれて良かったとの意見も多くありました。大切なことは、「太極拳」の真髄を知ってもらうことである、と信じています。

   最後に、この「太極拳」の授業を実施することに協力いただいた教育学部保健体育の川岸教授をはじめ、スポーツ/健康科学のスタッフにお礼を申し上げます。今年度から2コマ(2回)の「太極拳」授業が出来たことは、より多くの学生諸君に太極拳を体験してもらったことを意味しており、3人の教員は非常にうれしく思っています。次の平成20年度も今年度と同様に「太極拳」授業が実施できることになっており、また意欲を新たにしております。ありがとうございました。また、授業直前の第2体育館内の環境整備や授業の写真記録などに協力いただいた工学部清水研究室の皆さんに深く感謝いたします
       「太極拳を学んで」

                教育学部特別支援学校教員養成課程1年 鈴木祥隆

  大学に入学し中国人留学生と出会い、日々共に下宿生活を過ごしています。その会話の中で太極拳の話が出てきて、「見せて」と頼んだところ、少しだけやってくれました。今になって思うと、それは「起勢」から「野馬分髪」であったと思う。日本人にとってのラジオ体操みたいなものよと言われ、ただ自分も太極拳をしてみたいという理由からこの講義を受講しました。また幼少時代から習ってきた詩吟に合わせて舞う「剣詩舞」に似ているところがあるのではと思い、何かをつかむことができればとの期待も、この授業を受講した理由です。受講希望者多数の抽選に当たり、無事にこの太極拳を受けることが出来てよかった。
 講義の初期段階で、「起勢」などを含めたかなりスローな動きを何度も繰り返す練習があったが、これが太極拳の基礎であると先生が言われていたので、身体に太極拳を馴染ませるために動きの意味を考えながら、そして体育館の大きな前面鏡に映る自分の姿と先生の姿を見比べながら、真剣に練習に取り組んだ。武道、武術に限らず、初期段階の基本をしっかりと固めることは最も重要なことであり、基本が身についていればどんな技でもできると思う。初期段階で基本にきちんと取り組んだ人と、そうでない人を見比べると、前者は太極拳の形に徐々になっていくが、後者は太極拳とは言いがたいゆっくりとした奇妙な踊りであったように思う。何事も基礎訓練が大事であるということを再確認した。
  太極拳をし始めてまず気づいたことは、予備運動をした時点で、指先まで体が温まることである。今まで小中高で体育の時間にやってきた陸上、バスケットボール、バレーボール、水泳などに比べ、太極拳は動きがかなりスローであり、体に必要最低限の負担しか掛からないため、無理をすることなく取り組める武術であると感じた。高校時代に腰椎椎間板ヘルニアになり、激しい運動をすると腰に激痛が走る自分にとっても無理のないものであると感じた。太極拳を始めて2, 3回目くらいからパオジャンをすると両手が引き付け合うような感覚を持つようになった。太極拳は先にも述べたとおり、動きがスローなため、意識、精神を完全に集中させ、呼吸を整え、正しい姿勢で重心を移動させなければ、きれいな動きはできなかった。これらの調和が崩れたとき、体のバランスを崩すのだが、その際とても大きな力を体に感じ、姿勢を保てなくなる、倒れるしかないくらいの力を受けるあの感覚は今までに感じたことがないものであった。正しい姿勢で、呼吸を整え、精神を集中させることの重要性、また難しさを感じた。自分なりに集中し、呼吸、姿勢を整えることができ、その状態で太極拳の動作を行えているときは、身体が自ら滑らかな、そして自然な動きをしていく不思議な感覚を覚えることができた。
  講義の都合上、24式の最後までいくことは出来なかったが、太極拳を学ぶことが出来てとてもよかったと思う。太極拳の動作を丁寧に解説してもらっただけでなく、動作の意味の説明をもしてもらえたので、簡単にそれらを理解することが出来た。また講義の最初に行う前回の授業の復習、基本動作の確認も丁寧に指導していただき、それぞれの動作の定着を早めることが出来ていたと思う。全体練習の後のA, B, C班とグループを分け、少人数でもう一度教えてもらうことの出来る授業環境はとてもよかった。受講している学生をおいていくことなく、指導されていてよかった。将来教員を志す自分にとって、学んだことは太極拳だけではなかったように思う。
  最後に清水先生をはじめ、指導してくださった宏子先生、馬場先生、ありがとうございました。心と体の調和の大切さを学べたような気がします。心と体の調和が出来たとき集中することが出来るのだな、と感じることが出来ました。短い期間でしたが本当に楽しかったです。毎週太極拳が楽しみでした。これからも学生に太極拳を伝えていってください。


       「太極拳考」

                       教育学部音楽教育課程1年 田内芙美代

  太極拳は今回の受講が初めての体験だったため、またシラバスの中にあった、「予想以上に難しい」という記述もあって、少々恐ろしかった。というのも、体育は私の苦手な教科で、控えめに見ても自分は運動の苦手な方だということは、はっきり解っていたからである。人数制限も厳しそうだったため、‘丁寧に指導してもらえそうだ’と思う反面、‘足を引っ張ったらどうしよう’と思ってもいた。しかし、何かのテレビで「中国の人はみんな太極拳をする」とか「公園では毎朝高齢者の方が太極拳をしている」ということを知ったので、こんなに大衆的で高齢の人にもできるなら私だって出来ないことはないだろうと希望的に考えていた。それに他の体育の授業は、バレーボールやバスケットなど、上手いか下手かは別として私にも馴染みのあるものだったし、その点一般教養の課程で受講するなら、さわりでもよいから馴染みないものを勉強したいと思ったということもある。
  希望者抽選で残って、非常にほっとした。実際授業を受けてみて、太極拳をする事自体というよりは、新しいことを習うのが楽しかった。いかにも中国的な動きで、‘太極拳だ!’という感じ?がしたし、工学部の先生に体育館で授業をしてもらうのは、何か強い説得力を感じてしまい、太極拳をしていると、いつも使わない筋肉が筋肉痛になるので、素直に感動した。先生はとても丁寧に教えて下さって、期待していた以上にわかりやすく、よい授業だと思った。素人のためにあそこまで丁寧に動きの一つ一つを説明するのはものすごく大変だろうと思われた。先生たちが非常に生き生きしておられるので、「太極拳が上達すると、あんな風になれるのかしらん」ととても感心した。一芸を磨く事は大切だと再認識した。
  授業を受けるうちに、太極拳では「重心」を意識して実にうまく使っている事を感じて、面白い。それに「動きに途切れが無い事」や、関節技はかけにくいだろうと思われた「柔軟性」が印象的だった。太極拳に関しては、ずっと以前(中学校のころ)読んだ金庸の中国小説の中で武道家が考案して、それで戦っていたのを読んだ事があり、「まさか実際そんなことありえないだろう」と思っていたものの、習っていることとなんだか記述が似通っていて面白かった。「気」とか「丹田」とかもそこで読み、感心した覚えがある。
  太極拳は武術だが、武術というと柔道とか空手の形を意識してしまい、授業でいろんな型の流れを習いながら、ここで受けで、こう引っ張って…というのは解ったが、とうとう武術としての太極拳は感じることはできなかった。父から空手の拳の出し方などを習ったときは、その工夫などにいちいち納得させられたが、武術太極拳で試合をしたら、どんなことになるのかは想像もつかなかった。音楽に合わせて太極拳をしながら、いろんな表現方法を反芻していたら、「のれんにうでおし」という言葉が浮かんできて、楽しくて笑ってしまった。
  最後に、歌に合わせて太極拳をして終わる、というのは、達成した感があってとてもよいと思う。ただ、最近の流行歌に合わせて踊る・・「踊る」とどうしても表現してしまう・・のは、なんだか私には歌と歌詞と動作がそれぞれ不思議なかみ合わせで、盆踊りの曲に合わせながらタンゴを踊っているような、異様な感覚は拭い去る事ができなかった。太極拳は、古い歴史を持つ中国の文化の一つだと思うので、日本の雅楽の原型でもある中国の音楽を使ってやってみたらどうかしらと空想してみたが、実際想像してみるとそれはそれで若いひとたちからうけが悪いだろうとも思われる。かえって流行歌に合わせた方が、やはり新鮮であり、振袖姿にブーツを楽しむような、新しい調和の感覚がよいのだろうと思った。
  太極拳をしようと思ったときは、まさか美感覚についてまで考えると思わなかったが、実際上手な先生方の動きは、いかにも特徴的で無駄がなく、美しいと思う。この授業では、日常の柔軟運動などの大切さとともに、中国の文化や独特の表現形態の美しさについて学ぶ事ができ、受講できてよかったと思っている。


       「太極拳で得た宝物」

                       教育学部国語教育課程1年 丹羽沙也子

  どうせだったら、今までにやったことのないスポーツをやろうと思い、太極拳を受講しました。私が太極拳をやると言ったら、うちの母親も羨ましがり、「覚えてきたら教えてね!」と言われました。第一回目の講義のことはよく覚えています。先生方が素晴らしい演技を見せて下さいました。太極拳がこんなにも格好いいものだったことを知り驚くと共に、これからの講義のことを思い「わくわく」しました。

  太極拳は動きもゆっくりだし、運動としては物足りないかなと思っていましたが、実際やってみると、身体が筋肉痛になり驚きました。また思っていた以上に難しく、(シラバスに「太極拳は予想外に難しく」と書いてありましたが)、ここまでとは思っていませんでした。もともと物覚えの悪い私は、最初からくじけてしまいました。全然上手くできないし、他の人より覚えるのは遅いし、「だめだこりゃ」と思って、受講した当初の熱意は薄れかけていました。でもそんな時、先生が「丹羽さんは体重移動が上手だね」と言って下さったのです。「これから上手くなるよ」とも言って下さいました。その時の嬉しさは忘れられません。一気に私のやる気も浮上しました。
  先生方の動きを盗み見て、出来るだけ真似しようと努力しました。家に帰ってからも鏡の前で練習しました。受講者をグループ分けして少人数ごとに教えて下さったことも、私にとっては良かったです。先生の動きが見やすく、また個人的に注意して頂けることで、自分の何がだめなのかが、よく分かりました。そして、先生方の絶妙な褒め方です!私がくじけそうになっている時に限って、「大丈夫」とか「出来てる出来てる」とか、私の気持ちを高める言葉をかけて下さいました。とても嬉しかったです。教育学部で教師を目指す者として、お手本にしたいなと思う教え方です。そうしているうちに、だんだん太極拳独特の動きにも慣れてきました。そして、どんどん太極拳をやるのが楽しくなっていきました。
  最後の発表の日は、緊張して手が震えました。でも演武している最中は今までで一番楽しかったです。演武し終わった後、私の心の中には満足感がありました。先生方の「32式太極剣」の演技もとても格好良く、つい友達と騒いでしまいました。
  太極拳を受講して本当に良かったです。アットホームな雰囲気の中で、楽しく過ごせた半年でした。今、母と「太極拳を習いに行きたいね」と話しています。機会があったらまた太極拳に触れてみたいと思っています。
  最後に、先生方へ…。半年間本当にありがとうございました。運動音痴の私が太極拳をある程度出来たのは先生方の優しさのおかげです。大学は中学、高校とは違い、なかなか教師と生徒が触れ合うことに恵まれない場所ではありますが、この太極拳の授業で先生方と、時に楽しく話せたりしたことをとても嬉しく思っています。これからも是非、この太極拳の講義を続けていって欲しいです。本当にありがとうございました!


       「太極拳の魅力」

                              地域科学部1年 平野


  私は今回この授業を受けるまで、太極拳がどんなものか知りませんでした。太極拳を履修するか、一般的なスポーツを行う授業を履修するか迷いました。常日頃の運動不足解消に、体をよく動かすスポーツをやろう、後期は寒いだろうから体の温まるスポーツが良いと思いながら、しかし太極拳が妙に気になっていたのでした。そこでインターネットで太極拳を検索してみると、実に奥の深いスポーツであることが分かりました。もとは武術であることを知り、柔道や合気道、少林寺拳法など、どれにも縁がない私に、これは良い機会であると思い受講を決めました。終わってみた今、その選択は間違っていなかったとうれしく思います。それに太極拳は全身運動だと実感しました。おかげさまで筋肉痛はどうにか免れましたが、授業のあった火曜日の帰りは、体が疲れていて、気がつくと電車の中で姉(共に太極拳を受講)とウトウトしていました。激しすぎるわけではなく、また自分にあった運動量で行えるすばらしいスポーツであると実感しました。お年寄りをはじめ、幅広い年齢層に支持されている理由が良く分かりました。一般的なスポーツはどこでもやれますが、太極拳はまだまだポピュラーであるとは言いがたいと私は感じます。この授業を履修していなかったら、ずっと太極拳とは縁のない生活であったでしょう。太極拳を授業としてやってくださる、清水宏晏教授や清水宏子講師、馬場理恵講師のおかげです。機会を与えて下さったことに感謝しています。
  後学期半年の授業というのがこんなにも短いとは思いませんでした。簡化24式太極拳を最後まで経験してみることはできませんでした。例年は全部やってみえるということですが、それに比べてゆっくりと今年はやって下さっているのに、それでもなかなか覚えられずにいつもきょろきょろしながらやっていた私です。とても「太極拳ができます!」とは言えませんが、太極拳がどんなんものか、その動きにこめられて意味等を含め、少し理解できました。それだけでも大きな収穫です。それにせっかくだからもう少し習ってみたいと思いました。調べてみたところ、地元の市の施設で太極拳をやってみえるグループがあるとのことです。機会がありましたらぜひ参加してみたいです。
    最後になりましたが、太極拳の魅力を私に教えてくださった先生方、ありがとうございました。大学の授業を通して、太極拳愛好者が日本にもっと増えると良いと思います。


       「太極拳の授業を振り返って」

                             医学部看護学科1年 稲森由紀


  4年前に「台湾」を訪れた時のことです。早朝6時頃、宿泊先近くの中山公園まで散歩に出かけた時、早朝にも関わらず大勢の人たちがそれぞれグループ毎に太極拳や中国武術などで汗を流していました。また、中正記念堂(現、台湾民主記念館)の立つ敷地内でも、夜7時過ぎになると徐々に人が集まり、気がつけば早朝と同じ光景がそこに広がっていました。興味を持った私は、滞在中、毎日のようにそこに出掛けました。最終日には、ついに皆さんから声をかけてもらったのをきっかけに、見よう見まねで太極拳に参加させてもらいました。当然、全く形にはならなかったのですが、とても清々しい気分になり、是非、太極拳の基礎を身につけて再び台湾を訪れたいと強く思いました。
  しかし、いざ始めようと思うとなかなか時間の都合がつかず、そうこうしているうちに4年も経ってしまい、やりたいと思う気持ちはありながらも半ば諦めかけていました。そんな時に、入学した岐阜大学のシラバスを読んでいて太極拳の授業があることを知りました。この機会を逃す手はないと思い、願掛けの意味もこめて他のスポーツの授業は一切登録せず、開講される後学期を待ちました。
  その甲斐あってか、受講希望者多数による抽選にも幸運がきて、いよいよ太極拳の授業が始まったのですが、いざ始めてみると想像以上に心と身体をつかうスポーツでした。
  実にゆったりと流れるような動きを見せる太極拳ですが、とにかく下半身(腰から下)にかかる負担は運動不足のわたしにとって非常にきついものがあり、また、上半身を支えバランスを崩さないように維持しなければならず、手の動きに気を取られては足元がぐらつき、かといって足元ばかりに注意を払っていると手の動きがおろそかになってしまい、先生方から個人的に指導いただくことも度々でした。鏡の前で練習をしていても、そこに映る自分の姿は腰がひけていたり棒立ちだったりで、太極拳とは程遠い動きに思わずため息をついてしまうこともありました。
  しかし、授業そのものは本当に楽しく、1週間を通して1番熱心に取り組んだ科目だったと思います。先生方は学生11人と向かい合う姿勢を大切にされており、すぐに名前を覚えてくださって何かにつけ声をかけてくださいました。また、清水宏子先生や馬場先生の演技を見ながら必死に手足を動かしていると、後ろから私達の動きを見ておられた清水宏晏先生が、気になる点があればその都度声をかけて指導してくださいました。リラックスできる環境で丁寧に指導いただいたおかげで、少しずつではありますが形になってきたように思います。授業で時間が足りず24式すべてを習得できなったことが心残りだったのですが、これからも個人的に太極拳を続けたいと考えています。看護師を目指しているわたしにとって、太極拳は仕事に活かせる趣味になると思います。是非続けて、できれば「特技は太極拳です」と言えるようになりたいです。
  半年間、先生方には本当によくしていただきました。ありがとうございました。


       「楽しかった太極拳」

                            医学部看護学科1年 今井真実

  夏休みも終わって,また授業が始まるなあ,とちょっと残念な気持ちになっていたとき,後学期の授業科目のなかに「太極拳」を見つけました。失礼な話ですが,そのときは冗談かと思いました。だって普通ありませんよね,太極拳。そういえば4月に初めてシラバスを渡されたときから,気になっていたかもしれません。しかも先生は工学部の教授って書いてあるし,なぜ工学部の先生がと,とにかくいろいろな意味で興味を惹かれました。そこで友達と一緒にホームページを見てみました。するとみんなが,動画の中で思いっきりJPOPな曲に合わせて太極拳を,しかも一糸乱れぬ感じで披露しているではありませんか。とってもかっこよかったです。これは絶対やらねば!と友達みんなで約束したのでした。
  受け初めの頃から太ももが相当つらかったです。だんだん慣れてくるものかな,と思っていましたが,なかなかそんな甘いものではありませんでした。なんせずっと中腰の状態が続くので,筋肉がプルプルしていました。それでも少しはましになってきたのかもしれません。最初のころは次の日いつも筋肉痛で悩まされていたことも思い出します。シラバスにも「思っているよりかなり大変」といったことが書いてありましたがまったくその通りでした。まさかここまでとは…とちょっと後悔してしまいました。休憩時間も短かったしね。太極拳がこんなにハードなスポーツだったとは思っていませんでした。
  ただ,いままでの体育では考えられないくらい褒めていただいたことが私にはとても嬉しかったです。生まれてこのかた体育で4以上の成績がついたことがなかったので今回の体験は新鮮でした。そのおかげで体力的には大変でも,毎回の授業が楽しかったです。それに本当に生涯続けられるスポーツを見つけられて良かったです。これからも続けていきたいです。そうしたらどんどん健康になれる気がします。
  一つ残念だったのが太極拳24式を全部通して出来なかったことです。でも授業のペースが遅すぎたわけではなく(むしろ私は追いつけず,だんだんぐちゃぐちゃになってきてしまってくらいで),授業数がやっぱり少なかったと感じています。でもここまで頑張ったのだから最後まで完成させたいし,まだ先生方に教えていただきたいところもたくさんあります。そこで私もぜひ稲森さん(前の文章の友人)と一緒に練習したいなと思っています。24式太極拳を全部覚えたら「台湾」へ旅行に行って,地元のおじいちゃんおばあちゃんに混じって太極拳やってみたいね,とか言っています。ほんとうにそんなことができたら楽しいなあと思います。
  これからホームページに自分達の太極拳の最終表演が出てくるかどうか楽しみです。でも私は「雲手」のところで手が「単鞭」になっていたりします。ぐちゃぐちゃです。もうちょっと完成したものが発表できればよかったです。それは反省しています。それでもこの授業は楽しかったです。自分の判断は間違ってなかったです。面白かったです。これからも太極拳ファンを増やしていってください。先生方、半年間ありがとうございました。


       「太極拳感想;動作と呼吸を意識して」

                             応用生物科学部2年 佐藤萌水

  太極拳については、以前から興味があって、是非1度やってみたいと思っていましたが、実際に大学の講義として今回体験することができ、太極拳のことはまだまだよくわからないことが多いですが、「奥深いなぁ」とあらためて感じ、さらに太極拳に興味がわきました。私はこの授業を受けるまで、太極拳についてただ漠然と、中国で国民的に普及している、ゆったりとした動きで体を整える運動ということしか知りませんでした。
  しかし、最初の授業で、先生方(特別に演武してくださった中国人の先生を含めて)の流れるような美しい動きをみて健康によい運動というだけでなく、言葉では表現しづらいそれ以上の何かを感じました。そして、それは太極拳が武術であるということ、1つ1つの動きにはきちんとした意味があり、相手を意識した動きであることを知って、その理由がわかりました。
  私は現在、「合気道」を稽古しているのですが、合気道も武術でありながら決して競技を行いません。そのため、すべて演武という形式で行われます。それは合気道が和の武道であることを念頭において、自己修練を目的としているからであると、未熟な私の認識で考えています。太極拳にも同じようなことが動作の節々に感じられました。
  太極拳の動作は、力まず柔らかく流れるような動きであり、ひとつひとつの動作に頭を使い、意識で動作と呼吸を統一することが必要であると実際に体験してみて感じましたが、このことは合気道にも共通する部分があり、そういった意味でも、今回太極拳を体験できたことは大変意義深くいろいろと考えさせられました。また、実際に集中して先生方の指導通りに動作と呼吸に意識をむけ、きちんと動けたと思った時は、運動したあとにもかかわらず、体が非常に楽になるのが印象的でした。
  従来の学校で指導されるスポーツは、球技やマラソン、水泳など身体を使うほど疲れるという認識があったので、太極拳のような体の使い方を学校で指導するのは、ある意味、とても画期的なことではないかと思います。太極拳のよさを知り、体を動かすことによって、新しい認識が得られる学生さんが増えたらすばらしいことだと思うので、これからも先生方には、ぜひ太極拳の授業を続けてほしいと思っています。
  全体を通して太極拳を身近に感じることができて、この授業は本当に良かったです。また、最後の授業で先生方3人で見せてくださった「32式太極剣」の演武はとても魅力的でした。剣の扱い方がすばらしかったです。
  最後に、清水先生をはじめ、宏子先生、馬場先生、ありがとうございました。いつも明るく、優しく、丁寧に指導をしてくださり、楽しみながら学ぶことができました。本当にありがとうございました。

平成19年度 後学期
最終日( 2008. Jan. 29 )の4時限目の集合写真(リラックス版)
4時限目のグループの最終表演「24式太極拳」の動画