太極拳
全学共通教育-スポーツ・健康科学-「太極拳」:火曜3時限; 第2体育館

担当教員:工学部機能材料工学科 教授 清水宏晏 (しみずひろやす)
           
                  (日本武術太極拳
連盟2段 公認級指導員
指導員(ボランティア):
清水宏子 (日本武術太極拳連盟2段 公認B級指導員)
                               馬場理恵 (日本武術太極拳連盟2段 公認B級指導員)

清水教授と2名の指導員
「概況」
  「太極拳」開講以来3年目を迎えました。昨年度は、90分授業を11回で太極拳の国際的スタンダードである「簡化24式太極拳」をマスターすることに専念し、学生諸君の熱意によりかろうじてそれを修了できました。今年度も再びそれに挑戦しました。総人数35名の学生諸君をABCの3グループに分け、清水宏子、馬場理恵の2人のボランティア指導員の協力を得て、「簡化24式太極拳」の指導/習熟に当たりました。幸運にも今年度は実質13回の90分実技授業を実施でき、最終回の学生表演では、各グループが太極拳の格好と雰囲気を漂わせ、十分に満足できる演武を見せてくれました。以下の動画のように、その成果は十分得られたものと思われます。しかし、授業終了後の学生諸君の感想文には、「相当きつかった」「はやすぎた」等の声が多数あり、平成19年度からは、もう少し授業を柔軟に考え、必ずしも「簡化24式太極拳」を完了することだけを目的とせず、例えば「簡化24式太極拳」の前半部分をベースにした自由な形態を志向した方が良いだろうと考えています。
  平成19年度後学期(10月2日より)からは「太極拳」の授業の数が1コマ増えて、授業を2回実施できることになりました。学生諸君の履修希望が多くあるためと思われますが、これにより、より多くの学生諸君に広く太極拳を体験してもらえることになり、開講4年目にしてうれしい出来事となるでしょう。2つ目の授業は、これまでボランティア指導員であった清水宏子、馬場理恵の2人に(彼女らは共に日本武術太極拳連盟2段、公認B級指導員)、岐阜大学非常勤講師として担当していただくことに決定しました。


 Aグループの24式太極拳の最終表演を動画(wmv:約6分)として取り込んでいます。
 (ホームページの後半部分) ここでもクリックして見れます。

  wmvファイルが見れない場合は、aviファイルもあります。

   授業終了後に寄せられた学生達の感想文から,彼らの承諾を得て5編を最後に載せています。ここからでもクリックして読めます。


「開講初日;受講希望者を抽選で・・」「平成19年度は、太極拳が2コマに増設」
 今年度も昨年と同様に、開講初日の受講者登録には、多数の学生諸君が詰め掛けてくれました。彼らの希望が叶えられないことを心配しながら、仕方なく抽選で35名に限定せざるを得ませんでした。高学年を優先して、もれた学生諸君には申し訳なく、ぜひ来期受講してほしい旨を伝え、わびました。
 しかし、上述のように、平成19年度後学期には、「太極拳」の授業が1つ増設され、2コマになります。これで、少しは学生諸君の希望に添えるものと思います。

「受講者の分布とグループ分け」
 総数35名(男;23名、女;12名):1年生;23名、2年生;6名、3年生;5名、4年生;1名で、今年度は男子学生が多数を占めた。1年生の学部内訳は:教育学部;5名、地域科学部;1名、医学部;2名、応用生物科学部;4名、工学部;11名で、工学部が例年に無く多かった。グループ分け:Aグループ(担当指導者;清水宏子);教育学部と工学部の1年生12名、Bグループ(担当指導者;馬場理恵);地域科学部、医学部、応用生物科学部、工学部の1年生11名、Cグループ(担当指導者;清水宏晏)2−4年生の12名。
カナダから友人 (Prof. John S. Tse) 来訪 (2006. Dec.19) 彼は香港出身
2年生グループの最終表演「初級太極拳」の動画
↑クリックすると別枠で動画(wmvファイル)を見ることができます。
 (約6分)


授業終了後に寄せられた受講生の感想文から,彼らの承諾を得て,5編を載せました。
wmvファイルが見れない場合は、aviファイルもあります。
平成17年度 後学期
(2006.10 〜 2007.1)

「簡化24式太極拳への取組み;目標と結果」
 「簡化24式太極拳」は、ちょうど50年前の1956年に太極拳の普及のために中国で制定され、24組の動作からなる標準的な太極拳として世界で広く愛用されている。それに要する時間は、通常6−7分くらいで、一見短時間と思える24式太極拳であるが、これをマスターするのは、なかなか難しい。それは、ただ24組の動作の順番(套路;とうろ)を覚えるだけでなく、太極拳の本質である「肩を落とし胸を張らず、体をゆるめる」「体の中心軸を垂直に持続して、重心移動を行う」「体をねじらない」「顔、手足、胸腰部の動きを協調一致させる」「動作のスピードを均一に」など多くの要求を満たさなければ、自然で美しい太極拳はできず、ぎこちない太極拳になってしまう。したがって、授業の最初には、毎回十分なストレッチで体を柔らかくし、そして太極拳の基本である手法(手の動き;例えば、体の前でボールをつくる(抱拳))や歩法(歩き方;足の出し方や重心移動の方法)の習得に時間をかけた。そして授業の前半部分では全員の総合練習により、平均すれば1回の授業で2組の新しい動作(套路)を覚え、さらに後半部分では各グループに分かれ少人数でそれらの習得の徹底を図った。
 学生諸君は、当初、何をやっているのか判らない様な反応であり(こんなはずではなかった、との表情を示す者もいた)、太極拳は予想以上にたいへんで、筋肉痛を訴える学生もいたようであった。しかし、回を重ねる度に、だんだんと太極拳らしい「ゆったりとした動作」を習得し、彼らの太極拳への順応性とイメージを体で表わす能力に驚いた。
 最終回のグループ表演では、A, B, C グループがそれぞれ選んだ音楽、ここにしか咲かない花(コブクロ)、しるし(Mr. Children)、三日月(絢香)に合わせて、「簡化24式太極拳」をゆったりと演武してくれました。見ていた他のグループと指導者は、それぞれの表演に大きな拍手をおくりました。今年度は比較的暖かい冬でしたが、それでも大きくて冷えた体育館での練習を終えて、当初の目的を達成してくれた学生諸君を見ながら、指導の先生方は、大きな喜びと充実感を感じました。


「授業の様子を表わす写真」

最終日(2007. Jan. 23)の集合写真

「授業を終えて;感想そしてお礼」
 太極拳を初心者に教えることは容易ではありません。それは、心(頭で考えること)と体(イメージを動作で表わす)の協調一致と融合を必要とするからです。今回は、男子学生の人数が女子学生の約2倍と、これまでの女子学生多数の傾向とは反転しました。そのためか、初めの頃はなんとなく静か過ぎて盛り上がらず、指導者達はその雰囲気を心配していました。しかし、回を重ねる内に、自主的に太極拳のそれぞれの動作を質問したり、また具体的に自分の動作のチェックを求めたり、やる気が十分見えてきました。そして、最終的には、最終回のグループ表演に向けて、みんなの気持がまとまりました。
 今回の授業で「簡化24式太極拳」を全てマスターさせたいとの思いは前回と同様で、期間的に十分な余裕がなく、また限られた時間内で行わなければならないため、練習を走る部分もありました。しかし、学生諸君の若い力が、それに着いて来てくれました。また、ボランティア指導員の献身的で熱心な指導のおかげとも思っています。指導に当たった彼女らは、授業の最終日に「もう終わりかと思うと淋しいよね」と会話していました。私にとっては、感謝の気持でいっぱいです。平成19年度からは、彼女達自身も非常勤講師となり、1コマの「太極拳」を担当してくれます。今から、楽しみです。
 最後に、この「太極拳」の授業を実施することに協力いただいた教育学部保健体育の川岸教授をはじめ、スポーツ/健康科学のスタッフにお礼を申し上げます。また、授業直前の第2体育館内の環境整備や授業の写真記録などに協力いただいた工学部清水研究室の皆さんに感謝いたします。

       「太極拳の授業を受けて」
                           教育学部 1年 香田紫帆

  私は、初めスポーツの分野で授業を取るなら、今まで自分のやつたことの無いものにしようと考え、太極拳を選びました。また、太極拳は、体に良いという話も聞いたことがあったため、興味を持っていましたが、どのような運動なのか、全くその内容は知りませんでした。テレビで観たことのある、多くの人々が広場に集まって、なんだかゆーっくり動いている程度のイメージしかなかったのです。
  最初の授業で、先生方の24式太極拳を見せていただき、これからこれを全てやって行くのだと言われた時は、こんなにたくさんの動きを後学期だけで出来るのかと驚き、ついて行けるのかと不安になりました。初めは、前に進む歩き方すら分からなかったのですが、少しずつ授業を受けて行くうちに、だんだんそれぞれの動きが分かって来て、楽しくなりました。そして、最後には24式全てを学ぶことができ、とても良かったです。
  太極拳は、私が想像していたよりも体力を使うスポーツでした。私はラクロス部に所属していて、よく運動している方なのですが、足や腕が筋肉痛になることもありました。太極拳は、繊細なスポーツだと思います:右足から左足への体重移動、手の動き、腕の形、足の置く位置、肩を落としてリラックス、など細部にわたる動作が重要だからです。ラクロスは展開の速いスポーツで、地上最速の球技とも言われており、スピード感がとても楽しいものです。そんなスポーツをしている私が、太極拳でゆっくり動くことが楽しいと感じ、同じ種類の動作を組合わせた動きなのに、どうして太極拳をやるとこんなに充実感があるのかと、不思議に思いました。
  清水教授、宏子先生、馬場先生の3人は、毎回の授業をとても熱心に、丁寧に教えてくださって、分かりやすかったです。私はAグループで、宏子先生がいつも明るく声をかけてくださって、分からない時には質問しやすく、良い環境の中で太極拳を学べました。私はこの授業を取らなければ、今後太極拳にふれる機会はなかったと思います。この授業を受けて太極拳はどんなスポーツか分かったし、大人になっても、高齢の時でも参加出来る運動だと、感じました。また、清水先生のように、夫婦で共通のスポーツの趣味を持てたら素敵だと、思いました。良い経験になりました。後輩にも、太極拳の授業を勧めておきます。短い期間でしたが、ありがとうございました。


       「太極拳」 
                           応用生物科学部 1年 松下由季

  最初は、太極拳はゆっくり動くから運動が苦手な私でもできるかなと思っていた。実際に太極拳をやってみると、1つ1つの動きは簡単と思えるものが多く、すんなり覚えられた。しかし、24式太極拳の前半部分が終わった折り返し点から難しい動作が増えてきて、全体を通し満足に演技することはできなかった。また、ゆっくり滑らかに演技するのは難しくて、どうしても動きが硬くなってしまうし、ずっと膝と腰をゆるめた中腰の体勢でやるのも大変だった。足がプルプルするくらい負担がかかっているはずなのに、不思議とやっている最中はそんなに疲れた感じがしないため、毎回終わった後は、これなら続けていけると思った。
  前半部分は何度も繰り返し練習をしたため、動作や順序が自然と覚えられたが、後半は前半に比べて動きが難しいし、練習する回数自体が少なかったように思うので、来年度は前半部分をもう少し早く進めて後半部分に多く時間を割いてもいいと思う。
   最後の授業の表演会で見せてもらった先生方の剣を使った32式太極剣の表演がとても素敵でかっこよくて、思わず見入ってしまった。今回習った24式太極拳より確実に難しいことがわかるけれど、やってみたいと思った。
  太極拳の動きは予想外に大変だったけれど、その練習自体はとても楽しくて毎週火曜日の3時限が楽しみだった。できるならば来年度も参加したい気持である。授業が残り少なくなった1月から、太極拳がもっとやりたくて、地元の太極拳教室にも参加した。「特技は太極拳です」と言えるようになるまで、これからも太極拳を続けていけたらいいなと思っています。


       「太極拳を学んで」
                           応用生物科学部 2年 森 幾啓

  太極拳に限らず中国拳法全般に興味があった私にとって、この「太極拳」という授業内容はとても興味を惹かれるものでした。普段は滅多に触れることのできない技術を学べる良いチャンスだと思い、授業のシラバスを見たときから必ず履修をしようと決意していました。しかし、1年生の時は、希望者が多く人数制限により履修できず、今期の2年生になってようやく太極拳を学ぶことができました。
  太極拳の動きは、まさに柔の動きです。円を基調とした手の動き、水面に波紋を立てないような足の動き、そして身のこなしは流れる水や落ち葉を連想させる。この太極拳の動作を修得するのは非常に難しく、練習中に重心が崩れてふらふらしてしまうこともしばしばで、特に靭帯が伸びて捻挫癖がついていた右足には厳しいものを感じたりもしました。
  しかしながら得られるものも多く、簡化24式太極拳の套路を覚えていくにつれ、自分の体のこなしが徐々になめらかになり、柔らかく整った太極拳独特の動作ができるようになったと思います。太極拳の動作一つ一つの意味も理解でき、何故あんな動きをしているのか、目で見てわかるようになりました。
   ただ、一つ一つの動作の練習時間が短く、大雑把な動きしか説明してもらえなかったのが、時間の都合があるとはいえ、残念な点だったように思います。「太極拳とは体全体に意識を広げるもの」そして頭の頂点から指先、足のつま先まで意識を集中させ、気の流れにそった動きを必要とするものです。おおまかな体の動かし方だけでは両腕、足運びの軌道がわからずに、最後の授業の表演会でも曖昧な動作になったのが心残りです。機会があれば練習により曖昧な部分をなくしていけたら、と思っています。
  最後になりましたが、清水教授をはじめ、補助員としてご指導頂いた先生方に感謝の意を述べて結びたいと思います。本当にありがとうございました。

(清水より補足;森君は少林寺拳法の有段者で、太極拳の動きには当初から目を見張るものがありました)


       「太極拳・授業後の感想」
                           応用生物科学部 2年 宮川 剛

  私は、激しい運動があまり得意ではありません。しかし、全く体を動かさないのも体に悪かろうと、以前、授業のシラバスを見ていたところ太極拳が目にとまりました。太極拳というと、緩やかな動き、というイメージがあったのでこれなら丁度いいかも、と思い履修登録してみようとしたところ、その時は希望者がすごく多く、履修できなかったことを憶えています。その時は、そんなに多くの同僚がやりたがっていたのだなぁ、と思うと、ますます興味が出てきて、今回の履修となりました。
  実際に太極拳の授業が始まって、先生がこう言いました「太極拳は全身運動ですよ」と。やってみて実際に、そう思えたのは12月に入ってからのことでした。12月の体育館といえば寒いです。ものすごく寒いのです。日が当たらない分、外よりも気温が低く、床も冷たいのです。にもかかわらず、授業後自分が少し汗を書いているのを感じたからです。あ、やっぱりすごく体を使っているんだ、と実感しました。また、24式太極拳の後半部に入ってくると、体の柔らかさが要求される動きが多くあって、普段の運動のなさはこういうところにも響いて来るんだと反省したこともありました。
  また、太極拳の動き(套路というのでしょうか)では、まず体重移動の大切さを知りました。自分は正直最後まであまり上手くできなくて、フラフラすることも多かったのですが…。そして、体重移動に加え、手の形、脚の位置、姿勢、なにより型を意識しなければならないことがとても多く、混乱してしまうこともありましたが、一つ一つを順番に教えてもらって、わからないところがあれば質問したり、聞ける機会があったのはとても良かったです。1回の授業で大きく進まないことも自分にとってはとても助かりました。
  最初に先生方の演武を見たときには、後学期だけでこれだけきちんとできるのか、と思いました。それに、動きの一つ一つの意味も良くわかりませんでした。今でもわからない部分が多少あるのはとても悔しいですが、形だけでもこなせるようになったことは喜ばしいことだと思っています。太極拳にふれたことで、さらに自分で興味が沸いてきたからです。最後に見た先生方の剣を使った32式太極剣の動きは素晴らしく、見とれました。長い剣を持った動きであんなに流れるように動けるのはとても興味深かったです。
  今回太極拳を体験できたことは、自分にとってとても有意義なことであったと思います。太極拳というと、隣の中国の武術で、自分にとって遠いものだと考えていたからです。多少なりとも、中国の文化に触れた事をきっかけにして、その文化に興味を持っていかなければ、と思いましたし、もっと太極拳の動きについて深く知りたい、という欲求も出てきています。これからは、機会を探して行きたいと考えています。
  最後になりましたが、清水先生と、ボランティアで指導してくださった清水宏子先生、馬場先生には、楽しく、そして丁寧に教えていただきました。本当にありがとうございました。

       「太極拳」
                           地域科学部 3年 木村和世

  「太極拳」の授業を受けて本当に良かったと思っています。太極拳を知る機会、経験する機会はなかなか無いし、あったとしても太極拳の一般的イメージから、もう少し歳をとってからになってしまいそうかなと思います。でも私は運よく大学生のうちに、太極拳のほんの一部かも知れないけれど、それを経験することができたので幸せだと思っています。友達が一緒だったということもあったけれど、毎回太極拳がとても楽しかったし、毎週次の回が楽しみでした。少しずつ形になっていくのが嬉しくて、気が付いたら友達と、かなりはまっていました。歩きながら手の動きを復習したり、ゼミで実験が終わるのを待つちょっとした時間に腰を回してみたり、授業のあとに疲れた体を伸ばすために太極拳の柔軟体操をしてみたり…。太極拳が身近なものになりました。
  先生方もとても優しく教えて下さったので、嫌になることなく最後の授業の表演会を終えることができました。まさか太極拳とJ-POPをあわせるとは思っていなかったのでびっくりしましたが、表演会も上手くいって(たぶん…)よかったです。もうじき出来る太極拳のホームページで、チェックしたいと思います。今から楽しみです。
  最後の授業の表演会で、先生方が剣を持って演武した「32式太極剣」を見て、さらに太極拳に魅力を感じました。健康にいいだけではなく、あんなにかっこいい動きもあるのだなぁと驚きました。テレビでよく見る太極拳では、剣なんて出てこないので、もっとみんなにもこのかっこよさが知れ渡ればいいのになぁと思いました。ほかの太極拳ももっと見てみたいなと思っています。もう少しいろんな面で余裕ができたら、太極拳を習ってみたいです。清水先生のように夫婦で共通の趣味があるとお互いに切磋琢磨できるし、夫婦円満で過ごせるのかな?と思いました。
  半年間、楽しく優しく太極拳をご指導いただいた清水先生、宏子先生、馬場先生、本当にありがとうございました。