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17世紀の節用集 
 17世紀は、江戸時代の節用集の典型ができあがっていく時期です。  | 
 
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◆17世紀の節用集では、楷書(真字)と行書・草書で漢字を表示する「真草二行」が標準的な形式になります。  | 
 
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〇江戸時代の初期には、行草書だけのものもありました。また、真草二行のもっとも早い例は慶長16年本ですが、室町時代からの名残りか、振りがなは片仮名でした。  | 
 
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◆本文上欄に付録を載せる「頭書(かしらがき)」の形式も、ほとんどの縦型本に踏襲され、江戸時代節用集の典型的なレイアウトになります。  | 
 
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○勢いあまって(?)、「三階版」も登場。いくつかの本屋が試みましたが、(辞書本文部分にかぎっては)大阪のある本屋が独占するよう、取り決められました。  | 
 
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◆引き方でも変わり種が生まれました。従来のものとは逆に、意義分類したなかをイロハ分けにした「合類型」です。  | 
 
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○『合類節用集』は、真草二行・頭書を採用した『鼇頭節用集大全』や、小型で行草書表記にした『(大)広益字尽重宝記綱目』『三才全書俳林節用集』などを派生してバリエーションも増えました。が、合類型の検索法が主流になるには至りませんでした。  | 
 
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◆1700年前後には、語数の多い節用集も編まれました。その点でも『合類節用集』は注目されます。ただこの傾向は、一部の例外を除けばすぐに終息します。こののち、大型の節用集が編まれるのは19世紀までまたなければなりません。
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