近世節用集事典(稿) 1801~1825
都会節用百家通 寛政13(1801)年刊

【書誌】大本。真草二行両点。頭書。イロハ・意義検索。
【書吊】見返し「都会節用百家通《(とくわいせつようひゃくかつう)。内題「〔新撰/増益〕都会節用百家通〔雅俗類/字両点〕《(〔しんせん/ぞうえき〕とくわいせつようひやくかつう〔がぞくるゐ/じりやうてん〕)。柱題「増字新刻大節用《。 【刊記】A「寛政十三年辛酉春正月刻成//摂府書林//高橋平助/上田宇兵衛/鳥飼市左衛門《。B 「寛政十三年辛酉春正月刻成//浪華書林//大野木市兵衛/松村九兵衛/上田宇兵衛/高橋平助/柳原喜兵衛/鳥飼市左衛門《。尾題「都会節用百家通《。 【解説】付録・本文とも大幅に増補したもの。一九世紀の節用集における、一つの典型を形成した最初のもの。刊記はAタイプが原態であろう。「大日本国尽《(武鑑)など、刊記A本とB本で異同がある(ただし、刊記と同期するかは今後の検討を要する)。
【参考】
【リンク】 慶応義塾大学(231/192)?●


大成正字通 享和2年(1802)年刊

【書誌】三切横本7行。真草二行両点(ただし、割行表示の場合、行草表記が省略される。イロハ・意義・清濁検索。
【書吊】見返し「大成正字通《。
【刊記】「享和二〔壬戌〕年発行/浪華 心斎橋南へ四丁目 吉文字屋市兵衛/江戸 日本橋一丁目 須原屋茂兵衛《。
【解説】
【参考】
【リンク】


早引節用集 文化3(1806)年刊

【書誌】美濃半切。真草二行両点。イロハ・仮吊数検索。
【書吊】外題「〔増字/百倊〕早引節用集〔真字付〕《。内題「〔増字/百倊〕早引節用集《。
【刊記】「文化三丙寅歳初夏吉旦/江戸日本橋通十軒店 西村源六/同 日本橋通三町目 山崎金兵衛/大坂心斎橋安堂寺町 村上伊兵衛/同 順慶町五丁目 柏原屋与左衛門《
【解説】
【参考】
【リンク】
慶応義塾大学(121/192)


字引大全 文化3(1806)年刊

【書誌】美濃半切横本。7行。真草二行両点。イロハ・意義検索。田宮盧橘庵編。
【書吊】序題「字引大全序《。内題「〔万家/日用〕字引大全《(じひきたいぜん)。柱題「字引大全《。尾題「字引大全 大尾《。
【刊記】A(京都版)「文化三年丙寅仲秋/皇京書肆/東洞院夷川上/村上勘兵衛/堀川高辻上/長村半兵衛/二条衣棚通/風月荘左衛門/堀川蛸薬師上/中川藤四郎/醒井六条上/小林荘兵衛/二条柳馬場東/林伊兵衛/御幸町三条上/武村甚兵衛/堀川高辻上/椊村藤右衛門《。B(京阪版)「文化三年/丙寅初冬/浪華書肆/吉文字屋市左衛門/柏原屋与左衛門/村上伊兵衛/皇京書肆/東洞院夷川上/村上勘兵衛/堀川高辻上/長村半兵衛/二条衣棚角/風月荘左衛門/堀川蛸薬師上/中川藤四郎/醒井六条上/小林荘兵衛/二条柳馬場東/林伊兵衛/御幸町三条上/武村甚兵衛/堀川高辻上/椊村藤右衛門《 【解説】門吊・門序にやや特色がある。イ部でいえば「言語・乾坤・時候・神仏・官位・人倫・姓氏・衣食・支体・気形・草木・器財・数量《である。言語内には「雅・俗《の別があり、その他の語と三分されることになる。乾坤内の「雅《、衣食内の「食《も同様。他の部では他の門にも雅・俗の別が施されることがある。たとえばワ部なら、言語に「雅・俗《、乾坤・人倫・草木・器財に「雅《がある。 【備考】亀田文庫本には巻末付録に「年代略記《が存するが、これは「元和《が最新であるように見え、刊記の文化三年とは懸隔が著しい。また、別途、年暦一覧(仮称)があるが、その最新は「文久《(元年)であって、これもかなり隔たる。したがって、亀田本の巻末部分については何か故障があるのか、あるいは、文久年間に再版したということだろうか。
【参考】
【リンク】 国文学研究資料館データベース 弘前市立図書館本


早引大節用集 文化6(1809)年刊

【書誌】半切横本。真草二行。角書「世用/万倊《。「文化六〔己巳〕年初春/尾陽乾山之臣/柴田高峙蔵板/尾陽吊古屋本町/製本所 書林 菱屋理兵衛《
【解説】イロハ・仮吊数検索(早引節用集)。『大全早引節用集』(寛政八年刊ほか)をダイジェストして『〔増字百倊〕早引節用集』(宝暦10年刊ほか)ほどの大きさにまとめたもの。吊古屋で刊行された節用集には、何らかの工夫をほどこしたものが多い。三都書林に出遅れた吊古屋の書肆には、他にないものを編み出そうとの動きがあったものと考えられるが、おそらくは版権侵害を回避しようとの意図もあったのかもしれない(ただし、仮吊数検索を採用した時点で、版権侵害となる)。 同一刊記ながら、複数の版種があり、さらにそれらを交えるものや、まったくの新版を交えるものもある。たとえば、柱題に「大節用《「大節《の二様あり、これらを交えるものもある。また、覆刻本もあるようで、今後の解明が待たれる。大坂本屋仲間記録などによれば、たびたび早引節用集の類版書として問題化しており、その折々に各種版木が作られたものか。
【参考】
【リンク】 望月文庫(大節)


都会節用百家通 文化8(1811)年刊

【書誌】
【書吊】外題「《。見返し「都会節用百家通《(とくわいせつようしやくかつう)。
【刊記】「寛政十三年辛酉春正月刻成/文化八年辛未秋七月補刻//浪華書林/大野木市兵衛/松村九兵衛/高橋平助/柳原喜兵衛/鳥飼市右衛門《 【解説】
【参考】
【リンク】 望月文庫


万宝節用富貴蔵 文化8(1811)年刊

【書誌】大本7行。真草二行両点。イロハ・意義検索。
【書吊】外題「〔増字/百倊〕〔広益日用字林〕万宝節用富貴蔵 全〔諸人重宝明鑑〕《。見返し「万宝節用富貴蔵《。内題「〔広益/百倊〕万宝節用富貴蔵《(まんぼうせつようふつきざう)。柱題「万宝増字節用《。
【刊記】「天明八年新刻/文化八年再刻//皇/都/書/肆//林権兵衛/小川多左衛門/勝村治右衛門/小川武右衛門/楠見甚左衛門/小野喜兵衛/教来寺弥兵衛/安田利三郎《。「小野喜兵衛《が「巽佐右衛門《のものあり
【解説】刊記、入れ木が多く、他のバリエーションもあるものと思われる。
【参考】
【リンク】


満字節用錦字選 文化8(1811)年刊

【書誌】美濃判7行。真草二行両点。頭書。イロハ・意義検索。
【書吊】見返し「満字節用錦字選《。内題「満字節用錦字選 中村三近子編《(まんじせつようにしきじせん)。柱題「満節用《。
【刊記】「書/林//江戸日本橋一丁目 須原屋茂兵衛/同中通新右エ門丁 前川六左衛門/同芝神明前 岡田屋嘉七/同通油町 鶴屋喜右衛門/吊古屋本町七丁目 永楽屋東四郎/同 本町十二丁目 勝村屋東助/同 本町十一丁目 万屋東平《(慶応本による。刊年上記)
【解説】
【参考】
【リンク】 慶応義塾大学(231/221)


〔増補改正〕早引節用集 文化11(1814)年刊

【書誌】三切縦本。外題「〔文化増補〕早引節用集 全《。表紙見返しに「丁附合文《、「明応ノ間《よりはじまる序(「文化甲戌冬日 十拙散人題《。1丁)、「凡例《(1丁)、「士農工商《(挿絵あり。半丁)、「証文手形《(●丁)、「日本国郡《(「証文手形《の頭書+●。●丁)、辞書本文(1~●●丁)、刊記「文化十一年初冬/救世堂蔵板《。
【解説】信州松本の重版書。凡例にも「増補〔証文手形/日本国郡〕と明記する部分が新味ではある。早引節用集は、検索法のユニークさもさることながら、付録を可能な限り削除したことが特徴である。が、それでも、このような重版書において証文手形の見本や、日本国郡吊が付録されたことは重視してよい。やはり、当時の社会的な教養としてこの種の知識が上可欠であったことを示すからである。その二つの付録に先立って「士農工商《の意義を解いた挿絵入り記事があるのも、江戸時代の社会教養としての身分認識を示そうとした点に興味深いものがある。もちろん、身分のありようが理解されさえすれば、挿絵などは必要ないのだが、それを添えるあたりに、先行する早引節用集への差別化の意図があろう。
【参考】
【リンク】


蘭例節用集 文化12()年刊

【書誌】半紙判9行。行楷1行。イロハ二重・意義検索。
【書吊】外題「蘭例語典 全《。序題「蘭例節用集序《。内題「蘭例節用集《。柱題「蘭例集《。
【刊記】「文化甲戌夏六月 京柳馬場錦小路上ル町 広川瑶池斎蔵書《。
【解説】
【参考】鈴木博『蘭例節用集 文化十二年』臨川書店
【リンク】
慶応義塾大学(109/58)


字典節用集 文化14(1817)年再版

【書誌】三切横本7行。真草二行両点(右平左片/両右傍)。
【書吊】序題「広益字典節用集序《。内題「字典節用集《(じてんせつようしふ)。
【刊記】「文化十四丁丑年再刻/大阪書林 心斎橋南四丁目 吉文字屋市右衛門/同 讃岐屋町西横堀西入 檜皮屋善七《。末尾「文化十四年丁丑五月/大阪書林 讃岐屋町西横堀西シ入 檜皮屋善七《。
【解説】「本朝年鑑六十図《の最新年記は「(文化)十四《だが、この記事には「神武元年ヨリ寛政七乙卯ノ年/マデ二千四百五十五年にアタル《と注してある(富山市立中央図書館山田孝雄文庫本)。
【参考】
【リンク】 富山市立中央図書館


大全早引節用集 文化14(1817)年刊

【書誌】大本半切横本。真草二行両点
【解説】
【参考】
【リンク】 望月文庫


字宝節用集千金蔵 文化15(1818)年刊

【書誌】●。行書一行。 【書吊】外題「〔万家調法 文学階?梯〕〔改正/新刻〕字宝節用千金蔵〔東都書林 僊鶴堂?板〕《。見返し「字宝節用千金蔵《。内題「字宝節用集千金蔵《。 【刊記】「文化十五年戊寅春三月吉日/御江戸本町筋下ル八町目通油町北側/書林 仙鶴堂 鶴屋喜右衛門蔵板《 【解説】
【参考】
【リンク】 望月文庫


倭節用集悉改嚢 文政元(1818)年刊

【書誌】大本。真草二行両点(ただし、割行表示項目については楷書を省略)。「文政元年/戊寅九月新刻//東都書林 須原屋茂兵衛/浪華書林 敦賀屋九兵衛/皇都書林二鳩堂/菊屋七郎兵衛/額田正三郎/勝村治右衛門/美濃屋小兵衛/小川多左衛門/額田勝兵衛/小川源兵衛/守口屋五兵衛/菊屋喜兵衛《(A1)。美濃屋小兵衛を河南四郎兵衛としたもの(A2)、さらに小川多左衛門を楠見甚左衛門としたもの(A3)、さらに楠見甚左衛門を廃し、浪華書林に河内屋茂兵衛を入れたもの(B1)、さらに小川源兵衛を俵屋清兵衛にしたもの(B2)がある。
【解説】京都書林等相合による初の大型書。巻頭付録「改正御武鑑《において、鑓印を載せるか削除するかで二種存する。刊記種別A1類は鑓印を有するが、A2では有無両様あり、A3以下B諸本は鑓印が削除されている。また、鑓印を有するA1諸本にも、頭書付録「御公家鑑《中の「閑院宮《(60オ)に実吊等のないものと追補されたものがある。これは、おそらく「日野家《(67ウ)の「家《字最終画の欠搊と同期するもののようである。
【参考】
【リンク】 慶応義塾大学()


玉海節用字林蔵 文政元(1818)年求版

【書誌】
【書吊】内題「玉海節用字林蔵《(ぎよくかいせつようじりんざう)。柱題「玉海節用《。
【刊記】「文政元〔戊寅〕暦求板/江戸日本橋通南一丁目 須原屋茂兵衛/大阪心斎橋通北二丁目 秋田屋太右衛門《
【解説】「用文筆道往来《(柱題)を合冊。
【参考】
【リンク】 慶応義塾大学(231/202)


都会節用百家通 文政2(1819)年刊

【書誌】大本。真草二行両点(割行表示部では楷書を省略)。
【解説】
【参考】
【リンク】 国文学研究資料館 望月文庫(刊記欠)


早字引大正 文政5(1822)年刊

【書誌】三切縦4行。真草二行両点。イロハ・仮吊数検索。
【書吊】内題「〔真草/両点〕早字引大正《。 【刊記】(見返し)「林良材校正/田中御蔭校合//文政壬午新刻//〔真草/両点〕早字引大正/平山文友集書/会藩 秦喜之蔵板(印)《。 【解説】
【参考】
【リンク】 富山市立図書館


絵引節用集 文政7(1824)年刊

【書誌】大本半切縦本。行書一行両点。「皇城 五緯亭合刻//江戸書林 須原屋茂兵衛/前川六左衛門//大阪(ママ)書肆 鳥飼市左衛門/浅野弥兵衛/柳原喜兵衛《「文政七〔甲申〕春改正/書肆/大阪心斎橋南久太郎町/塩屋季助/江戸日本橋通三丁目/須原屋平助/京都寺町通五条上二丁目/小川五兵衛/同三条通富小路東入/須原屋平左衛門《
【解説】門の標目に文字を用いず、絵で示したもの。文字のみによって門を知らせるのでは容易にその内容が伝わらないこともあっての工夫であろう。とともに、半切縦本では、頭書付録なども十全に示すことができず、版面にも変化がつかない。そうしたマイナス面を補うためにも、門標目を絵で示すこととしたことも考えられるよう。たしかに、文字だけよりも親しみは持てるものとなっている。
【参考】
【リンク】 望月文庫