節用集の思わぬ使い方

子供に読書習慣を ほとんど冗談 節用集を食べる
 漂流船の節用集                        

◆廻米船の船頭さんが漂流のすえ、ベトナム(安南国)に着きました。 当時のベトナムは、幸いにも漢字が通じました。 こちらの意図は、漢字に書き表して伝えることができたのです。 そこで活躍したのが、節用集でした。

◆ベトナムには節用集のような便利な用字集はなかったのでしょうか。知識層の人にも興味をもたれたようです。
◆また、付録の挿絵をみて、面白がったり、武士・英雄の容姿に恐れおののいたりしています。絵だからこそ、日本語のわからない外国人にも理解されたのです。
◆そしてついには国王に献上されることになりました。こうなるとちょっとした文化使節ですね。


王城の旅宿にても、国詞しれざる内は、いつも両人づヽか丶り、二冊の本にて文字を見出し認め候せつなどは、官人・通辞までも珍敷存じ、本をかしくれ候様申、くりかへし\/詠め悦びけり。 其内にも和漢節用の奥にある男女相性の図にて、我国の女の風俗をみて、甚だ笑ひを催せり、又は口にある所の武者の百将伝などにては、大きに我折、或は文字一つを二様に用ひ、音と声の替ることを皆感心せり。


      「男女相性の図」では相性のよしあしのほか、相性ごとの未来予想図が描かれていました。 いかにも福々しい人や、夫に箒で叩かれ泣く女、子宝にめぐまれた温和そうな家庭‥‥‥ 国はちがっても男女の仲というものは、何か通じるものがあったのでしょうか。 「音」は音読み、「声」は訓読みです。

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 子どもに読書習慣を                      

◆子供に読書習慣を付けさせるために、節用集の挿絵が利用されました。周囲の大人たちも巻き込むようなことまで考えてあり、巧妙な工夫です。