次世代の太陽光発電やソーラー水分解などの「再生可能エネルギー」に関わる研究に主眼を置き、化学分野の学術的発展と将来の社会実装を目指します。無機合成化学、光電気化学をもとに、半導体材料の微細構造や光・電子物性を制御した研究室独自の機能材料を開拓し「ものづくり」技術の芽を育てていきたいと考えています。近年では、所属先の地方創生エネルギーシステム研究センターにおいて、学内連携での太陽電池開発にも力を入れています。再生可能エネルギーの研究に加え、異業種の分野にラボで生み出した材料を用途展開し、共同研究を通して多様な形で社会貢献していきます。
~2025年度の研究室ニュース~ ●論文情報 酸化物半導体の低温溶液製膜法を開拓 当研究室の酸化チタン薄膜作製に関する研究がRSCのChemical Communicationsに掲載されました。特徴のひとつは、シングルナノメートルスケールの酸化チタン微粒子(結晶型:ルチル/アナターゼ型)を60~70℃のわずか10℃の反応温度の違いで作り分ける点です。この合成コンセプトをもとに、ルチル/アナターゼ酸化チタン積層膜の「二段階」化学溶液析出法を構築しました。現在研究室では、合成・成膜とともに、光触媒や太陽電池用材料などとしての研究展開を並行して進めています。 ・岐阜大学プレスリリース ・Chem. Commun., 2025, 61, 12717-12720, DOI:10.1039/D5CC03571F. Crystal phase-directed growth of rutile/anatase TiO2 heterojunctions via in situ stepwise chemical bath deposition below 80 ℃ Back Coverに掲載 ・岐阜大学工学部HP(研究の概要)
●学会関連 当研究室にご縁のある研究室OBに第56回中化連(11/8-9 岐阜大学開催)の特別討論会にてご講演いただけることとなりました。 講演分野:B-2 次世代エネルギーの未来を支える電気化学 招待講演:株式会社アイシン 遠山様 関係者の皆様にお礼申し上げます。 また、お引き受け頂いた同セッションの講演者の皆様に感謝いたします。 2025年 11月8日(土)特別討論会B-2 招待・依頼講演プログラム(予定)
招待講演
(1)遠山 智之(株式会社アイシン) 「アイシンにおける太陽電池開発への取り組み」
(2)野村 優貴(一般財団法人ファインセラミックスセンター) 「オペランド透過電子顕微鏡法を用いたLi電池のイオンダイナミクスの直接観察」
依頼講演
(1)石井 陽祐(名古屋工業大学大学院 工学研究科) 「光化学反応で充電される新奇蓄電デバイスの開発」
(2)廣岡 佳弥子(岐阜大学 環境社会共生体研究センター) 「微生物電気化学を基盤とした次世代型廃水処理技術の展開」
(3)立石 一希(三重大学 地球環境センター) 「共有結合性有機構造体を基盤とした光触媒設計」