1997年12月に気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)が京都で開催され,「京都議定書」が採択された.これによって,日本は2008年〜2012年の5年間で温室効果ガスの国内平均排出量-6%削減が義務付けられた.そして,そのうち-3.9%は森林を吸収源として賄うことにしている.その様な中で,岐阜県森林地域が二酸化炭素の吸収源として大きく期待されている.
そこで本研究では,陸面過程モデルNCAR LSM中の様々なパラメータを高山フラックス観測サイトのデータに基づき,変更することによってモデルの改良を行った.そして改良版NCAR LSMを用いて,高山サイトのデータを入力することで炭素収支量のオフライン数値実験を行い,観測されたCO2フラックスデータと比較することによってモデルの精度検証を行った.また,NCAR-LSMをMM5に結合した大気−陸面−植生結合モデルMM5-LSMを構築することで,高山地域における植生機能に関する高解像度なデータベース(1kmメッシュ)を試験的に構築した.衛星観測により評価された新たな土地利用区分データを用いることで炭素収支量データの精度が向上し,モデルの有用性が実証された.