近年,資源の枯渇や環境問題,そして原子カエネルギーの安全性などへの危惧から自然
エネルギーを用いた発電方法への需要が高まっている。その中で太陽光発電や風力発電の
ようにすでに実用化が始まっているものもある。しかし,本研究でとりあげる波力発電は
早い段階から研究が進められていたにも関わらずいまだ実用化には至っていない.その原
因の一つとして, 日本沿岸域に到達する波浪による発電特性が明らかになっていないこと
が挙げられる.
そこで,本研究では近年急速に信頼性の増してきた第二世代波浪推算モデルSWANを用い
日本海沿岸域について波浪推算を行った。また,それによって得られたデータを基に波浪
特性を解析し発電量のシミユレーションを行った。さらに発電量のデータをフーリエ解析
することで発電量の変動特性について検討した。その結果, 日本沿岸域に来襲する波浪は
特性によつて日本海側と太平洋側,南九州以南の大きく分けて3つのパターンに分類され
ることがわかった.また,発電シミュレーション結果より日本沿岸域に来襲する波浪の波
エネルギーは波浪発電を行うために十分な量であることもわかった.さらにフーリエ解析
によつて発電量の変動は日単位といった長周期に大きなパワーを持つことがわかり,実際
に波浪発電を用いる場合,長周期の変動に配慮しなければならないことを示唆した.