本研究では,MM5に入力する初期値・境界値の気象データに着目し,初期値・境界値の高解像度化が風況計算精度に与える影響について検討する.そこで,MM5の再解析パッケージであるlittle_rを使用し,気象庁AMeDAS観測値の気象データおよび,ウィンドプロファイラ観測点の風向・風速データを取り込むことで客観解析値の品質改善を試み,MM5観測値データ同化手法が風況計算精度に与える影響について比較・検討を行った.
今回の研究結果から,メソ気象モデルMM5の再解析パッケージであるlittle_rを用いることについては有用性を得られたが,高層風観測であるウィンドプロファイラ観測値をlittle_rに取り込み再解析を行うことについては,自由大気中において既に客観解析値が十分な精度を持っているため有用性を得ることができなかった.しかしながら,乱れの大きな大気境界層内の計算精度を高める上で,地上風観測であるAMeDAS観測値を用いた観測データ同化は非常に効果が大きいということが明らかになった.