近年では,二酸化炭素ガスの排出規制,さらには化石燃料の有限性など,地球環境の問題の深刻化が進んでいる.これを受け,21世紀における持続的経済発展を行うためのエネルギーとして,自然エネルギーに注目が集まっている.その中でも風力発電は,二酸化炭素の発生を確実に防止すると共に,風況次第では採算の合う発電量が得られるため,近年急成長を続けている.
そこで本研究では,メソ気象モデルMM5を用いて気象データベースを構築し,それを用いて中部地域における年平均風速,風向安定性および乱れ強度の分布を面的に算出して,各風況特性についての検討を行った.さらに各風況特性に対して,風力発電の適地かどうかを判定する基準値を設定し,その値を満たす地点のみを摘出した.この適地選定アルゴリズムから,この地方の大規模ウィンドファームの適地は,海岸や沿岸,及び中部山岳地帯に分布しており,その中でも,日本海に近い山岳上,乗鞍および御嶽付近,駒ヶ岳付近や赤石岳付近,御前崎から伊勢湾口に至る沿岸および伊勢湾を含む太平洋上などが,より風力発電に適した最適地であるという結果を得た.