2010.12.22

ながら情報

耳鏡検査練習用トレーナー :於シミュレーション医療教育
耳の穴のなか、つまり外耳道や鼓膜を耳鏡でみるのは耳鼻科医に必須の技術。臨床実習で耳鼻科に配属された学生が学ぶ基本技術である。学生が耳鏡を使って互いの耳外耳道をみてもいいが、病的な所見をみれるわけではない。このタースクトレーナーには、数種の病変耳が用意されており、これを装着する事により、病変の観察が出来る工夫がなされている。
2010.03.04 配信
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筋肉注射訓練用モデル :於シミュレーション医療教育
文字通り筋肉に注射をする訓練が目的である。たいていは筋肉に注射する部位として選ばれる肩部や臀部のモデルである。簡単なモデルであるが、学生に教えられる内容は多く、役に立つ。
例えば、なぜ肩部や臀部が筋肉注射の部位なのか、患者への声がけ、神経や血管損傷への注意、消毒の仕方、使用済み注射針の処理、注射薬の確認の重要性、注射方法の種類(筋肉、皮下、皮内、静脈・・・)と選択、注射後のアナフィラキシーショックへの早期対応、など様々。
2010.01.13 配信
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眼底検査練習用トレーナー :於シミュレーション医療教育
眼底の網膜をみる事は、眼科医に必須の検査であるが、その他内科医や救急の医師にとっても重要な所見が得られる検査でもある。検眼鏡を用いれば即座に観察が可能であるが、その手技は、そう簡単ではない。この練習には、医学生が互いの眼を使っていたが、眼底検査練習用トレーナーが開発され、市販されているのでこれを用いる事ができる。
このトレーナーでは、数種類の病的な眼底所見が、実際の臨床で用いられている直像検眼鏡で観察できるようになっているので、初学の学生には眼底検査の手技や意義について理解しやすい。
2009.12.05 配信
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採血練習用トレーナー :於シミュレーション医療教育
静脈採血、動脈採血などを練習するタースク・トレーナーである。現在のところ、肘関節の皮静脈から採血するトレーナーが一般的である。採血の局所は、痛みが激しいので、消耗品として交換できるタイプが大部分である。
血液に見立てた赤い液体を静脈に充満させ、皮膚を貫いて注射針を血管に入れ、採血を行う。医療行為をしているという実感、巧く出来たという達成感のためか、学生に人気がある。採血にまつわる一連の動作には習熟が必要である。また、清潔操作、使用後の針の処理など、学生が学べる医学的事項は多い。
2009.11.27 配信
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気管への挿管練習用トレーナー :於シミュレーション医療教育
事故や病気で呼吸が止まったり、充分でない患者、または全身麻酔の患者などの場合、気管内に挿管し、人工呼吸を行う。この挿管は、簡単ではない。気管に管を入れねばならないのに、食道に入れてしまう場合さえある。
まだ反射が残っている、舌根が沈下している,口腔内に大量出血がある,気道に熱傷の患者、など場合には、気管に管を入れる事は更に困難である。しかもたいていは、時間をあらそう緊急である。そのため、気管への挿管練習用トレーナーは、実に利用価値がある。現在、モデル(頭頚部、頭頚部プラス胸部、全身)に精巧な口腔や、咽頭部、気管などを取り付けたタースク・トレーナーが市販されている。正しく気管に挿入され、正しく空気が送り込まれた場合には、胸が膨らんだり、モニターに換気の様子が示されたりする。
2009.11.19 配信
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バイタルサイン用シミュレーター :於シミュレーション医療教育
患者の呼吸や血圧、心拍数などをチェックすることは、診察の基本である。なぜなら人間が生きていくためには、心臓の拍動や呼吸による換気が常に充分なされているのが絶対条件であり、バイタルサインとして認識されている。バイタルサインをとる技能は、医師、看護師などが、専門にかかわらず全員が身に着けておくべきである。誰でも正確に、迅速にとれねばならない。従来の実習では学生などが、交代交代、この訓練の稽古台になっていた。現在では、種々のシミュレーターが発売され、幅広い利用がなされている。
2009.11.05 配信
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胸部聴診 :於シミュレーション医療教育
胸部聴診とは、患者の心音や呼吸音などを聴診器で聴いて、心臓や呼吸器疾患の診断の補助とするもので、医師の診察で最もシンボリックな絵になっている。
この聴診で得られる情報は非常に多いが、慣れていない初心者にとっては、心音や呼吸音を聞き分けるのが困難である。かなりの訓練が必要。それ故、種々の音声教材が発売されており、オーディオ機器で聴くことが出来る。
オーディオ機器での勉強で事足りるとしても、人形の胸部に聴診器をあてたとき、あてた場所によって種々の音が聞こえるほうが、はるかに臨場感に優れ、学習者の意欲を刺激することは、いがめない事実である。現在、胸部聴診の優れたシミュレーターが発売され、教育現場で広く利用されている。
2009.10.21 配信
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haptic :於シミュレーション医療教育
双方向性がある、これは教育では大切にしたい要素である。教える側から学習者への一方的な知識や技能の流れではなく、両者が互いに影響しあう仕組みが欲しい。それは、シミュレーターを使う時も同じで、学習者と双方向に反応するようなシミュレーターは、使用後の満足度が高くなる。双方向に反応する例のひとつとして、シミュレーターでなにか手術などの操作したときに、指先に感触が返ってくるような触覚(haptic)を、バーチャルリアルティで作り出す研究が盛んに行われている。
この触覚は、シミュレーターがアナログ的な物の場合には、人体に似た感触の物を作る必要がある。それ以上に開発が困難なのは、完全コンピューター的なシミュレーターの場合であるが、すでに人間の実際の臓器を触った感じをバーチャル体験できるシミュレーターは、開発されている。
2009.10.16 配信
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腹腔鏡下胆嚢摘出術シミュレーター(コンピューターソフト版) :於シミュレーション医療教育
これも前出の気管支鏡シミュレーターの範疇に分類される。このシミュレーターでは、腹腔鏡を用いた胆嚢摘出術をバーチャル体験できる。ダミーの鉗子とモニター画面、パソコンからなる。モニター画面には胆嚢や肝臓、鉗子の先が見える。これで切除、縫合やクリッピングの練習ができる。超音波凝固切開装置がついている機種もある。
本物の腹腔鏡下胆嚢摘出術は、非常に長い器具を用いて、しかも二次元のモニター画面を見ながらの手術なので、空間認識について開腹手術とは異なった技術が要求される。シミュレーターが、この技術の訓練装置として、急激な進展を見せており、近未来的には、本物の手術の前訓練として必須になるであろう。
2009.10.02 配信
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気管支鏡シミュレーター :於シミュレーション医療教育
あたかも気管支鏡を用いて患者の気管支の検査を行っているかのようにバーチャル体験できるシミュレーターである。これが医療技術訓練や、医学教育の一部になる程の発展を遂げている。その完成度はハイファイと呼ばれるレベルである。
用いる気管支鏡は、本物そっくりであるが、ダミーである。この気管支鏡を人形の鼻の穴から入れ、喉頭を下り、気管、気管支に至り、内部の病変を探る。 見える像は、全てコンピューターの中に入っている画像であるが、鼻からの挿入した長さと気管支鏡の向きにより、本物の気管支鏡ならこう見えるはずだという像をコンピューターが瞬時に計算してモニターの画面に映し出す。局所麻酔をかけつつ、患者の苦痛を最小限度にして検査をせねば、バーチャル患者は、咳き込む。さらに病変部の生検も体験できる。
ダミー気管支鏡の操作というアナログ的な体験は、学習者には感覚的に分かりやすい。コンピューターソフトというデジタル技術は、検査結果を示す自由度に優れている。この二者の長所を結合させた傑作である。
2009.07.30 配信
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curriculum based teaching :於シミュレーション医療教育
昔々、医学部の教育は、教授の意向に大きく依存していた。○○教授による内科学が○○内科学と呼ばれる例さえあった。その結果、講義の重複を心配して、隣の教授が何を講義しているのか、知りたいが知る術が無い。ついに「オイ、○○学では、何を習っているんだ?」と学生に聞く有様。
近年、統合カリキュラムの時代になって、学生がいつ、何を、どのように学習するのか、詳細なカリキュラムを医学部のシラバスに示す事が必須となった。そうでないと学習内容に重複や欠落が生じ、効果的なカリキュラムを組めない。
特にシミュレーション医療教育は、伝統的な区分である教科にとらわれない、また、低学年で習うべき内容と高学年で習うべき内容が混合する、などの理由でどの範囲をどのように教えるのか、責任者の意図による所が大きく、他分野の教員には見当がつかない場合が多い。さらに、カリキュラムを充分に知ることは、学生の自己決定型学習には、とても有効に働く。このため、シミュレーション医療教育は、curriculum based teachingであるべきであり、そのカリキュラムは明示されるべきである。
2009.07.09 配信
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忠実度 :於シミュレーション医療教育
シミュレーターは、人体を再現するものであるが、再現の程度が高い方が、臨場感があり、しかも教育効果が上がりやすい。その再現の程度は忠実度と呼ばれ、機種により、千差万別である。高いものを忠実度が高いhigh fidelity、低いものをlow fidelityと区分する。high fidelityなる言葉は、音楽のレコードの分野でも用いられている。つまり原音に忠実な音を再現する機器をハイファイと呼んでいる。
音楽とは異なり、シミュレーターが人体を再現するのは困難で、なかなかハイファイになりにくい。
2009.06.29 配信
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タスクトレーナー :於シミュレーション医療教育
シミュレーターとも、モデルと呼んでも良いが、タスクトレーナーと呼ぶのが最適と思われる場合がある。すなわち、特定の医療手技を訓練するために、使用目的を絞って作られている人体模型(部分、全身)である。具体的な例として、眼底を視る、気管に挿巻をする、聴診をする、採血をする、内診をする、などのタスクトレーナーが開発されている。これらのタスクトレーナーはすでに市販され、シミュレーションラボに広く導入されている。
たいていは、学習者が医療手技の手順を自分で確認したり、教員が手技を教える補助に用いたりする。
2009.06.24 配信
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reflection :於シミュレーション医療教育
reflectionは、最近の医学教育で、重要視されている概念である。
すなわち自分のperformanceをreflectionし、それに基づいて、自分は何を勉強すべきか自分で決めて学習する(自己決定型学習)のが、いちばん効果的という考えである。シミュレーション医療教育は、個々の内容を教えるというよりも、何が良かったのか、何が悪かったのか、何を勉強すべきか、学習者に気がつく機会を与えるのが本筋であるため、reflectionはシミュレーション医療教育において最重要である。
なお、この短い文章の中に、2つの重要な単語が原語のまま出ている。Reflectionは 内省、省察、ふり返り、反省などと訳されているが意見の一致を見ていない。Performanceは「できは、どうだった?」という場合の「でき」の意味であるが、適訳に事欠き、しばしばパフォーマンスのカタカナが用いられる。この場合、パフォーマンスにスタンドプレー的なニュアンスを汲み取る人がいれば、大変な誤解になる。 要するに、母国語で新しい概念を産み出せない文化的脆弱の状態が続いているのが、日本の現状だ。
2009.06.15 配信
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ファシリテイター、インストラクター :於シミュレーション医療教育
シミュレーション医療教育で学習者に直接指導をする教員には、従来の講義型の教育とは異なった教育方法が求められている。すなわち、シミュレーション医療教育では、知識や技術を即物的に与えるが、これをなるべく少なくして、むしろ学習者に何を勉強すべきか、気がつかせることに重点を置いている。これは学習の促進という意味で、ファシリテイターという呼称が適切であるとの考えに結びつく。
インストラクターは、その分野に一日の長がある人で、持っている知識や技術を上から下へ移転するような教え方をするニュアンスを含んでいる。シミュレーション医療教育で、このような教え方をするのも、学習者の満足度を上げることは、確かである。
ファシリテイターとインストラクター、その現実的な差は上記の言葉ほどではないが、シミュレーション医療教育の本質を議論するときに、話題になりやすい。
2009.06.04 配信
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シミュレーター :於シミュレーション医療教育
シミュレーターと呼ばれるものには、別称モデルとも呼ばれる人体模型と、シミュレーションする機械の2種類がある。前者は、モデルを用いた臨床技能訓練の項で、前述した。
後者は、バーチャル内視鏡、コンピューターソフト・ゲームなどの類である。たとえば、バーチャル内視鏡を用いて、あたかも内視鏡を用いて患者の検査を行っているかのような体験ができ、これが医療技術訓練や、医学教育の一部になるほどの発展を遂げている。また、医療の現場や患者の姿をCRTの画面示し、医療の手順をバーチャル体験できるコンピューターソフトが発売されている。
2009.05.27 配信
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アルゴリズム :於シミュレーション医療教育
シミュレーション医療教育において、学習者はどのように判断し、行動するのか? その判断の仕方・考え方は、アルゴリズムとも呼ばれる。これには、1)生体反応と2)治療方法・院内規則の2種類ある。このアルゴリズムは、医学の学習の背骨になっている。つまり、「どのような状況では、どうなる?どうするべき?」かを知っている事は、医師としての基本能力であり、この知識無しに医療は出来ない。
この2つのアルゴリズムを根拠に、学習者のシミュレーションをふり返り、成長を助ける教育方法としてシミュレーション医療教育が作られている。
2009.05.21 配信
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シミュレーション :於シミュレーション医療教育
“シミュレーション”という言葉、なんとなく分かった気にもなる人もいるし、イメージがつかめない人もいる。Wikipediaで調べてみると、あまりにも包括的な意味であり、逆に、分かりにくくなるかもしれない。医療教育における“シミュレーション”に分野を絞ってみると、シミュレーションするのは、神様が決めた「人体の反応」と、人間が決めた「医療の手順」である。または、この二つの混合である。
2009.05.12 配信
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コンピューターゲーム的なソフト :於シミュレーション医療教育
「たまごっち」が発売されたとき、「お医者さんごっち」のコンピューターソフトが、同様にできるはずと思った人が大勢いたのではないだろうか。これをもってシミュレーション医療教育が出来るはずと、可能性を感じたはずである。その夢が、徐々に具現化しつつある。膨大な開発費用がかかるため、開発速度は遅いが、すでに市場に出て、教育に用いられている教材ソフトがある。三十年前に今日の医学教育の姿を想像するのは難しかった。今日、三十年先の医学教育の姿を想像するのなら、やはり「お医者さんごっち」かも・・・。
2009.04.15 配信
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モデルを用いた臨床技能訓練 :於シミュレーション医療教育
シミュレーション医療教育で言うところのモデルは、ファッションモデルという華やかなものではなく、初心者の未熟な手技の練習台という悲惨な役回りを引き受ける人体模型である。眼底の練習用、気管の挿管用、静脈注射用など、それぞれ訓練の目的に合わせて、細工がなされている。また、学習者の手技を一方的に受けて、もっぱら手順の確認に使われるレベルのモデルから、学習者の手技に生体の様に反応するレベルまで、さまざまである。この反応のレベルは、コンピューター技術の発達により、急速に長足の進歩を遂げつつある。
2009.04.08 配信
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模擬患者 & 模擬診察 :於シミュレーション医療教育
模擬診察は、医療面接と身体診察からなり、シミュレーション医療教育の一種に分類できる。日本では、主に医療面接が行われているが、諸外国では、一般的な内科の身体診察を担う模擬患者が医学教育に参加している例が見られる。さらに婦人科の内診の練習に特化した模擬患者や、非英語非白人系国家の医学部で、医学生を白人系外国へ臨床実習に出す前の特訓用に英語を話す白人模擬患者、純粋の教育を目的として診察の練習台になる“本物の患者“などが存在する。
2009.03.21 配信
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善きサマリア人の考え :於シミュレーション医療教育
医療とは、実は、教養教育の宝庫でもある。BLSやAEDという医療技術を大学生に教えることには実利があるが、その医療に密接に関係した法律や習慣を学生に考えさせるのは、単に講義で法律を教える以上のとても魅力的な教養教育となる。
例えば、街角で使える救命救急の技術を教える。そのとき「あなたの失敗で、容態が悪くなった。責任は?」を問いかける・・・。
“治療と傷害の境界は?”
“不幸な事態になったときの法的責任は?”
“そもそも医療は、誰が担うべきか?”
シミュレーションの場ながら、救命救急処置をして学生が当事者となっている。このチャンスを見計らって「あなたは、罪に問われません・・・」、善きサマリア人の法(good Samaritan law)の考えを紹介する。これで社会と医療のかかわりを、学生が根源的に考えるきっかけができる。
2009.03.11 配信
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AEDの訓練 :於シミュレーション医療教育
AEDの日本語は自動体外式除細動器であり、文字通り、自動的に心室細動を除く医療機器である。心室細動、すなわち、心臓が痙攣し血液を流すポンプとしての機能を失って倒れた患者には、1分1秒でも早い除細動が必要である。現在、その場に居合わせた人が最善の救命者という考えで、一般市民でも使える状態にするための普及活動が行われている。
AEDの使用方法は簡単であるが、一定の訓練が必要である。このため、BLSと組み合わせての救命訓練として、大学、病院、企業、消防署などで行われつつある。学生は、自動車学校や初期体験実習で消防署へ行った時に訓練を受ける機会がある。
2009.03.04 配信
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BLSの訓練 :於シミュレーション医療教育
BLSは、basic life supportの略。街中や家内で倒れた人を第一発見者として助けるための基本的な救急処置である。安全確認、倒れた人の状態把握、援助の確保、胸骨圧迫(心臓マッサージとして知られていた)、人工呼吸などを含む。
この時に用いるシミュレーターは、学習者が一方的に手を下す処置の受け皿の役目なので、単なるマネキン程度のものでも使用可能であるが、正しく胸骨圧迫や人工呼吸が行われたか、メカ的に表示する機能がついている場合もある。
現在、病院の職員、ホテルやレストランの従業員、公共施設などで働くひとびとが、第一発見者になりやすいので、BLSの訓練を受ける傾向が拡がっている。
2009.02.26 配信
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救急のチーム医療訓練 :於シミュレーション医療教育
生命の危機に瀕した患者をどのように救うかの訓練である。この場合の患者は、通常、シミュレーターと呼ばれる全身の型のマネキンであり、血圧、呼吸、モニター心電図などのバイタル情報がコンピュターの画面上に示される。治療結果が時間軸に沿って画面上に示されるため、緊迫感に溢れる。
このシミュレーションを通して学習者は、医療チームの中で自分が果たすべき役割、行った治療の是非などを学習する。
2009.02.17 配信
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シミュレーション医療教育
“シミュレーション”を“場”にして行う新しい医療教育を示す。“シミュレーション”の定義も、“場”の定義も、人によって若干意味合いが異なるが、すでに現実的には、救急のチーム医療、模擬患者参加型の医療面接(模擬診察)、モデルを用いた臨床技能訓練、コンピュターゲーム的なソフトによる臨床技能や思考の訓練などが教育に導入され、効果を挙げている。
2009.01.29 配信
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リツキシマブ
リツキシマブ(rituximab)は、抗ヒトCD20モノクローナル抗体であり、悪性リンパ腫の治療に用いられる分子標的治療薬の一種である。ちなみに、ヒトCD20はヒトB細胞のみに発現し、正常・腫瘍細胞は問わず、細胞膜表面に存在しているマーカーである。
日本で認められている適応は、CD20陽性の低悪性度、又は濾胞性B細胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫などである。 単独での使用も行われるが、CHOP療法(シクロフォスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロンの4種類の抗がん剤の組み合わせ)との併用も行われている(R−CHOP療法)。
2009.01.14 配信
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放射標識抗体療法 「111In(インジウム)標識CD20モノクロナール抗体」
「90Y標識CD20モノクロナール抗体」の体内分布を確認するために111In(インジウム)で標識した検査試薬である。
90Y(イットリウム)標識CD20モノクロナール抗体はβ線を発するため、その体内動態は外部から検出出来ない。そこで90Y標識CD20モノクロナール抗体の体内動態を知る目的で、「111In標識CD20モノクロナール抗体」の超微量製剤を用いる。
111Inはγ線を発生するため、投与後の体内動態を体外から検出出来、集積部位が把握出来る。検査の結果、骨髄への高集積など、通常とは異なった挙動が認められた場合は、90Y標識CD20モノクロナール抗体による治療は行わない。
なお、放射標識抗体療法「111In標識CD20モノクロナール抗体単独では、超微量なため治療効果は期待出来ない。
2008.12.16 配信
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放射標識抗体療法 「90Y(イットリウム)標識CD20モノクロナール抗体」
「90Y(イットリウム)標識CD20モノクロナール抗体」(商品名ゼヴァリン)とは、抗ヒトCD20モノクローナル抗体にβ線を発生する90Yを結合させた治療薬である。抗体、すなわち免疫と、放射線を組み合わせた治療法であることから、放射免疫療法とも称される。
抗ヒトCD20モノクローナル抗体、一般名リツキシマブ(rituximab)は、分子標的治療薬の一つであり、悪性リンパ腫の治療に用いられている(→分子標的治療薬、→リツキシマブ参照)。
90Yでラベルした抗ヒトCD20モノクローナル抗体はリツキシマブの抗悪性リンパ腫効果に加え、90Yから放射されるβ線による細胞殺傷作用が加わり、より強力な治療効果が期待出来る。
実際、リツキシマブ単独で効果がないリンパ腫の患者さんでも効果が認められている。CD20はBリンパ球の細胞表面に特異的に産生されるため、その抗体製剤である本剤はBリンパ球にのみ特異的に作用することから、一般に有害性は低いとされる。放射性医薬品に該当するため、病院内の許可された区域内でのみで使用が可能である。
2008.12.02 配信
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ヘリコバクター・ピロリの除菌
胃潰瘍などの消化性潰瘍は、胃液(ペプシン、胃酸などを含む)により胃粘膜、十二指腸粘膜が傷害され、びらん、出血、疼痛などの症状を示す。かつてその外科的治療として、潰瘍部位の切除が行われたが、酸分泌を制御する医薬品(H2ブロッカー、プロトンポンプ阻害薬)の登場により、内科治療で治る疾患となった。

更に近年、潰瘍の発症にヘリコバクター・ピロリの感染が関与する事が明らかとなり、除菌を希望する人が多くなった。除菌には、ペニシリン系抗生物質アモキシシリン、マクロライド系抗生物質クラリスロマイシン、プロトンポンプ阻害薬(オメプラゾールなど)の3剤併用療法が標準的に行われる。
2008.11.12 配信
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ヘリコバクター・ピロリ感染診断用薬 (尿素呼気テスト urea breath test:UBT)
ヘリコバクター・ピロリ感染診断用薬(C-13尿素)は、ピロリ菌に対する薬物治療後、除菌できたか否かを確認する際に用いられる。なお、C−13は放射活性がない安定同位元素であり、放射性医薬品ではない。
40歳以上の日本人の約8割がヘリコバクター・ピロリに感染していると言われるが、胃潰瘍のみならず、胃がんの発症にも強く関与していることが明らかとなり、感染者に除菌治療を行うことが多くなった(→ヘリコバクター・ピロリ、ヘリコバクター・ピロリの除菌)。

尿素呼気テストでは、13C-尿素を含んだ検査薬を内服し、服用前後で呼気に含まれる13C-二酸化炭素の量を比較する。本菌に感染していると、本菌が分泌するウレアーゼによって胃内で尿素がアンモニアと二酸化炭素に分解され、呼気中の二酸化炭素における13Cの含有量が、非感染時より大きく増加する。この原理で、間接的な診断ができる。
2008.10.03 配信
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ストロンチウム89
塩化ストロンチウム(89Sr)注射薬(商品名メタストロン注)は、がんの骨転移の治療用の放射性医薬品である(→放射性医薬品)。
これは「固形癌患者における骨シンチグラフィーで陽性像を呈する骨転移部位の疼痛緩和」を目的とした治療薬として認可され、本邦においても臨床使用されている。
なお、ストロンチウムはアルカリ土類金属で、カルシウムと同様の体内動態を示し、造骨活性の高い部位に集積しやすい性質を有し、ストロンチウム89はβ線を放出する半減期50.5日の放射性同位元素である。
2008.09.26 配信
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放射性医薬品
放射性医薬品とは、ラジオアイソトープ(RI:放射性同位元素)を含んだ医薬品で、使用目的により、1)治療用医薬品、2)診断用医薬品(体内、体外)に分類される。
治療用医薬品は、β線放出核種(131I、125I、89Sr、186Reなど)を有効成分とし癌の治療などに使用される。

患者の体内で用いる診断用医薬品は、その薬品が体内の特定の部分に集まる特性を利用して診断に結びつけられる。
体内における分布を見るのに、低〜中エネルギーγ線放出核種(123I、99mTc、201Tl、67Ga,など)で標識され、画像診断(SPECTやPET)として使用される(→SPECT、PET参照)。

体外で用いられる診断用医薬品は、3Hや125Iなどで標識され、血液中に極微量存在するホルモンやビタミンの検出定量に使用される。
採血した血液等を資料として使うため、被爆の危険性は全くないが、近年ラジオアイソトープの代わりに抗原抗体反応を利用した方法に置き換わっている。

放射性医薬品を直接体内に投与する前者の場合も、投与量が微量なため、身体への影響はほとんど無い。
2008.09.18 配信
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面接と問診 その1−4
問診は、「どうされました?」、「どんな症状ですか?」、「今日の具合はいかがですか?」など、開かれた質問open-ended questionで始めよう。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2008.07.23 配信
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面接と問診 その1−3
まずは患者さんの訴えをじっくり聴こう。最初の3分間は、患者さんに自由に話してもらう。相づちや促しが役立つ。カルテは聞き終わってから書く。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2008.07.03 配信
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面接と問診 その1−2
医療に対する不満には,「十分な説明がない」、「長時間待たされる」、「医師や看護婦が不親切」のほかに、「話を聞いてくれない」がある。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2008.06.26 配信
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面接と問診 その1−1
医療は患者さんと医療スタッフとのコミュニケーションである。あいさつをする、自己紹介をする、身だしなみに気をつける、時間を守る、ていねい語や敬語を使う。これらは、社会人としての当然のマナーである。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2008.06.12 配信
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スキルスラボ skils laboratory
臨床技能を学習する施設のこと。初心者が病院で患者を稽古台にして技能を得る時代は過去のものになりつつある。各種の人体モデルを用いて採血、穿刺、挿入などの検査技法を練習したり、模擬患者の参加で医療面接・身体診察技法を習得するなど、基本的な臨床技能を学ぶ備品とプログラムが用意されている。基礎医学教育における実習室と同等、あるいはそれ以上の位置を占めるべきものである。
この種の施設は、オランダのマースリヒト大学での成功事例に倣い、世界中で急激に普及しつつあるが、わが国でも、各大学に設置されつつある。
非常に多くの備品が設置されるため、管理体制の確立が課題である。
2008.06.05 配信
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SPECT (スペクト、単一光子放射断層撮影、Single Photon Emission Computed Tomography)
断層撮影は、生体の形態を断面で観るので、診断的な価値が高い。その像がその部位の機能と共に示されると、更に診断的な価値が高まる。単一光子放射断層撮影は、PETと同様に、そのような目的で開発された技術である。
原理的には、シンチグラフィである。すなわち、身体の状態に応じた分布をする薬剤を、静脈注射で投与し、その分布を断層撮影でみる。薬剤検出用には、微量の放射能(ガンマ線)を放出する放射線元素を用いる。
現在、脳血管障害やガン、心臓病などの早期発見に有効であり、血管狭窄や血管内治療の必要性の有無といった術前診断などにも利用されている。
2008.05.29 配信
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PET (ポジトロン断層撮影、positron-emission tomography)
PET(ペット)とは、陽電子(ポジトロン)検出を利用し生体内の機能の変化を観察するコンピューター断層撮影技術である。
生体に陽電子を出す物質を静注すると、代謝が盛んな組織に取り込まれたあと、陰電子と結合して消滅し、2本のガンマ線を放出する。この放射線を体外に設定した装置で検出し、コンピューターで計算し画像化する。陽電子検出という現象を利用したコンピュータ断層撮影技術です。脳内の代謝能の測定の他、がんの転移病巣を発見する能力に優れ、肺がん、乳がんなどでは保険が適用される。
ポジトロンを出す物質の合成にはサイクロトロンなど大がかりな設備が必要な欠点がある。
2008.05.22 配信
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MRI (核磁気共鳴画像法、magnetic resonance imaging)
MRIとは、核磁気共鳴(NMR)現象を利用して体内の内部情報を画像化する方法。
人体に磁気を当てると体内にある水素原子核が磁気に共鳴し微弱な電波を発生すが、MRIはその電波を受信して画像を作成する。いわばNMR現象を利用したCT画像を撮影するわけであり、当初はNRMR−CTとも称された。水素原子のみならず、磁気に共鳴する他の原子を使用することも可能である。X線CTとことなり、放射線被曝がない利点がある。
2008.05.17 配信
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CT (コンピュータ断層撮影、computed tomography)
CTとは、「断層撮影」の名前のとおり、本来は物体の断面画像を得る技術の総称。
医療においては、放射線(X線)などを利用し、生体内を走査(スキャン)しコンピュータにより処理する事で物体内の内部画像を構成する検査の一種。断面画像のみならず、立体的な像を撮影する事も可能。短時間でほとんど苦痛なく検査でき、多くの情報を得ることができることから、近年最も多く用いられる画像検査の一種である。
一般にCTと言えばX線CTのことを指す。
2008.05.07 配信
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臨床工学技師 (Clinical Engineering Technologist)
医療に関する国家資格の一つで、病院で働く医療技術者の一種。臨床工学技士法によると、「厚生労働大臣の免許を受けて、臨床工学技士の名称を用いて、医師の指示の下に、生命維持管理装置の操作及び保守点検を行うことを業とする者」と定められている。
生命維持管理装置とは、人工心肺装置、透析機器など「人の呼吸、循環又は代謝の機能の一部を代替し、又は補助することが目的とされている装置(臨床工学技士法)」をさす。
今後ますます増大するこの種の医療機器の安全確保、有効性維持に無くてはならない存在であり、チーム医療の担い手の一つである。
2008.05.01 配信
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硬膜外麻酔 (epidural anesthesia)
局所麻酔薬を硬膜外腔に投与する麻酔である。エピやエピドラと略することもある。局所麻酔薬としてはリドカイン、メピバカイン、ブピバカインを用いることが多い。注入により脊髄神経を麻痺し、無痛と筋弛緩を得る。留置カテーテルで長時間麻酔ができるメリットもある。これに浅い全身麻酔を併用し持続的な除痛効果を目的とすることも多い。
2008.04.21 配信
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オートプシー・イメージング (Ai)
オートプシー・イメージングとは、死後画像(CT,MRIなど)と剖検情報を組み合わせ、死亡時診断のスタンダードを構築し、医学的および社会的な死亡時患者情報の充実を図るための、新しい検査概念である。
日本では監察医制度が充分に普及していないことや日本のCTの普及率が世界一ということもあり、救命救急病院で死後CTが広く施行されており、Aiが普及する下地はかなり整っていると言えよう。
2008.04.10 配信
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狭隅角緑内障の治療法
治療法は、まず、第一にピロカルピン(縮瞳剤)点眼剤を頻回点眼し、瞳孔ブロックを解除する。瞳孔ブロックとは房水の流出遮断により隅角閉塞をきたすこと。グリセオールやマンニトール点滴、ダイアモックス静注、降眼圧薬の点眼で眼圧を下げる。角膜浮腫がひいたら、虹彩光凝固術を行う。
ただ、瞳孔ブロックが解除できない場合は、観血的に虹彩切除をしたり、隅角が癒着して、眼圧が下がらない場合は濾過手術(線維柱帯切除術)が必要となる。
2008.03.25 配信
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狭隅角緑内障(閉塞隅角緑内障)とは
緑内障の一種で、急性あるいは慢性的に房水(眼の中の循環水)の排出部(隅角)が狭くなり、眼内圧が高くなり、視神経が圧迫され、変性を起こし、失明に到る。急性のものは通常10台の眼圧が短時間で40〜50に上昇し、突如激しい頭痛、目の痛み、嘔吐などの症状が出る。対処が遅れると一晩でも失明の危険がある(急性緑内障発作)。一方、慢性では亜急性の発作を繰り返して、眼圧が上がったり下がったりしているうちに視神経がどんどん萎縮していく。
緩如に眼圧が上がった場合は、急性と違って角膜浮腫がでづらく、自覚症状に乏しい。
2008.03.18 配信
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バチスタ手術 その存在意義
心臓移植は心筋症の最終治療法とも言える優れた方法であるが、世界的な心臓のドナー提供者の不足、移植費用が高い、日本では脳死という概念の浸透が足らず、心臓提供に対する本人あるいは家族の同意が得にくい、日本国内では15歳未満からの移植は認められていない、一生免疫抑制剤を服用する必要がある等多くの問題を抱えている。
これらの理由から、バチスタ手術は根治療法とまでは言えないが、日本国内の多くの心筋症患者にとっては貴重な術式と言える。
2008.03.11 配信
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バチスタ手術 その原理
考案者バチスタは、左心室の拡大が心機能低下に対する代償という従来の常識とは逆に、拡大することが左室壁応力を増加させ,収縮を妨げており、その一部を切り取り縮めれば心臓は動きやすくなるのではと考えたわけで、全く逆方向からのアイデアといえる。
これは「ラプラスの法則」(壁応力は内圧と内径の積に比例する、すなわち液体の粒の中と外の圧力の差は粒の半径に反比例する)に基づくものである。
2008.03.04 配信
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バチスタ手術(左室部分切除術)とは?
バチスタ手術とは、拡張した心臓の左心室の一部を切除する術式のこと。
拡張型心筋症などが重篤化した場合、左心室が著しく拡大して収縮力が低下し、心不全に陥る。これに対する治療は最終的には心臓移植に頼らざるを得ないが、心臓移植を行うことが難しい患者にとってバチスタ手術は、選択の一つである。本術式の名称は、考案者のブラジル人ランダス・バチスタ博士の名前に由来している。
年齢を問わず施術できる、保険適用の対象となり、患者負担が少ないなどの利点がある。その反面、根本治療ではない、予後の心不全回避率が3年後には25%と比較的悪い、重篤な全身状態で侵襲の大きい手術を行うために手術死亡率が高いなどの欠点がある。
2008.02.28 配信
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有機リン剤中毒の解毒薬
有機リン中毒はコリンエステラーゼ(CE)の阻害により、体内でのアセチルコリン濃度が著しく上昇するために生ずる。
従ってアセチルコリン受容体(ムスカリン受容体)の拮抗薬(アンタゴニスト)のアトロピンが症状の緩解に奏功する。
しかしながら、CEは不可逆的に阻害され続けるため、アセチルコリンの蓄積が持続し、アトロピンの効果消失とともに再び中毒症状を呈すことも多い。
プラリドキシム(PAM)はCEに結合している有機リン剤を自らに結合させ、CEを遊離させ活性を取り戻すメカニズムを有す特異的解毒薬である。
2008.02.22 配信
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サリン
サリン(Sarin、salineは食塩水)は、ナチス・ドイツが軍事目的に毒ガスとして開発した有機リン化合物。
コリンエステラーゼ(神経伝達物質アセチルコリンを分解する酵素)を非可逆的に阻害することにより毒性を発揮する。
殺傷能力が非常に強く、経口からだけでなく皮膚からも吸収される。
50% 致死濃度 (LC50) は、1 m3 あたり 100 mg(1分間)。
サリンは有機リン系殺虫剤の開発過程で発見されにもかかわらず人体に対する毒性が高すぎるためそれ以外に用途は無い。
オウム真理教が無差別殺人の目的で使用し広く知られるようになった。
2008.02.13 配信
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有機リン化合物
広く農薬として殺虫の目的で使用されている化合物群の総称。
パラチオン、イソフルロフェートなどがある。
コリンエステラーゼ(神経伝達物質アセチルコリンを分解する酵素)を非可逆的に阻害し、アセチルコリンによる急性毒性により殺虫効果を現す。
勿論ヒトのコリンエステラーゼも阻害する。
ヒトが謝って摂取すると、自覚症状としては副交感刺激に伴う縮瞳作用により、目がちかちかする・視界が暗くなるなどの異常が起こり、ついで涙が止まらなくなったり、くしゃみや鼻水など呼吸系の障害が起きる。呼吸困難を伴うこともある。さらに重度の場合、全身痙攣などを引き起こし、 最悪の場合死にいたることもある。
最近中国からの輸入餃子に混入し大問題となっている。
2008.02.07 配信
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教訓集 その6−9
出処進退。昇進は人に任せ、退任は自ら決める。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2008.01.28 配信
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教訓集 その6−8
人望獲得には、無欲・謙虚・親切。肩書や経歴や権威は邪魔もの。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2008.01.14 配信
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教訓集 その6−7
「理解」は”understand”である。下に立たないと他人のことはわからない。管理者が現場を知らずに指導すると組織はダメになる。現場に出よ。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2008.01.07 配信
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教訓集 その6−6
制度改革の動機は、苦しむ人がいる・ムダが多い・時代に合わない。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2007.12.20 配信
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教訓集 その6−5
職場のことしかしない人間は怠けもの。豊かな社会では、職場以外の私的生活に真剣に取り組み、創造のよろこびを見出して感じるべき。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2007.12.12 配信
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教訓集 その6−4
社会人が貢献すべきところは、職場、家庭、そして地域。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2007.12.05 配信
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教訓集 その6-3
何ごとも、世のため、人のため、そして、自分のため。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2007.11.27 配信
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教訓集 その6−2
医療の基本は献身と奉仕であるが、現実には医師に犠牲を強いられている。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2007.11.20 配信
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教訓集 その6−1
一流ホテルでは,顧客満足(CS)から個人満足(PS)へ、一歩踏み込んだサービスが大切。期待に応えてもらった一人ひとりの満足感が、信頼となり評判を生む。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2007.11.13 配信
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教訓集 その5−7
一所懸命や無我夢中はひとりでやるもの。みんなでやると危険。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2007.11.06 配信
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教訓集 その5−6
スタンピード現象。一度走り出すと何もかもなぎ倒して止まらない。ハインリッヒの法則。死亡1例に、深刻な危機30例、通常の危機300例。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2007.10.30 配信
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教訓集 その5−5
事故防止のコツ。緊急時は単純にやれ。困ったときは、簡単に考えよ。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2007.10.23 配信
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教訓集 その5−4
誤報と誤診。これを防ぐには、多角的に取材(検査)する、先入観にとらわれない(紹介医の診断を疑う)、手抜きをせずにチェックする。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2007.10.16 配信
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教訓集 その5−3
事故の誘因は、(1)人間疎外の科学技術、(2)効率主義を優先させる知的専門集団。医師の過失は、技術的ミスと説明義務違反。医療事故は起こりうる。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2007.10.09 配信
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教訓集 その5−2
医師の義務3つは、勉強義務・注意義務・親切義務(九州大学名誉教授 牧角三郎、,1980年の法医学の誹義にて)。医療訴訟の原因は、不注意・不誠実・不勉強。コミュニケーションが医事紛争を防ぐ。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2007.10.02 配信
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教訓集 その5−1
医療は経験的empiricalであるが、理論的logicalであることが望ましい。しかし、医療は倫理的ethicalでないといけない。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2007.09.25 配信
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教訓集 その4−6
仏教の教え。同悲(相手の悲しみを自分のものとして受けとめる)、愛詐(やさしい言葉で励ます)、布施(何かを与えて救う=奉仕)、慈愛(楽を与え苦を除く)、利他(他を利するために生きる)。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2007.09.18 配信
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教訓集 その4−5
弱さにふれる教育。弱い人が主役の社会。病苦や障害や老死など、人間の弱さを受容し、みんなが共感して支えあう世界へ。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2007.09.11 配信
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教訓集 その4−4
生物学的なdiseaseが同じでも、文化的なillnessは異なる。病気をもつ患者には、社会的な不安や恐怖がある。患者が病いをどう感じているかが大切。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2007.09.04 配信
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教訓集 その4−3
きびしい病名告知より、やさしい病状説明。余命はだれにもわからない。予後は簡単には言えない。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2007.07.31 配信
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アドレナリン
アドレナリンは副腎髄質より分泌されるホルモンであり、心拍数や血圧を上げ、瞳孔を開き血糖値を上げる作用などがあり、ストレス反応の中心的役割を果たすといわれる。
アドレナリンは医薬品として、心停止時、アナフィラキシーショックや敗血症に対する血管収縮薬や、気管支喘息発作時の気管支拡張薬として用いられる。
エピネフリンは米語名で、アドレナリンと同一物質である。1901年(明治34)高峰譲吉と助手の上中啓三がウシの副腎から世界で初めて結晶化に成功している。
日本では興奮するという意味でかなり一般的に使用される。
2007.07.24 配信
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教訓集 その4−2
がん患者ターミナルケアのポイントは、聴き入る・共感する・率直に尋ねる。励ましやいたわりのために、自分たちの時間を割いてあげる。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2007.07.17 配信
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全身麻酔薬 その4:亜酸化窒素(N2O、笑気)
亜酸化窒素は代表的な吸入麻酔薬であり、無臭のガス体で引火性はない。
麻酔の導入が早く強い鎮痛作用を有する。導入期に笑ったような顔つきになることから笑気とも称される。
ただ、十分な麻酔力を得るためには100%以上の吸入ガス濃度が必要であり、酸素欠乏に陥りやすい。これを補うため作用の強い他の吸入麻酔薬(セボフルレン、エンフレレンなど)と併用する。なお同じ酸化窒素でも、一酸化窒素(NO)は生体内情報伝達物質、二酸化窒素(N02)は自動車などの排気ガスに含まれる物質である。
2007.07.10 配信
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全身麻酔薬 その3:ケタミン(商品名:ケタラール)
これも静脈内麻酔薬の一つ。本剤を投与された患者は一見覚醒しているように見えるが、実際は鎮痛・健忘状態となっている。
脳波上では大脳皮質が徐波化していても大脳辺縁系では覚醒波を示し、解離性麻酔薬とも呼ばれる。
ケタミンは記憶・学習・疼痛などに重要な役割を果たしている、NMDA受容体の非競合的な拮抗薬として作用を発揮する。
ケタミンは、米国で乱用薬物として問題となっているフェンサイクリジン(PCP、これもNMDA受容体の拮抗薬)の誘導体であり、不快な幻覚を引き起こすことがある。このため我が国では本年1月1日より麻薬に指定され、使用に際しては麻薬免許証の取得や麻薬処方箋が必要となり、また厳重な保管が義務づけられる。ペット、家畜への麻酔のみならず、実験動物においても重宝されたが使いにくくなったのは間違いない。
2007.07.03 配信
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教訓集 その4−1
医療は医師と患者の共同の営み。対話が必須。耳を傾け手を差しのべる。 "To cure sometimes, to releave often, but to comfort always”

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2007.06.26 配信
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第四の発達障害
最近,「第4の発達障害」なる概念が話題となっている。虐待された子どもたちは心だけでなく、脳の発達にも障害が生じ、その結果、自閉症などと極めて似た症状や問題行動が発現するとの説である。発達障害の分類に関して、その第一を精神遅滞・肢体不自由などの古典的発達障害、第二を自閉症症候群、第三を学習障害・注意欠陥多動性障害などのいわゆる軽度発達障害と定義するなら、虐待による発達障害は、これらに加わる新たなものである。これが”第4の発達障害”とも称される所以である。この方面の教育は、精神科、小児科などで扱われるが、患児に最初に接する機会のある初等教育の教員や、カウンセラーなどが知っておきたい概念である。
詳細は「子ども虐待という第四の発達障害(杉山登志郎著)」を参照されたい。
2007.06.19 配信
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LD:学習障害 (Learning Disabilities/Learning Disorders)
文部科学省の定義(1999)では「学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。ここで言う学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定される。視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない」である。
学習障害はもともとは医学で問題にされてきたものが、学校教育における課題として広く理解されるようになってきた。教育現場における個々への対応は十分に配慮されるべきことであるが、中枢神経系の高次機能の障害としての医学との関連も欠かせない。
LDの和訳として、学習障害は適切ではないという意見があり、言語のまま "LD" と表記することが多い。
2007.06.12 配信
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ADHD (Attention Deficit Hyperactivity Disorders)
精神年齢に比して集中力が持続できず、注意が散漫になり、 絶えず落ち着かず動き回るといった多動性、不注意、衝動性を症状の特徴とする行動障害で、発達障害の一つである。注意欠陥多動性障害のこと。
小学生の3〜5%にみられ、4〜9:1で男児に多くみられる。行動抑制の欠陥から生じる実行機能の障害である。LD(学習障害)、不器用さ、言語障害などの発達上の問題や、不安障害や気分障害などを併せ持つことも多い。
落ち着いて取り組むことが困難なため、失敗体験も累積し、周囲からの叱責や非難が多くなるため、自信や意欲をなくし、自己評価を低くしてしまうこともある。周囲が理解し、環境調整や行動コントロールをすることが必要となる。
2007.06.05 配信
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自閉症 Autism
他者とのコミュニケーション能力の発達が遅滞する発達障害の一種である。
社会的な相互交渉の質的な障害、コミュニケーション機能の質的な障害、活動と興味の範囲の著しい限局性の3つを主な特徴(ウイングの三つ組み)とする。
知的障害については、伴うものから伴わないもの(高機能自閉症)まで幅広い。自閉症は3歳以前から何らかの症状があらわれるが、3歳頃から症状が現れるといわれるアスペルガー症候群とこの点で診断上区別される。最近では自閉症やアスペルガー症候群などの広汎性発達障害は、個々の独立したものというよりも広く連続したものという捉えかたから、自閉症スペクトラム(スペクトル)とも呼ばれる。
医学生が医学部で習うのは、定型発達(いわゆる正常な発達)の人が病気になる症例が主であり、実習などの臨床現場で自閉症の方たちと初めて出会ったときは、どう接したらいいのかなどコミュニケーションの取り方について戸惑いが大きい。
2007.05.29 配信
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アスペルガー症候群 Asperger syndrome
精神領域における広汎性発達障害の一種である。
対人関係やこだわり行動といった問題を抱えるが、言語発達や知能にはほとんど問題が見られない。また運動機能の軽度な障害(手先の不器用さ、ぎこちない動作など)が認められる場合もある。知的に遅れのない高機能自閉症とほぼ同じである。
1944年にオーストリアの小児科医師のハンス・アスペルガー教授の報告が始まりであるが、世界的に認知されるようになったのは1980年代になってからである。
振り返って見ると歴史上、天才として名を残している数多くの著名人がアスペルガー症候群だったとも考えられる。
いわゆる難関といわれる大学の学生や職員にも、アスペルガー症候群とも思われるケースがみられるといわれている。アスペルガー症候群の特性が入学試験での学力や、研究業務において有利に働いていると思われる。
しかし対人関係やこだわりといった問題は、日常の生活や業務において仲間や同僚とのコミュニケーションに問題を起すことも考えられる。
2007.05.22 配信
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全身麻酔薬 その2:プロポフォール
静脈内麻酔薬のひとつ。水に溶けないため、ロイシン含有エマルジョンとして使用される。そのため製剤は澄明ではなく白濁している。チオペンタールナトリウム同様、GABA-A受容体-Clチャネル複合体に作用し、麻酔効果を発揮すると考えれられる。効果発現、覚醒がチオペンタールナトリウムより早く、持続点滴静注で使用でき、心循環系への作用も弱いため、使いやすい麻酔薬として汎用されている。
2007.05.15 配信
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全身麻酔薬 その1:チオペンタールナトリウム
手術時には、痛みや恐怖心、筋緊張性を軽減させるなどの目的で全身麻酔薬を用いる。
この際薬物を呼気とともに吸わせ体内に吸収させるのが吸入麻酔薬、静脈内に投与するのが静脈内麻酔薬であり、チオペンタールナトリウムは後者のひとつ。静脈内に注射で直接投与するため、麻酔器などの大掛かりな機器を必要とせず、比較的手軽に行える特長がある。
本剤は超短時間作用型バルビツール酸誘導体に分類され、脳内のGABA-A受容体-Clチャネル複合体へ作用し、GABAの脳内活動性を高めることにより麻酔効果を発揮すると考えられている。新しい静脈内麻酔薬プロポフォールの開発以降、不採算商品として一時製薬メーカーが製造中止を表明したが、臨床現場からの存続要望が強く、製造が継続された経緯がある。
2007.05.08 配信
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教訓集 その3−8
自然が見せるちょっとした真理をつかめ。患者が見せるちょっとした徴候を見逃すな。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2007.05.01 配信
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教訓集 その3−7
研究と学問の違い。求める物は事実と真理。行うことは調査と思考。学問にはさまざまな解釈があり、流行や競争はない。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2007.04.24 配信
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教訓集 その3−6
学問のルーツや先人の努力を知らずに仕事するのは悲しいことだ。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2007.04.17 配信
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教訓集 その3−5
旅人には魚や肉を与えるのではなく、釣りや狩の方法を教えよう。医学生には知識を教えるのではなく、問題解決能力を教えよう。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2007.04.10 配信
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剽窃、盗作、盗用 (Plagiarism) その3
ニューヨーク大学の Resource Guide for NYU International Students "Plagiarism"には、剽窃にあたる行為を例示しています。引用を明示せず、他人の著作物(レポート、コンピューターソフト、コンテンツ、実験結果など)を、あたかも自分の著作物のように発表する行為のほか、共同で行った仕事を、あたかも自分ひとりで行ったように発表するのも剽窃行為です。同じレポートを、その事実を告げないまま複数のコースに提出するのも、問題のある行為です。
著作の仕事は、大学に入学してから本格的に始まります。それゆえ、「学生は学術分野におけるルールを身に着けていない」と想定し、あらゆる機会に啓蒙の必要があります。
2007.04.03 配信
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剽窃、盗作、盗用 (Plagiarism) その2
個人の意見に対する尊厳の重要性が認識される時代となりました。
特にアメリカでは、個人の意見は、従来の価値観による所有物と同様、最初に述べた人が所有すると考えられ始めています。
それゆえ、他人の意見を承認なしに自分の意見のように発表することは、学術上の品行方正さに欠く行為、剽窃とみなされます。
現実には、自分の文章の中に他人の意見を入れる事はしばしば必要で、禁止されているわけではありません。
このときに、どこから引用したか原典を明記し、最初の意見発表者の所有権に敬意を払うべきなのです。
レポート書きは、大学の教育に必須ですが、無断引用を「学生のやることだから・・・」と、大目に見るのではなく、学生のうちから、厳格な引用の癖をつけさせる教育をすべき時代に突入しています。
2007.03.27 配信
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剽窃、盗作、盗用 (Plagiarism) その1
「剽窃」とは、他人の作品・学説などを自分のものとして発表することをいう。盗作、盗用の類義語である。
流行歌、商業出版などでは厳しい著作権が認識されているが、学術・学習上における「剽窃」は、日本では曖昧にされがちな行為である。
しかしアメリカでは非常に厳しく扱われ、犯罪行為としてみなされ、今後、世界的に認知される考えになると予想されるため、学生のうちからこの概念を良く理解して、剽窃と見なされる行為を行わないよう、十分気をつけなければならない。
2007.03.20 配信
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教訓集 その3−4
一人ひとりの個性を伸ばせば、おのずとチーム力はアップする。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2007.03.13 配信
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教訓集 その3−3
子育てと研修医の指導。こども(研修医)の自発性や意欲、共感性や思いやりを育てよ。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2007.03.06 配信
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教訓集 その3−2
Educationは、「引き出す」の意。かくれた能力を見つけてあげる。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2007.02.27 配信
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教訓集 その3−1
教育は、knowing・feeling・doing。すなわち、知って、感じて、行うこと。医学教育の3要素は、知識の伝達・技術の継承・人間性の育成。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2007.02.20 配信
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児童虐待 (child abuse)
児童虐待とは、日本では「児童虐待の防止等に関する法律」(平成12年法律第82号)において、「保護者がその監護する児童に対し、次に掲げる行為をすること」と定義されている(第2条)が、これによると、身体的虐待、性的虐待、ネグレクト(教育放棄)、心理的虐待、がその具体例として挙げられている。
法律用語の定義として、保護者とは、親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。児童とは、18歳に満たない者をいう。
患児が児童虐待を受けているか否か、医師が判断するのは、典型例を除き、困難である。
また典型例であっても、親権を主張されたとき、どこまで踏み込めるか、その場の判断も困難である。
医療が医療職の範囲を超えてしまう例に、何が適切な対処となるのか、6年間の医学教育で教えきれる範囲ではない。
2007.02.13 配信
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ネグレクト (neglect)
ネグレクトとは、本来英語で「怠慢・無視・放置」の意味。日本では主に、養育者による子供や高齢者・病人などに対する不適切な保護や養育のことを言う。児童虐待、高齢者虐待のひとつ。著しい減食、長時間の放置、体罰などの虐待をさすことが多いが、子供に十分な医療を受けさせないこと、配偶者などからの虐待を見てみぬ振りすること、さらには甘やかしすぎなどの育児の責任放棄などもネグレクトにあたろう。
医学生はこの現代的な社会病理を、医学教育の正式カリキュラムの中で体系的に学ぶことなく卒業し、医師となる。臨床実習の最中に、症例によっては患者の社会的背景を学ぶ機会も有るが、多くのの新卒医師は実際の診療に際して患者、および患家の悲惨な状況を知り、愕然となる。
2007.02.06 配信
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教訓集 その2−11
夢をもつことは人生を豊にする。夢の達成に向かって精進を続けることに意義がある(海外山岳250登頂が目前の久留米大学名誉教授 脇坂順一、88歳の外科医)。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2007.01.30 配信
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教訓集 その2−10
他人の言葉が気になるときは、自分の生きかたが充実していないとき。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2007.01.23 配信
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教訓集 その2−9
モノに対しては節度と我慢、ヒトに対しては誠意と共感。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2007.01.16 配信
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教訓集 その2−8
正直・勤勉・技術。性信乃貧困は、正義・良心・誠実さを失うこと。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2007.01.09 配信
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教訓集 その2−7
ミスを認め、失敗を謝罪するのは、誠実な力強い姿勢。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2006.12.26 配信
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教訓集 その2−6
試合の敗因は、攻撃力不足・戦術の失敗・闘志の欠如。もう少しが大きな差(日本代表 中山雅史)。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2006.12.19 配信
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教訓集 その2−5
一歩後退することで将来への道が開ける(フランス主将デシャン)。逆境にまさる教育は無い。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2006.12.12 配信
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教訓集 その2−4
「なにくそ」と言う肥料をまいて、やる木(やる気)を育てる(平戸の外科医 柿添三郎)。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2006.12.05 配信
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教訓集 その2−3
失敗は人を大きくするが、後悔は人を小さくする。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2006.11.28 配信
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教訓集 その2−2
竹は節を得て強くなる。失敗はひとつの節目と考えよう。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2006.11.21 配信
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教訓集 その2−1
成功には偶然も関与するが、失敗には必ず原因がある。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2006.11.14 配信
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教訓集 その1−2
有効と有用はちがう。自然科学研究で理論どおりの効果があれば有効。これが人間社会の現実に用いられ、その価値が認められれば有用。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2006.11.07 配信
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教訓集 その1−1
医療現場では、"This is the way we've always done it"症候群が良く見られる。習慣的に行われている医療行為の多くは、きちんとした理論的裏づけがない。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2006.10.31 配信
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妊娠高血圧症候群その2 (新しい定義)
新しい名称「妊娠高血圧症候群」の定義「妊娠20週以降、分娩後12週まで高血圧が見られる場合、または高血圧に蛋白尿を伴う場合のいずれかで、かつこれらの症状が単なる妊娠の偶発合併症によるものではないものをいう。(日本産婦人科学会)
旧定義では「蛋白尿」や「浮腫」のみでも妊娠中毒症と診断されていたが、新定義では妊娠により血圧が上昇した場合に診断されるようになっている。
2006.10.24 配信
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妊娠高血圧症候群その1 (妊娠中毒症を改定)
2005年4月から「妊娠中毒症」は「妊娠高血圧症候群(PIH : pregnancy inducedhypertension)」と名称が変更され、定義も改定された。
妊娠中毒症はこれまで、「高血圧、浮腫、蛋白尿の一つもしくは二つ以上の症状が見られ、かつこれらの症状が単なる妊娠の偶発合併症によるものではないもの」という定義であった。
近年、病態の一部が解明され、「毒」なるものは存在せず主病因は血管内皮細胞の障害と水分透過性異常であると考えられるようになり、定義は高血圧を主体とするものに改められて「浮腫」がはずされた。
改定の背景には、「妊娠中毒症」という名称が日本独特のものであったということもあった。
2006.10.17 配信
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耳鼻科コネタ集その3 変声期T(声変わり)
思春期以降はじまる身体的な性の成長を二次性徴という。
二次性徴で男児の喉頭は下がって大きく成長し、甲状軟骨が突き出て目立つようになる。

その様相から日本では「のど仏」、英語で「アダムのリンゴ(Adam's apple)」と呼ばれる。
喉頭の枠組みが大きくなるとともに、声帯は約1cm伸びて2倍の大きさになる。
他に声帯靱帯の形成などといった声帯の層構造も変わり、声帯は厚みを増して、最終的には1オクターブ話声程度は低下する。
声帯が急激に前後に伸びて成長するが、それを調節する筋肉の発達が伴わないために声の異常、すなわち「(変声期)声変わり」が数ヶ月から1年間続くと考えられている。
2006.10.10 配信
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耳鼻科コネタ集その2 寒冷刺激による鼻閉
寒い冬、冷たい外の空気を吸うと鼻がつまるのには訳がある。
鼻呼吸は吸気中の温度と湿度を適度に与えて、下気道に影響を及ぼさないようにしている。
鼻粘膜が冷気に暴露されると、鼻粘膜は腫脹して鼻腔通気路を狭くして、空気と粘膜面との接触面積を増やすだけでなく、乱流も多く生じさせて、熱交換機能を高めているのだ。
ただし、与えられた熱は呼気時に取り戻されるので、鼻から呼気を出さないと(鼻で吸って口で吐く)鼻閉を招いてしまう。
寒冷地へ出かけて鼻のつまりを感じたら、鼻呼吸を意識してみると良い。
2006.10.03 配信
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耳鼻科コネタ集その1 鼻のかみ方
風邪、花粉症やアレルギー性鼻炎で一日中、鼻水が出ていると、鼻をかむ回数は数え切れないほどになってしまう。
鼻水をためずに出すことで、鼻の中をきれいに保つことはよいことであるが、鼻のかみ方によっては耳に悪影響を及ぼすので注意が必要である。
両方の鼻をつまんで鼻をかむと、鼻腔内の圧力が急に上がってしまい、耳管を通って感染した鼻水を中耳に押し込んでしまうだけでなく、強い圧力が鼓膜に伝わり鼓膜や内耳に障害をもたらすこともある。
小児は特に耳管が太く短いので、片方ずつ鼻をかむ方が良い。
2006.09.26 配信
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トリアージの方法 (トリアージシリーズその4)
日本ではトリアージにSTART法を採用している。
これはSimple Triage And Rapid Treatmentの略であり、米国で考案された。
血圧計などの医療機器がなくとも行える簡便な方法として普及し、アメリカ同時多発テロの際にもSTART法でトリアージが行われた。
ちなみにイギリスでは”Triage Sieve”法であり、それがイギリス周辺国に広まり、今ではNATOでの標準トリアージ法となっているようである。
また、オーストラリアのトリアージはCareflight Triage法が使われている。
2006.09.12 配信
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トリアージ・タッグ (トリアージシリーズその3)
トリアージタッグは患者情報記載欄の下に黒・赤・黄・緑の順に色別されており、トリアージ区分に基づき、ミシン眼で切り離せるようになっている。
トリアージ実施責任者が、トリアージタッグに必要事項を記入し、適当な切り取り線で切り取り、当該患者につける。
トリアージタッグは、原則として、右手首関節部につけるが、その部分が負傷している場合は、左手首関節部、右足関節部、左足関節部あるいは首の順でつける部位を変える。
このトリアージ・タッグは簡易カルテとして利用することも可能であり、また受け入れ患者数や傷病程度別の患者数をより的確に把握することも可能となる。
日本では平成7年の阪神・淡路大震災を契機にトリアージが注目され、平成8年に全国に統一規格のタッグが整備された。
2006.09.05 配信
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トリアージの区分 (トリアージシリーズその2)
傷病の緊急度や重症度に応じ,以下の4段階に分類する。

第1順位  最優先治療群(重症群) タッグの色:赤色(T)
直ちに処置を必要とするもの(救命可能なもの)。
窒息、多量の出血,ショックの危険のあるものなど。

第2順位 待機的治療群(中等症群) タッグの色:黄色(U)
多少治療の時間が遅れても、生命に危険がないもの。
基本的には,バイタルサインが安定しているものなど。

第3順位  保留群(軽症群) タッグの色:緑色(V)
上記以外の軽易な傷病で、ほとんど専門医の治療を必要としないものなど。

第4順位 死亡群 タッグの色:黒色(0)
既に死亡している者又は直ちに処置を行っても明らかに救命が不可能なものなど。
2006.08.29 配信
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発表する その3
論文発表は、医学の歴史に足跡を残すので、喜びも大きいが、責任も重大。症例報告は紹介医へのお礼であり、原著研究は患者への恩返しと考える。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2006.08.22 配信
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発表する その2
服装を整え、背筋を伸ばす。始めと終わりに、聴衆と司会に黙礼する。制限時間を守る。質問は最後まで聞く。まず回答を述べ、あとで根拠や説明を補足する。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2006.08.15 配信
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発表する その1
学会では堂々と、しかも謙虚な姿勢で発表する。わかりやすい大きな字のスライドと、十分に推敲した発表原稿を用意し、元気な声でゆっくり話す。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2006.08.08 配信
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トリアージ triage (トリアージシリーズその1)
選別、分類、整理を意味するフランス語(トリアージュ)。
医療においては、戦争、大事故、大規模災害などの際、多数の傷病者が発生した場合、救命救急活動の対象とすべき負傷者を重症度と緊急性により選別することの意味で用いられる。生存、回復の見込みが大きい負傷者を優先的に扱うためにランク付け(トリアージの区分)して選択する。災害時医療などにおいては人的、物的医療資源が不足するため、その有効利用を図るためのやむをえない措置。 この際、ランク付けが終了すると「トリアージ・タッグ」という識別表を患者さんの体に取り付ける。(原則として右手首関節部)
トリアージ(Triage)は、治療(Treatment)、搬送(Transport)とともに、災害時医療で最も重要な3つの要素(3T)の一つである。
2006.08.01 配信
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異動する その7
転出するときは、引継ぎと身のまわりの整理をする。立つ鳥は跡を濁さず。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2006.07.25 配信
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異動する その6
日々の診療は、黙っていても与えられる。英文医学雑誌や欧米教科書の通読、学会発表や論文投稿など、自分で課題を決めて積極的に挑戦しよう。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2006.07.18 配信
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異動する その5
見たこと・聴いたこと・読んだこと・行ったこと・考えたことなど、ノートに記録して蓄積しよう。自分だけの診療サマリーや手術記録も、貴重な財産。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2006.07.10 配信
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異動する その4
若い頃の異動や転勤は、医師としての成長の糧となる。何ができるようになったか、何が自分には足りないか。一年ごとに自己評価し、翌年の目標を立てよう。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2006.07.04 配信
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アルツハイマー病の治療
西暦2006年の現時点では、アルツハイマー病の特効的な治療法は無い、と言っても過言ではない。

アルツハイマー病では、大脳皮質のアセチルコリン系神経細胞が選択的に傷害され、アセチルコリンの補充により病状の進行を遅く出来ると考えられている。この基本概念で開発されたのが、塩酸ドネペジル(商品名アリセプト)である。これにはアセチルコリン代謝酵素コリンエステラーゼ活性を阻害する働きがあり、その結果、脳内アセチルコリン量を上昇させると考えられている。

なお本剤は、アルツハイマー病そのものを治すものではないため、その効能・効果には「軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症(痴呆)における症状の進行抑制」と記載され、また使用上の注意にも「アルツハイマー型認知症(痴呆)の病態そのものの進行を抑制するという成績は得られていない」と書かれている。
2006.06.27 配信
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アルツハイマー病 Alzheimer's disease:AD
ドイツのアロイス・アルツハイマーが1907年に最初の症例報告を行ったことに由来する。認知症(旧名、痴呆症)の一種であり、認知機能低下、人格の変化が主な症状である。
多くの症例は非家族性の発生する。これは若年性アルツハイマー病(65歳未満で発症する)とアルツハイマー型老年認知症(65歳以上で発病する)に分類される。わが国では65歳以上の認知症の約半数が、アルツハイマー病であるとされる。
家族性のアルツハイマー病も知られているが、これは21番、14番、1番遺伝子異常が原因であり、30〜60歳代で発症する。発現頻度は低い。
アルツハイマー病の病理学的所見は、脳の神経細胞へのβアミロイド沈着が特徴的であり、最終的に神経細胞死が起きるとされる。このアミロイド沈着がアルツハイマー病の原因なのか、結果なのか、明らかではない。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2006.06.20 配信
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異動する その3
病院とスタッフと患者を愛し、明るくまじめに働こう。大切なのは、患者さんにやさしくする・健康に気をつける・気軽に相談する。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2006.06.13 配信
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記憶
経験した物事を、記銘し、保持し、それを再生すること。
記名:記憶の第一段階で、新しく経験したことを覚えこむこと。銘記とも言う。
保持:記憶の第二段階で、記銘された経験内容を維持する過程。一般的に時間経過
とともに量的には減少し質的は変容を伴う。
再生:想起ともいい、記憶の第三段階で、記銘され保持された経験内容を再現すること。
記憶の持続時間により短期記憶と長期記憶に分けられる。
2006.06.06 配信
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異動する その2
郷に入っては郷に従え。その病院のやり方やシステムに従い、良いところを見つけて学ぼう。
「前の病院では○○だったのに」は禁句。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2006.05.23 配信
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異動する その1
まずは笑顔で元気に自己紹介。フットワークは軽い方が良い。ポイントは、あいさつする・時間を守る・礼節をわきまえる。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2006.05.23 配信
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手術する その7
手術は挑戦ではない。自分の腕を過信してはいけない。前日の夜から、体調を整える。危ない事はやらない。
自分がされたくない手術を他人にしない。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2006.05.16 配信
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手術する その6
手術をやりっぱなしにしない。その日のうちに記録し、反省する。自分用の手術記録を残そう。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2006.05.09 配信
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手術する その5
手術はチームで行うものである。メンバーには役割分担があり、協力や協調が大切。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2006.05.02 配信
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手術する その4
出血しないように心がけ、輸血は極力避ける。時間を競う必要は無いが、早いほうが良い。
要領よく手順を進め、無駄な操作をしない。術野をあちこち変えない。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2006.04.25 配信
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手術する その3
手術は安全第一である。臓器や組織は丁寧に扱い、手技は確実に行う。1つの操作を完遂してから次の操作に移る。
一度に2つのことをしない。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2006.04.18 配信
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手術する その2
外科医にとって、手術は真剣勝負であり、完璧でなければならない。
患者と病気の状態を十分に把握し、術前に手技や手順を詳細に検討する。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2006.04.11 配信
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手術する その1
患者にとって手術は非常事態であり、一生に一度あるかないかの一大事である。
患者の手術について決して軽々しく話してはいけない。慣れることがこわい。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2006.04.04 配信
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シャーロックホームズとコカイン
名探偵シャーロックホームズを世に送ったコナン・ドイル卿は、1881年エディンバラの医科大を卒業し、卒業後10年間は一般診療医を開業していた。
1887年にホームズを主人公とする最初の探偵小説を書き、1891年、医者であることを辞め、作家に専念している。
ホームズは、小説の中でコカインとタバコの中毒であり、ホームズの友人、ワトソン医師は、しばしばこのことを注意している。
当時コカインの毒性は明らかにされておらず、ワインなどに入れて飲まれていたようである。

(土肥修司著、麻酔と蘇生(中公新書)から)
2006.03.28 配信
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ホタルの光と麻酔
ホタルに浅い麻酔をかけると、光らなくなる!これは、ホタルのもっている発光酵素を、低濃度の吸入麻酔薬が阻害するためであり、麻酔薬と発光素が競合的に拮抗しているためであることが明らかになった。

(土肥修司著、麻酔と蘇生(中公新書)から)
2006.03.14 配信
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なぜ麻酔がかかるのか −おたまじゃくしの麻酔と加圧
おたまじゃくしが泳いでいる水槽の中にアルコールを入れると、おたまじゃくしに麻酔がかかって動かなくなる。この水槽に200気圧を加えると、おたまじゃくしが再び泳ぎ始め、圧を除くとまた動かなくなる。これを麻酔の圧拮抗といい、1951年に報告された。

(土肥修司著、麻酔と蘇生(中公新書)から)
2006.03.07 配信
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世界初の全身麻酔
世界で最初に全身麻酔に成功したのは、1804年にチョウセンアサガオからつくった通仙散で全身麻酔を行った華岡青洲といわれている。これは、アメリカでモートンにより、エーテルを用いた全身麻酔の成功よりも42年も前のことである。通仙散は内服薬であったため、調節性にかけることから、先駆的な業績でありながら、あまり知られていないのである。

(土肥修司著、麻酔と蘇生(中公新書)から)
2006.02.28 配信
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心肺蘇生法の指針改定予定
国際蘇生連絡協議会(ILCOR)は、2005年11月に「心肺蘇生に関わる科学的根拠と治療勧告コンセンサス(CoSTR)」を発表し、これをもとに地域の事情に合った独自のガイドラインを策定するよう求めている。
これを受けて、日本蘇生協会(JRC)の構成団体の一つである「財団法人 日本救急医療財団(http://www.qqzaidan.or.jp/qqsosei/index.htm)」は、日本版救急蘇生ガイドライン策定小委員会を、平成17年9月22日に発足させた。
この小委員会は、アメリカ心臓協会(AHA)やヨーロッパ蘇生協会(ERC)の新ガイドラインを参考に、日本版の心肺蘇生にかかわる新しいガイドラインを策定する方針である。財団による発表では、平成18年4月に心肺蘇生法の指針を改定開始、平成18年6月下旬に一般市民用の指針完成、平成18年10〜12月に医療従事者用の指針完成、とある。
2006.02.21 配信
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市民救助者は「循環のサイン」確認不要に
AHA心肺蘇生ガイドライン2000では、市民救助者の場合、循環のサイン(息、咳、動き)の確認のみで、脈拍の確認は不要とされた。
これは、脈拍を速やかに確実に確認することは難しいだけでなく、頸動脈拍動の確認は診断検査としては驚くほど不正確であったという研究結果による判断である。
ところがガイドライン2005では、循環のサインの確認さえも省かれた。市民救助者の場合、死戦期呼吸と正常な呼吸の区別は難しいため、循環のサインを正確に確認できるとはいえないからである。このため、最初の呼気吹き込み2回を行ってからすぐに、30:2の心臓マッサージを行うよう改定されている。
確認を循環のサイン(息、咳、動き)・・・・正しい???
確認を !死戦期呼吸・・・・死線期呼吸???
2006.02.14 配信
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AHA ガイドライン2005 発表
AHAガイドライン2000に基づいて、世界中で心肺蘇生講習(BLS/ACLS)が行われてきたが、AHA(American Heart Association)は、2005年12月3日に、新しいガイドライン2005を 発表した。
目立った変更点は2つある。このガイドライン2005では、より効果的に人命救助が出来るように、心臓マッサージの重要性が見直されている。すなわち心臓マッサージと人工呼吸の割合は、2000では15対2であるが、2005では30対2に変更された。
また、2000では患者の循環のサインの確認をせよ、と患者を見つけた市民救助者に求めているが、2005では、これを不要とし、直ちに処置に入るべきとの緊急性を強調している。
〔AHAガイドライン2005の原著〕

"Circulation""誌 online版:(Volume 112, Issue 22 Supplement; November 29,2005)
http://circ.ahajournals.org/content/vol112/22_suppl/"
2006.02.07 配信
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市民救助者とヘルスケアプロバイダー
AHA(American Heart Association)のガイドラインでは、一次救命処置(BLS)は「市民救助者(Lay Rescuer)のやり方」と「ヘルスケアプロバイダ(Healthcare Provider)のやり方」に分けられている。 市民救助者とは、倒れた患者のそばに偶然いた人で、緊急避難的に急助に当たる人を指す。
ヘルスケアプロバイダーとは、蘇生法の教育を受けている救急救命士や、現場で蘇生に携わる人(消防士、警察官、インストラクターなど)、医療従事者といった、職業上、傷病者に対応する可能性が高い人々を指す。
2006.01.31 配信
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日本における蘇生教育の普及
突然に発症し、救急処置を必要とするにもかかわらず、最初に処置するのが専門医ではないことが多い脳血管疾患(脳梗塞・脳出血など)による死亡や後遺症を減らすためには、標準的処置の「ガイドライン」が有効である。これをAHA(American HeartAssociation)アメリカ心臓協会は「心肺蘇生と救急心血管治療のための国際ガイドライン」としてを提唱している。
このガイドラインは科学的根拠と膨大な研究データをもとに作成されており、標準的な心肺蘇生法として世界的に普及した。つまり、これまでは各国、各施設、各医師が各々の方法で心肺蘇生を行っていた現実を考えると、画期的である。
これを受け、日本では、日本ACLS協会と日本蘇生協議会から構成されるJapanInternationalTraining Organization(Japan ITO)が中心となって、AHAガイドラインに沿った一次救命処置(BLS)、二次救命処置(ACLS)のトレーニングコースが全国各地で開催されている。
2006.01.24 配信
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病棟にて
病院は収容所ではない。食事や入浴や外泊をいたずらに制限しない。経口摂取が始まれば、蓄尿や尿量測定の意味はない。
ただし、検温は大切。「外科医殺すに刃物はいらぬ。熱が3日も出ればよい」とも。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2006.01.17 配信
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外来にて
セカンドオピニオンには誠意をもって対処する。まずはじっくり話を聞き、診断や治療に関する私見を述べる。判断に迷うときはその旨を伝える。前医を非難しない。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2006.01.10 配信
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担当医の仕事
患者さんから学ぶ。
医者の興味や満足で検査や治療をしてはならない。
わからないことや迷うことは、その場で同僚や上司に相談する。
言葉づかいに気をつけ、お年寄りにやさしくする。
ムダをなくしゴミを出さない。
節約医療を心がける。
自分の健康にも気をつけ、家庭を大切にする。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2005.12.27 配信
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外科の歴史 その5
外科医は昔の外科医ではいけない。
外科医は昔の外科医を知らなくてはいけない。
そして外科医は、昔の外科医の心意気に負けてはいけない。(慶應義塾大学医史学客員教授 大村敏郎)

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2005.12.20 配信
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外科の歴史 その4
わが国では、通仙散で乳癌摘出(1804 花岡青洲)、アドレナリン発見(1990 高峰譲吉)、タールで発癌(1915 山極市川)、胃カメラ発明(1950 宇治&杉浦)が偉大な業績。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2005.12.13 配信
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外科の歴史 その3
手術の始まりは、胃切除(1881 Billroth)、胆嚢摘出(1882 Langenbuch)、虫垂切除(1884 Kronlein)、乳房切除(1894 Haisted)、直腸切断(1908 Miles)、膵頭十二指腸切除(1935 Whipple)、肝切除(1949 本庄)、腹腔鏡胆嚢摘出(1985 Muhe, 1987Mouret)。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2005.12.06 配信
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外科の歴史 その2
外科学を支える発見は、血液循環(1828 Harvey, 生理学の元祖)、聴診器(1819Laennec, 診断学の元祖)、X線(1895 Roentgen, 画像診断の元祖)、メンデルの法則(1900, 発表は1865、 遺伝学の元祖)、ペニシリン(1929, 使用は1941)、Dukes分類(1932, ステージ分類の元祖)

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2005.11.29 配信
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外科の歴史 その1
近代外科学は、エーテル麻酔(1846 Morton & WarrenがMGHで軽侮血管腫摘出)、防腐法(1867 Lister ←1862 Pasteur、腐敗は大気中の微生物が原因)、止血鉗子(1875 Peanなど)のおかげ。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2005.11.22 配信
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臨床倫理 その3
治験は従来製薬メーカーが医療機関に依頼し、主にこの2者間で行なわれてきたが、GCP(医薬品の臨床試験実施の基準)が制定され、被験者の人権と安全性の確保、 臨床試験のデータの信頼性の確保など、適正な臨床試験、すなわち、臨床試験が、「倫理的」な配慮のもとに、「科学的」に実施されることが要求されるようになった。
これらは煩雑な業務であり、これを円滑に進める為にCRC,SMO、CROなど、治験に関連した第三機関が必要とされるようになった。
これら第三機関等を順次、次項で説明する。
2005.11.15 配信
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臨床倫理 その2
・医師と患者のコミュニケーションは、真実に基づいた物でなければならない。真実を告げなかったり、ウソを言ったりしてはならない。
・真実を告げることが残酷であってはならない。患者の自律性と感受性を尊重し、思いやりのあるやさしい症状説明を心がける。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2005.11.08 配信
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臨床倫理 その1
・臨床上の決定で、医師が考慮すべき4つのポイントは、医学的適応・患者の意向・QOL・周囲の状況(臨床倫理の実践的アプローチ)。
・治療やケアによって患者が得る利益は、これらによって生じる苦痛や不利益を上回るものでなければならない。(医療倫理の原則)

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2005.11.01 配信
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猫に小判。猫に飴は?
味覚は舌の味蕾に存在する受容体で感じる。(→味覚、味覚 その2 甘味と苦味)この受容体はT1Rsと総称される蛋白によって形成していることがわかってきた。
このうちT1R2とT1R3のヘテロダイマーが甘味受容体を形成するようである。
最近の研究で猫にはT1R2をコードする遺伝子Tas1r2に欠失があるため、この蛋白が産生されず、甘味受容体が機能しないことが分かった。
トラやチータも同様だそうである。猫には飴は効果が無いらしい。
2005.10.25 配信
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CRF (Case Report Form)
症例報告書。ケースカード、調査票 と呼ぶこともある。治験実施機関(病院など)は治験依頼者(主に製薬メーカー)に対し各被験者に関する情報を報告することが義務づけられている。その情報を記録するための様式。印刷されたものばかりでなく、光学的若しくは電子的な記録様式も含まれるが、現在でも印刷された冊子にボールペンで記録する方法が主流である。
2005.10.18 配信
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CRO (Contract Research Organization:医薬品開発業務受託機関)
製薬会社等から治験業務の一部を受託する会社を総称してCROと呼ぶ。
医薬品開発業務のアウトソーシング企業であり、医療機関で実施される治験のモニタリング業務、回収された症例報告書のデータの電子化、データマネジメント業務、治験薬の効果を統計的に検証する統計解析業務などを行う。なお、モニタリング業務とは医療機関で適切に治験が実施されているか否かを治験実施施設を訪問あるいは電話によって調査し、確認する業務のことである。
2005.10.11 配信
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SMO (Site Management Organization:治験施設支援機関)
医療機関で実施する治験の管理あるいは業務を支援する組織。
医療機関が治験を行う際にSMOは治験に関わる医師、看護師、事務局の業務を支援することによりこれらの負担を軽減し、治験の品質・スピード向上を支援する。
2005.10.04 配信
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CRC (Clinical Research Coordinator:治験コーディネーター)
治験実施にあたり、治験責任(分担)医師の指示のもとで、インフォームドコンセントを得たり、参加者の心のケアの提供など医学的判断を伴わない業務の支援を行う専任スタッフのこと。
治験参加者と治験に関係する医師や薬剤師、臨床検査技師、治験依頼者(製薬会社)などとのパイプ役となり、治験がスムーズに進むようにサポートする役目を担っています。
2005.09.27 配信
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治験の円滑化
治験は従来製薬メーカーが医療機関に依頼し、主にこの2者間で行なわれてきたが、GCP(医薬品の臨床試験実施の基準)が制定され、被験者の人権と安全性の確保、臨床試験のデータの信頼性の確保など、適正な臨床試験、すなわち、臨床試験が、「倫理的」な配慮のもとに、「科学的」に実施されることが要求されるようになった。
これらは煩雑な業務であり、これを円滑に進める為にCRC,SMO、CROなど、治験に関連した第三機関が必要とされるようになった。
これら第三機関等を順次、次項で説明する。
2005.09.20 配信
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ICH
(International Conference on Harmonization of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use)
日本語では、「日米EU医薬品規制整合化国際会議」「日米EU医薬品ハーモナイゼーション国際会議」などと訳されるが、統一訳は無いようである。
新薬の承認に際して要求される資料を国際的に共通化(調和:Harmonization)することによって、医薬品開発の迅速化・効率化を目指す会議のこと。
実際には世界の医薬品事業30兆円のうち80〜85%を供給し、消費する日・米・EUの3極間で品質・安全性・有効性についてのハーモナイゼーションが行われる。
2005.09.13 配信
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治験 (Clinical Trial)
「治療試験」の略称。薬が世に出るために必須な試験のひとつです。
人を使った試験を一般に「臨床試験」といいますが、国から新しい薬(新薬)としての認可を受けるための臨床試験を特に「治験」といいます。
実際に病気にかかっている人や健全な人の協力のもと、新薬の有効性(効果)・安全性(副作用)を確認する目的の試験です。
治験の分野ではIRB(治験審査委員会:治験参加者の「人権」と「安全性」に問題ないかどうかを審査する組織)、GCP(医薬品の臨床試験実施の基準)などローマ字の略語が多く使われています。→臨床試験、IRB、GCP
2005.09.06 配信
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インフリキシマブの治療費
インフリキシマブは保険適応であるが、その薬価は1バイアル 113,190円。
通常使用量は2バイアルなので、一回投与で223,380円。
投与方法は初回、2週間目、6週間目に点滴し、以後は8週間ごとに点滴するため、初めの1年間は8回の点滴をすることになり、 1987,040円/年。その他診察、血液検査、レントゲン、その他の補助治療薬を含めると、3割自己負担であっても高額な医療費が必要である。
2005.08.30 配信
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関節リウマチの新しい治療薬:インフリキシマブ (抗人TNFαモノクローナル抗体製剤)
TNF(腫瘍壊死因子)は炎症性疾患に関与する生物学的活性物質(サイトカイン)であり、関節リウマチ患者の関節では、大量のTNFαが作り出され炎症を引き起こしている。
抗TNFα抗体はTNFαにくっつき、その作用を抑えることによって炎症を鎮める。
また、TNFαをつくっている細胞そのものも破壊する。
日本では2003年7月から関節リウマチの治療薬として認可された。
MTX内服と併用して初回、2週間目、6週間目に点滴し、以後は8週間ごとに点滴する。
一回の点滴で8〜12週間ほど効果は持続する。副作用には、アレルギー反応(マウスの抗体を一部使用しているため)、感染症(肺炎、結核)がある。
2005.08.23 配信
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関節リウマチの治療薬:MTX
葉酸代謝拮抗薬であり、白血病の治療薬として開発された。血液腫瘍/絨毛腫瘍には高容量短期投与、筋炎に中等量以下、関節リウマチに少量長期投与の有効性が確立しており、日本では1999年に関節リウマチの治療薬として認可された。
他の抗リウマチ薬(DMARDs)と比べ、効果発現の早さ、有効確立、効果持続期間の長さにおいて最も優れているため、米国では関節リウマチの第一選択治療薬として使用されている。 投与方法は週1日、2.5mgの錠剤を朝1錠夕1錠内服(7.5mg/週の場合はその翌日の朝に1錠内服)。
副作用には口内炎、悪心の他、肝線維化、骨髄抑制(葉酸の枯渇による)、催奇形性、不妊症などがある。
2005.08.16 配信
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抗リウマチ薬 (disease-modifying antirheumatic drugs:DMARDs)
リウマチの原因である自己反応性Tリンパ球を制御する(免疫を是正する)薬剤であり、ヒドロキシクロロキン(日本では認可されていない)、D-ペニシラミン、金製剤、ブシラミン、スルファサラジン、アザチオプリン、メソトレキセートなどがある。
その特徴として、効果発現までに1〜6ヶ月かかる(製剤により異なる)、製剤によって有効確立がかなり異なる、ある患者に効くが他の患者に効かないということがある、初め有効でも数年で効かなくなる(escape現象)、が挙げられる。
2005.08.09 配信
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関節リウマチの薬物療法
関節リウマチの治療には、薬物療法、手術療法、リハビリテーション(運動療法、理学療法)がある。
薬物療法は非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)、抗リウマチ薬、副腎皮質ステロイド、免疫抑制剤などがあり、これまでは副作用が少なくて効果がマイルドな薬(NSAIDs)から開始して、無効であれば薬剤を変更か追加し、次第に強い薬(免疫抑制剤)に切り替えていく、というのが主流であった。
しかし、それでは生活において一番QOLを損なう関節破壊が防げないとわかり、最近では早期から抗リウマチ薬を用いてRAの根源である免疫異常を是正する療法も積極的に取り入れられている。
2005.08.02 配信
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関節リウマチ rheumatoid arthritis(RA) (その3)
ARA(American Rheumatism Association)のRA診断基準(1987年改定)
1 朝のこわばり:最大の改善をみるまでに1時間以上かかる
2 同時に3領域以上の関節炎:手指PIP関節、手指MCP関節、手首、ひじ、膝、足、MTP(中足趾節間関節)の計14関節
3 手、PIP、MCOの少なくとも1領域の関節炎
4 対象性の関節炎;2領域で定義した領域において
5 リウマトイド結節
6 血清リウマトイド因子陽性
7 X線上、手/指関節の骨びらん、近傍の骨萎縮

1から4は6週間以上持続し、関節炎とは腫脹または液貯留があるものをいう
7項目中、4項目以上満たすものをRAと診断する
2005.07.26 配信
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関節リウマチ rheumatoid arthritis(RA) (その2)
自己反応性Tリンパ球が活性化して滑膜(関節を覆う膜)組織内に集まり、滑膜細胞を刺激して滑膜に炎症が起こるのが主な病態である。慢性的な関節の炎症が関節破壊をもたらし、その結果、関節の変形・強直が現れてくる。一旦破壊された関節は、治療によって修復することは難しい。
2005.07.19 配信
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関節リウマチ rheumatoid arthritis(RA) (その1)
これまで日本では、rheumatoid arthritis(RA)を「慢性関節リウマチ」と翻訳して使用してきた。
最近、病態解明が進みそれに伴う治療体系が変化してきており、早期発見・早期治療が重要視される今日では、「慢性」という用語はふさわしくない、また、RAがすべて慢性の経過を辿るわけではない、という理由から、平成14年4月の日本リウマチ学会において「慢性関節リウマチ」から「関節リウマチ」に用語の変更がなされた。
2005.07.12 配信
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外科各論 日本人 その5
1年間のゴミ4.5億トンは、産業廃棄物4億トン・一般廃棄物5千万トン。
食糧の25%が残飯になり4千万トン。1人1日当たり10kgのゴミを出し、360リットルの水を使用。廃車は年間500万台。
書籍の出版15億冊、雑誌数十億に対して、書籍の返品40%、雑誌30%。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2005.07.05 配信
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外科各論 日本人 その4
検査による被爆量は世界一であるが、鎮痛のための麻薬使用量は、諸外国に比べて少ない。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2005.06.28 配信
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外科各論 日本人 その3
日本は世界の医療機器の17%、医薬品の21%、血液製剤の35%を消費。
国民一人当たりのCT台数は、米国の3倍、英国の10倍。
紙の使用で世界の木材の20%を消費。食料自給率42%は先進国で最低。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2005.06.21 配信
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外科各論 日本人 その2
医師は25万人、看護師は95万人。
病院9千、医院9万。
医師は大学に4万人、大学以外の病院に10万人、診療所などに10万人。
理容師も25万人。
警察官・自衛隊員・ストマ患者もほぼ同数。血液透析患者20万人。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2005.06.14 配信
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外科各論 日本人 その1
国民医療費の30兆円は、国民所得の7%、一人当たり24万円。
毎年1兆円ずつ増加し、国鉄の負債や、1年間の自動車販売より多く、パチンコの売り上げに匹敵。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2005.06.07 配信
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外科総論 腸閉塞
腸閉塞の3大原因は、(1)癒着性イレウス(開腹歴有り)、(2)ヘルニア(そけい部を見れば一目瞭然)、(3)大腸癌。痛みが強く、限局性で持続し、叩打痛や圧痛があり、不穏や発熱や頻脈を伴う場合は、絞扼性イレウスや腸重積などの腸管虚血を考える。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2005.5.31 配信
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外科総論 急性腹症
・創の洗浄には、生理食塩水が最も有効である。消毒薬や抗菌剤はダメ。
・創傷治癒を妨げる全身因子には、低栄養・糖尿病・肥満・敗血症・貧血・尿毒症・ステロイド・抗がん剤があり、局所因子には、虚血・緊張・圧迫・異物・感染・出血・浮腫がある。しかし、手術の操作や手技が最も重要。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2005.05.24 配信
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外科総論 消化管出血 その2
・創の洗浄には、生理食塩水が最も有効である。消毒薬や抗菌剤はダメ。
・創傷治癒を妨げる全身因子には、低栄養・糖尿病・肥満・敗血症・貧血・尿毒症・ステロイド・抗がん剤があり、局所因子には、虚血・緊張・圧迫・異物・感染・出血・浮腫がある。しかし、手術の操作や手技が最も重要。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2005.05.17 配信
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外科総論 消化管出血 その1
まず静脈路の確保と輸液、出血量の推定(脈拍数÷収縮期血圧)、輸血の準備。出血直後のHt値は無意味。
吐血の場合は、生理食塩水で胃洗浄してから、緊急で胃内視鏡を行う。潰瘍出血は、エタノール注入やクリップで止血を試みる。輸血するくらいなら手術が安全かも。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2005.05.10 配信
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外科総論 消化性潰瘍 その2
穿孔では緊急手術。十二指腸潰瘍は、狭窄がなければ縫合閉鎖や大網充填。胃潰瘍は、縫合閉鎖か胃切除。胃癌穿孔に注意。空腹時の穿孔で、全身症状が良く、軽度の腹痛と限局した圧痛なら、安静と絶飲食で経過観察。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2005.04.26 配信
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外科総論 消化性潰瘍 その1
潰瘍の症状は食事に関連した心窩部痛、十二指腸潰瘍は空腹時や夜間の痛み。日本人には胃潰瘍が多い。合併症は出血20%、穿孔10%、狭窄5%。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2005.04.19 配信
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外科総論 外科感染症
・情報的ドレーンは、挿入したときに抜去する条件と時期が決まっている。治療的ドレーンは、廃液が減少したら少しずつ、もしくは一気に抜く。
・ドレーンにも合併症がある。今日抜けるものを明日まで留置しない。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2005.04.12 配信
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外科総論 ドレーン
・情報的ドレーンは、挿入したときに抜去する条件と時期が決まっている。治療的ドレーンは、廃液が減少したら少しずつ、もしくは一気に抜く。
・ドレーンにも合併症がある。今日抜けるものを明日まで留置しない。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2005.04.05 配信
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外科総論 創傷治癒
・創の洗浄には、生理食塩水が最も有効である。消毒薬や抗菌剤はダメ。
・創傷治癒を妨げる全身因子には、低栄養・糖尿病・肥満・敗血症・貧血・尿毒症・ステロイド・抗がん剤があり、局所因子には、虚血・緊張・圧迫・異物・感染・出血・浮腫がある。しかし、手術の操作や手技が最も重要。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2005.03.29 配信
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インパクトファクターと研究者の評価
インパクトファクターは、科学界における雑誌の重要度を示す指標である。
その学術雑誌に掲載された1論文あたりの引用の平均回数を算出したもので、批判も多いが、それなりの価値が認められている。
研究者の研究活動(業績)を正当に評価するのは難しいが、しばしば日本の巷にあふれている基準は、過去に書き上げた論文の質と量である。
論文の量の判断は簡単であるが、質の判断は難しいので、インパクトファクター○○の雑誌に掲載された論文、という数字が代用される。
具体的には、インパクトファクター2.0の雑誌に掲載された論文を3つ持っていれば、その研究者のインパクトファクターは、6.0とも表される。
これは研究者の研究活動(業績)の評価を、雑誌のインパクトファクターを使って表すという滑稽な話である。
2005.03.22 配信
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インパクトファクター
学術雑誌を評価する数字の1つ。
学術雑誌を正当に評価するのは困難であるが、科学情報研究所(Institute for Scientific Information Inc.) が毎年、インパクトファクターとして発表している。
これは、いわば学術雑誌ランク付けの数字であるが、算出根拠は、その雑誌に掲載されている論文が引用された回数である。
この考えの基本にあるのは、論文が優秀であれば、他の論文に数多く引用されるであろう、そのような論文を掲載している雑誌は優れている、ということである。
Cell,、Natureなどはインパクトファクターが高い雑誌として有名である。
一般に他の学問分野との重なりが多い生化学、分子生物学、免疫学の分野の雑誌や総説雑誌のインパクトファクターは、高くなる傾向がある。
2005.03.15 配信
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外科総論 くすり その2
よいくすりはいつまでも残る。新しいくすりには注意が必要。承認を取り消された薬品もある(抗癌免疫賦活剤・脳循環代謝改善薬)。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2005.03.08 配信
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外科総論 くすり その1
くすりの効果は30%がプラシボー効果。本人によく説明して処方する。クスリはリスク。副作用に注意し、必要なものを必要な期間だけ処方する。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2005.03.01 配信
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外科総論 検査 その2
胃内視鏡で肉眼的に診断できないものは病変ではない。診断力のない医師が、「とりあえず生検」をする。生検するなら、最初が大切。1個で決める。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2005.02.22 配信
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外科総論 検査 その1
超音波以外の検査は、すべて侵襲である。採血1本でも、医者の興味本位や自己満足でやってはいけない。必要な患者に必要な検査だけ行う。
「医師は、気休めにレントゲンを撮るな」は、1983年のWHO勧告。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2005.02.15 配信
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外科総論 鑑別診断
・「推論は自己を守りたがり、期待に導かれ、他社に同調しやすい。結局、自分に都合の良い推論になる。」自分で決め付けず、他人の意見に耳を傾けよう。
・「説明は容易に説得に変化し、そこから強制までは決して遠くない」。手術を勧めるときは慎重に。手術を受けないという選択もある。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2005.02.08 配信
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外科総論 腹部の診察
・腹部の触診はまず、「お腹をさわらせてください」と言ってから始めよう。ベッドに腰かけ、表情を見ながら、痛くないところから触れていく。
・腹膜刺激徴候を見るには、叩打痛percussion tender や咳徴候cough signが有用。本人に痛いところを示させるのも参考になる。圧痛や反跳圧痛は最後にみる。
・筋性防御は、そっと抑えたときの腹直筋の不隋意的な反射であり、腹壁抵抗は、さらに深くまで押さえたときの腹直筋の強い収縮である。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2005.02.01 配信
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外科総論 全身の診察 その2
・3rd スペースは組織の浮腫・腹水・腸内容など、機能しない細胞外液の貯留である。このような状態での水分制限・ナトリウム制限・強制利尿は危険。
・予後をみる栄養指標(PNI)は、(アルブミン値×10)+(リンパ球数÷200)。
45以上は良好、40〜45はまあまあ、40以下は不良。術前の評価に有用。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2005.01.25 配信
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外科総論 全身の診察 その1
・循環血流量不足は、頻脈・起立性低血圧・ショックの順に出現する。
頚静脈虚脱や舌縦溝の増強に現われ、中心静脈圧と肺動脈楔入圧に反映される。急性出血量=脈拍数÷収縮期血圧・ナトリウム過剰の徴候は、浮腫・体重増加・うっ血性心不全。衰弱した患者の低ナトリウム血症は、ナトリウム過剰があっても水分過剰の状態なので注意。

(安達洋祐著「外科研修の常識チェック」(金原出版)より)
2005.01.18 配信
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口対口人工呼吸法 その2
口対口人工呼吸法で吹き込む呼気の最適な量は、抵抗なく上胸部が軽く膨らみ、胃が膨満しない程度である。具体的な数値として「成人で10ml/kg(700〜1000ml)を2秒以上かけて」と勧告されている。
この数値は1992年の救急心血管治療ガイドラインと比べ低めに設定されているが、胃膨満の予防と酸素飽和度の維持をともに満たすためという意図が組み込まれたからである。
2005.01.11 配信
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口対口人工呼吸法 その1
大気中の酸素は約21%で、後は窒素がそのほとんどを占める。吸入された酸素のうち、体内に取り入れられるのはおよそ4分の1であるので、呼気中に含まれる酸素の量は16から18%になり、それに約5%の二酸化炭素と水蒸気が加わる。よって、傷病者へ吹き込まれた呼気で十分、生命維持に必要な酸素量をまかなうことができる。
2005.01.04 配信
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気道確保
意識障害や呼吸停止、心停止を生じた患者が、あなたの目の前に居たしよう。あなたは何をすべきか?
緊急にすべきことは救命救急の訓練で習うが、その重要項目のひとつは、気道確保である。
すなわち、上記の患者の場合、顎の筋肉は緊張を失った状態になり、舌根沈下を生じ気道は閉塞され、呼吸が出来なくなる。
気道確保、具体的には以下の如くである。
頭頸部の損傷がなければ、口腔内の異物の有無を確認して頭部後屈ーあご先挙上法により、気道を確保する。
もし頭頸部損傷の疑いがあれば、頭部後屈はせずに下顎挙上法で気道を確保する。
気道の確保が正確になされなければ、呼吸の有無の評価はもちろんできない。また呼吸停止の場合には、次の段階である有効な人工呼吸を行うことができない。
2004.12.28 配信
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自動体外式除細動器 (AED:automated external defibrillator)
心臓突然死のうち、虚血性心疾患による致死性不整脈(心室細動、無脈性心室頻拍)の占める割合は相当高いと考えられている。こういった疾患での不整脈除去の目的で用いられるのが除細動器である。
除細動までの時間は正常なリズムへの復帰の成功率に大きく影響し、一分遅れるごとに成功率は7〜10%減少する。そのため、公共の場へのAEDの設置が急速に進められてきた。
このAEDは、救命の現場に居合わせた一般市民が簡便にかつ安全に使用できるよう作られており、対象者に電極を貼付すれば機器が自動的に心電図波形を解析し、電気的除細動が必要かどうか判断して音声で知らせてくれる。そして、必要な場合に限り使用者がボタンを押すことで通電が可能になっている。
2004.12.21 配信
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味覚 その4:味覚の受容体
味は食物中に含まれる化学物質を味蕾にある味細胞で感知する。味細胞の細胞膜には味覚受容体というたんぱく質が存在する。受容体への作用により発生した情報は味神経を介し中枢に到達し、最終的に大脳の味覚野で味として認識される。
甘味(糖類・甘味蛋白質など)、旨味(各種L-アミノ酸など)の受容体は、G蛋白質共役型7回膜貫通型受容体であり、塩味(NaClなどの塩類)や酸味(H+イオン)はイオンチャネルが受容体となっている。
2004.12.14 配信
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味覚 その3:塩味と酸味
「塩味」は陸上で暮らす動物などにとっては食物から補給しなくてはならない塩分を補給するための重要な味覚系である。魚類など海に暮らす生物には存在せず、比較的新しい味覚といえる。
一方、「酸味」は陸上動物が腐った食べ物を摂取しないようにする忌避的な味覚である。すなわち「甘味」と「塩味」は必要なエネルギーをえるための味覚であり、「苦味」と「酸味」は有害物質を排除するための味覚といえる。
2004.12.07 配信
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味覚 その2:甘味と苦味
ヒトは糖を「甘味」として、アミノ酸を「旨味」として好ましく感じ(好味)、エネルギー源として摂取している。一方、「苦味」は嫌味として危険な物質を排除する味覚として機能している。魚類もヒト同様にこの好味と嫌味を持ち、進化的に保存されてきたと考えられている。ちなみに味を認知する感覚器である「味蕾」を進化的に持ち始めたのは魚類とされる。
2004.11.30 配信
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消毒
消毒とは、消毒したいものに付着している微生物の数を減らす処置法を表す専門用語である。滅菌との意味の差を厳然と区別する必要がある。
アルコール、フェノール、次亜塩素酸系化合物、ハロゲン化合物(ヨード)、などが消毒薬として用いられている。
正常の皮膚、傷口、粘膜など、消毒する場所により、消毒薬を選択する。
ヒトの体を滅菌するのは、不可能に近い。微生物も地球型生物、微生物を全部殺す滅菌の方法は、同じく地球型生物であるヒトに有害である。治りかけの傷口を過剰消毒するのは、微生物の減少という利点よりも、治癒機転を担う細胞の死滅という欠点が上回る恐れがある。
2004.11.16 配信
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滅菌 (改訂版)
滅菌とは、滅菌したいものに付着しているすべての微生物を不活性、または除去するための処置を表す専門用語である。消毒との意味の差を厳然と区別する必要がある。
滅菌はしたけど、そのものが使い物にならなくなったのでは本末転倒である。すなわち滅菌する物に合わせて、滅菌方法を選択する必要がある。
オートクレーブでは、高温高圧の蒸気により、微生物の蛋白質を凝固させる。微生物を構成する蛋白が凝固すると、蛋白が機能不全となり、その微生物は死滅する。グルタールアルデヒドによって微生物が死滅する機序は、アルデヒドによる蛋白質の凝固による。
放射線照射は、DNAを破壊することにより、微生物を死滅させる。
2004.11.09 配信
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味覚
味覚は甘味(sweet)・旨味(umami)、苦味(bitter)、塩味(salty)、酸味(sour)に分類され、それぞれ感知する化学物質とその受容体(味蕾)が異なっていると考えられている。
なお、日常的に味覚の一部と考えられがちな辛味や渋み、えぐ味などは味覚ではなく、体制感覚系により感知される。
2004.11.02 配信
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嗅覚
人間は1万種ものにおいをかぎ分けられると考えられているが、これにはにおいの元となる化学物質を認識するセンサー(受容体・嗅細胞)が受け皿として働いている。
このセンサーは人間では約350種類(ラットでは1000種類)しかないが、1種類のにおいの分子を複数の受容体の組み合わせとして認識することにより、膨大な種類のにおいをかぎ分けていると考えられる。
この受容体の遺伝子を突き止め、嗅覚システムを解明した二人の科学者が2004年のノーベル生理学賞に輝いた。
2004.10.26 配信
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シンドロームX
耐糖尿異常、高インスリン血症、高VLDL-C血症、低HDL血症、高血圧症は動脈硬化を促進する因子であり、これらは集積しやすく、シンドロームXと呼ばれている。その根本にはインスリン抵抗性がある。
心筋梗塞の発症率は糖尿病で約2倍、高血圧症で約2倍だが、糖尿病と高血圧症が併存すると約8倍になる。
2004.10.19 配信
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死のカルテット
互いに合併しやすく、合併することで加速度的にリスクが何倍にもなる4つの疾患のことで、高脂血症、糖尿病、高血圧症、内臓脂肪型肥満の4つを指す。
症状のないまま病状が進行し、心疾患や脳血管障害を引き起こすため、高血圧症、糖尿病、高脂血症はサイレントキラーとも呼ばれている。
2004.10.12 配信
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生活習慣病
「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」。数年前までは成人病と呼ばれていたが、最近はこの呼び名がすっかり定着した。
幼少時からの生活習慣の積み重ねと遺伝的素因、環境因子が重なり合って起こってくるため、幼少時から健康を維持するような生活習慣を身につけておくことが必要であるという意味も含んでいる。 糖尿病、高血圧症、高脂血症、高尿酸血症のほか、動脈硬化による循環器疾患(狭心症、心筋梗塞)、脳血管障害、悪性腫瘍(大腸癌、肺癌)、慢性気管支炎、肺気腫、アルコール性肝障害、歯周病なども生活習慣病に入る。
2004.10.05 配信
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持効型インスリン
インスリン基礎分泌の補充には、これまで中間型(NPH)や持続型(ウルトラレンテ)が使用されてきたが、これらの製剤は皮下注後の血中濃度にピークが生じることが難点であった。就寝前に中間型インスリンを皮下注射する場合、早朝の糖新生を抑え空腹時血糖が低下する量を投与すると、深夜就寝中に低血糖を起こす危険があるのだ。
しかし昨年末から、一日一回の投与で明らかなピークがなく、ほぼ一日にわたり作用が持続する持効型インスリン製剤(グラルギン)が日本でも発売されるようになった。
これはアミノ酸配列を変えることによりpH4の状態で溶解しているインスリンが、皮下注射により等電点沈殿を起こし、徐々に溶解・吸収されるようにしたものである。
2004.09.28 配信
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インスリン製剤
糖尿病で治療薬として使用されるインスリン製剤は、遺伝子組み換え技術によるヒトインスリン製剤である。
この技術が進歩する以前は、動物(ウシ、ブタ)膵由来のインスリンを精製し製剤化されていた。工業化された遺伝子組み換え製剤の登場によりそのほとんどは使用されなくなったので、免疫原性は減少し治療効果も改善した。
インスリン製剤は作用動態時間別に超速効型インスリン、速効型インスリン(R)、中間型(Neitral Protamin Hagedorn)インスリン(N)、混合型インスリン(RとNの混合)、持続型インスリンに分類される。
2004.09.21 配信
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糖尿病の分類
糖尿病の分類は、1997年にADA(アメリカ糖尿病学会)、1998年にWHO、1999年に日本糖尿病学会が新しい分類を発表した。
基本的な考え方は三者とも同一である。この分類では、インスリン治療の必要性に基づく分類(IDDM,NIDDM)は紛らわしいため削除された。
糖尿病とそれに関連する耐糖能低下の成因分類(日本糖尿病学会、1999)

T. 1型糖尿病(β細胞の破壊、通常は絶対的インスリン欠乏に至る):A.自己免疫性、B.特発性
U. 2型糖尿病(インスリン分泌低下を主体とするものと、インスリン抵抗性が主体でそれにインスリン の相対的不足を伴うものなどがある。)
V. その他の特定の機序、疾患によるもの: A.遺伝因子として遺伝子異常が同定されたもの B.他の疾患、条件に伴うもの
W. 妊娠糖尿病(GDM)
2004.09.14 配信
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アスピリン脳症
アスピリン特有の有害作用として、Reye症候群が知られる。すなわち、インフルエンザ、水痘などのウイルス性疾患の小児にアスピリンを使用すると肝障害をともなう重篤な脳障害を引き起こす危険性があり、小児への投与は慎重を要することが知られている。
更に因果関係は明らかではないが、小児のインフルエンザ罹患者がNSAIDのメフェナム酸、ジクロフェナクナトリウムを服用するとアスピリン脳症類似のインフルエンザ脳症を誘発する危険性が高く、このため使用が禁止された。副作用を回避したい場合、非ピリン系解熱鎮痛薬アセトアミノフェンの使用が好ましいとされる。
2004.09.07 配信
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解熱鎮痛薬
解熱鎮痛薬とは、アスピリンに匹敵する鎮痛、解熱作用を示すが、抗炎症効果は持たない一連の薬物群の総称。
これらはCOX阻害作用を持たず、作用機序は良くわかっていないが、作用的には、中枢性と考えられている。種類的には、ピリン系と非ピリン系に大別される。ピリン系解熱鎮痛薬には坐薬や注射剤として用いられるスルピリンや風邪薬等に配合されるアンチピリンやイソプロピルアンチピリンが使用される。有害作用としてピリン疹やショック、無顆粒球症などが知られる。なおアスピリン(aspirin)はピリン(pyrine)系化合物ではないことを、十分に記憶いただきたい。他にアセトアミノフェンも、非ピリン系の解熱鎮痛薬として汎用される。
2004.08.31 配信
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アスピリン喘息
アスピリン喘息の名で知られるように、アスピリンを代表とするNSAIDは喘息発作を誘発することがある。発症機序は明らかとはいえないが、
(1)COX阻害作用に基づき気管支拡張作用のあるプロスタグランジンE2が減少すること、(2)COX阻害により今一つのアラキドン酸代謝経路であるロイコトリエン系が相対的により活性化され、気管支収縮作用を有すロイコトリエン類が生成されるためと考えられている。
2004.08.24 配信
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COX
COXはシクロオキシゲナーゼの略だが、最近は略称であるCOXと呼ぶことが多い。生化学的には、プロスタグランジン(→プロスタノイド参照)合成酵素である。

種類的にはCOX-1とCOX-2の二つのアイソザイムが知られ、COX-1は構成型として胃粘膜や血小板などに恒常的に発現している。一方、COX-2は炎症反応に伴い誘導され、産生されたプロスタグランジン類により炎症反応は増強される。

従来のNSAID(→非ステロイド性抗炎症薬参照)は炎症に関与するCOX-2のみならず、COX-1も抑制するため、抗炎症作用を発揮するのみならず、消化管障害や血小板凝集抑制作用に伴う出血傾向などの副作用を示す。有害作用の軽減のためCOX-2を選択的に抑制するNSAIDの開発が期待されている。
2004.08.17 配信
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非ステロイド性抗炎症薬(NSAID) そのU
NSAIDのCOX抑制作用は抗炎症効果と良く相関し、作用発現の本体と考えられるが、生体膜安定化作用、生体高分子との相互作用など他の機構も関与していると考えられる。NSAIDは近年その抗血小板凝集抑制作用(抗血栓薬)が注目され、臨床的に心筋梗塞、脳梗塞、TIA(一過性脳虚血発作)、川崎病後の動脈瘤形成などの予防薬としての使用も増えている。
2004.08.10 配信
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非ステロイド性抗炎症薬(NSAID) そのT
NSAIDは最も繁用される抗炎症薬であり、現在50種類もの薬物が臨床使用されている。
そのほとんどはいわゆる酸性NSAIDであり、COX(cyclooxygenase)阻害活性を有する。NSAIDはアスピリン(aspirin)(→アスピリン参照)を代表とする化合物群であり、いずれの薬物も質的には同様な抗炎症・鎮痛・解熱作用を持つ。
2004.08.03 配信
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ステロイド性抗炎症薬 そのV
天然の副腎皮質ホルモンを出発として、各種合成品が開発されてきた。
それらはステロイド性抗炎症薬には副腎皮質ホルモンのヒドロコルチゾン(hydrocortisone)と、その鉱質コルチコイド様作用を減弱させたプレドニゾロン(prednisolone)、ならびに効力増強のため構造にハロゲンを導入したデキサメタゾン(dexamethasone)の3グループに分類できる。いずれの化合物も質的には同様な強力な抗炎症効果を発現する。
作用が強い反面、副作用も無視できない。
2004.07.27 配信
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ステロイド性抗炎症薬 そのU
糖質コルチコイドは、強力な抗炎症効果を持つ。 このホルモンは、リポコルチンという蛋白質の合成を促進し、この蛋白質がホスホリパーゼA2を阻害するためアラキドン酸の遊離が抑制され、その結果、プロスタグランジン、ロイコトリエン、トロンボキサンの生成が抑制されて薬理作用を発揮すると考えられる。
2004.07.20 配信
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ステロイド性抗炎症薬 そのT
ステロイド性抗炎症薬は、副腎皮質ステロイドホルモンに由来する。副腎皮質ホルモンには鉱質コルチコイド(mineral corticoid)ならびに糖質コルチコイドがある。鉱質コルチコイドは腎遠位尿細管に作用し、ナトリウムの再吸収促進による電解質バランスの保持に重要な役割を果たす。
一方、糖質コルチコイドは糖新生、抗炎症作用、免疫抑制作用を示す。従って、臨床上抗炎症作用、抗アレルギー作用、免疫抑制作用を期待して用いられるのは糖質コルチコイドである。
2004.07.13 配信
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炎症と抗炎症薬 そのV
炎症反応の抑制は必要ではあるが、炎症反応の完全な抑制は治癒に至る連続反応が完結しないことを意味し、生体にとっては逆に悪影響を与えることにもなる。この両者のバランスをいかに保つべく薬物治療を施すかが重要なポイントとなる。
いわゆる抗炎症薬は、ステロイド性抗炎症薬と非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)に大別できる。
2004.07.06 配信
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炎症と抗炎症薬 そのU
炎症反応は必要な反応だが、過度の炎症反応は組織障害の増幅、機能障害、発熱にともなう体力の消耗をはじめとした、苦痛・障害を患者に与え、必ずしも合目的な反応とはいえない。
この点に重きをおくと、原因療法の可・不可を問わず発熱・疼痛などの苦痛や障害を取り除くことが必須となる。この目的で使用される薬物が抗炎症薬である。すなわち抗炎症薬は基本的に炎症に関与するメディエーターの作用を打ち消し、あるいは減弱することにより炎症反応を抑制する。
2004.06.29 配信
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炎症と抗炎症薬 そのT
炎症反応はいずれも生体にとって必要な反応であるが、それが過度に機能するとき二次的に様々な障害を生体にもたらす。すなわち、炎症は古くから、発赤(rubor)、発熱(calor)、腫脹(tumor)、疼痛(dolor)の四大症候(あるいはこれに機能障害を加えた5症状)を示す病変と考えられてきたように、炎症にともなう症状には苦痛を伴うことが多い。
一方、この発赤・疼痛は本来炎症局所の異常を示す生体の警告反応でもある。では、この発赤・疼痛などを、むやみに抑制するのは、いかがであろうか?という疑問が生じる。
2004.06.22 配信
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炎症:第三期反応 (修復期)
炎症過程は最終的に修復過程に至り、線維芽細胞の増殖、血管新生などにより肉芽増殖がおこり治癒に向かう。以上の炎症の過程が長期にわたって進行する、あるいは常に炎症刺激が発生し、炎症が繰り返し起こっている場合、慢性炎症に移行すると考えられる。
炎症が慢性化すると一部のマクロファージは抗原提示細胞となり、遊走してきたT-リンパ球を活性化する。活性化T-リンパ球はサイトカイン(インターロイキン8など)を介し顆粒球を活性化し、遊走、貪食能を高め、またB-リンパ球に作用し、抗原特異的な抗体産生を行う。
2004.06.15 配信
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炎症:第二期反応 (白血球浸潤期)
組織への刺激・侵襲が軽度であれば血漿成分の滲出の段階で炎症は静まるが、刺激が強い場合、血漿成分由来の活性物質が遊走因子となり、まず多形核白血球が血管外に浸潤し、貪食、プロテアーゼ(protease)などの酵素放出、活性酸素産生などにより異物を排除する。
さらに単球が浸潤し、細菌・破壊された組織の貪食をおこなうと共に種々のサイトカイン(cytokine)を放出し、炎症局所にリンパ球を集積させる。
2004.06.08 配信
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炎症:第一期反応 (血管透過性亢進期)
感染にともなう細菌等の微生物由来毒素、組織障害にともなう初期炎症反応に関与するケミカルメディエーター(chemical mediator、ヒスタミンなど)が微小循環系に作用すると、血管拡張により血流は促進からやがて停滞し(鬱血状態)、発赤や局所温度の上昇(発熱)を生じる。
ついで主に細静脈系の内皮細胞間隙が拡大し、血管透過性の亢進がおき、血漿成分が血管外に滲出し浮腫が形成される。
2004.06.01 配信
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炎症 (炎症反応)
炎症とは侵害刺激(外傷、火傷、感染、免疫反応など)に始まり、血管透過性亢進、炎症性細胞浸潤、肉芽形成を経て治癒に終わる全過程をさす。古くから発赤(rubor)、発熱(calor)、主徴(tumor)、疼痛(dolor)の4症候(あるいはこれに機能障害を加えた5症状)を示す病変と考えられてきた。炎症は3つのステージに分類されている。
2004.05.25 配信
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鎮痛薬・抗炎症薬
生体防御の中心を担う炎症、生体警告系である痛みは我々の生命活動維持に必須な機構であるが、これが過剰に発現するとき、それは苦痛以外の何者でもなくなる。ここに痛みを緩和する薬物(鎮痛薬)や過度の炎症を鎮める抗炎症薬の存在意義がある。
特に身近な頭痛や歯痛から、癌をはじめとする難治性諸疾患の痛みに至るまで、過度の痛みはいたずらに患者を苦しめ、不安感、心身の抑圧感や食欲、睡眠の不足など、強度のストレスを引き起こす。痛みを取り除くことは今もなお医療の原点であり、医学の歴史は痛みとの戦いであったともいえる。
2004.05.18 配信
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生体警告反応
炎症発現時など身体にとって有害な刺激や障害が加わった場合、諸種のセンサーによって刺激を受け取り、痛みとして感じる。痛みのみならず発熱、めまい、吐き気などは生体の異常を脳に伝えるいわば生体警告系とみなすことができる。
これらの警告は脳で適切に判断され、生体を守り、恒常性を保つために必要な行動や、自律神経系の反応等が引き起こされる。痛みは生体警告系の中でも中心的役割を示している。
2004.05.11 配信
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生体防御機構(host defense mechanism) そのU
前述の生体防御機構は初期防御系と免疫系より成り立ち、前者は主に好中球、マクロファージなどの貪食細胞による未確定構造を識別対象とした病原体などの異物の処理が中心である(非特異的反応)。
一方後者は、非自己の認識(抗原決定基)に基づくリンパ球からの抗体産生を中心とした異物排除機構といえる(特異的反応)。これにより、私達は病原体の感染を防いでいる。
免疫機構が発達していない下等動物では、前者の非特異的反応が、感染防御を担う。炎症はまさにここでいう生体防御機構の過程と結果そのものであり、生物特有な、生きていくために必要な反応、あるいは生きている証拠である。
2004.04.27 配信
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生体防御機構(host defense mechanism) そのT
私達は、外気の温度などの環境の変化に順応し、体温を初めとして自己の状態を一定に保つために、自律神経や内分泌を中心に反応している。
これを恒常性の維持と呼び、生きていくために必須の生理機構である。
生体防御機構とは、この恒常性維持機構(ホメオスタシス)の1つであり、私達人間を含めた生物が外来の有害物質や病原体、自己由来の不要成分(代謝産物)を処理し、体内の恒常性や個体としての独立性を維持し続ける仕組みを指す。
2004.04.20 配信
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インスリン その3
空腹時でも生体が機能を維持するためには、一定量のブドウ糖(エネルギー)が必要である。
空腹時にブドウ糖の供給源となるのは肝臓であり、肝臓でグリコーゲン分解と糖新生が行われブドウ糖は放出されている。この糖放出をコントロールしているのが、空腹時にも持続的に分泌されいるインスリンである。
これをインスリンの基礎分泌という。そして食事摂取により血糖値が上昇すると、膵臓β細胞は速やかにインスリンを分泌する。これをインスリンの追加分泌という。
2004.04.13 配信
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インスリン その2
インスリンの生理作用には、ブドウ糖を細胞内へ取り込み血糖値を下げる作用のほかに、アミノ酸の取り込みを促進し蛋白質の合成を高める作用もある。
脂肪組織でインスリンによって取り込まれたブドウ糖は、遊離脂肪酸とともに中性脂肪の合成に使用される。さらに肝臓においてインスリンは、グリコーゲン合成・貯蔵の促進と糖新生抑制による糖放出のコントロールをしている。
2004.04.06 配信
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インスリン その1
インスリンは膵ランゲルハンス島 β 細胞で生成・分泌されるホルモンであり、 α 鎖(21個のアミノ酸からなるペプチド)と β 鎖(30個のアミノ酸からなるペプチド)からなる、分子量5808のポリペプチドである。
分泌されたインスリンは門脈から肝臓に達し、肝静脈を経て全身組織に放出され、肝臓、筋肉、脂肪組織のインスリン感受性のある細胞のインスリン受容体に結合する。
2004.03.30 配信
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パーキンソン病の治療:新しい治療法
ドパミンの補充療法として1980年代半ば頃よりドパミン産生機能を有す細胞のヒトへの移植が試みられている。副腎髄質の自己移植、交感神経節の自己移植、胎児黒質線条体の同種異系間移植が行われた。いずれも劇的な効果も報告されてはいるが、エビデンスが乏しく、安全性、倫理性等の問題点も多い。
最近ではサルの胚性幹細胞を、ドパミンを分泌する神経細胞に分化させた後、パーキンソン病の症状を示すサルの線状体に移植したところ、手のふるえや姿勢が改善したと報告された。
またドパミン産生能を有すラット腫瘍細胞のヒトへの移植も、計画されている。
さらにグリア由来神経栄養因子(GDNF)がドパミン神経に特異的な、生存と軸策伸張に作用する因子であることが明らかとなり、パーキンソン病治療への応用が模索され、臨床第1相試験での有効性も確認されている。
今後多くの被験者を対象にした二重盲検法による臨床試験が期待される。
2004.03.23 配信
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パーキンソン病の発症メカニズム
パーキンソン病の発症メカニズムはいまだ解明されていないが、有力な仮説はMPTP蓄積説である。
麻薬を不法に合成した研究者がパーキンソン病様症状を示したことから注目されたもので、発症原因は麻薬そのものではなく、不純物として含まれた微量のMPTPが体内に吸収されたことによるものであった。
MPTPは血液脳関門を通過し、モノアミンオキシダーゼ(MAO)Bにより代謝され、ラジカルとなりドパミン作動性神経を傷害すると考えられる。MPTPそのものあるいはその類似物質が内因性に合成され蓄積する、あるいは食餌とともに外因性に取り込まれるなどメカニズムが提唱されている。
2004.03.16 配信
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パーキンソン病の治療:L-ドーパ
パーキンソン病は、神経終末から放出されるドパミン量の低下に基づいて症状を発現することから、ドパミンの補充やドパミン受容体アゴニストの投与が基本的な治療となる。
ドパミンの補充療法の場合、ドパミンそのものは血液脳関門(BBB)を通過しないため、その前駆物質であるドーパ(L-ドーパ・レボドパ)を投与する。
消化管から吸収されたL-ドーパは中枢に移行し、ドーパ脱炭酸酵素(DDC)によりドパミンに代謝され作用発現する。この際、カルビドーパなどのDDC阻害剤を併用することが多い。カルビドーパはBBBを通過しないため、中枢でのL-ドーパの代謝には影響しないが、末梢に分布したL-ドーパのドパミンへの代謝を防ぎ、ドパミンの末梢作用に伴う有害作用発現が軽減できる。
さらに、末梢でのL-ドーパ濃度が高まり、BBBを通過するL-ドーパ量を増加させることで作用持続時間の延長、投与量の減少(4〜5分の1)が期待できる。ドーパ・カルビドーパの合剤(1錠中に両者が含まれる)も市販されている。
なお、パーキンソン病の進行に伴い、ドパミン神経内のDDC活性をも障害を受けると効果は減弱する。
また、薬剤性ならびに神経後膜にも障害が及ぶ中枢変性疾患に随伴するパーキンソニズムには、L-ドーパやドパミン受容体アゴニストの効果は乏しい。
2004.03.09 配信
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パーキンソン病の頻度
パーキンソン病の発現頻度は非常に高く、有病率(人口10万人に対する病人の数)は欧米で100〜150人程度、日本では100人程度と報告されている。しかしながら有病率は対象の全人口に対する計算結果であり、パーキンソン病が40歳以前の発症が極めて稀であることを考慮すると、高齢者におけるパーキンソン病の発現頻度は極めて高いことになる。高齢化社会である日本ではますますパーキンソン病の患者数が増えると予想されている。
2004.03.02 配信
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パーキンソン病とパーキンソニズム
パーキンソン病の臨床症状としては、振戦、筋固縮、無動、に加え、姿勢反射障害の4主徴(→パーキンソン病)が挙げられる。これらの運動症状を示す場合、総称してパーキンソン症状と呼ぶ。
パーキンソン症状が出現するさまざまな疾患は原因のいかんを問わずパーキンソンニズム(パーキンソン症候群)と呼ぶが、パーキンソニズムイコールパーキンソン病ではない。例えば、統合失調症の治療薬であるハロペリドール(ドパミン受容体拮抗薬)は、黒室-線条体におけるドパミン受容体を介した情報伝達をも抑制し、結果としてパーキンソン症状を発現する(二次性パーキンソニズム)。
2004.02.24 配信
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パーキンソン病とは
パーキンソン病とは、振戦(安静時振戦),筋固縮(歯車様固縮),無動症(動作緩慢),姿勢・歩行障害(前傾前屈姿勢,小きざみ歩行,すくみ足)などの運動症状を4大徴候とする神経疾患である。疾患名はイギリスのジェイムズ・パーキンソン医師に由来する。
主に中年以降に発症する。
病理的には、中脳の黒質から線条体に伸びるドパミン作動性神経が何らかの原因により傷害され、その結果神経終末からのドパミン放出減少に伴い、いわゆるパーキンソン症状が発現していると考えられる。
治療としては、シナプス後膜のドパミン受容体は障害を受けていないため、ドパミンの補充療法やドパミン受容体作動薬による対症療法が主に行われる。
2004.02.17 配信
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糖尿病 その3
糖尿病は成因と病態から4つに分類される:(I)1型、(II)2型、(III)その他の特定の機序、疾患によるもの、(IV)妊娠糖尿病。
腎には糖域値があり、血糖値が160〜180mg/dl以上になると、尿に糖が出現する。
このため、空腹時や糖尿病初期では、スクリーニングで行われる検尿試験紙で判別できない場合がある。
2004.02.10 配信
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糖尿病 その2
糖尿病らしき病状の最古の記録は紀元前古代エジプトにまでさかのぼる。2世紀頃ギリシャ人医師アレタウスは、糖尿病の患者からとめどもなく尿が流れ出るのをみて、サイフォンを連想した(diabetesはギリシャ語でサイホンの意味)。
その後インドやイギリスで尿が甘いことが発見され(なめた!)、diabetes mellitus(はちみつ)と言われるようになった。日本では平安時代の藤原道長がその伝記(御堂関白日記)から糖尿病であったと推測される。
日本における糖尿病患者は、2002年厚生労働省の報告によると690万人(糖尿病予備軍を含めると1620万人:20歳以上で6人に1人)であり、全世界の糖尿病人口は1億3500万人にまで及ぶ。
2004.02.03 配信
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糖尿病 その1
糖尿病は、慢性の高血糖の結果、全身の臓器に障害を生じる症候群である。
生物は物を食べて消化・吸収することで生きていくためのエネルギーを得ているが、取り入れたエネルギー(ブドウ糖)を処理できずあふれている事態、つまり高血糖状態が長期にわたると、血管や神経を障害し全身にあらゆる弊害を生じてくる。
高血糖をきたす原因には、インスリン分泌が絶対的または相対的に不足している場合と、インスリンは分泌されているが、作用が不足している場合とがある。
糖尿病の高血糖状態における症状は、浸透圧利尿で生じる多尿、脱水・高浸透圧血症で生じる口渇、多飲である。
2004.01.27 配信
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あかちゃんの能力 そのB−味覚
新生児に糖液や母乳を与えると吸啜回数・強さが増大するが、食塩溶液だと減弱し、味覚を識別する能力を持っている。
酒石酸溶液と食塩溶液を使った実験によると、新生児は成人の識別濃度の1/2であり、成人の2倍の識別能力をもっており、また成人と同様個人差もあるらしい。
この味覚反応は生後3〜5ヶ月頃に減弱するが、この時期は離乳準備や離乳前期に相当すると共に、原始反射が減弱してくる時期と一致している。この時期は味覚の閾値が低く、いろいろな味を体験・記憶することによって、それに応じたその子本来の味覚が形成されていく。
したがって健全な味覚を育てる上で離乳期の食事は非常に大切である。
2004.01.20 配信
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あかちゃんの能力 そのA−聴覚
新生児の鼓膜・耳小骨・内耳は成人と同じ大きさに発育している。
聴覚路線維は、生下時までに下部脳幹までは十分に髄鞘化しているが、下丘から内側膝状体にかけては髄鞘化していない。聴放線の髄鞘化は4歳頃完了するが、皮質間線維は思春期まで発達を続ける。
先天性、両側性難聴は言語発達に重大な影響を及ぼす。
難聴の改善が望めない場合でも残っている聴覚を活用して言語訓練を施す事が重要であり、その効果をあげるのは遅くとも生後6ヶ月までに難聴を発見することが必要である。最近は日本でも非侵襲的で短時間で行うことができ、かつ信頼性も高い新生児用聴覚スクリーニング(AABRやOAE)が行えるようになっている。
2004.01.13 配信
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あかちゃんの能力 その@−視覚
あかちゃんの視力検査は困難であるが、様々な検査を用いて評価されており、新生児で0.03,6ヶ月で0.2,3歳でほとんどの児が1.0以上の視力を獲得するといわれている。
視野についても6ヶ月頃には成人レベルに達する。色の区別は新生児期は赤・白のみだが,4ヶ月には成人に近い色彩感覚を持っているらしい。生後4ヶ月頃から眼球の共同運動が確立することにより立体視能は芽生え、5ヶ月までに急速に発達し、2歳ころ完成する。
斜視などによる弱視を予防するには、それ以前の矯正が必要である。視力と視覚認知力とは別物であり、より高次な視機能が実際評価可能となるのは就学前頃である。
2004.01.06 配信
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自閉性障害(Autistic disorder) 自閉症(autism) (下)
自閉性障害の有病率は1万人あたり13-16人と推定されており,男児に多い。
知能レベルは多彩であり、知能正常の高機能自閉症から、重度の知的障害を伴う例まである。
自閉性障害は症候群であり、その病因も多様で脆弱X症候群をはじめとする染色体異常、先天奇形症候群、結節性硬化症、先天性サイトメガロ感染症、早産低出生体重児などでも発症しうる。また、家系分析などから遺伝的要因が強いと考えられる。病態としてセロトニンなどモノアミン系の代謝に異常があるとの報告が多いが、詳しい病態は不明。
根本的治療はなく、患者の状態や年齢により多様な対応が必要である。
問題行動がひどい場合抗精神薬や選択的セロトニン再取り込み阻害薬であるSSRIなどが使われうる。
2003.12.23 配信
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自閉性障害(Autistic disorder) 自閉症(autism) (上)
小児精神障害の広汎性発達障害の中の1つに分類される症候群である。
米国精神医学会の診断基準(DSM-W)では、
@対人的相互反応の障害
A言語発達障害および B常同性などの症状が3歳以前に始まるとされる。
@として,他者の存在や感情に気づかない,交代可能な存在として他人を扱うことが挙げられ,乳幼児期には母親への後追いをしない,指さしをしない,物まねをしない,視線があわないなどが典型的。
Aとして言葉の遅れのほか,独特な様式の会話(奇妙な口調,音量,声の調子),反響言語(オウム返し),代名詞の反転などがある。例えば「ただいま」と「おかえり」の使い方がわからないなど。
Bとして僅かな環境変化に対する抵抗や拒否,儀式的・強迫的行動,常同的運動などがあげられ,具体的には同じ道しか通らない,突然の外出や予定変更に対しパニックを起こすなど。
以前は用語だけが先走りして,場合によっては登校拒否と混同しているようなこともあったが,最近は徐々に正しい知識が普及しつつあるように思われる。
2003.12.16 配信
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学習障害 (learning disabilities:LD)
LDは米国において1960年代に,それまでの「微細脳機能障害(MBD)」「読字障害(dyslexia)」を中心に統一してつくられ,米国精神医学会の診断基準(DSM-W)では,読字障害,算数障害,書字表出障害,特定不能の学習障害をLDとしている。発生率は西欧諸国で約3-6%,男女比は4:1-7:1で男児に多い。原因は中枢神経系の何らかの機能障害であることが想定されている。例えば読字障害では語韻の処理障害,視覚視空間認知障害,意味理解の困難など種々の障害経路があり,同じ診断名でも障害が生じている経路は一様ではない。治療はまず環境調整,これのみで困難な場合は医学的な状態に応じて薬物療法の併用を試みる。
2003.12.09 配信
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注意欠陥多動障害 (attention deficit hyperactivity disorder:ADHD) (下)
頻度は3-6%程度(前思春期)で,男児に多い(女児の3-4倍)。病因としては周産期障害,低出生体重,アルコール・たばこなどの外因物質などの他に,家系分析や双生児の研究から遺伝性の要因が重視されている。治療はメチルフェニデートを中心とした中枢神経刺激薬や抗うつ薬による薬物療法と行動療法。患児は小児期に行動上の問題からさまざまな誤解を受けやすく,自己評価の低下を招くとともに二次的な心の傷も伴い続発的な障害もおこすことがあるので,正確な診断と計画的な治療の継続が重要である。また最近は大人のADHDも話題となっている。
2003.12.02 配信
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注意欠陥多動障害 (attention deficit hyperactivity disorder:ADHD) (上)
行動により規定される発達障害で,不注意型,多動性・衝動性型,混合型に分類される。注意障害としてケアレスミス,注意の持続困難,注意散漫,物忘れなどが,多動性として動き回る,落ち着きのなさ,衝動性として順番が待てない,邪魔をするなどがみられる。診断には症状の6ヶ月以上の持続,7歳以前に発症,2つ以上の状況(例えば学校と家庭)で認められること,社会的不適応が存在することが必要である。
ここ数年ADHDという用語が汎用化され,一般向けの書物も多く出版されてきている。エジソンやアインシュタインがADHDであったとする話は有名。
2003.11.25 配信
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乳幼児突然死症候(sudden Infant death syndrome):SIDS(シズ)
それまでの健康状態および既往歴からその死亡が予測できず、しかも死亡状況および剖検によってもその原因が不詳である,乳幼児に突然の死をもたらした症候群と定義される。睡眠時の無呼吸から回復する覚醒反応arousal responsseの低下が基本病態と考えられている。日本における乳児死亡の約1/6を占め,特に6ヶ月以下の児に多い。危険因子として(1)うつぶせ寝(2)人工乳保育(3)保護者などの習慣的喫煙が知られているが,その他厚着による暖めすぎも挙げられている。SIDSで子どもを失った家族へのサポートは非常に重要であり,世界各国にSIDS家族の会が結成されている。
2003.11.11 配信
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脳室周囲白質軟化症 (periventricular leukomalacia:PVL)
低出生体重児の側脳室周囲白質部に起こる虚血性病変。在胎32週以下の児では脳室周囲白質は脳表からの動脈と脳室側からの動脈の灌流境界領域に一致し虚血に陥りやすいこと,脳血流自動調節能が未熟であること,大脳白質が脆弱であることなどが原因として挙げられる。PVLの病変部は錐体路にあたるため脳性麻痺(CP)の原因となる。新生児医療の進歩により成熟児のCPが減少しており,最近ではCPの患児の50%以上が低出生体重児であり,Intact survaivalを目指す上でPVLの予防は最も重要なファクターである。
2003.11.04 配信
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超低出生体重児 (extremely low-birth weight Infant)
出生体重1000g未満の新生児のこと。その80%以上が在胎期間が28週未満の児(超早産児)である。最近しばしばテレビのドキュメント番組で取り上げられているように、日本の未熟児新生児医療のめざましい進歩により年間約3000人の出生のうち約80%が生存可能となっている。しかし残念ながら様々な後遺症を残すことも少なく、正常発達児は6-7割である。また学齢期の問題として認知行動面での異常が表出してくることも指摘されている。今日の新生児医療の課題は救命した児を障害なき生育にいかに導くかであり,また長期にわたる医療・福祉・教育面での支援体制の確立が必要である。
2003.10.28 配信
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病理診断 (4)手術中の迅速診断
病変が体の深い部分にあるなどの理由で手術前に種々の臨床検査や生検を行っても手術に必要な情報がえられなかった場合、術中迅速診断を行う。すなわち手術によってとりだされた臓器・組織の切除断端部のがんの有無、がんのリンパ節転移の有無などを調べて手術で切除する範囲を決めたりするときに、術中の迅速診断を行う。通常の病理組織診断では、検体採取から病理診断まで、3日ほど要するが、術中迅速診断では、手術中に採取された病変組織を即座にマイナス20度にして凍らせ、うすく切った凍結標本を作製することにより、15 分程度で病理診断が行われる。診断結果は執刀医に連絡され、進行中の手術の方針が決定される。日本の医療機関において、必ずしも、術中迅速診断による十分な検索のもと手術が行われているとは限らない。術中迅速診断は専門性が高く、作業に対する労力の負担が大きいが、医療水準の質を高める重要な検査である。
2003.10.21 配信
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病理診断 (3)手術で摘出された臓器・組織の診断
外科医により摘出された臓器・組織は、病理医が肉眼で病変の部位、大きさ、性状、広がりを確認し、診断に必要な部分を必要な数だけ切りとります。病理医が標本を顕微鏡で観察し、どのような病変がどれくらい進行しているか、手術でとりきれたのか、追加治療が必要かどうか、がんの場合、性格の悪さや転移の有無、抗がん剤、放射線治療に対する有効性など、治療方針の決定に役立つ情報を臨床医に提供する。国家資格をもつ臨床検査技師が、細胞診も含め、臓器・組織の顕微鏡標本を作製する。
2003.10.14 配信
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病理診断 (2)生検組織診断
胃・大腸や肺の内視鏡検査を行った際に病変の一部をつまみ採ったり、皮膚などに腫瘍などができた際には、その一部をメスなどで切りとったりして、病変の一部の組織を顕微鏡観察する。
この検査を「生検」といい、その診断を生検組織診断とよぶ。臨床医が診断や治療方針を決定する上で、生検組織診断はしばしば決定的な役割を果たす。がん、炎症などの病変部そのものを検体とするため、細胞診断に比べて質的に正確な診断が可能となる。しかしながら、検体採取そのものが患者にとっては体の一部を切り取られることであり、苦痛を伴う。
2003.10.07 配信
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病理診断 (1)細胞診断
肺がんや膀胱がんでは、痰や尿の中にがん細胞が混じることがある。痰や尿を顕微鏡で調べてがん細胞がいるかどうかを判断するのが細胞診断(いわゆる「細胞診」)である。
細胞診の長所として[1]検体採取が簡単で患者の苦痛が少ない。[2]したがって繰り返し検査をすることが出来る。[3]広い範囲の異常を発見することが出来る。[4]比較的短時間に診断が可能である。以上のような長所を持っているために,早期癌の発見や集団検診の一つとして、さらに手術後などの病変部の経過観察として行われる。
正確な病変部の位置特定が困難といった短所がある。臨床の現場においては検体数が多くなるため、細胞検査士がチェックして病変として疑わしいものだけを病理医(細胞診指導医)が診断するシステムをとっている。
2003.09.30 配信
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病理診断
適切な治療のためには適切な診断が必要である。「病理診断」は確定診断として大きな役割を果たす場合が多いです。患者の体より採取された病変の組織や細胞から顕微鏡用標本がつくられる。この標本を顕微鏡で観察して診断するのが病理診断である。そして、この病理診断を専門とする医師が病理医である。病理診断には以下のようなものがある。
(1) 細胞診断
(2) 生検組織診断
(3) 手術で摘出された臓器・組織の診断
(4) 手術中の迅速診断
以後、(1)〜(4)について順次、解説してゆきます。
2003.09.23 配信
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SNP
SNPとはsingle nucleotide polymorphism の略。遺伝子多型(polymorphism)の一種で、個人間における1遺伝暗号(1塩基)の違いを意味する。 ”スニップ”と発音することが多い。遺伝子多型とは遺伝子を構成しているDNAの配列の個人差であり、集団の1%以上の頻度であるものと定義されている。頻度が1%以下のDNAの変化でもあまり表現型に影響を及ぼさないものは、まれな多型と言われることがある。また頻度が1%以上でも頻度の多いタイプを野生型、少ないタイプの遺伝型を変異型と表現することもあり、変異と多型の定義には混乱がある。なお、遺伝子のプロモーター領域(遺伝子の発現量を制御する領域)にあるものをrSNP、遺伝子の蛋白に翻訳される部分にあるものはcSNP、遺伝子のイントロン(蛋白の配列や遺伝子調整にあまり関係しない)にあるものをiSNPと呼ぶ。このうちrSNPとcSNPが遺伝子の機能に関係する可能性が高いと考えられ、テーラーメイド医療のターゲットとなる。
2003.09.16 配信
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DNA多型
DNA多型は遺伝子産物であるタンパク質の量と質に影響を与えうるので、これが薬剤の輸送・代謝経路、作用機構に関わる遺伝子に存在すると投与薬剤に対する個人の反応性(薬剤応答性)の違いを生みます。そのため、個人によっては少量の投与で充分な効果が得られ、通常量では副作用が強く出る危険性があります。
そこで、予め薬剤に関係する遺伝子診断を実施して、個人の遺伝型に応じて投与量を決定したり、別の薬剤を選択したりするのがいわゆる「テーラーメイド医療」です。また、疾患に特有なSNPも明らかとなってきており、これを知ることにより疾患の発症予防も可能になります。
2003.09.09 配信
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テーラーメイド医療 (あるいはオーダーメード医療)
テーラーメイド医療とは、マスで扱うのではなく、遺伝子診断を基に患者一人一人に合わせたきめ細かな医療を行うことを意味します。
クスリを投与すると、よく効くヒト、効かないヒトなどバラつきが大きいことが結構あります。従来個体差としてかたづけられてきましたが、最近このばらつきの原因には、DNA多型(single nucleotide polymorphism:SNPなど)が大きな因子としてかかわっていることがわかってきました。
2003.09.02 配信
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ゲフィチニブ(イレッサ):分子標的治療薬
イレッサは上皮成長因子受容体(EGFレセプター)のチロシンキナーゼ阻害剤として開発された経口投与薬剤である。手術不能又は再発非小細胞肺癌を適応としている。非小細胞癌の4〜8割ぐらいにEGFレセプターが過剰発現していると報告され、その割合は、腺癌より扁平上皮癌で高率にみられる。肺癌、中でも特に腺癌は、従来から有効な治療法がないといわれる代表的な癌であるが、経口投与できる薬で、単にEGFレセプターのチロシンキナーゼインヒビターという薬効をもつだけで臨床効果が得られていることから注目された。しかしながら発売開始後まもなく、急性肺障害、間質性肺炎を発症することが報告された。
2003.08.26 配信
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メシル酸イマチニブ(グリベック):分子標的治療薬
慢性骨髄性白血病(CML:Chronic Myeloid Leukemia)患者の95%以上にみられる異常染色体(philadelphia(Ph)染色体、染色体転座t(9;22)による)によって作られる異常タンパク質(BCR/ABLチロシンキナーゼ)がCMLの病因であることが明らかにされた。チロシンキナーゼ阻害薬であり、このCMLの責任融合遺伝子の産物BCR/ABLに特異的に作用し、CML抑制を発現すると考えられている。
2003.08.19 配信
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トラスツズマブ(ハーセプチン):分子標的治療薬
トラスツズマブは抗原HER-2/neu(c-erb-B2)に対するモノクローナル抗体で、乳癌の治療に使用されている。 HER-2/neu(c-erb-B2)は細胞膜に存在し,細胞内にチロシンキナーゼを有するepidermal growth factor receptor(EGFR)familyに属する受容体タンパクである。この抗原を介してトラスツズマブが癌細胞に結びつくと、他の免疫細胞を呼び寄せ、癌細胞を殺すのを助ける働きをする。通常は他の化学療法と併用される。
2003.08.12 配信
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分子標的治療薬:その3
現在わが国で承認されている”分子標的治療薬”はいずれも癌治療薬であり、乳癌治療薬のトラスツズマブ(ハーセプチン)、B細胞型リンパ肉腫に対するリツキシマブ(リツキサン) 、慢性骨髄性白血病治療薬のメシル酸イマチニブ(グリベック)、非小細胞肺癌に対するゲフィニチブ(イレッサ)である。広義に解釈すれば、アスピリン、H2ブロッカーなども特異的なターゲットを持つ薬物であり、分子標的治療薬ともいえるが、通常はこの範疇に含めない。
2003.08.05 配信
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分子標的治療薬:その2
現在わが国で臨床的に応用されている分子標的治療薬は主に抗癌剤の分野であり、従来の癌の化学療法薬が非特異的に働く殺細胞効果に重点をおいたのに比べ、”細胞増殖を抑制する”あるいは”Cytostatic(non-cytotoxic"と認識されている。すなわち癌細胞に特異的な細胞特性を規定する責任分子を同定し、これを薬物で処理し、癌を治療するものであり、副作用も比較的少ないと期待されている。ターゲットとしては癌遺伝子、抗腫瘍薬剤耐性因子、血管新生因子、シグナル伝達物質、アポトーシス、テロメラーゼなどが想定されている。
2003.07.29 配信
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分子標的治療薬:その1
近年、生物の持つ複雑な働きが蛋白や遺伝子のレベルで解明され始め、病気に関与する遺伝子、遺伝子産物が徐々に明らかになってきて、分子生物学、分子病態学が発展した。解明された反応の流れを標的とした、特異性をもつ薬物が分子標的薬剤であり、それを治療に用いるのが分子標的治療である。
2003.07.22 配信
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血栓症 (Thrombosis)
血管が損傷したり組織が破壊されると、その部位からの血液の流出を阻止するために”凝固系”が働き血液が固まる。ところが血管が破れていなくとも何らかの原因で血栓(Thrombus)が生じて血管が閉塞することがある。このように生体の心臓・血管内において血液が凝固する病的現象を指す。血栓の形成には,血管壁の性状の変化・血流の緩徐化・血漿成分の変化などが関与するものと考えられている。まず血小板が一時的に糊状に粘着・凝集し(白色血栓・一次血栓)、ついで血漿中の凝固系の活性化によりフィブリンが産生され、赤血球、白血球を取り込んだ堅固なフィブリン塊が形成される(赤色血栓・二次血栓)。血栓によって血管腔は狭窄または閉塞をきたすために,その血管支配下の組織は循環障害を受けて壊死または浮腫を起す(→梗塞)。
2003.07.15 配信
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血小板 (latelet)
血小板は血球成分のひとつで、通常血液microL中に17〜40万個存在する。骨髄中で巨核球の一部がちぎれてできた無核の血球である。血管内皮に損傷が生じ、コラーゲンが露出すると、血小板はvon Willebrand factor (vWF)や糖タンパク(GP)Ibを介し、速やかにこれに粘着する。粘着は血小板の活性化を引き起こし、形態変化も伴った血小板凝集が惹起される。同時に血小板からは、血管収縮物質、血小板凝集促進物質が放出され、さらに血小板膜表面にGPIIb/IIIaが露出し、フィブリノーゲンをブリッジにGPIIb/IIIaを介して血小板が結合することにより凝集を拡大し、一次血栓を形成する。
2003.07.08 配信
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プラスミノーゲンアクチベータ (PA:Plasminogen activator)
プラスミノゲンを活性化する生体内因子の総称で、u-PAとt-PAが存在する。u-PAはもともと尿中から発見され、尿由来の生理活性物質ということでurokinase(ウロキナーゼ)とも呼ばれる。t-PA(組織型-PA)は血管内皮細胞などが産生するPAでフィブリンに高い結合力を有し、より血栓溶解特性が高い。t-PAの発見には前MEDC客員教授の近畿大学松尾教授らが深くかかわっている。両PAは血栓溶解剤として急性心筋梗塞や脳梗塞などの血栓症の治療薬として用いられている。
2003.07.01 配信
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線溶系 (Fibrinolytic system)
線溶系とは「線維素溶解系」の略で、凝固系の最終産物であるフィブリン(線維素)を分解する系を意味する。血漿中にはプラスミノゲンが存在し、必要に応じてプラスミンに活性化される。プラスミンは強力な蛋白分解酵素であり、血液中では特にフィブリンを効率的に分解する。プラスミノゲンを活性化するのがプラスミノゲンアクチベータ(PA)と呼ばれるセリンプロテアーゼであり、生体内にはウロキナーゼ型PA (u-PAまたはUK)と組織性PA(t-PA)の2種類が存在する。一方、プラスミンに対してはα2-プラスミンインヒビター(α2-PI)が、PAに対してはPAインヒビター(PAI)が存在しており、それぞれプラスミン、PAの活性を抑えることによって線溶系の活性を制御する。これらの抑制系がうまく働かないと出血傾向となる。
2003.06.24 配信
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凝固と線溶
血管が損傷したり組織が破壊されると、その部位からの血液の流出を阻止するために”凝固系”が働き、血液が固まる(止血)。一方、凝固系が過剰に働いて正常な血管の中でも固まると、脳梗塞や心筋梗塞の原因となる(血栓症)。すなわち止血は生態防御反応であり、血栓症は病的状態である。できた血液の固まり(凝血塊)は、出血が止まり組織の修復が完了すると速やかに溶解し取り除かれる。これを線維素溶解(線溶)現象と呼んでいる。凝結塊は早く溶け過ぎると出血し、遅いと末梢の循環不全や梗塞をおこしてしまう。両者のバランスが大切であり、そのためさまざまな因子が両者の活性をコントロールしている。
2003.06.17 配信
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伴性劣性遺伝
X連鎖劣性遺伝ともいう。X染色体上の遺伝子異常にもとづく遺伝病がこの遺伝形式をとる。進行性筋ジストロフィー、血友病など有名な疾患が多い。病気とは言えないが色覚異常もこの遺伝形式のものが多い。男性はX染色体を1本しか持たないため、唯一の遺伝子に異常があると即発病する。女性はX染色体を2本持っているため、片方の遺伝子に異常があっても発病することは稀である。女性は保因者となって男児の半数が発病するため、家庭内で女性が不当に差別される危険があるので、医療従事者は注意しなくてはならない。
2003.06.10 配信
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遺伝的表現促進
遺伝病の症状は普通、遺伝子異常が変化しないので親も子も変わらないと考えられがちであるが、親の症状が軽いのに子どもが重症になることがある。これを遺伝的表現促進という。原因は遺伝子の中にあるトリプレットリピートである。これは3塩基が繰り返される構造で、普通は繰り返しの数は安定しており変化しないが、いったん何かの原因で増えると、親から子へ伝わるときに更に増えてゆき、遺伝子異常が一層強くなる。代表的な疾患は筋緊張性ジストロフィーで、母親はほとんど無症状なのに、生まれた赤ちゃんは筋力が弱くて身動きできない、お乳を飲めない、などの症状を現す。
2003.06.03 配信
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ミトコンドリアDNA
ミトコンドリアの中には核DNA(染色体DNA)とは異なる遺伝子が存在する。一つの細胞には数百ものミトコンドリアがあるので、ミトコンドリアDNAも数百コピー存在することになる。このミトコンドリアDNAに変異が生じ、母親から子孫に伝えられることがある。糖尿病の1%はミトコンドリアDNA異常によるものだとされている。当然、父親からは子孫につたわらない。ミトコンドリアはエネルギー活動の盛んな細胞で特に重要なので、脳、筋肉、骨髄、内分泌細胞などで影響が現れやすい。
2003.05.27 配信
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ミトコンドリアはすべて母親から受け継がれる
卵子にはたくさんのミトコンドリアが含まれているが、精子には運動に必要なミトコンドリアしかなく、受精の時に精子のミトコンドリアは卵子に入れない。つまり、我々の体内のミトコンドリアは(もちろんミトコンドリアDNAも)すべて母親由来というわけだ。これは人類や民族の起源を探るのに極めて都合良い。核DNAの場合、10世代遡ると、2の10乗(1024人)の祖父母がいることになるので、いったい我々はどこから来たのか判らなくなるが、ミトコンドリアDNAは10世代遡っても母親は1人しかいない。アルプス山中で発見された数千年前のミイラ〔アイスマン〕の子孫がイギリスにいることが判ったそうである。
2003.05.20 配信
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ゲノム刷り込み(インプリンティング)現象
メンデルの遺伝法則では1対の遺伝子は同じように発現することが前提となっているが、この原則を破る例外がある。たとえばプラダー・ウィリー症候群という肥満と知的障害を特徴とする小児の先天異常の病因遺伝子は15番染色体の長腕に1対存在するが、健康な人でも母親から受け継いだ遺伝子は生まれつき不活性になるように発現しなくなっており(刷り込まれており)、父親から受け継いだ遺伝子だけが発現している。この父親サイドの遺伝子に異常が生ずると発病する。
2003.05.13 配信
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パターナリズム
封建時代の家長のように強権をもって指導するような態度のこと。医療の世界でも古くから、「患者はこうすべきだ」「俺にまかせておけ」「患者はつべこべ言うな」というような態度が医療者(特に医師)に強く残されてきたが、近年、ようやく改善されつつある。
2003.05.06 配信
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遺伝カウンセリング
遺伝カウンセリングは単なる医療相談とは異なる。カウンセリングを受けにきた人(クライエント)とカウンセラーの対話を通じて一定の結論や意思決定を行おうとするもので、カウンセラーは「家族のニーズに対応する遺伝学的および関連情報を提供し」「家族や個人がそのニーズ・価値・予想を理解した上で意思決定できるように補助すること」であるとされている。一般の医療では問題を抱えているのは患者個人だが、遺伝カウンセリングの場合、遺伝的な問題は患者個人にとどまらず、家族・親戚にまで広く影響が及ぶ。
2003.04.30 配信
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IRB (Institutional Review Board)
IRBとは施設内臨床試験審査委員会のことで、臨床試験の実施の可否を審査する委員会。臨床試験審査委員会や治験審査委員会とも称される。臨床試験に直接関わる者から独立した第三者による審査委員会であり、最も重要な責務は被験者の人権・安全・福祉を保護することである。また、当該治験がそもそも実施する意義があるかどうかの科学的判定もおこなう。GCP(Good Clinical Practice)の規定からは「IRBの構成委員は医学、歯学または薬学に関する専門知識を有する委員の他、少なくとも一人の医学、歯学または薬学の専門家以外の委員、合わせて5人以上で組織する」となっている。
2003.04.22 配信
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GCP (Good Clinical Practice)
GCPとは「医薬品の臨床試験の実施に関する基準」のことである。現在医薬品を開発している、EU、米国ならびに日本の行政当局、製薬企業が話し合い、それぞれの国で開発された新薬が、速やかに他の国々の患者の下に届くようにと、各国で実施されている新薬開発のための臨床試験(治験)の質を均一化し、国際的に適用するルールづくりを行った。長年にわたる会議(ICH:international conference ofharmonization)の結果、国際的な基準の調和(ハーモナイゼーション)がおこなわれ、国際的な基準の調和 ICH-GCP が合意された。わが国における現在のGCPとは、このICH-GCPの合意を受けて、1997年発令されたもので、旧来のGCPとは異なり、薬事法に裏づけされており、違反すると法律違反となる。
新GCPでは・治験実施にかかわるすべての責任主体は製薬企業にある。
・治験実施の責任は各医療機関の”治験責任医師”にある。
・治験実施の適正さ、被験者への倫理的配慮を審査する「治験審査委員会」(IRB)の機能強化。
・治験データーの管理、調査(モニタリング)の義務化。
などが盛り込まれている。
2003.04.15 配信
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EBM (Evidence-Based Medicine)
EBMとは根拠に基づいた医学・医療のこと。すなわちEBMは一人の医師の先入観や思い込み、あるいはさしたる根拠なしに経験的に伝えられている情報や、考え方で医療をおこなうのではなく、現在ある最善の根拠に基づいて、かつ患者の希望・好みや価値観をも考慮して、診療を進めていくこと、あるいはこのための技術のことである。
EBMの実践は
1)問題の定式化、2)情報検索、3)批判的吟味、4)患者への適用の4つのステップからなる。
2003.04.08 配信
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第4相試験 (Phase4)
第4相試験とは医薬品承認後に行われる新薬の市販後調査も含めたすべての試験を指す。
第3相試験までの治験では申請-認可に必要な最小限の情報が得られたわけであり、市販後に思わぬ有害性が明らかとなったり、有効性に疑問を生じたりすることも十分予想される。すなわち、治験段階では ・症例数が少ない。

・投与期間が短い。
・治験薬の適応疾患のみを有した症例が多い。
・単剤投与の場合が多く、薬物相互作用に関する情報は得にくい。

といった制約があるためである。このような状況下、市販後調査が重要な位置をしめる。なお、すでに承認された用法・用量、効果・効能に従い実施される市販後臨床試験は、第4相臨床試験に含まれるが、新たな用法等を目指す開発の下に実施される臨床試験はこれには含めない。
2003.04.01 配信
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第3相試験 (Phase3)
第3相試験とは、第2相試験で治験薬の有効性が期待された後、さらに有効性・安全性を確認するために、多数の患者を対象に多数の施設で行われる試験のことである。ここでの試験には無作為化同時対照比較試験が採用される。最近は国際的に何万人、何十万人規模の患者を対象に行われることも多くなってきた。
第3相試験後、一定の審査を経て治験薬が新薬として厚生労働省から認可されると、薬価が決定され、一般の診察に供されることになる。
2003.03.25 配信
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第2相試験 (Phase2)
第2相試験とは、第1相試験で治験薬の安全性(認容性)と薬物動態を明らかにした後、その有効性が期待される患者を対象に、用法・用量などを検討する試験である。
比較的少数の患者を対象にした前期第2相試験と、比較的多くの患者を対象にし、治験薬の用量作用性を明らかにする後期第2相試験に分類することもある。後者ではプラセボを用いた無作為化同時対照比較試験が実施されることが多い。
第2相試験の重要な目的は第3相でおこなわれる試験の用法・用量を決定することにある。なお、過去に同種同効薬が存在しない場合は、前期第2相試験はきわめて探索的な試験となる。
2003.03.18 配信
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第1相試験 (Phase1)
新薬の開発において、動物実験で有効性・安全性が確認されると、次のステップとしてヒトを対象とした臨床試験をおこなう。その最初におこなわれるのが第1相試験であり、原則として健常成人男子が対象となる。
ここでの目的は新薬のヒトでの安全性の確認と、薬物動態を明らかにすることである。この試験で初めて新薬がヒトに投与されるわけであり、被験者の安全のため無作用量と考えられる最高用量から投与し、徐々に増量する。この量は最も感受性の高い動物の急性毒性試験における50%致死量(LD50)の600分の1以下、最も感受性が高い動物の反復投与毒性試験における最大耐量の60分の1以下、などの基準から決定される。なお、すでに海外で医薬品として使用されている場合はその用量が参考にされる。
2003.03.11 配信
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臨床試験
臨床試験とはヒト(患者)を対象にした治療を兼ねた試験のことを指し、特に「新薬開発」の為の臨床試験を「治験」と呼ぶ。
新薬の開発は、目的とした薬理作用を有する物質の抽出・合成から始まる。これがinvitroおよびin vivo の実験で、確かに薬理作用を有しており、かつ動物実験において安全性が確認されると、次はヒトを対象として臨床試験を行う。
臨床試験とは、(1)日常経験からだけでは臨床医学的法則は見出せない。(2)動物実験からの情報をただちに臨床医学的事実と認めるわけにはいかない。といった認識に立って実施される。
2003.03.04 配信
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クロスオーバー試験
統計的な手法のひとつで、医学分野では平行群間比較試験とともに、臨床試験(治験)に用いられる場合が多い。
方法として同一患者に時期を変えて、異なる薬物(あるいは同一の薬物でも異なった用量や剤形)を投与する。したがって対象とする疾患は、慢性的で症状が安定しているべきである。同一個体を用いた試験なので、個体差を除去できる利点を有する反面、持ち越し効果(先行する試験治療が次に続く試験治療期間において及ぼす残存効果)がないことをどのように検証するか、などの問題点がある。
この試験のさらなる利点は、同一個体に対して数種類の用量を投与した場合の効果判定が可能であり、母集団の平均的用量−反応曲線のみならず、個々の患者の用量−作用曲線の分布が推定できることや、平行群間試比較試験に比べ必要な患者数が少ないことがあげられる。
2003.02.25 配信
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二重盲検法
臨床治験第2相、第3相でプラシーボ効果(心理的効果)を除去し、薬効を正しく評価ために用いられる方法。患者および医師の両方に治療薬(実薬)と偽薬(プラシーボ)の区別を知らせず投与し、コントローラー(成績判定者)のみが区別を把握し行う。通常、患者を実薬群と偽薬群の二群に分けて効果を比較・判定する(平行群間比較試験)。偽薬としては乳糖などの常識的に薬効の無い物質を用いるが、最近はすでに市販されている同種同効薬を対象薬(ポジティブコントロール)として用いることも多い。欧米では盲検(blind test)が差別用語だとして、二重目隠し法(double masking)を用いる。
なお、患者に知らせず、医師は知っている場合は単盲検と呼ぶ。
2003.02.18 配信
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アスピリン
アスピリンは代表的なNSAIDの一つである。主にCOXの阻害作用により鎮痛・解熱・抗炎症・抗血小板作用などを発現すると考えられる。
COXアイソザイムに対する選択性は無く、構成型COX(COX-1)をも阻害し、胃腸障害作用が比較的多く観察される。アスピリンは他のNSAIDとは異なり、COX中のシステイン残基をアセチル化することにより非可逆的に阻害する。このため抗血小板作用は、血小板の寿命完了まで長く発現し、少量投与(80-120mg)で十分な血栓症に対する予防効果が得られる。過敏症(アスピリン喘息など)に注意が必要であり、またライ症候群との関連が指摘されている。
ちなみにAspirinはSulpyrineとは異なり、ピリン系薬物ではない。なお、アスピリンの名は開発したドイツの薬品会社バイエルの商標登録銘であったが、第二次世界大戦でドイツが敗戦するとともに、その効力を失い、現在では一般名として用いられている。
2003.02.11 配信
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EPA
EPAとはエイコサペンタエン酸のことを示す。
エイコサノイドの前駆物質で、炭素数20個、二重結合が5つの脂肪酸。ちなみにエイコサノイドの他の前駆体であるアラキドン酸は二重結合を4つ、エイコサトリエン酸は3つを含む。疫学調査の結果、グリーンランドに住むイヌイットとデンマーク人では前者は後者に比べ心筋梗塞などの血管障害による死亡率が有意に低かったが、これがイヌイットはEPAを多く含むアザラシや鰯などを摂取していることによることが推定されたことから注目された物質。EPAはCOXによりトロンボキサンA3へと代謝されるが、アラキドン酸に由来するトロンボキサンA2のような血管収縮作用や血小板凝集作用はなく、このためEPAは脳梗塞や心筋梗塞に対する予防効果があると考えられる。
2003.02.04 配信
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プロスタノイド
アラキドン酸カスケードの活性化にともない産生される生理活性物質のうち、シクロオキシゲナーゼ(COX)により産生されるプロスタグランジン類のことをプロスタノイドという。PGE2,PGD2,PGF2α,PGI2,トロンボキサンA2などが知られ、すべて細胞外に放出され、標的細胞膜に存在する特異的な受容体(プロスタノイド受容体)に結合し、それぞれ、炎症、睡眠、子宮収縮、血管拡張、血小板凝集などの生理機能に強く関与している。COXには遺伝子が異なる2つのアイソザイムCOX-1とCOX-2が存在し、前者は非誘導の構成型、後者はサイトカインなどの炎症刺激にともない誘導される誘導型酵素である。
アスピリンをはじめとする非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の作用点はCOX阻害にもとづくプロスタノイド産生抑制作用である。一般にNSAIDは両COXを阻害し、COX-2阻害により炎症反応を抑制する発揮する反面、COX-1阻害作用により生体防御反応に関与するプロスタノイドの産生も阻害し、胃腸障害などの有害作用をもたらす。COX-2選択的阻害作用を有するNSAIDの開発が期待されている。
2003.01.28 配信
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エイコサノイド
炭素数20個の不飽和脂肪酸を基質とし、細胞刺激に対して生成される生理活性物質(プロスタグランジン類、トロンボキサン類、ロイコトリエン類)を総称してエイコサノイドと呼ぶ。
不飽和脂肪酸としては2重結合が4つのアラキドン酸の事が多く、この生成経路をアラキドン酸カスケードと称する。刺激にともない、フォスフォリパーゼA2が活性化されると、リン脂質2位のエステル結合が加水分解され、アラキドン酸が細胞質中に遊離される。遊離したアラキドン酸はシクロオキシゲナーゼ(COX)によりプロスタグランジン類やトロンボキサン類に、リポキシゲナーゼによりロイコトリエン類に代謝される。これら生成されたエイコサノイドは細胞外に放出され、それぞれに特有の膜受容体に結合し、さまざまな生理作用を発現する。
2003.01.21 配信
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消化性潰瘍
胃潰瘍と十二指腸潰瘍は消化性潰瘍ともいわれるが、これは胃液が自分の胃や十二指腸の粘膜を消化することによって起こるからである。胃液は胃酸(塩酸)とペプシン(蛋白質分解酵素)を含むが、これらは攻撃因子と呼ばれ強力な消化作用をもつ。通常、健康な人の胃は粘液や血流などの防御因子が働き、胃液が自分の胃を消化することはない。しかし様々な原因により防御因子と攻撃因子のバランスが崩れると、胃粘膜や十二指腸粘膜が自分の消化液で消化され潰瘍を生じ、空腹時や夜間にみぞおちの痛み、胸やけ、胃が重い、食欲不振などの症状を発現する。消化性潰瘍の治療薬としては攻撃因子抑制剤(H2ブロッカー、プロトンポンプ阻害剤など)、中和剤(重曹など)、粘膜防御因子(増強)剤(PG製剤)などがある。
最近ピロリ菌の除菌効果が注目されている。
2003.01.14 配信
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プロトンポンプ阻害剤 proton pump inhibitor(PPI)
消化性潰瘍治療薬。強力な酸分泌抑制作用を有す。胃の壁細胞からの胃酸分泌を司る最終段階は微絨毛に存在する蛋白室H+,K+-ATPase(通称プロトンポンプ)と考えられているが、この酵素を阻害し、胃酸分泌を抑制する薬物を総称してPPIと呼んでいる。オメプラゾールがそのプロトタイプであり、プロトンポンプに非可逆的に結合することにより、酸分泌抑制作用を発揮する。したがって従来からの胃酸分泌抑制薬であるH2ブロッカーに比べ抑制作用は強力で、作用持続時間も長い。H2ブロッカーに比べ、潰瘍再発率が低いが、これはPPIそのものにピロリ菌に対する除菌効果があると考えられる。 現在、ピロリ菌の除菌治療が保険適用されこの目的にはPPIの一種のランソプラゾールが抗生物質アモキシシリン、クラリスロマイシンとともに3剤併用療法で用いられる。
2003.01.07 配信
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ヘリコバクター・ピロリ (Helicobacter pylori)
ヘリコバクター・ピロリとは「胃の幽門部あたりにいるらせん状の菌」という意味で、胃の中に寄生する細菌である。発見されたのは1980年代であるが、最近、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因菌になりえる事が明らかとなり、注目を集めている。グラム陰性のらせん状、2―5ミクロン程度の細菌で、酵素ウレアーゼを産生する。ピロリ菌の至適pHは6〜7であるが、この酵素は尿素を分解してアンモニアをつくり胃酸(pH 1〜2)を中和することにより胃粘膜におけるピロリ菌の定着を可能にしている。胃・十二指腸潰瘍患者からピロリ菌が検出される場合があり、ピロリ菌陽性の消化性潰瘍に対して抗生物質などによる除菌治療が行われるようになってきた。最近ピロリ菌は潰瘍の他、胃がん発現にも関与しているとも推察されているが、今の所その直接機序は明らかではない。
2002.12.17 配信
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X線CT (X‐ray computed tomography)
身体の横断面の像を撮影する特殊なX線装置。通常CTといえばこれをさす事が多い。X線管を身体の周囲をぐるりと一周させて撮影する。フィルムの代わりにヨウ化ナトリウムやゼノンガス検出器を用いる。検出器の透過X線量をコンピューター処理し、横断面の増を再構築し、これをモニターに描出する.軟部組織から骨組織までを連続した濃淡のある断層画像として表現することができる。X線CTの普及により,頭蓋骨内,胸部,腹部など体内の深在臓器や四肢の客観的診断が可能となり,重要な診断手技として汎用されている。医学に画像診断という言葉が生まれるほどのインパクトを与えた。
2002.12.10 配信
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アテローム血栓性脳梗塞
この脳梗塞は頭蓋外,あるいは頭蓋内主幹脳動脈の粥状硬化を基盤として起こる。アテローム血栓性脳梗塞は、血栓性、あるいは血行力学性機序により脳梗塞を生じる。さらに、アテローム血栓は塞栓性(artery to artery)脳梗塞の原因となりうる。発症の前駆症状として、一過性脳虚血発作(TIA)があり,安静時に起こりやすく、症状の経過はゆっくりで、徐々に悪化するいわゆる「階段状の進行」をとりやすいとされる。CTやMRIでは比較的広範囲に病変を認め、その直径は1.5cm以上であることが多い。初期は軽症でも、放置すると重症化しやすいため、精密な検査・治療を一刻も早く開始する必要がある。
2002.12.03 配信
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ラクナ梗塞
日本人に多い梗塞の一つで、脳梗塞の約半数を占める。脳の深部の細い血管がつまることによっておこり、高血圧や糖尿病などを基礎疾患として有することが多い。発症の前触れ(前駆症状)はないか、まれで、安静時の発症が多く、比較的ゆっくり進行する。CTやMRIでは直径1.5cm以下の小さい病変として観察できる。「ラクナ」というのは「水たまり」という意味で,解剖すると脳梗塞部が小さな水たまりのようにくぼんでいたことからこう呼ばれる。
2002.11.26 配信
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神経伝達物質 (Neurotransmitter)
細胞間の情報を伝達する物質を総称して化学伝達物質(生理活性物質)といい、いずれも専用の受け皿(受容体、リセプター)を介し、情報伝達を行う。このとき作用する部位への到達方法により名称が異なり、神経終末より放出(分泌)され神経に接続する細胞へ刺激を伝達する役目をになっているのが神経伝達物質である。神経伝達物質の機能異常は細胞情報伝達を妨げ疾患に結びつく。例えばパーキンソン病は脳内ドパミン作動性神経が障害され、神経伝達物質ドパミンの放出が減少することによるものと考えられている。
2002.11.19 配信
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ニコチンガム (Nicotine Gum)
喫煙にともない体内に吸収される”ニコチン、タール、一酸化炭素”は喫煙者のみならず副流煙を吸入する非喫煙者にとってもメリットは全く無く、また、発がん性も明らかになったことから世界的にその喫煙習慣は減少の方向にある。しかしタバコを常用しいったんニコチン依存症に陥るとニコチンの摂取を中断する”禁煙”は容易ではない。そこでニコチンをタバコ以外から摂取し、喫煙を防ぐニコチン代替療法が考案された。ニコチンガムはその一つで、ニコチンを含有したガムを噛み、口腔粘膜からニコチンを吸収させ血中濃度を上昇させる。これにより脳内報酬系を刺激し喫煙量を徐々に減らし、同時に禁煙指導を行うことにより禁煙を成功させるというものである。ガムのほか、ニコチンを皮膚から吸収させるパッチ製剤もある。最近ニコチン入り飲料水なるものも米国で発売された。いずれにしても成否のカギは本人の意思次第ということになろう。
2002.11.12 配信
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ニコチン (Nicotine)
タバコ(ニコチアナ・タバキュム)の葉に含まれるアルカロイドの一種。毒性は強く、致死量(成人)は30〜60mgといわれる。喫煙により口腔粘膜や肺胞から速やかに吸収され、血液脳関門を通過し、中枢にも移行する。ニコチン性アセチルコリン受容体に選択的に結合しアゴニストとして作用するため、中枢性や自律神経系を介したさまざまな作用を示す。中枢では脳内の報酬系(脳に快楽をもたらす部位)に作用することがわかっており、このため習慣性(ニコチン依存性)を示すと考えられている。
2002.11.05 配信
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骨粗鬆症 osteoporosis
骨は不変の形を保っているように見えるが、日々作られ、壊され(再吸収)つつ一定の形を保っている。すなわち能動的平衡状態である。再吸収の方が優位になると骨量が減少する。これは加齢や運動不足時、更年期以降、ステロイド剤の長期投与時などに起こり、骨粗鬆症と呼ばれる。
2002.10.29 配信
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コロイド浸透圧 colloid osmotic pressure
膠質浸透圧。溶液中に含まれるコロイドによって生じる浸透圧である。
体液中には蛋白がコロイドとして存在するので、これに基づく浸透圧がある。同じく体液には、電解質による浸透圧もある。分子の数は、後者の方が圧倒的に多く、したがって電解質による浸透圧も高いはずである。
毛細血管壁をはさんだ“膜”の場合、電解質にとって、これは半透膜として機能しないため、浸透圧が生じない。しかし、コロイドにとって、毛細血管壁は半透膜として機能する。すなわち毛細血管壁を挟んだ両側(血液と組織間液の間)では、コロイド浸透圧の差が生じる。
2002.10.22 配信
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コロイド colloid
約5〜10μmの大きさの粒子が液体(媒質と呼ばれる)に分散、浮遊した状態を示す。これが液体のままならゾル、固体になるとゲル(ゼリー状)と呼ぶ。生体内では体液中に蛋白質がコロイド状態で含まれている。
2002.10.15 配信
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アセチルコリンエステラーゼ acetylcholine esterase
神経の化学伝達物質であるアセチルコリンを、極めて素早くコリンを酢酸に分解し、アセチルコリンを失活させる。こうして分泌されたアセチルコリンの作用を止めるが、この酵素が何らかの原因で働かないと、アセチルコリンの作用が持続することになる。
2002.10.08 配信
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アセチルコリン acetylcholine
コリンの酢酸エステル。塩基性。生体内で酵素(choline acetyltransferase)により合成される。コリン作動性神経内に貯蔵され、化学伝達物質として機能をする。副交感神経のシナプス部や運動神経・筋接合部の終板などで分泌される。
2002.10.01 配信
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コリン choline
動植物に広く分布する化合物。特に脳、胆汁、卵黄に多く含まれ、コリンなる名称はギリシア語の胆汁から命名された。アルカリ性。生体にとってコリンは、燐脂質やアセチルコリンの成分として重要である。
2002.09.24 配信
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コラーゲン collagen
蛋白質の一種であり、体の結合織として機能する。体を構成する蛋白質の20〜30%をコラーゲンが占める。繊維芽細胞(fibroblast)により合成され、その局所に分泌される。コラーゲンはアミノ酸組織や配列の差によりT、U、V、W、Xの五型に分類されている。
2002.09.17 配信
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コデイン codein
未熟なケシの果皮にキズをつけるとその切れ目から白い液体が出る。これを固めたものがアヘン(阿片)であり、その主成分の一つがコデインである。薬理学的にはオピオイドに分類される。鎮痛効果もあるが主に鎮咳薬(咳止め)として用いられる。依存性はモルヒネに比べると弱いが麻薬に指定され、麻薬処方箋が必要である。ただ、製剤中の含有量が100分の一以下であれば家庭麻薬として市販できる。
2002.09.10 配信
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骨膜 periosteum
骨の外表を覆う膜状の構造。ただし関節の軟骨部は骨膜で覆われていない。骨膜は繊維組織層であり、血管と神経に富む。このため骨膜をぶつけると痛みが強い。
2002.09.03 配信
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Cytophotometry (サイトフォトメトリー)
光学顕微鏡で組織を観る。この時、細胞中のある特定物質を染色しておき、光の吸光度を細胞光度測定機を用いて測定する事により、どの細胞にどの物質がどの程度存在するか(定量)を調べる技術である。ちなみに病理学の世界ではこの言葉はあまり使わず代わりに顕微(吸光)測光法microphotometry、ないし蛍光色素を使った方法論では(蛍光)顕微分光測光法(fluoro-)microspectrophotometryと呼んでいる。この方法論は時間と精度の問題で、一部でしか使用されておらず、現在は、フローサイトメトリFolow cytometryに置き換わっている。
2002.08.27 配信
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サイトカイン (cytokine)
一般にサイトカインと呼ばれる物質には、インターフェロン、インターロイキン、リンフォカイン、腫瘍壊死因子(TNF)などが含まれる。いずれも情報の伝達物質として働いて、他の細胞に影響を及ぼし、免疫反応を調節する。
2002.08.20 配信
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在郷軍人病
レジオネラ・ニューモフィーラ(Legionella pneumophila)による細菌性の肺炎。潜伏期は2〜10日。レジオネラは水(クーリングタワー、24時間風呂など)や汚泥(腐葉土)の中で繁殖し、これを多量に吸い込むと発症する。1976年、アメリカの在郷軍人の集会で集団発生し、この名前が付けられた。いわゆる感染症新法では第四類(全数把握)に分類されており、保健所長を通じて知事への届け出が必要。
2002.08.13 配信
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細菌性中毒 Bacterial food poisoning
感染型と毒素型がある。いずれも急性の中毒症状を呈する。感染型は食品に付着した細菌(病原性大腸菌、ビブリオ菌、サルモレナ菌)が腸内で増殖する事による。毒素型は、食品の中ですでに細菌(ボツリヌス菌、黄色ブドウ球菌)により産生された毒素を腸から吸収する事による。
2002.08.06 配信
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細菌性赤痢 Bacillary dysentery、shigellosis
原因菌(causative agent)は赤痢菌(Shigella dysenteriae, S. flexneri, S. boydii, S. sonnei)。
経口感染(oral infection)による腸内感染症である。症状は悪心(nausea)、熱発(fever)、腹痛(abdominal pain)、水様性の下痢(watery diarrhea)。いわゆる感染症新法では第二類に分類されており、第二種感染症指定医療機関での治療が必要。
2002.07.30 配信
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ツーヒット仮説
RB遺伝子は、ガン抑制遺伝子の例のひとつです。網膜芽細胞腫で知られています。RB遺伝子は正常細胞1つに2個存在しますが、両方に異常を起こした場合に細胞分裂の抑制作用がなくなります。1つだけの異常の場合には癌化しません。2つの遺伝子が変異した場合に癌化する、この仮説は「ツーヒット仮説」と呼ばれています。
1つの遺伝子の異常を持った人々はもう1つの遺伝子が変異した癌になる可能性があるため、いわゆる癌になりやすい家系とも考えられます。
2002.07.23 配信
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細胞の分裂を抑制する蛋白
細胞分裂をせよ、の信号を核内に送る分子情報伝達カスケードがあります。これに関与する蛋白の働きを阻害する蛋白は、細胞分裂を抑制する事が出来ます。この抑制作用を持つ蛋白が働かなくなると細胞は分裂を続ける事になる可能性があります。すなわち癌化です。このように細胞分裂に抑制的に働く蛋白は正常細胞が持つ正常蛋白ですが、その蛋白の遺伝子は異常になると細胞が癌化するため、ガン抑制遺伝子と呼ばれています。
2002.07.16 配信
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がん細胞における細胞分裂
がん細胞は無限に増殖しますが、この原因は、細胞分裂を促す分子情報伝達カスケードのどこかに異常がおこったためです。
その例として、変異したEGFレセプターがEGFと結合しないのに、「細胞分裂をせよ」の信号を次の蛋白に送ってしまう、すなわち誤信号の伝達があります。またras蛋白が常に活性化されていて、信号を送り続ける場合もよく知られた例です。
2002.07.09 配信
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細胞分裂せよの命令を伝えるカスケード
EGFは、細胞の分裂を促す働きがある増殖因子です。このEGFのレセプターは細胞表面にあります。EGFレセプターがEGFと結合するとsrc蛋白に信号を伝えます。src蛋白は、さらに次の蛋白に信号を伝え … このような複数の蛋白(ras蛋白はその内のひとつです)を介して、細胞分裂を命令する信号が細胞の核へ到達します。そして細胞分裂が開始されます。このような信号が伝えられる一連のルートは、分子情報伝達カスケードと呼ばれています。
2002.07.02 配信
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細胞周期 −がん細胞の場合
正常細胞では細胞周期が複数の遺伝子によって制御されています。分裂の途上にない細胞はGO期にあるとみなされます。がん細胞では分裂の制御が不全の状態になっており、GO期がないままG1→S→G2→M→G1期が連結し、無限の増殖を続けます。
2002.06.25 配信
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細胞周期
G1期には、分裂のために必要な蛋白を合成するなどの準備を行います。S期にはDNAの合成を行い、核内のDNAは2倍になります。G2期も細胞分裂の準備です。細胞質が大きくなります。M期には細胞がいよいよ分裂しますが、DNAが染色体として光学顕微鏡で見える時期です。このM期を中期、後期、終期に分ける事ができます。 G0期は、分裂が行われていない時期です。
2002.06.18 配信
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細胞分裂と細胞周期
私達の体にある細胞は、それぞれの機能を発揮して、私達の体の維持に役目を果たしています。その他に細胞は、細胞分裂によって細胞自身の数を殖やすのも重要な役目です。
細胞には、細胞分裂している時期と、分裂してない時期(G0期)があります。分裂している時期は、その段階によりG1期、S期、G2期、M期などに分けることが出来ます。これはG0→G1→S→G2→Mの順で出現し、細胞周期と呼ばれます。
2002.06.11 配信
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アフラトキシン
アフラトキシンは、ピーナッツに生えるカビが産生する物質であるが、強力な発癌物質として有名である。肝臓癌を起こす。アフラトキシンは、P53遺伝子(癌抑制遺伝子)の249番目の塩基に点変異(point mutation、グアニンからチミンへ)を引き起こすため、P53遺伝子が機能不全となる。
2002.06.04 配信
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ベンツピレン
タバコの吸い過ぎで肺癌になる可能性がある。タバコの煙に含まれるベンツピレンは発癌物質としては有名である。これはP53遺伝子(癌抑制遺伝子)の246番目の塩基に点変異(point mutation)を引き起こし、P53遺伝子が機能不全となる。
2002.05.28 配信
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紫外線
紫外線に照射されると、遺伝子のDNAにピリミジンダイマ−ができる。DNA中のピリミジンとは、チミンやシトシンの事である。ダイマーとは二量体、二つの分子が結合した状態を言う。すなわちチミン−チミン(チミンダイマ−)又はシトシン−シトシン(シトシンダイマ−)の二量体ができる。この結果、DNAの複製が正しく行われなくなる。細胞はこのようなDNAの傷を修復する機序を持っているが、紫外線を浴びすぎると皮膚癌の発生に至る可能性がある。
2002.05.21 配信
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ラテン語はcarcinoma、英語はcancer、ドイツ語はkrebsです。carcinomaの語源はギリシャ語のkarkinos(カルキノース)すなわちカニです。乳房の癌がカニのような外観を呈していたから命名されたらしい。
2002.05.14 配信
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癌への道のり
正常な細胞から癌が出来るまでには多段階が必要です。
癌抑制遺伝子の欠損や変異、癌遺伝子の活性化などがあって癌細胞となります。これから本格的な癌組織になるためには、血管新生も必要です。この癌細胞が転移するためには、細胞を局所に留めておく機序(正常の細胞は持っている)が壊れている必要があります。
2002.04.30 配信
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癌細胞
正常な細胞に細胞分裂の制御にかかわる遺伝子に異常が起こると、癌化する可能性がある。正常な細胞には23対の染色体があるが、癌細胞の染色体は、形と数が変化している場合が多い。癌細胞は、もともとの細胞が持っていた機能を発現できないのが普通である。
2002.04.23 配信
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ノーザンブロッティング法
DNAとRNAの特異的な結合を利用して、特定のRNAを検出する方法である。
すなわち試料のRNAを膜に固着させ、プローベのDNAとの反応性を調べる。このノーザンブロッティング法の目的のいくらかは、RT-PCRで達成可能である。RT-PCRとは、RNAをcDNAに変換してから行うPCRである。
名称由来東西南北:DNA検出法のサザンブロッティング法(先週紹介済み)はEM.Southernにより考案されたことに由来する。そこでRNA検出法のノーザンブロッティング法はSouthern(南)に対するNothern(北)から名付けられた。また、蛋白検出には残りのうちの西が採用され、ウェスタンブロッティング法と名付けられた。ちなみに東はまだ無い。
2002.04.16 配信
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サザンブロッティング法
DNAの二重鎖の相補性を利用して特定のDNAを検出する方法である。
すなわち試料のDNAを膜に固着させ、プローベのDNAとの反応性を調べる。試料DNAを電気泳動で分離してから膜にブロッティングし、プローベのDNAと反応させると、プローベDNAと反応するDNAの分子量が特定できる。
このサザンブロッティング法の目的のいくらかは、通常のPCRで達成可能である。
2002.04.09 配信
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ウェスタンブロッティング法
蛋白質の基本的性格は分子量と等電点であるが、その他に抗原性も重要である。
電気泳動法でゲル板上に分離した蛋白を、その相対的位置を保ったまま膜(ニトロセルロースなど)に転写して、膜に固着させる。これを抗体と反応させれば、個々の蛋白質の分子量や等電点を特定することができる。
また、特定の蛋白質と反応する抗体の検索も可能である。このような技術をウェスタンブロッティング法と呼ぶ。
2002.04.02 配信
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二次元電気泳動法
通常の蛋白電気泳動法は、蛋白質の分子量によって分けるが、蛋白質の等電点(pI)によって分ける事も可能である。
薄いゲル板上でまず試料中の蛋白を等電点で分けて(一次展開)、その方向に90℃の方向に、分子量で分ける(二次展開)と、複雑な試料中の個々の蛋白をスポット状に示す事がきる。すなわち蛋白質の基本的な性格である分子量と等電点の2つで分析できるのである。
2002.03.26 配信
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Th1/Th2 バランス
リンパ球の一種であるCD4+ヘルパーT細胞は、その産生するサイトカインの種類により、Th1とTh2に分類される。Th1はIFNg、Lymphotoxin-aなどのサイトカインを産生し、細胞性免疫に関与する。宿主の細胞内の病原体に対する免疫応答に必要である。Th2は、IL-4、IL-5、IL-13などのサイトカインを産生し、液性免疫に関与する。宿主の細胞外に存在する病原体の排除を担う。この2つの活性バランス(すなわち、Th1優位かTh2優位か)は、感染、腫瘍免疫、自己免疫疾患、アトピーなど、実に多くの病態に関与している。同じ病原体に晒されても、Th1優位に傾くか、Th2優位に傾くかは、病原体の種類だけで決まるのではなく、その侵入経路、患者の個人差も関係し、結果として病態に個人差が出る原因となる。
2002.03.19 配信
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電気泳動法
種々の蛋白質が溶けている試料(水溶液)があったとしよう。個々の蛋白質を分離するのは、かつての技術では困難であった。これを簡単な方法で解決したのが電気泳動法であった。 蛋白質が溶けている水溶液に電極の陽性極と陰性極を置くと、陽性に荷電した蛋白は陰極へ、陰性に荷電した蛋白は陽極へ走る性質がある。この水溶液をゲル化して同様の事を行うと、その分子量と電荷に応じて蛋白はそれぞれの位置を占める。泳動の位置に主に影響するのは、その蛋白の分子量である。この原理を応用し、分子量に応じて目的の蛋白を分離したり、蛋白が複雑に混じた試料の分析などが可能となり、蛋白化学の発展に大きく寄与した。
2002.03.12 配信
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蛋白質の高次構造
蛋白質はアミノ酸が一列に連なり(一次構造)これが折りたたまれ(二次構造、三次構造)、さらに互いに重合(四次構造)して形成される。二次から四次までの構造を高次構造と呼び、この立体構造が蛋白としての機能発現に重要である。高次構造の変化は変性と呼ばれるが、しばしば蛋白の機能不全を伴う。α(アルファ)へリックス、β(ベータ)シートと呼ばれるのは二次構造の概念である。
2002.03.05 配信
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交差反応
抗体は特異的に抗原決定基と結合する。これが原則であるが、よく似た抗原決定基(例えば抗原決定基Aと抗原決定基A’)にも結合する。これを交差反応と呼ぶ。また全く異なる物質(例えば物質Aと物質B)であっても、全く同じ抗原決定基が偶然含まれていれば、抗原抗体反応上、この異なる物質を区別できない場合がある。これも広い意味での交差反応とされる。
2002.01.26 配信
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接触阻止 contact inhibition
培養細胞が互いに接触すると運動が止まる現象をいう。

例えば繊線維芽細胞の培養細胞である3T3ha,培養容器の底に付着して増殖するが、増殖して底面いっぱいを占めると(すなわち一層を形成)、それ以上は増殖せず細胞が重層することはない。

しかし、ウイルス(SV40やシミアミンウイルスを感染させるとこの3T3haガン化し、接触阻止が機能せず、細胞は重層しつつ増殖する。
2002.02.12 配信
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抗原決定基
抗原となりえるのは、自分のものではない(すなわち異物、非自己)高分子である。
具体的には蛋白、核酸、多糖類などである。そのような高分子の一部分が抗原として抗体と結合する。この抗原として働く部位を抗原決定基(antigen determinant,epitope)と呼ぶ。
2002.02.19 配信
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細胞融合 cell fusion
二つの細胞を一つの細胞に人工的に融合させることができる。それにはウイルス、ポリエチレングリコール、電気ショックなどを用いる。このとき、細胞膜が互いに融合し、二つの細胞質が融合する。しかし核の融合は起こらず、複数の核が別個に共存する。

異なる細胞が融合した場合にはハイブリッドの細胞ができるが、両者の性質を兼備することがある。これをうまく利用したのがモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマである。

ハイブリッドの細胞を何か新しいアイデアで利用できませんか?
2002.02.05 配信
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骨髄 bone marrow
骨は中空であり、中空の中に骨髄と呼ばれる造血組織が存在する。赤色骨髄では、造血が盛んに行われている。加齢と共に造血能力が減弱すると脂肪組織に置き換わり黄色骨髄と呼ばれる状態になる。

骨髄間質には線維芽細胞、脂肪細胞、固定型マクロファージ、血管内皮細胞がある。これらの細胞が造血という骨が果たす機能を支える。

造血作用で白血球、赤血球、血小板などの血液中の細胞成分が産生されるが、これらは骨髄幹細胞に由来する。最近、骨髄幹細胞は、血球とは全く異なる細胞にも分化することが明らかになり、再生医学への応用が期待されている。
2002.01.29 配信
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多発性筋炎 (皮膚筋炎)
polymyositis(dermat omyositis)。膠原病(結合組織病)に分類されている。多発性筋炎は横紋筋の炎症を主体とする。これに皮膚症状(多形皮膚萎縮症など)が加わると皮膚筋炎と呼ばれる。自己免疫性の、慢性の全身性疾患である。間算性肺病変は、患者の生命予後を決める因子となる。
2002.01.22 配信
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全身性エリテマトーデス
SLE(systemic lupus erythemat osus)。膠原病(結合組織病)に分類されている。自己免疫性疾患であり、細胞核成分に対して自己抗体を産生する。慢性の炎症が全身におきる。本症は20〜40才の女性に多い。遺伝的素因に環境要因(紫外線を浴びる、感染を受ける、など)が加わって発症に至ると考えられる。
2002.01.15 配信
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生殖
生命である基準のひとつは、自分と同じものを作る能力があることである。自分と同じ生物体を作ることを生殖と呼ぶ。生殖には無性生殖、有性生殖、単為生殖が知られている。

無性生殖では、性に関係無く、体細胞が分裂して2個体などの複数個体に増える。複製された新個体は、すべて同じ遺伝子を持つため、クローンである。

有性生殖では、雄と雌が関係する。減数分裂でできた配偶子が授精し、もとの染色体の数に戻る。できた新個体は親と同じ生物種であるが、遺伝子の組換えが起こっているため、全く同一というわけではない。

単為生殖は、卵子が精子なしで新個体を作ることである。有性生殖の一種とみなされている。
2002.01.08 配信
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染色体 (chromosome)
真核細胞が有糸分裂する分裂期(M期)には、塩基性色素に濃染する棒状の物質が光学顕微鏡で見える。これを染色体と命名した。後になって、染色体の中に遺伝子が存在することが判明した。
染色体の主な成分はDNAとヒストンと呼ばれる塩基性の蛋白である。人間は22対の常染色体と1対の性染色体を持つ。
最近の分子生物学では染色体という言葉を細菌、ウイルス、プラスミドが持つ遺伝子を表すのにも流用されている。
2001.12.25 配信
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テロメア
真核細胞の染色体には1本の長いDNAが織りたたまれている。テロメア(末梢小粒)はそのDNA両端に存在する。
テロメアの本体はDNAでありTTAGGG(T:チミン、A:アデニン、G:グアニン)が数百の単位で反復配列している。細胞が分裂する毎にこのテロメアが短くなるため、細胞の分裂回数は有限と考えられる。テロメアーゼは細胞分裂時にテロメアが短くなる事を防ぐので、テロメアーゼ活性を持つ細胞は無限に分裂を続ける事が出来る。
2001.12.18 配信
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センダイウイルス (Sendai virus)
このウイルスに感染した細胞は互いに融合する。モノクローナル抗体の技術はこの性質を利用したものである。抗体を産生するB細胞と無限に分裂するミエローマ細胞を融合させ、両細胞の特徴を持つ融合細胞(ハイブリドーマ)をクローン化する。ウイルス学的には、センダイウイルスはパラインフルエンザI型のRNAウイルスである。東北大学のある仙台にちなんだ名称である。
2001.12.11 配信
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クローン
遺伝子型が同じ生物の集団を意味する。
無性生殖で増えた生物の集団は、クローンのはずである。植物では挿し木をすると簡単にクローンが作成できる。家畜のクローンは現在盛んに作られているが、人間のクローン作成は禁止されている。一卵性双生児は自然に出来たクローン人間である。
同じ生物由来で全く同じ機能をしている細胞の集団もクローンと呼ばれる。その典型例は同じ抗体を産生しているB細胞クローンである。モノクローナル抗体とは、単一のクローンで作られた抗体である。
2001.11.27 配信
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細胞の中の水
細胞の中には、もちろん水が入っています。でもコップの中に入っている水というよりも、むしろジェリー(ゼリー)という雰囲気です。蛋白と結合しています。いわゆるゲル状態です。細胞の中の出来事を考えるときには、細胞の中がゲル状態であることを忘れないでください。
2001.11.20 配信
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癌 or 肉腫
細胞自身が悪性になっても、その中間系線維は変化しません。たとえばケラチンは上皮細胞に特有の中間系線維ですが、上皮細胞が悪性化、すなわち癌になってもその細胞はケラチンを持ち続けます。肉腫も悪性腫瘍ですが、非上皮性です。従って、癌と肉腫を鑑別するのは簡単です。抗ケラチン抗体で悪性腫瘍を染めて、陽性なら癌、陰性なら肉腫。
2001.11.13 配信
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細胞骨格
細胞の中には、膜構造だけではなく、骨格のような構造があります。その太さにより、主に3種類に分けられます。微小管、中間系線維、微小線維です。微小管は細胞分裂や細胞の移動の時に大きな役割を果たします。微小線維は、ミオシンと協同して収縮能力を持ちます。中間系線維の働きは不明です。細胞の中は、物質の移動が盛んです。物質が単純拡散で細胞内を移動すると考えるよりも、細胞骨格に沿って運ばれると考えるほうが妥当です。また、細胞の形が一定しているのは、細胞内小器官や細胞膜が、細胞骨格で固定されているためと考えられます。
2001.11.06 配信
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細胞膜
私たちの細胞の中の細かい構造は、電子顕微鏡でないと見えません。電子顕微鏡では、細胞の断面を見ることが出来ます。倍率は100万倍くらいまで上げられます。電子顕微鏡による像をよく見ると細胞の主な構造は細胞膜で描く事が出来ます。細胞の一番外側の細胞膜だけではなく、ミトコンドリアも、小胞体、ゴルジー装置なども巻膜で出来た細胞内小器官です。この細胞膜は隔壁として働くだけではなく、機能を持つ蛋白質が組み込まれていて、実に種々の生理反応を担います。細胞が生きているのは、この膜蛋白の働きによる所が大です。
2001.10.30 配信
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ヘルシンキ宣言
第2次世界大戦中のいわゆる人体実験を二度と繰り返さないために、世界医師会が採択した、人における臨床試験のありかたについて守るべき基本的な倫理観念をアピールしたもの。まず医師の知識と良心は人類の健康維持と増進のために捧げられるべきであるとし、一方でそのためには医学の進歩が不可欠であり、新しい治療法や薬の有効性を最終的には人での実験(試験、治験)というもので確かめる必要があるとしている。そうであるためには人間を用いた試験で、その人間の基本的な人権を守るためにはいかなる倫理的、科学的配慮がなされなければならないか、を表明している。すなわち臨床試験の実施には(1)倫理性を踏まえ、科学的に適正な臨床試験計画を作成し、それを尊守して試験を実施する。(2)試験の内容の倫理的、科学的妥当性を第三者的に判断する委員会(倫理委員会)を設ける。(3)実験の内容を十分に説明し、被験者が納得した上で自発的に実験への参加に同意してもらう。といった条件が満たされていることが不可欠である。
2001.10.23 配信
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レトロウイルス
ウイルスの一種であり、RNAを遺伝物質とする。レトロは、逆向きという意味である。
すなわちDNA→RNAの方向に流すので、「逆向き」とされた。もちろん、「正しい」「逆向き」の命名は、便宜的なものである。エイズウイルス、RNA腫瘍ウイルスなどは、もっとも有名なレトロウイルスである。レトロウイルスは感染後にDNAに変換されて、宿主の染色体に組み込まれる場合がある。この場合、遺伝子を染色体に組み込むのに運び屋(ベクター)として、種々の実験的に利用される。
2001.10.16 配信
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サイトカイン
サイトカインは、細胞から分泌され、近傍の細胞に作用する生理活性である。本態は液性の因子(蛋白質)であり、相手の細胞のレセプターを介して細胞に作用発現をさせる。代表例はインターロイキン、インターフェロンなどである。
免疫担当の細胞間の相互作用をするため、感染症の病理を考える上では必須の概念である。サイトカインのnetworkとはサイトカインが相互に連鎖して働く、サイトカインのpleiotropyとはひとつのサイトカインが複数の活性を持つ、サイトカインのredundancyとは異なるサイトカインが同じ活性をもつことを示すキーワードである。作用が解明されたサイトカインを治療に用いるのは可能である。すでにG-CSFは好中球減少症に、EPOは貧血に臨床応用されている。
2001.10.09 配信
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感染症新法
伝染病予防法は、明治30年に制定され、平成11年まで感染症対策の中心的法規であったが、この100年余の間、感染症や感染症を取り巻く社会的・医学的な状況が著しく変化し、法律が時代の現状にあわなくなった。そのため、これまでの感染症対策を全面的に改め、併せて個別対策法としての性病予防法とエイズ予防法を廃止統合し、総合的な感染症対策として法案の作成が進められ、平成10年3月に成立・公布に至った。
感染症新法の正式名称は「感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律」。
感染症新法の特色は、感染症類型にある。法律の対象とする感染症を、その感染力や罹患した場所の症状の重篤性、予防方法や治療方法の有効性などに基づいて、1類感染症、2類感染症、3類感染症および4類感染症に分類するとともに、指定感染症と新感染症の制度を設けている。

1類感染症は感染力、罹患した場合の重篤性などに基づく総合的な観点からみた危険性が極めて高い感染症であり、エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱などが含まれる。
2類感染症は感染力、罹患した場合の重篤性などに基づく総合的な観点からみた危険性が高い感染症であり、急性灰白髄炎、コレラ、細菌性赤痢、ジフテリア、腸チフス、パラチフスなどが含まれる。
3類感染症は感染力、罹患した場合の重篤性などに基づく総合的な観点からみた危険性が高くないが、特定の職業への就業によって感染症の集団発生を起こし得る感染症であり、腸管出血性大腸菌感染症が含まれる。
4類感染症(58疾患)は国が感染症発生動向調査を行い、その結果などに基づいて必要な情報を一般国民や医療関係者に提供・公開していくことによって、発生・拡大を防止すべき感染症であり、インフルエンザ、ウイルス性肝炎、黄熱、Q熱、狂犬病、クリプトスポリジウム症、後天性免疫不全症候群、性器クラミジア感染症、梅毒、麻しん、マラリア、メチシリン耐性黄色ブドウ糖球菌感染症、その他の感染症が含まれる。

指定医療機関
それぞれの感染症を取り扱う医療機関についても特定感染症指定医療機関・第1種感染症指定医療機関・第2種感染症指定医療機関が定められている。一般の医療機関は3類と4類の感染症の診断と治療にあたる。
2001.10.04 配信
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イントロン
遺伝子情報は染色体にあるDNAに、塩基の配列で書かれている。真核生物の場合、蛋白に関する遺伝子DNAにはイントロンと呼ばれている塩基配列と、エクソンと呼ばれている塩基配列が存在する。エクソンは、アミノ酸に読みかえられ、蛋白質そのものの情報を示す部分である。イントロンはアミノ酸に読みかえられず、蛋白の構成決定に直接参加しない。介在配列とも呼ばれている。何個かのイントロンが、その遺伝子を分断するように入り込んでいる。染色体上のDNAがRNAに転写され、さらにmRNAになるとき、このイントロンは切り取られ、エクソンの部分が残る。この過程はスプライシングと呼ばれる。触媒する酵素はスプライセオソームである。細菌のような原核生物の遺伝子には、イントロンがない。
2001.09.27 配信
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がん遺伝子
癌は遺伝子の異常による疾患である。恐るべき病気、癌の原因は長らく不明であった。細胞が癌になるのを促進する遺伝子が発見され、「がん遺伝子」と名づけられ人々は興奮した。がん遺伝子は「がん原遺伝子」が変異したものである。しかし、がん原遺伝子を調べたところ、それはもともと細胞が本来の作用をするために持っている正常の遺伝子であった。細胞は、自分が癌になるのを抑制できる。これを担う遺伝子を「がん抑制遺伝子」と言う。したがって細胞が実際に癌化するためには、がん原遺伝子、がん抑制遺伝子など複数の遺伝子の変異が必要である。ウイルス感染による癌化も知られている。このためには感染したウイルスが、その細胞の染色体に組み込まれる必要がある。
2001.09.20 配信
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がん
日本語で癌、英語でcancer、ドイツ語でKlebs、ラテン語でcarcinoma。だれもが知っている有名な病気である。上皮組織が無秩序に増殖して(原発)他の組織まで侵入(浸潤、転移)、それらの臓器の正常の働きを阻害し、やがて個体を死に至らしめる。一般に悪性であるが、その程度には差がある。肉腫には非上皮組織に由来している悪性腫瘍である。HeLa細胞は子宮癌から樹立された培養細胞である。患者体内では“悪性”であったが、試験管の中で癌細胞だけが培養された段階では、“悪性”の概念は無くなる。
2001.09.13 配信
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セントラルドグマ
DNAの遺伝子情報はRNAへ伝えられ、さらに蛋白に伝えられる。この情報の流れは生物一般にみられる原理と考えられ、セントラルドグマ(中心命題)と名づけられた。すなわち遺伝子に書き込まれた情報が蛋白に伝えられ、蛋白が酵素などとして機能するのである。こうして個々の遺伝子が持つ働きが、どのように発現されるのかが説明できた。その後(1)RNAからDNAが合成される、(2)RNAからRNAが自己合成されるなどの例外が発見されている。誰か蛋白からRNAが合成される、といった例外を見つけませんか?
2001.09.06 配信
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Tag DNA ポリメラーゼ
温泉地獄では煮え立った熱湯が湧いて池になっています。このような高温の温泉に入ったら私達はたちまち死んでしまいますから、いかなる生物も住んでいないと思ってしまいます。でも、そんな温泉の中にも住んでいる生物がいたのです。好熱性細菌です。このような細菌の中では、DNAポリメラーゼという生命に必須の酵素も100℃の高熱に耐えつつ作用します。私達は、この高温でも働く性質を遺伝子工学に利用しています。有名なPCRです。PCRは遺伝子を10-100万倍に増幅させる技術です。PCRではDNAの二重鎖を解離させるのに高熱を用いますが、そのような高熱がかかっても変性せず、PCRにおける次のステップであるDNA合成を触媒するのがTag DNAポリメラーゼです。
2001.08.30 配信
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制限酵素
細菌は私達に感染し私達を苦しめるので、私達は免疫系を持って細菌と戦っています。その細菌に感染し細菌を苦しめるのがファージという病原体です。細菌はこのファージをやっつけるためにエンドヌクレアーゼを持っています。このエンドヌクレアーゼはファージのDNAを認識してこれを切断します。もちろん自分(細菌自身)のDNAを認識しません。エンドヌクレアーゼはその種類によって認識するDNAの塩基配列が決まっているのです。このようなエンドヌクレアーゼの性質を私達は遺伝子工学に利用しています。すなわち、特定の塩基配列を認識してDNAを切ることができますので、DNAを切るハサミとして使っているのです。遺伝子工学における重要な道具です。このようなエンドヌクレアーゼは、ファージの感染を制限するという意味で制限酵素(restriction enzyme)と呼ばれています。
2001.08.23 配信
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生殖細胞と体細胞
私たちヒトの体を構成するのは、細胞自身と、細胞が分泌した物質です。細胞は体全体では60兆個あると言われていますが、生殖細胞(germ cell)と体細胞(somatic cell)に分けることができます。
生殖系列の細胞は発生の途中で始原生殖細胞(primordial germ cell)として出現し、減数分裂を経て精子や卵子に分化します。この系列の細胞は子孫が続く限り、生き続けます。体細胞系列の細胞は、その個体の死と共に死滅するのが普通です。HeLa細胞は、試験管内での培養が成功した初めての人間由来の体細胞です。本人は子宮癌で死にましたが、その体細胞が生き続ける最初の例となりました。
2001.08.16 配信
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分泌
細胞は種々の生理活性物質を分泌します。レセプターを介して細胞に影響を与える物質、たとえば内分泌のホルモンなども一例です。ホルモンの場合、分泌する細胞と影響される細胞が離れて存在していても、血流などに乗って運ばれ作用します。endocrineと呼ばれます。近傍の細胞だけに作用する場合もあり、これはparacrineと呼ばれます。自分が分泌した生理活性に影響される場合もあります。これはautocrineと呼ばれます。
2001.08.09 配信
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M細胞
たとえば私達がブタ肉を食べた場合、その蛋白質はアミノ酸に分解され、腸から吸収され、私達の細胞内で蛋白質合成の原料として利用されます。ブタの蛋白質がそのまま吸収され私達の体の中に入り込むことはないと考えられていました。ところが、食物アレルギーの研究から、ある種の蛋白質は腸から直接体内へ吸収されることが明らかになりました。このような外来の蛋白質を直接吸収することを担う細胞は、M細胞と呼ばれる特殊な細胞であり、通常の腸上皮細胞(アミノ酸などの吸収を担う)とは明らかに異なる形態をしています。
2001.08.02 配信
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コドン Codon
私たちの遺伝子情報は遺伝子に書かれています。遺伝子の本体はDNAです。遺伝情報のうち、重要なのは蛋白質に関することです。蛋白質を合成するとき、まず遺伝子のコピー(mRNA)を作ります。このmRNAが実際に蛋白合成の現場で使う設計図となります。蛋白質はアミノ酸が連なってできているので、mRNAには、「どのアミノ酸がどのように並んでいるのか」が書かれています。従って遺伝子には、個々のアミノ酸を特定する暗号があるはずである。暗号はすでに解かれています。コドンと呼ばれています。ご存知のようにmRNAは4種類の塩基が連なったものです。その塩基が3つ(triplet)並んで、ひとつのアミノ酸を規定します。アミノ酸に対応するtripletがコドンと呼ばれているのです。塩基は、結局、遺伝情報を書く文字のような役割をします。
2001.07.26 配信
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動的平衡状態 (2)
細胞を電子顕微鏡で観察しますと、核をはじめとして色々な細胞小器官が見えます。ミトコンドリア、小胞体、ゴルジー装置、分泌顆粒、中心体など。その形態は教科書などの示されているが如くですが、一度構築されたらそのまま維持されるように思ってしまいます。しかし、作ったり壊したりが常時進行し、動的平衡状態にある状態の形を私たちが見ているのです。これには、すさまじいエネルギーを消費し、私達はじっと寝ていてもカロリーが必要なのです。寝ながらダイエット?!
2001.07.19 配信
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動的平衡状態 (1)
大人の骨は、感覚的に言うと、あたかも鉄筋コンクリートのようです。すなわち一見、永久不変。実際、法医学では、犯罪に巻込まれた頭蓋骨が見つかった場合、病院に残っている頭部のレントゲン写真が本人の同定に用いられます。
しかし顕微鏡で見ると骨は出来ているものが壊され、その一方で再度作られていることが分かります。その総和が、骨の形として肉眼的に認識されるのです。破壊と生成が同時に進行して、ある一定の状態が保たれている。すなわち骨は動的平衡状態にあります。このバランスが破壊優位に進みますと、あっという間に骨はボロボロになります。臨床的には骨粗しょう症といいます。
2001.07.12 配信
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分子時計
ヒトとチンパンジーが生物進化の途中でいつ分かれたか?
遺伝子の本体はDNAである。遺伝情報は4種類の塩基を用いてDNAの分子上に書かれている。このDNAの塩基配列は、ほかの塩基に置き換わるなどの変異を起こす。その変化の量は時間に比例して蓄積する。
従ってヒトとチンパンジーの相同遺伝子について塩基配列がいくつ異なるのかを調べると、この相違の数から標記の問の答えが計算できる。DNA分子に刻まれた時間ということで、分子時計と呼ばれる。
2001.07.05 配信
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Gaucher病
肝脾腫をきたす遺伝子疾患である。常染色体劣性疾患。
肝臓や脾臓にある網内系の細胞に脂質(グルコセレブロシド)が蓄積する。患者はグルコセレブロシドを分解する酵素(グルコセレブロシダーゼ)を欠いている。臨床症状は多様。発症後、数年以内に死亡する。
2001.06.28 配信
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