e4 板坂元『考える技術・書く技術』(講談社現代新書、1973年)より
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e4/20 【KJ法への言及】
e4/25 ……頭がよいとか悪いとかいうことも、型を早く見つけるかどうか、また型をたくさん持っているかどうかの差に換算できることが多い。
e4/26 ……年をとってくると、すべてを経験と慣習にたよる傾向となり、ついには人生が無反省なルーティーンになってしまう。型を【⇒傍点】見つける【】努力がなくなって、型に【⇒傍点】はまる【】ことの連続となる。
e4/68 わたくしは、勉強のつもりで読むときは、手もとにかならずダーマトグラフの黄色い芯のものを置いてからはじめる。……。要点と思うところ、感銘をうけたところは、その行をこの黄色のダーマトグラフで塗りつぶす。
e4/69 必読の書といわれているものに、黄色いしるしをつけながら読んで、読み返すときにも再びしるしをつける、という作業をくり返すと、著者の論理のはこび方、修辞の特徴などがわかってくる。読み返しは、しばらく間をおいてからする方が、時間をおかずに読み返すよりも効果的である。
e4/70 その本そのものを勉強することが目的だった場合は、全体をよく読み通して、黄色のしるしが出そろってからカードとりをはじめるべきだ、と思う。読みの通らないうちにカードとりをすると余分なものが混入してきてカードが使いものにならなくなるおそれがあるからだ。
【読むときは、自分の本なら黄色の色鉛筆でバンバン印を付ける、人の本ならポスト・イットをバンバン挟み込むというのがおれはよいと思う。】
e4/70 ただ、疑問箇所で図書館などで調べる必要があるものは、そのつどカードをとって、読み通さないうちでも調べをはじめた方がよい。
e4/88 ……わたくしはタテヨコが三インチ(約八センチメートル)・五インチ(約十三センチメートル)のカードを使っている。
e4/89 ……黄色のカードは、短期戦用とわたくしは呼んでいる。ひと月か二月、せいぜい四ヵ月くらいで仕上げる仕事の場合に、このカードに自分の意見でも引用のための文句でも、目につき気がつくものは片っぱしから記入する。だから、使いたい比喩や警句もカードになるし、論文に書きいれる文の一節を書き込むことも、もちろんある。
e4/89 わたくしの経験からすると、ある程度このカードがたまってくるころには、本や論文の構想がまとまりかけているのが普通だ。どういう結論になるか見当のつかないままにカード書きをしていると、ジグソー・パズルのように、自然に自分の考えがまとまってくる。卒業論文やレポートなど書く人に、ぜひすすめたい方法である。
e4/153 この【読者をこちらのリズムにのせる】方法では、まず三枚主義ということを私はいつも強調している。ひとつの話題は四百字づめ原稿用紙で大体三枚以内におさめる。新聞の連載小説が一回分三枚半くらいというのは、明治時代このかたの長い経験によって割り出された量であろう。つまり、あれくらいの長さの内容だと、ひと休みなしに読みおわることができる、という読者の生理的な条件が計算に入っているものと思われる。
【400字詰め3枚⇒1200字というのは、12ポイントでA4サイズ一枚分くらいの長さである。】