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装置の概要
フォトルミネセンスは物質が高エネルギーの電磁波を照射されたときの発光現象であり、この現象は照射停止後少なくとも(一般にナノ秒のオーダーの)少しの時間持続する。この過程における吸収と発光の異方性、減衰時間、波長は、励起状態および基底状態の電子構造に依存していて、これらは分子配向や周りの誘電率に対して非常に敏感である。従って、時間分解フォトルミネセンススペクトルは発光デバイスの電子移動過程の追跡に有効であるだけでなく、適当な蛍光プローブを用いることによって分子の動的性質や分子の周りの微視的環境に対する情報を得るのにも有効である。
当センターのシステムは、堀場製作所製のNAES-700Dである.以下の二つの光源が装備されている。
ナノ秒ランプ (NFL-700):200-700 nm の波長範囲で半値幅 2 nsのパルス(従ってこれより遅い発光現象の追跡可能)を周波数
8.5 kHz で発生させることができる。
窒素−色素レーザ (NDL-100):337.1 nm および 360-700 nm の波長で半値幅約700 および約400 ps のパルス(従って、サブナノオーダーの現象追跡可能)を周波数
5-1000 Hzで発生させることができる.
これらによりサブナノ秒のフォトルミネセンスの寿命やナノ秒分解能の時間分解スペクトルの測定が可能である。またクライオスタット(Oxford Instruments
製, Optistat DN-VS cryostat および ITC 502 temperature controller)も装備されており、77-500
K の温度範囲での測定が可能である。
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